【特別企画】

リトライ上等! 一筋の活路を見出せ!「Ghostrunner(ゴーストランナー)」ファーストインプレッション

ギリギリのスリルの中で何度倒れてもあきらめずにタワーの最上階まで駆け抜けろ!

10月28日 発売予定

価格:3,980円(税込)

 505 GamesとAll in! Gamesが発売するXbox One/PC用一人称視点サイバーパンク・パルクールアクションゲーム「Ghostrunner(ゴーストランナー)」。

 本作は、パルクールアクションと謳っている通り、壁を走り、飛び降り、壁から壁へ飛び移るなどフリーランニングのようにステージの中を縦横無尽に動き回りながら、ステージをクリアしていく作品になっている。

 本作で特徴的なのは、1回の攻撃で倒し倒されるワンヒット・ワンキル方式を採用しつつも、プレーヤーが操作する主人公は近接武器メインで敵は銃などの遠距離武器というどう考えても不利な状況下で戦うというスリリングな戦闘。そしてそこにパルクールが組み合わさることで、命が落ちるすれすれのラインを駆け抜けていく手に汗握るアクションとなっていることだ。息つく暇もないというのはこういうことをいうのかと実感するくらい怒涛のノンストップアクションゲームになっている。

 また世界観も、人影もなく赤い水たまりや途切れた電線など、終わってしまった世界が描かれている。右も左も絶望以外何もない場所からスタートするなど、頼れるものはプレーヤーの腕のみという、誤魔化しのきかないゲーマーの真価が問われるような体験ができるものになっている。

 今回のインプレッションでは、そんなの「ゴーストランナー」の手触りと魅力について紹介したい。

 なお、「Ghostrunner(ゴーストランナー)」は10月28日発売予定。価格は3,980円(税込)。

【『Ghostrunner(ゴーストランナー)』プレオーダートレーラー / PAX 2020】

謎多き建物「ダーマ・タワー」を“刀一本”で駆け上る

 本作のストーリーは、記憶を無くした主人公が謎の声に導かれながら「ダーマ・タワー」と呼ばれる超巨大建造物の最下層から最上階を目指して進んでいくというもの。プレーヤーは主人公「Ghostrunner(ゴーストランナー)」の驚異的な身体能力を駆使して、刀一本で最上階まで駆け抜けていくことになる。

 「ダーマ・タワー」の中は怪しいネオンが光っていたり、壊れてそのまま朽ちかけている機械があったりとサイバーパンクな世界で、とてもカッコ良くもあり、孤独感も誘う。敵キャラクター以外の人に会うこともなく本当に荒廃した世界を1人で駆け上がっていかなくてはならず、ちょっとだけ寂しくも感じた。ストーリーの中で行なわれる会話も基本は無線でのやり取りとなり、さらに孤独感や荒廃感を強く体感させる。

 しかし、ステージで流れるBGMはハウスやダブステップを彷彿とさせるサウンドで、サイバーかつスピード感がある。孤独感があるだけではなく、音楽のノリとアクションの気持ちよさが相まって、“ゴーストランナー”としての自分にどっぷりと漬かることができる。

不思議なネオンが光る
赤く染まった風景
確かに人がいた痕跡がある

何度失敗してもあきらめずに前に進み続けろ! トライ&エラーの難易度調整

 本作は一人称視点のため、手元に見えるのは刀のみ。足元もあまり見えないので、壁や離れた床に飛び移るときもなかなかスリリングだ。また、敵からの攻撃を一撃受けると死んでしまうワンヒット・ワンキル方式が採用されているため、かなりシビアな難易度設定となっている。敵の攻撃をうまく避けながら敵を薙ぎ倒す感覚は、爽快で気持ちがいい。

 ステージはパズルのように入り組み、一目ではどこへ進めばいいのかわからない。しかし、いろいろな道を試しながら徐々に進む道が開かれていく。筆者がたくさん失敗しながらも先に進めたのは、難しさで投げだしたい気持ちよりも、何とか先のステージを見てみたいという欲とちょっとずつでも活路が開けて「いけるかもしれない」という感覚を得られたからだ。

 またパルクールらしく、高さを感じるステージもあり、VRのような立体的な恐怖を感じられる。恐怖心との戦いもあり、筆者はゲームパッドが滑るほどの手汗をかきながらプレイしていた。

初見ではどこへ行ったらいいかわからない
高さで手が震える
足場が見づらく飛び石を飛ぶのが怖い

 ステージを走り続けていくと、「ゴーストランナー」の移動スピードもどんどん上がっていく。スピードに乗りながらうまく壁を移っていく感覚はまるでスパイダーマンか忍者のようだ。

 しかし、スピードに乗りすぎて平衡感覚を失うなど、今どこを走っているのかわからなくなってしまうことも多々あり、そのまま敵の攻撃を受けたり、奈落へ落ちてしまってリスタートということもしばしばあった。スピードに乗りながらうまく移動していくのは至難の業だが、これも徐々にできるようになるととても爽快でおもしろい。

勢いよく駆け抜けるとたまに道を見失う

 本作には難易度の設定はない。全てのプレーヤーが同じ難易度でゲームに挑むことになる。難易度はかなり高く、リトライを前提としてつくられていると感じた。突破できそうでできない感覚がもう1回もう1回と駆り立ててくれる。また、リトライ時のローディングはほぼないに等しいので、ストレスもない。チェックポイントは細かく設定されており、失敗してもすぐに再チャレンジできる。

敵の攻撃をよけながら攻撃を仕掛ける

 1つステージをクリアすると次のステージが解放される。新しいステージになればなるほどステージの作りも複雑化し、敵キャラクターもどんどん強くなってくる。しかし、ステージをクリアするごとに少しずつプレーヤーができることも増えていくので問題ない。

 能力として周囲と自分との時間の流れが変わる「感覚ブースト」や高所や遠方へプラズマコードで移動する「ギャップジャマー」など、移動にも攻撃にも使える能力もあれば、攻撃に特化した能力として複数体の敵を同時に攻撃する「ブリング」や刀からエネルギーはが出せる「サージ」なども習得できる。また、遠距離攻撃ができる「手裏剣」も手に入る。手に入れた能力や武器をうまく使いながら進めていけば、難しいステージでも活路を見出だせる。

「感覚ブースト」で銃弾をよけながら急接近
「ギャップジャマー」を使ってステージを飛び回れる
「ブリング」で一気に敵を仕留めることも可能

 また、ブースターモジュールという機能でキャラクターがサブスキルを得ることもできる。サブスキルには「壁の向こうの敵を感知できる」や「ステージ上のアイテムをマップに表示する」などの索敵補助の効果があるものや、「敵が攻撃してきた銃弾を刀で打ちかえす」ものや「攻撃能力の攻撃範囲が広がる」ものなど攻撃補助、「ダッシュゲージの回復スピードを上げる」といった移動補助などがある。

 サブスキルはそれぞれブロック状になっており、そのブロックを「キャリブレーションパネル」と呼ばれるパネルにパズルのようにはめて実装する。「キャリブレーションパネル」にはめ込む際はパネルの光っているところにしかはめられない。決められた場所に使いたいサブスキルをうまくはめ込むためには、パズルの力もさることながら優先順位を決めることも重要になる。

 筆者は、銃弾を跳ね返す「リフレクト」とアイテムをマップに表示する「検出器」に重点を置いた。マップ上に落ちているアイテムは武器となる刀や、世界観をより深く味わえるオーディオログがあり、「検出器」は探索を助けてくれた。

自分好みのサブスキルを組み合わせられる
サブスキルで楽にアイテム発見も可能
新しく拾った刀をその場で装備できる
今回は収拾できなかったが拾ったアイテムも見ることができる

 なお、1度クリアしたステージは、何度でもプレイ可能だ。取り損ねたアイテムを探しに行くもよし、最速クリアタイムを目指すもよし、どれだけ上達したか腕試しをしてもよしと同じステージでもいろいろ楽しめる。

クリアしたステージは何度でも再チャレンジ可能

 本作は、クリアできるまで何度も何度もとにかく同じ場所をプレイすることになる。しかし、繰り返し繰り返しプレイしていくうちにちょっとずつではあるが成長が感じられるのはうれしい。何度も何度も失敗するとちょっぴり心が折れそうになることもあったが、挑むたびに少しずつ上達していく感覚を味わえるので、もうちょっと頑張ろうと思える。そして難関を突破できるとその喜びは半端なものではない。また、プレイに気を取られがちだが、ストーリーもなかなか気になる展開なので是非ともチェックしてみてほしい。

 ただ、難易度を選べる、もしくはステージ上にセーブポイントがあれば、もっと気軽に楽しめたのかもしれない。

 各ステージにはセーブポイントがなく、一旦ゲームをやめてしまうと、ステージを最初からやり直すことになる。難易度も高くセーブポイントもないため、1つのステージを一気にプレイしなくてはいけない。そうなると、ちょっとだけ心が折れそうになった時にポーズ画面で止める以外手立てがなく、ゲームを終了して一旦休憩することができないのは残念に感じた。

 筆者は1ステージで最高745回死亡してリトライした。沼にハマり活路が見出せず、時には本気で心折れかけた。それでも頑張れたのは一瞬見えた活路に他ならない。そしてその745回のリトライの中で少しずつ成長しているのがわかったからだと思う。

 パルクール・アクションゲームは少しハードルが高いと思っている方もいると思うが、そういう方こそ、本作はぜひ体験してみてほしい。この爽快感と達成感は、そのハードルを飛び越えるのに十分な理由となるだろう。