【特別企画】
ファンタジー世界にどっぷり!「パスファインダー:キングメーカー」先行プレイレポート
硬派な世界観と戦闘システム、独自の大国統治システムが魅力
2021年5月12日 18:00
DMM GAMESは、プレイステーション 4/Xbox One/PC(DMM GAME PLAYER)向けファンタジーRPG「パスファインダー:キングメーカー(Pathfinder Kingmaker)」の日本語版を5月13日に発売する。
「パスファインダー:キングメーカー」は海外で人気を博しているTRPGシリーズ「パスファインダーRPG」のシナリオブック「Kingmaker」をベースに制作されたシングルプレーヤー向けのRPGで、剣と魔法の世界を舞台にした硬派なRPGを楽しめる。尚、本作の元となった「パスファインダーRPG」はTRPGの歴史的名作「ダンジョン&ドラゴンズ(D&D)」から派生した作品で、「D&D」の売り上げを超えた時期もあるビッグタイトル。それだけに、本作の日本語化を待ちに待っていた日本のファンも少なくないだろう。
本作は既にSteam版が発売されているが、日本語訳がMOD含めて存在せず、テキストが重要かつ膨大な本作をプレイするうえでの障壁となっていた。本作のローカライズに当たっては、アークライトから販売されている「パスファインダーRPG」のコアルールブックの翻訳も行なった「チームPRDJ」代表、石川雄一郎氏が完全監修。ワード数150万以上を翻訳し、TRPG独特の用語も丁寧に日本語に落とし込んでいったとのことで、TRPGファンにとっても嬉しい作品となっているようだ。
今回はそんな本作の先行プレイの機会を得た。筆者はTRPGの経験こそあるが、「パスファインダーRPG」や「D&D」といったタイトルは未プレイということもあり、初見ではやや理解し辛い部分があったが、丁寧な翻訳のお陰で時間をかければ細かいルールまで含めて理解することができた。とはいえ、本作を触れられたのは僅かな時間だったため、筆者がプレイしたのはほんの序盤。それでも本作の特徴であるクラシックで硬派なシステムや、地の文で味わえるファンタジーの世界観、本作独自の要素である王国統治などを楽しむことができた。
キャラ制作から多くの選択肢
さて、本作のシステムはTRPGをベースにしているということもあり、細かい処理が多いと同時に自由度も高くなっている。それを最初に感じることができるのがキャラクターメイクだろう。本作では主人公や傭兵として雇えるキャラクターを自由に作ることができ、人間やエルフ、ドワーフといった種族や、ファイターやウィザードといったクラスのほか、見た目や性格なども細かく設定することが可能。種族やクラスにはそれぞれ特性が存在し、種族がエルフならば敏捷と知力が高い、といった風にステータスやスキルに影響をもたらすことになるので、キャラクターの最終形をイメージして選択するといいだろう。
種族は全部で10種、クラスは16の基本クラスと7つの上位クラスが存在しているだけではなく、種族によっては小分類的な「血族」まで選択することが可能となっている。この種族とクラスだけでも膨大な組み合わせが存在する。
それに加えてステータスはポイントを自由に割り振って設定するタイプで、スキルの取得もクラス毎の選択肢から自由にチョイスすることができる。レベルアップ時も同様の処理を行なうため、キャラクターメイクだけでなく、育成も自由度が高くなっているというわけだ。
もちろん、プリセットキャラクターを選択して使用することもできるので、気軽にゲームを始めたい人は主人公のキャラクターメイクを飛ばし、ストーリー中に解禁される傭兵でキャラクターメイクをしてみるのもいいだろう。
実際筆者はプリセットキャラクターを使用してストーリーを開始、冒険の途中で傭兵としてキャラクターメイクを行なった。自分好みのキャラクターと共に、世界を渡り歩くのもRPGの楽しみだが、本作はその点を深掘りすることができる。キャラクターメイクや育成はTRPGのようにダイスを振って能力値を決めるわけではないが、感覚的には所謂キャラクターシートを作っているのに近い。ガンガン攻める脳筋キャラクターや、魔法剣士のようなキャラクターなどを自由に制作できるので、プレイスタイルやパーティの状況に合わせて柔軟にキャラを産み出すことが可能だ。
各種判定がシビアな硬派なシステム
キャラクターメイクが終わると、いよいよ剣と魔法のファンタジー世界「ストールンランド」を舞台とした冒険が始まることとなる。序盤は男爵位と統治する領土を手に入れるために、土地を支配している盗賊を打ち倒すことが目的。ストーリーを進めつつ様々な操作や効果の処理等を覚えていくこととなる。また、旅の中で仲間を増やしつつ、主人公を含む最大6人のパーティを組むことが可能だ。
ただし、本作は序盤から戦闘の難易度が高かったり、イベントに時間制限があったりとハードな内容となっており、油断をしていると簡単にゲームオーバーになってしまう。幸い難易度はいつでも変更可能となっているので、難しいと感じたら設定から敵の攻撃を弱くするなどの調整をするといい。
さて、本作はキャラクター以外にも原作TRPGを感じさせる要素が散りばめられており、特にシステム面では原作TRPGのものに基づき様々な判定においてダイスロールを行なう(実際にサイコロが画面上に出現することはない)。例えば戦闘では、攻撃の可否やダメージなどを、パラメータやバフ等の様々な要素を参照したうえで、ダイスロールによって判定をする。攻撃の成功は、キャラクターのパラメーターに「1d20(20面ダイスを1個振るの意味)」の攻撃ボーナスを加算した数値が、相手のアーマー値を上回った場合成功する。このように、通常攻撃一つとっても複雑な処理が行なわれているが、裏を返せば普段ゲーム中にあまり考えない乱数を考えながらプレイできるということでもあり、システムを理解するほどに戦略的なプレイが可能となっている。
ちなみに戦闘の難易度は中々に高く、有効なバフを掛けたり、アイテムを適切に使用したりしなければ苦戦することは必至。特に序盤はステータスが低いため各種判定が厳しく、思ったようにダメージを与えられないことが多々ある。特に攻撃の命中率は序盤ほど低く感じたので、命中バフスキルが想像以上に有効だった。
また、本作では戦闘はターン制とリアルタイムで切り替えが可能となっており、じっくりと戦い時はターン制に、雑魚をサクッと倒したい場合はリアルタイムで、といった風に切り替えをすることができる。難敵との戦闘時は、ターン制でじっくりと戦略を練りながら戦うといいだろう。
なお、ダイスによる判定を行なう場面は戦闘以外にも、マップでの罠の解除や宝箱の開錠、キャラクターとの会話の中での「威圧」や「説得」などの判定など様々だ。そのため、パーティを編成できるようになったら戦闘面だけでなく、罠の解除役を誰にするかなどを考えておかないと進行が困難となることもある。
TRPG未経験の人はチュートリアルを読んでもぼんやりとしかルールを理解できないかも知れないが、理解していなくても問題なく進行は可能。プレイの中で徐々に学んでいけば、よりゲームを楽しめるはずだ。TRPG経験者にしてみれば、ゲーム側がダイスを勝手に振って、処理してくれている感覚に近いのではないだろうか。
また、NPCとの会話は選択肢によってその後のストーリーの展開が大きく異なることもあるのもポイントの一つ。選択肢によっては仲間が増えたり、後のイベントの展開が変わることもある。時にキャラクターは判断の難しい道徳的選択を迫られることがあり、選択によってキャラクターの属性が「善/悪」、「秩序/混沌」に分類されるほか、選択によっては仲間にネガティブな影響を与えることもある。こうした会話の中での選択が物語に反映されるので、ロールプレイが捗るのも本作の魅力の一つだ。
クエストを達成するために各地へ移動。時にはキャンプでの休息が必要に
本作では探索や戦闘を行なうマップとは別に地図状のマップが存在しており、探索できる重要地点同士を結ぶ道を移動しながら旅をする。本作はメインとなるストーリークエストの他にもサブクエスト的なものも多数あり、仲間固有のものや、統治する領土関連のクエスト、その他の小粒なものまで多種多様で、これらを達成するために西へ東へ、様々な地点を行き来することになる。
道中では、モンスターや様々なキャラクターと遭遇することもある他、移動するたびに時間が経過していく。時間制限ありのイベントが発生している場合は、無駄な移動をしないよう心がける必要がある。
また、盗賊のボスを倒し、領地を手に入れるとクエストの数が一気に増え、後述する大国の運営とも関わってくる。クエストの中には宗教や特定の種族に関するものなど、本作の世界観が伝わってくるものもある。テキストと合わせて物語の展開を楽しむことができる。
マップの移動は時間経過だけではなく、キャラクターにデバフを与える疲労をもたらす。疲労を解消するためにはテントを設営して休息を取る必要がある。なお、移動中も疲労によって休息が必要になる。キャンプを行なっている画面には切り替わらないが処理や判定は同様だ。
休息では、各キャラクターに狩りで糧食を追加したり、警備をして襲撃に備えたりといった役割を割り振ることが可能で、各役割で技能判定を行ない成否を決定する。狩りに成功すれば食糧などが手に入るが、警備やカモフラージュに失敗すると盗賊やモンスターに発見され、襲撃にあうことも。キャラクターの技能に合わせて役割を選択したい。
クエストを達成するためにあちこちへ移動をしていると、思ったよりも頻繁に休息をとることになる。判定に少々時間がかかるためしばし待つ必要があるが、その間にキャラクター毎の会話を楽しむことが可能となっている。仲間の意外な一面を見ることができるという意味で、キャラクター同士の掛け合いも楽しいものだ。
RPGには珍しい本格的な領土の運営
さて、上述した通り物語を進めていくと領土が手に入り統治を行なうこととなる。領土の拡大や、街や都市の建設、内政などを行ない、自領土を発展させ、新たな大国建設を目指す。統治のためには、経済や軍事といった各分野に、専門の顧問を任命する必要がある。顧問は共に旅をした仲間や、旅で出会った領土の住人から任命できる。
顧問は自身の信条に基づいて行動するので、自身が作りたい国の形に合わせて、顧問を選択するといい。あまりにも顧問の考えと異なる選択を続けていると、その顧問が退職してしまうので注意が必要だ。
顧問は対応するイベントとプロジェクトに着手させることが可能。イベントは領土の管理に関する内容で、プロジェクトは領土の様々な要素をアップグレードできるものだ。各タスクには難易度が設定されており、顧問の能力によって成否が決まる。成功すれば領土は成長するが、失敗が続くと民衆が暴動を起こしてしまう。領土を失うとゲームオーバーになるので、冒険の合間をぬって領土に戻り、統治を行うこととなる。
また、イベントやプロジェクトを実行すると、任命した顧問は他のイベント等に着手することができなくなるので、成功確率だけでなく、今何を優先すべきかを考えながら人員を割り振る必要がある。因みに、顧問として仕事を割り振っている最中でも、冒険を共にすることは可能なので安心だ。
領土の拡大などの主人公も携わるプロジェクトは、実行すると終了まで自動的に日送りがされる。他のイベントの選択や、クエストの期限などに注意を払っておくと失敗しなくて済む。
こうして顧問と共にクエストやプロジェクトをこなすことで、建造ポイント(BP)が手に入る。BPを使用すれば新たな領土を獲得したり、新たに集落を作ったり、集落に建造物を経てて収益を増やしたりと様々なことが行なえる。
また、冒険時と同じように、統治にあたっても様々な選択に迫られることがある。こちらも選択によって領土の属性が変化していき、それに合わせる形で住人の特徴も変わる。例えば、法を重視する選択をしていけば、秩序だった領土と民衆を獲得できる。逆に非道な選択を続ければ、悪の世紀末文明をつくることも可能だ。
領土の統治は、ちょっとしたシミュレーションゲームレベルの要素があり、これだけでも楽しむことができる。こうした領土の運営はRPGとしては珍しく、冒険しながら自分好みの国を作ることができるというのは新鮮だった。また、イベントの進め方によってはストーリーやクエストの内容にも変化があるので、統治の仕方が物語の変化=ロールプレイとも繋がってくるのもポイントだ。
因みに、統治の難易度は自由に変更が可能で、完全に自動化+無敵状態にすることもできる。とにかく冒険だけを楽しみたいという人はこちらの設定をオンにしてみるといいだろう。
「ロールプレイ」を楽しめる高難易度RPG
本作には既に発売されているDLCが含まれており、追加のシナリオやダンジョン等を楽しむことができる。メインストーリーとは異なる主人公でプレイできるサブストーリーの展開は、本編にも反映させることが可能だ。
また、DLCの追加コンテンツであるダンジョンタイプのローグライクゲームをプレイすることも可能。こちらは筆者は未プレイだが、かなりの高難易度となっているとのことなので、心してかかりたいところ。
さて、本作を簡単に紹介したが、本作の魅力はやはり選択肢の多さがもたらす自由度だろう。本稿でも繰り返し述べた通り、冒険や、仲間との関係、国の統治に至るまで様々な選択をすることが可能で、選択の積み重ねが物語の中で表現されていくため、自分の好きなように本作の世界観を楽しむことができる作品だ。
クラシカルで硬派な内容且、TRPGがベースになっていることで、本作特有の取っつき辛いルールが存在することは間違いないが、そうした要素も本作の戦闘における奥深さや、ロールプレイの楽しさに繋がっているように感じた。加えて好印象だったのが、物語はセリフも含めて地の文で語られることだ。これにより、自分がロールプレイした結果を、小説として読んでいるような感覚を味わうことができた。
本作はじっくりと高難易度の「ロールプレイ」を楽しみたいという方には非常にオススメできる作品だ。ぜひともプレイして欲しい。
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