【特別企画】
「ウマ娘」の中でも一際異彩を放つ不思議ちゃん「ゴールドシップ」のヤバさ……魅力を伝えたい!
ゲームとリアルを繋ぐ架け橋となるか?
2021年8月2日 00:00
- 【ウマ娘プリティーダービー】
- 配信中
- プレイ料金:無料(アイテム課金制)
「ウマ娘プリティーダービー」がリリースされて5か月が経過した。育成可能なウマ娘も順調に増えていき、数多のイベントなどを経て、なお絶好調のようだ。
本作が好調な要因は、シンプルながらも奥の深い育成システムだったり、ゲームプレイに慣れるほどやりこみが止まらなくなる「因子ガチャ」だったり、育成可能なたくさんのウマ娘たちが魅力的などいくつもあげられるが、何よりも開発サイドの「競走馬」への愛の深さがきちんとゲーム内に活かされている点だろう。
筆者は元々リアルな競走馬を含めて競馬関係に一切興味がなく、元々「ウマ娘」をプレイするつもりもなかった。それからプレイを開始した理由については過去にビジュアル化してもらっているので詳細は省くが、これ以降どんなに多忙でも1日1回のウマ娘プレイは欠かさない体になった(洗脳完了)。
当初は”バクシン教信者”として「サクラバクシンオー」を短期間で何度も周回したり、ビジュアルのカッコよさからついつい育成したくなるが、育成難度が高くて何度も挫けた「シンボリルドルフ」、また競馬に興味のない筆者ですら記憶している「オグリキャップ」などなど色んなウマ娘たちを育成していく中で、一際異彩を放つ不思議ちゃんなウマ娘「ゴールドシップ」を目にする事になる。
開始したタイミングがちょうどゴールデンウィークだったという事もあり、ウマ娘上でも「ゴルシウィーク」なるGWキャンペーンジャックイベントが開催されていたため、こちらのプレイでも「ゴールドシップ」の育成に力を入れてみる事にした。
ところがいざ「ゴールドシップ」の育成を開始すると「鯛」だの「焼きそば」だの、今までとは明らかに異なる異質なワードが次々と目に飛び込んでくる。そして勝利のポーズはかわいいが、後半になるとこちらにドロップキックをぶちかましてくる始末。
これはどういうことだ? とますます「ゴールドシップ」の育成をやりこみ始め、そもそもこんな破天荒なウマが本当にいるのかと疑問を持ち、調べれば調べるほど、今度はリアルの「ゴールドシップ」に興味が沸き、今の気持ちは「色々明けたらビッグレッドファームにゴルシに会いにいきたいなぁ」である(現在は見学中止)。
今まで競走馬に全く興味のなかった筆者の心を動かしたゴルシちゃんのヤバさについて、今回はリアルやゲーム、アニメ、ネット配信などについて語らせてもらいたい。
ゲーム内の奇行の数々がヤベー
実際に「ウマ娘」で育成している時のゴルシちゃんはとにかく奇行の数々と奇抜な言動の数々が印象に残る。特に突然家に押しかけてドリルで壁を破壊して室内に侵入してきたり、海で魚を釣っていたり、と全く行動が読めない。一方でゲーム内のトレーナーはこうしたゴルシちゃんの奇行に段々と馴染んでいき、最終的には一緒に悪ノリしてはしゃぐようになっていくなど、非常に柔軟性が高い。見習いたい。
さらにこの手のゲームでよくあるような、普段はふざけているけど、エンディングや個別のストーリーなどではちょっとシリアスなエピソードが、といった展開を想定してみたのだが、実際にエンディングもおふざけ全開だし、ストーリーを全部見直してみても、やっぱり不思議キャラに違いはなかった。
まぁ、こうした幕間のイベントでの奇行や言動はご愛嬌として、ゴルシちゃんの最大のポイントは突然発生する「トレーニング制限」や「ゲート難発生イベント」など、実際の育成にも影響を及ぼす特定イベントが存在する事だ。トレーニング制限については完全にランダム発生と思われるため回避しようがないが、ゴルシちゃんの個性と捉えるとこれもまた1つのご愛嬌だ。
また、「ゲート難」発生イベントについては、2年目と3年目の宝塚記念を連覇することで発生する。3年目の宝塚記念は必須レースだが、2年目の宝塚記念は手動で参加する必要があるので、普通にプレイしていると発生しないようになっている。つまり「ゲート難」が発生してほしくない場合は普通にプレイしていれば自然とスルーできる。こうした特定イベントをチェックしたい場合は、レースメニューで日程を動かす事で最大23ターン後のレースまで予約できるようになっているので活用するのがおススメだ。ただし、予約のタイミングで出走条件を満たしておく必要がある点には注意が必要だ。
攻略スタイルは人それぞれのため、ここでの説明は簡単に済ませるが、筆者はスピード星3因子を入手できているのでこれを活用し、スピード成長はなるべく因子に任せて、普段のトレーニングは他のステータスを伸ばす方向で育成を進めている。
ゴルシちゃんの得意スタイルは終盤の直線で勝負を仕掛ける「追込」のため、パワーとスピード、スタミナもある程度振る必要があり、パワー、スタミナ、時々根性で育成を進めるようにしている。また、賢さトレーニングは失敗率が低い上に失敗してもペナルティがないため、少々の回復はこちらを使う方がイベント発生なども期待できるし、賢さもある程度は上げておく方がいいため、バランスよく鍛えるのがいいだろう。
スキルについては回復系と直線加速系を中心に取得するとハズレがないだろう。覚醒レベルを上げると「下校の楽しみ」などの追込特化の回復スキルが獲得できるので、これらを活用すれば序盤でも負けが減らせるようになる。また、幸いにも筆者の手元には”マエストロさん”こと「スーパークリーク」のSSRサポートカード「一粒の安らぎ」があるため(ただし無凸)、順当に育成を進める事で高確率で強力な回復スキル「円弧のマエストロ」が獲得できるのもありがたい。
他にも覚醒レベル3以降で変化する固有スキルの「不沈艦、抜錨ォッ!」についてはチェーンを振り回し、赤く怪しく光る目のゴルシちゃんがめちゃくちゃカッコいい。ゴルシちゃんの内に秘めたる闘争心が感じられるいい演出だ。スキル効果もレースの中盤からロングスパートをかけて速度を少しずつ上げていくという、ゴルシちゃん向きのスキルとなっている。
アニメや「ぱかチューブっ!」もヤベー
今回編集部からの薦めもあり、Amazon PrimeでアニメのSeason 1と2を通しで全て観たが、こちらでもゴルシはすごい奇行の数々を披露していた。特にやる気がない時のゴルシのトレーニング風景はトランプタワーを立てていたり、麻雀の牌を洗っていたり、スイカを指で連打して破壊したり、とその内容にも一貫性はなく、実にゴルシちゃんらしい。
アニメにおいては完全にスーパーサブに徹しており、チームスピカのリーダー的存在であり、普段の活動内におけるイベントの多くに関わりつつも、実際のトレーニング風景やレース風景はあまり見られない印象だった。しかもメジロマックイーンとの絡みも多く、後述のような関係性を理解しているとこれだけでもニヤニヤが止まらない。ただしビジュアル的にはほぼ毎度ダイレクトに目に異物が激突するため、若干痛々しいがこれがまたいい。一方でストーリー上はメインの立場ではないにも関わらず、これだけ圧倒的な存在感を誇示し続ける様子は、流石ゴルシちゃんと納得の出来栄えになっている。
なお、アニメはゲームとの親和性が非常に高い作りになっている。アニメ内で登場する施設の数々がもゲーム内にも頻繁に登場するし、BGMなどもアニメ版のものやキャラソンにアレンジを加えたものが数多く使われている。恐らく視聴済みの方が大半だと思われるが、もしゲームで「ウマ娘」を知ってアニメは未見の人がいるようなら、是非1度アニメを見てみる事をお勧めしたい。
そして、「ウマ娘」公式のYouTubeチャンネル「ぱかチューブっ!」のメインMCを務めているのもゴルシちゃんだ。自称美人宣伝担当として「ウマ娘」の情報を配信し続けているのだが、いわゆる公式の紹介配信や、声優さんによる生配信とは別に、ゴルシちゃん単体で登場する各種配信が超絶おバカで楽しめる。アニメやゲームと比べた場合、YouTubeという色々と規制の厳しい枠の中のため、比較的まともに見えるのも謎のギャップ萌えが楽しめる。
もちろんリアルもヤベー!
ここからはリアルなゴールドシップとゲームとの関係性についても触れていく。先ずゴールドシップの両親は「ステイゴールド」と「ポイントブラック」、そして「ポイントブラック」の親が、かの「メジロマックイーン」なのである。ゲームやアニメの中で、ゴルシちゃんとマックイーンの絡みが多いのは、こうした背景があるわけだ。
こうした両親、体格については母の血を継いだ事もあり、ゴールドシップはかなり大柄な馬だという。そんなリアルのゴールドシップの大きさがアニメやゲーム上でも反映されており、他のウマ娘と並んだ時にゴルシちゃんを高身長に見せることで表現している。なお、ゲームだと身長差が目立ちにくいが、アニメだとかなり大柄に描かれているのがわかる。
リアルのゴールドシップはやる気があれば、大レースであってもサクッと1位をかっさらうセンスを持っているが、やる気がないと本来なら楽勝な筈のレースでもあっさり負けるという圧倒的な気分屋だったという。とにかく至る所でやる気が重要になっていたのがリアルのゴールドシップだったようで、こうした性格がゲーム内の「トレーニング制限」イベントなどに繋がっているのがわかる。筆者も気分屋で原稿の〆切当日に突然プラモデルを組みたくなったりするので、ゴールドシップに似た物を感じているのかもしれない。
そして、ゴールドシップの逸話を探すと星の数ほど見つかる。毎日遊んであげないと暴れる、でも実際に遊ぶと調教師はもれなくシャツを破られる、蹴り癖がひどく人も馬も関係なく、気に入らないと即キック。特に「トーセンジョーダン」は見かけたら何故か即キックにいくなど、とにかくエピソードが尽きない。
こうした逸話の数々がかなりゲーム内に組み込まれている。例えば、ホーム画面にウマ娘を設定しておくと適宜こちらに話しかけてくれるのだが、ゴルシちゃんを設定していると「あ~、さわやかな朝…こんな朝はジョーダンの奴にキメてえなぁ~挨拶代わりのラリアット…。」といったセリフもある。また、レース勝利時に腕を高らかに上げる一着のポーズも立ち上がった時のテンションMAXなゴールドシップの様子をあらわした物だったり、レース勝利時のドロップキックは言わずもがなの蹴り癖アピールだ。
そして実際に2015年の宝塚記念で起こったゲート難からの出遅れによる121億円事件。当時1番人気だったゴールドシップが、出走直前に機嫌が悪くなってしまい、ゲート内で立ち上がってしまう事で大きく出遅れ、レース結果は15着となってしまう。121億円分の馬券が紙クズと化したこの事件は「歴史に名を刻んだ」として今なお、競馬ファン含めて業界内でも伝説になっているという。
これが前述の通り、ゲーム内でもイベントで再現されている。ただし、流石にいきなり出遅れるようなイベントではなく、逆に史実で勝てなかった宝塚記念を2連覇することでプレーヤーに意味深な選択肢を迫ってくるイベントになっており、この選択肢を「理解」している人が選ぶことで、ゴルシちゃんには「ゲート難」のマイナススキルが取得されるという仕組みだ。
レース上でトラブルをいきなり発生させてしまうと、これら事件を知らないプレーヤーが困ってしまう事を考慮したうえで、この伝説の事件を知るプレーヤーが遊んでいるとニヤリとさせる演出となっており、このアレンジの妙からも開発サイドの愛が十分に感じられるいい演出に仕上がっている。みんなゴルシちゃんが大好きなんだ。
このようにリアルのゴールドシップの逸話だけを聞くと不思議なエピソードが多く、破天荒な馬なのではという印象を強く持つ。ところがそんなゴールドシップに関わった人たちの発言を聞くとその印象がガラッと変わるのだから面白い。というのも、気性の荒さは父親譲りとのことだが、一方でゴールドシップに関わった人たちはみんな同じように「頭が良い子」であり「繊細」な子だという証言ばかりなのだ。
頭の良さがあるからこそ、普通の馬なら気にならないようなところが気になってしまったり、繊細さからちょっとした事でゲート難を引き起こしたり、レース結果にムラが出るなど、とても人間味のある競走馬だったと知る。
そんな関係者からの証言を知った上で再度ゴールドシップのエピソードを見直すと、こうした逸話の数々がいずれも気性の荒さと賢さからくるものだったのだと再認識できる。そして、そんなエピソードを頭の片隅に置いた上で、改めて実際のゴールドシップの愛嬌ある顔を見ているとなぜだか泣けてきてしまった。
蹴り癖や威嚇など荒々しいエピソードの一方で信頼している人間に対しては心を許したりなど、頭の良さが感じられる事、そして今なお健在で北海道のビッグレッドファームにて余生を過ごしている事から、俄然、実際のゴールドシップに会いに行きたくなってしまった。現在は残念ながら見学中止になっているが、見学が可能になったら1度お会いしてそのご尊顔を拝見してみたいものだ。
結論、ゴルシちゃんはヤベー!
以上、ゲーム、アニメ、リアルと一通りのゴールドシップについて、競馬について無学な筆者なりに思いを語ってみた。こうしてゲーム内のゴルシちゃんを見ていると、トレーニング制限の発生はたまにあるものの、トレーナーの指示通り一定のサボる事はなくトレーニングしてくれるなど、非常に健気に感じられる。
想定外の事象が多発する事も多く、育成中は終始冷や冷やさせられるが、それでもレースに勝った時の満面の笑顔は何にも代えがたい。この笑顔を見るために、今後もゴルシちゃん育成は止められない。未開放のイベントもいくつか残っているし、ゴルシちゃんのSSRサポートカードで未入手の物もあるので、まだまだ楽しみは宇宙規模で残っている。そして将来きっと実装されるであろう別コスチュームのゴルシちゃんがやってきた時の事を今から考えていると、夜も寝ずに育成し続けてしまう。
今回、リアルのゴールドシップについても調べた事で、リアルの競走馬への興味が少し沸いてきた。速い馬のカッコよさなども魅力とは思うが、リアルな競走馬の初心者にとっては、このようなユニークな馬の情報が一番とっつきやすく、また非常に興味が湧いてくる。そういう意味でもゴルシちゃんの存在は、ゲームとリアルを繋ぐ架け橋になる可能性を秘めていると言えそうだ。少なくとも筆者はリアルなゴールドシップにも会ってその賢さを見てみたいと思うようになった。
この先はゲームのゴルシちゃんだけでなく、リアルのゴールドシップや、その子孫などについても引き続きチェックしていきたい。