【特別企画】
不気味な世界に、不条理な謎解き、独特の味わいがとても楽しい香港生まれのアドベンチャー「Dying : 1983」を遊んでみた!
2021年10月1日 00:00
- 【DYING: 1983】
- 2022年2月17日発売予定
- 価格:4,708円(税込)
香港のパブリッシャーGAME SOURCE ENTERTAINMENTのPS5向けアドベンチャー「Dying : 1983」は、非常に奇妙な感触を味わえるゲームだ。プレーヤーは天才外科医・神木憲司。彼は「人類の医学を変えるほどの画期的な研究に取り組んでいる」という招待状を受け取り、謎めいた研究所に赴く。しかしそこには誰もおらず、しかも閉じ込められてしまう。彼は様々に張り巡らされた謎に挑んでいく……。
今回はゲームの冒頭をプレイできた。主人公は何気なく建物の中に入っていくとドアが閉じる。どうやら部屋に閉じ込められたようだ。その部屋は平凡な部屋に見える。キッチンがあり、冷蔵庫があり、本棚があり、机がある。他の部屋に通じる扉があるので開けてみると……ドカーン! ゲームオーバー画面になった。扉に爆弾があって、プレーヤーは死んでしまったようだ。ちなみに爆弾らしいものは影も形も見えず、そういう演出もなかった。ノーヒントでの爆死だ。閉じ込められたというメッセージもなかった。
「Dying : 1983」はこのように非常に奇妙で、ファミコン初期やマイコン時代のアドベンチャーゲームを思わせる、不条理極まりない雰囲気のあるアドベンチャーゲームである。ゲームは一人称で、近づくことでオブジェクトに反応がある。とにかくすべてのオブジェクトを触ってアイテムを集め、組み合わせていくという、非常にレガシーな謎解きゲームだ。ちなみにこの部屋で即死するのは扉だけだった。
各所に置かれているメモからヒントを読み解き、なぜか柄とシャフト部分が分かれているドライバーを組み合わせ、目覚まし時計の蓋を外して電池を手に入れる。車の玩具、なぜか左右に別々の電池ボックスがあり、オブジェクトを回転させなければわからないところに電池の仕掛けを動かすと次の謎が……。
ゲームの謎は不条理なものもあるが、ちょっとずつ情報を集め、アイテムを拾い、組み合わせて謎を解いていく。昨今の欧米や日本のゲームでは少ない、マイコン時代のアドベンチャーゲームの楽しさを思い出させるこの謎解きは、筆者は好きだ。「何でそう言う解き方なの?」と思わず画面に突っ込んでしまいそうになるのも楽しい。
また世界観、グラフィックスはかなりいい。「Dying : 1983」のタイトル通り、舞台は1983年、その当時すでに古くなっているレトロな看板などオブジェクトがあり、このゲームの不気味な世界にさらに深みを与えている。
テキストや世界観など、開発者はかなりこだわっており、あふれ出るほどの情報量だが、PVでもわかるようにローカライズを向こうの方がやっているのか、日本語翻訳でちょっと伝わりにくいところがあって、それがまた面白い味を加えている。おそらく開発者が意図している以上に不思議な世界となっている。本当に奇妙なゲームである。ツッコミを入れながら進む実況プレイ向きでもあると思う。ぜひチェックして欲しいタイトルだ。