【特別企画】
「FΛNTΛSIΛN」や「CLAP HANZ GOLF」など、Apple Arcadeの日本発新作4タイトルを開発者の声と共に紹介!
坂口博信氏「狙ったのはガラス越しにジオラマを触っているような面白い相乗効果」
2021年4月5日 18:36
- 4月2日配信開始
- 利用価格:600円(月額)
Appleが提供するゲームのサブスクリプションサービス「Apple Arcade」。先日30本以上のタイトルが追加され、サービス利用者であれば追加されたゲームを含む総計180本以上のタイトルを追加料金なしで楽しむことができる。
今回の追加された新規タイトルの中には、チェス等が楽しめる「クラシックコレクション」やアワード受賞作などを配信する「App Storeグレイツ」のほか、国内ディベロッパーのオリジナルタイトルが複数追加されている。
さて、今回追加された国内タイトルの中から「FΛNTΛSIΛN」「CLAP HANZ GOLF」「太鼓の達人 Pop Tap Beat」「World of Demons - 百鬼魔道」においてディベロッパーの声を聞ける機会が提供された。本稿ではゲームの簡単な紹介と合わせてお伝えする。
手作りのジオラマを舞台にした原点回帰的RPG「FΛNTΛSIΛN」
「ファイナルファンタジー」の生みの親である坂口博信氏が率いるミストウォーカーによる新作「FΛNTΛSIΛN」は、ストーリーを坂口氏が、音楽を植松伸夫氏が手がける原点回帰的なRPG。実際にジオラマで作られた世界を冒険することができるのが特徴で、屋外にとどまらず、屋内や調度品まで全て手作りのジオラマ。ジオラマは、職人がオーダーを超えるクオリティのものを仕上げてくれたとのことだ。
尚、本作はストーリードリブンの前編と、自由度の高いクエスト方式の後編に分かれており、共にプレイ時間は20~30時間程度になるとのこと。現在は前編がリリースされており、後編は2021年の後半にリリース予定となっている。
バトルはランダムエンカウントかつ、ターン制とオーソドックスなものになっているが、タップし弓を引くように操作することでスキルの軌道を変化させられる「エイミング」や、ランダムエンカウントした敵を異次元に蓄積し、後でまとめて戦闘する「ディメンジョン」といったシステムが導入されており新鮮さも感じられる。
「ディメンジョン」バトルでは、プレーヤーを有利にするギミックが存在したり、範囲攻撃で敵をまとめて倒すことができるなど、爽快感を得られるものになっている。また、ボス戦は戦略性が高く、力押しでの攻略は難しいが、うまくスキルやアイテムを駆使すれば低レベルでもクリアできるものとなっているとのことだ。
坂口氏によると、本作のストーリーはワクワクドキドキのある展開だが、エンディング後はプレーヤーを温かい気持ちにさせるものになっているという。また、本作のグラフィックはジオラマの写真を3Dスキャンし、その上に影などをライティングすることで作られており、「タッチ操作の際に、ガラス越しにジオラマを触っているような面白い相乗効果が得られるのではないか」と期待して制作された。また坂口氏は、リリース後のユーザーの声を受け、「ぱっと見の違いとして、ジオラマとCGの違いが好意的に受け取られているようで、回りくどいことをやったのがいい方向にいった」と語ってくれた。
「CLAP HANZ GOLF」。「みんなのゴルフ」シリーズを手がけてきたクラップハンズの社名を冠する自信作
「みんなのゴルフ」シリーズを手がけてきたクラップハンズによるゴルフゲーム「CLAP HANZ GOLF」。本作は「iPhoneで世界一のゴルフゲームを作る」ことを開発テーマとし、培ってきたノウハウを集結、カメラワークなどあらゆる箇所にこだわって仕上げたとのこと。結果、家の中でも外でも楽しめる本格ゴルフゲームとして、満足のいくものが完成。タイトルに社名を冠することとなった。
本作でCLAP HANZは「アナログフリックショット」というシステムを開発、国内特許を取得している。「アナログフリックショット」により、指一本のシンプルな操作で様々なショットを打ち分けることが可能で、微妙な指の動きの違いが弾道等に関わるような、よりリアルゴルフに近いプレイを味わうことができる。
また、本作では今までのゴルフゲームにはないチームでのプレイを実装。1人が1ホールをラウンドするという新ルールで、ゲーム的な賑やかさが増した。また、キャラはラウンドに出す度に成長するので、キャラ育成を楽しむこともできる。
そのキャラクターは可愛いデフォルメのデザインで、ゴルフを知らない人でも興味を持ってもらえるよう親しみやすくなっている。また、モバイル向けゲームでありながらも、映像的に爽やかで美しいコース作りに拘り、個性的な9ホールが用意された。
主要なモードとして、地図から試合を選択し、キャラやコースをゲットしていく「ツアーモード」、コース毎にベストスコアを競う「スコアアタックモード」、面クリ型の「サバイバルモード」に加え、家族や友人と楽しめる「ローカルマルチプレイ」を搭載している。また、セーブデータはクラウド保存され、1つのセーブデーターを複数の機種で遊ぶことができる。コントローラーでのプレイにも対応しているので「外ではiPhone、家ではApple TVで」といったプレイも可能だ。
CLAP HANZの村守氏は、本作をiPhoneで作った感想として「想像以上にきれいな絵を出せたという実感がある。タッチパネルの精度が高く、ショット方法も気持ちい形に仕上がった。また、iPhoneの読み込みは驚異的に早く驚いた」、「スマホでここまで本格的なゴルフゲームが楽しめる時代になったか、と思って頂けたら幸いです」とメッセージをくれた。
「太鼓の達人 Pop Tap Beat」。「太鼓の達人」で全世界進出を狙う
バンダイナムコエンターテインメントによるリズムゲーム「太鼓の達人」シリーズは2021年2月に20周年を迎えた。今年はその記念企画を複数実施する予定で、記念楽曲の発表や、youtubeチャンネルの開設を予定しているとのこと。
また、それに合わせて現状としてアジアでの高い人気を誇っている本シリーズを、全世界に向けて発信することを目標としているとのことで、その先陣をきるタイトルとして「太鼓の達人 Pop Tap Beat」がリリースされた。
「太鼓の達人 Pop Tap Beat」は、Apple Arcadeで配信されることを意識し、言語に左右されないUIを制作することで、13言語に対応。また、オンラインコンテンツとして、世界中のユーザーと対戦できる「クイックマッチ」、パスワードを設定して家族等と楽しめる「つながるモード」を搭載している。
他にも、ゲームプレイでたまるポイントで、どんちゃんの衣装を購入し着せ替えを楽しむことができる。衣装はオンラインプレイでも反映され、プレーヤーの個性を出すポイントとなっているとのことだ。
バンダイナムコエンターテインメントの川嶋氏によると「リリース後、既に英語や中国語など、色々な国の方から、『楽しかった』といった感想をいただいており、世界進出を肌で感じています」、「今後もコンテンツを拡充していく予定です」とのことだ。
また、開発で困難だったポイントは「本作はリズムゲームなので、100分の1秒でゲームの気持ちよさが変わってしまう。そのため、Apple TVなどではコントローラーでのプレイが必須で、対応する必要がありました。また、他機種とのマッチングを実装する際に、通信が上手くいかず大変でした」と語ってくれた。
アクションゲームでおなじみプラチナゲームズ初のモバイルタイトル「World of Demons – 百鬼魔道」
「ベヨネッタ」等のアクションゲームで知られるプラチナゲームズによる完全新作アクション「World of Demons - 百鬼魔道」は、同社にとって初のモバイルゲームとなっている。浮世絵や墨絵から着想を得た純和風の世界観が特徴のアクションゲームで、プレーヤーは主人公「鬼丸」を操作し、妖怪や鬼と戦うことになる。
本作は家庭用で培ったノウハウを活かし、アクションゲーム初心者でも気軽に、いつでもどこでも楽しめるタイトルとなっており、刀を使った爽快な剣劇アクションはタップするだけでもかっこよく攻撃が繋がり、様々なアクションが楽しめる。
また、本作には100種類以上の日本で実際に伝えられてきたような妖怪が登場する。妖怪は敵として登場するだけでなく、条件を満たせば口寄せでお供として呼び出し、共闘することも可能だ。共闘時には攻撃だけではなく、塞がれた道を妖怪の力で切り開いたりといった形でもサポートしてくれる。
口寄せは「百鬼夜行」という言葉の体現するように、妖怪が大量に出現するとのことで、描画や処理の限界に挑戦しているという。開発時にはある端末ではうまくいっても、他端末だと処理がオーバーしたり、仕組みが異なっている部分もあり、ひとつひとつ手直しで対応していった、と開発陣の苦労も語られた。
また、物語を進めればプレイアブルキャラクターもアンロックされていき、鬼丸とは異なった武器や特徴を活かして、違った攻略を楽しむことができる。他にも集めた素材を使用して、武器や妖怪を強化したり、一発逆転の力を持った奥義の解放、隠しアイテムなどの探索要素、図鑑といった収集要素などの所謂「やりこみ」も存在するとのことだ。
プラチナゲームズによると、「我々の誇る爽快で直感的なアクションがモバイルで遊べるので、ぜひ手に取ってほしい」、「モバイルタイトル参入は初めてだったので、モバイルでの開発は手探りで答えを探しているような状態だった。本作では1つの答えが出せたのではないかと思っています。それは、Apple Arcadeのコンセプトにマッチするようなコンテンツを企画できたからではないでしょうか。また、リリース後、日本だけではなく、海外からも『楽しい』という声をいただけており、私たちの出した答えは間違っていなかったのだと感じています」と語ってくれた。
数々の新作ゲームを提供しているApple Arcadeだが、これまでは日本市場にとってインパクトのあるタイトルを供給できていたかというと疑問が残る。しかし、今回追加されたタイトルは非常に魅力的で、加入を検討する価値があるだろう。また、今後の追加タイトルにも期待ができるものとなっている。ゲーム業界にもサブスクの波がきつつある昨今、Apple Arcadeの今後に一層注目したい。