【特別企画】

高リフレッシュレートが3D酔いに効くのは本当なのか?360Hzのゲーミングモニター「Predator X25」でFPSやっても頭痛に悩まされない世界を体験した

360Hzのおかげでスナイパーライフルの扱いがマシになって目も疲れない

 検証環境はGPUに「NVIDIA GeForce RTX 2080 Ti」を搭載したデスクトップPCを用意した。「Predator X25」はDisplayPort 1.4とHDMI 2.0の入力を備えているが、360Hzを体験する際に使用できるのはDisplayPortのみ。HDMI 2.0は仕様上最大240Hzまでの対応となる。

 最初にフレームレート検証の定番「UFO Test」で360Hzがどんなものか見てみた。筆者は普段144Hzのモニターを使用しているが、こうして360fps、180fps、90fpsで高速で動くUFOを見比べてみると、残像感に違いがあることが確認できた。90fpsではUFOに少しの残像感が見え、背景の星々は尾を引いて数珠つなぎのように見える部分もある。180fpsでは、UFOの残像は完全に消えるが、背景の星は尾を引いて見える。360fpsとなると、背景の星は完全に点で見える。

UFO Testをシャッター速度100分の1秒で撮影した。90fpsでは完全に1枚の絵として捉えているが倍速にあたる180fpsでは100分の1秒間に2枚の絵、360fpsでは3枚の絵を描画しているためブレた写真になる

 「UFO Test」ではUFOのスクロールをさらに加速させることができるのだが、最高速度の3,840PPSまで引き上げても360fpsではUFOも星々も一切残像なしでくっきりと見え、1つ1つを目で追うことも可能だった。ただし、数分で気分が悪くなったので実際試すことはおすすめしない。

 続いて「CS:GO」での検証を進めていく。今回の検証環境では、グラフィック関連の設定を最低まで下げることでゲーム内でのフレームレートは300~360fpsまで引き上げることができた。

 まずはトレーニングモードで操作感の違いをチェックした。FPS下手にありがちなことだが、ヘッドショットを狙おうとして照準を合わせた際、頭を通り過ぎて相手の耳を掠めるような撃ち方をしてしまうことが多々ある。こうなった場合、一旦照準を補正して再度射撃するため、即座に横方向のエイム操作を行なわなければならない。そもそも1回で当てるべきなのだが、高リフレッシュレートであれば自分がどこに向けて弾を撃っているのかもよく見えるため照準を普段より早く補正できる。これはかなり銃撃戦で有利になりそうだ。

トレーニングモードで試射。「Predator X25」の機能で画面右上に現在のリフレッシュレートをリアルタイムで表示できる

 続いてBot撃ちで3D酔いや操作感の違いといったものを見ていく。相手はBotなので、通常の立ち回りでは明確に高リフレッシュレートの恩恵と呼べるものは出てこなかった。しかし、スナイパーライフル「AWP」を使う際にはその影響が顕著だった。マップ中央の長い通路で「AWP」を構え、狭い扉の隙間を狙うようにスコープをのぞき込む。ここで一瞬だけ見える敵を逃がさずに倒すということを何度か行なってみた。普段より敵の姿がはっきりと見えるので、明らかに命中率が上がっていることを実感できた。百発百中とはいかないまでも5発中4発は当たっている感じだ。

「AWP」の射撃精度は分かりやすく上がった
ライフルを使った遠距離戦ではBotがそこまで大きく動かないため高リフレッシュレートの恩恵は小さかった

 3D酔いに関しては、途中部屋を暗くしたりしながら約1時間ほど検証を続けてみたが、よくある頭痛も全くなく、驚くほどに目の疲れがないというのが率直な感想だ。通常モニターの設定は明るい部屋に合わせて行なうため、暗い部屋で長時間液晶画面を見ていると眼精疲労はより大きく蓄積する。その点、「Predator X25」の場合はセンサーを用いた各種調節機能で、環境に応じた明るさや画面の色合いを自動的に最適化してくれる点が力を発揮していると感じた。マズルフラッシュやフラッシュバンによる急な発光でも目が潰れるように眩しいと感じることがないのはありがたかった。

 またセンサーを活用した各種機能の中でも特筆したいのは「AdaptiveLight」とよばれるもの。これは背面LEDを照明として活用するものだ。本機の背面LEDはかなり大型で、発光量も大きく部屋の明かりを一切なくした状態でも画面周辺がぼんやり明るい状態にできる。部屋の暗さに応じて光量が自動調節されるため、常に“良い感じ”にしてくれるのが非常に便利で目に優しい機能だった。

背面LEDは単なる飾りではなく真っ暗な部屋でもかなり明るく照らす照明になる
明かりを付けると背面LEDは自動で消灯する

 今回の検証では「CS:GO」を360fps動作に貼り付かせることはできなかったが、300~360fpsの範囲での変動となった。ここまでの描画枚数となると、フレームレートの低下もリフレッシュレートの計測数値を見ない限りは分からないほど。画面のカクつきは全く認識できなかったので、目へのストレスは明らかに小さいように感じた。断言するにはもっと長時間の検証も必要になるだろうが、ひとまずの感想として3D酔いに効きそうな手応えだった。

文句なしの競技用モニター「Predator X25」

 24.5型の360HzフルHDモニターは、国内展開は「Predator X25」が3番手となる。いずれもeスポーツ向けの“競技仕様”として打ち出されているが、「Predator X25」の特長は各種センサーの搭載による自動調節機能の充実と言える。eスポーツのオフライン大会では、会場ごとに照明の数や色も異なり、座席によって選手のプレイ環境も変わってくる。そうした差異を気にせず全選手に一定のプレイ環境を提供できるという点は、試合の公平性を担保するという点で心強い。

 eスポーツ用途においてその性能に関しては一切不満がないものの、一般ゲーマーの常用モニターとしてはオーバースペックな部分も多い。特に画面の自動調節系の機能などは家庭で使用する分にはそうそう照明器具が変わったりすることはなく、あまり活躍しない恐れがある。だが、実際使ってみると目の負担の軽さは申し分なく、想定価格で10万円(税込)前後という高価格に見合う仕上がりとなっている。リフレッシュレートに関しては確実に大は小を兼ねるので、使用中のPCがプレイ中のタイトルで360fpsの描画処理が可能であるならば、PC環境のアップグレード候補としてお勧めしたい。