【特別企画】

「ロックマン」を作りながらプログラミングが学べる! ロックバスターを装着して遊べる「メイクロックマン」を子どもと一緒に体験してみた

【メイクロックマン】

11月末お届け予定

価格:22,000円より

 2020年4月から、小学校で新しい学習指導要領に基づく教育が開始された。この学習指導要領で大きく変わった点の一つが、小学校でプログラミング教育が必修化されたことである。プログラミング教育が必修化されたからといって、国語や算数に加えて新たに「プログラミング」という教科が加わったわけではなく、既存の算数や理科などの教科の中で、プログラミング的な思考を取り入れた授業を行なうというものだが、STEM教育の重視という流れもあり、小中学生を対象にしたプログラミング教室やプログラミング教材が次々と登場し、話題を集めている。

 そうした中、学研からプログラミングを学ぶための書籍「メイクロックマン 史上最大のプログラミング」(以下、史上最大のプログラミング)が11月上旬に刊行されることになった。名前からもわかるように、カプコンの名作ゲーム「ロックマン」の世界観でゲームを作りながら、プログラミングを楽しく学習できる書籍だ。その「史上最大のプログラミング」の専用キットが、アーテックが発表した「メイクロックマン」である。メイクロックマンは、書籍「史上最大のプログラミング」と各種センサーやLEDが搭載されたマイコンボード「Studuino:bit」、レゴのように自由に組み立てられるブロックがセットになったプログラミング教材であり、他にパソコンかタブレットさえあれば、プログラミング経験がない小学生でも、ゲームをプレイしながらプログラミングの基本をマスターすることができる。

 「メイクロックマン」は、応援購入サービス「Makuake」で9月7日11時から先行予約販売が開始されたが、即日目標金額の100万円を達成、その後も購入希望者が続出し、応援購入総額は1,100万円を超えている(先行予約販売は終了している)。

 今回、その「メイクロックマン」を試用する機会を得たので、早速レビューしていきたい。なお、「メイクロックマン」の対象年齢は8歳以上であり、ゲーム好きの中1息子に実際に試してもらった。

【【ロックマンのゲームを自分でつくる!】プログラミング×ロックマン】

パソコン(タブレット)されあれば、他には何も不要

 「ロックマン」シリーズといえば、カプコンの代表ゲームのひとつであり、第1作はファミコン用ソフトとして1987年に登場、以来さまざまなプラットフォームで新作や関連作品がリリースされてきた。Nintendo Switchの「大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL」のファイターとしても登場しているので、最近の子どもにも知名度の高いキャラクターだ。

 「メイクロックマン」は、アーテックと学研が共同開発したプログラミング教材であり、「ロックマン」の世界観で、ゲームを少しずつ作りながらプログラミングを学べることが魅力だ(書籍「史上最大のプログラミング」だけを購入してもプログラミングを学ぶことはできるが、ブロックでロックバスターを作って腕に装着し、ゲームを体感操作することなどはできない)。

 「メイクロックマン」では、「Scratch 3.0」ベースのビジュアルプログラミング環境を採用している。「Scratch」は、MIT(マサチューセッツ工科大学)が子どものプログラミング学習のために開発したプログラミング環境であり、用意されたブロックをマウス操作で並べていくだけでプログラミングが行なえるため、キーボードに不慣れな子どもでもすぐにプログラミングを楽しむことができる。

 「Scratch」は、世界中の学校やプログラミング教室などで広く使われており、子どもたちの人気も高い。また、対応環境が、Windows/Mac OS/iOS/Android/Chrome OSと幅広いことも嬉しい。ただし、iOSやAndroidは、スマートフォンではなく画面サイズ10インチ以上のタブレットが対象となっている。ブロックを並べてプログラミングを行なう都合上、画面解像度がフルHD以上のパソコンを用意することをお勧めしたい。

 「メイクロックマン」のパッケージには、多くのパーツが含まれている。各種センサーやLED、マイコンが搭載された「Studuino:bit」やタッチセンサー、各種コード、ブロックパーツ、学研の書籍「史上最大のプログラミング」ももちろんセットになっている(今回は、書籍の刊行前なので、ゲラを貸していただいた)。

【「メイクロックマン」のセット内容】
「メイクロックマン」のパッケージ
パッケージをあけたところ。上段には、マイコンボード「Studuino:bit」や電池ボックス、ケーブルなどが入っており、下段にはブロックパーツが入っている
入っているパーツを全て並べたところ
各種センサーやLED、マイコンが搭載されている「Studuino:bit」
Studino:bitに電源を供給する電池ボックス
電池ボックスのフタをあけたところ。単3アルカリ電池3本で動作する
タッチセンサー(実態はプッシュスイッチ)
パソコンと「Studuino:bit」を接続するためのUSBケーブル(「Studuino:bit」側はMicroB端子)
タッチセンサーと「Studuino:bit」を接続するためのセンサー接続コード
左は長めのブロック、右上はブロックを取り外すためのブロックリムーバー、右下は磁石
「Studuino:bit」をはめ込んで使う「Studuino:bitロボット拡張ユニット」
さまざまなブロックパーツ。「アーテックブロック」として単体でも販売されている

まずは、基本的なプログラミングから

 書籍「史上最大のプログラミング」では、8つのステージに分けて段階的にプログラミングを学習していく。それぞれのステージは、さらにいくつかのミッションに分かれている。プログラミング環境である「Studuino:bit Software」は、アーテックのサイトから無料でダウンロードできる。また、「ロックマン」のキャラクターデータやサウンドデータなどを含む、プログラミング学習用データも専用ページからダウンロード可能だ(こちらもダウンロードは無料だが、パッケージ内に書かれているIDとパスワードを入力する必要がある)。

 ステージ1では、ロックマンを画面に表示させたり、表示位置を変えたり、サイズを変えたりという、基本的なプログラミングを学習する。プログラミング環境「Studuino:bit Software」は、「Scratch 3.0」がベースとなっており、ブロックをマウス操作で並べていくだけでプログラミングが可能だ。Scratchの経験があるお子さんならもちろん、初めてというお子さんでも、書籍の説明は丁寧で図が多用されているので、テキストに従っていけば、すぐに「Studuino:bit Software」でのプログラミングに慣れるだろう。息子も馴染みのあるロックマンが画面に表示されるので、自由に拡大・縮小したりして楽しんでいた。

 「Studuino:bit Software」では、画面に表示されるキャラクターなどの物体をスプライトと呼び、スプライトごとにその動作をプログラミングしていく。ステージ2では、キー操作でロックマンを動かすプログラミングに挑戦する。ここでは、キーボードのキーが押されたらどうするといった、分岐を学習する。さらに、ロックマンをアニメーションさせるには、ロックマンのスプライトのコスチュームを変更すればよい。また、ステージ2では、プログラムでよく使われる機能を定義し、自由に呼び出すことができる「定義」やプログラミングでは重要な概念となる「変数」についても学ぶ。

 この書籍に従っていけば、段階的にプログラミングを学習できるのだが、ただテキストに書かれている通りにブロックを並べていくだけでなく、途中に課題が出され、ヒントを頼りに、その答えを自分で考える「THINK」というコーナーが用意されていることも素晴らしい。

【ステージ1~2のプログラミング】
プログラミング環境の「Studuino:bit Software」。「Scratch 3.0」ベースなので、「Scratch」に触れたことがある子どもならすぐプログラミングできる
テキストを見ながら、同じようにブロックを並べていく
コスチュームをチェンジさせることで、ロックマンがアニメーション表示される
ステージ2を最後までクリアすると、このようなプログラムになる

ブロックを組み合わせて腕に装着する「ロックバスター」を作る

 ステージ3はステージ2の発展系で、ジャンプや地面への着地、スライディングの実装を行なう。そしてステージ4からは、いよいよ「メイクロックマン」のパーツを使って、体感型ゲームを作っていくことになる。

 アーテックは、「Studuino:bit」と各種センサーなどを組み合わせたものを「アーテックロボ2.0」と呼んでおり、多くの関連製品が発売されている。「メイクロックマン」も、そういう意味では「アーテックロボ2.0」の1バリエーションといえる。

 「メイクロックマン」では、「アーテックブロック」を使ってロックマンが腕に装着している武器「ロックバスター」を作って、自分の腕に装着して遊べるのだが、ロックバスターの組み立ての前にまず、「アーテックロボ2.0」をパソコンに接続し、そのセンサーの値を読み取る実験を行なう。

 続いて、「アーテックブロック」を使った「ロックバスター」の組み立てを行なう。基本的にテキストの写真通りに組み立てればいいのだが、ブロックの突起の向きや穴の位置に注意すること。裏返しに合体させてしまうと、後で困ることになる。ブロックの形状によって色が異なるので、色と突起の向きに注意して組み立てればよい。

 ブロックは新品だとかなり差し込むのに力が必要で、非力な息子がちょっと苦労していたようだが、何度か抜き差ししてればそれほど力はいらなくなる。また、間違ってはめてしまったブロックが外れなくなってしまった場合は、付属のブロックリムーバーを使えばよい。

【ロックバスターの組み立て】
「Studuino:bit」のカバーを外す
「Studuino:bit」と「Studuino:bitロボット拡張ユニット」を合体させる(合体させたものを「アーテックロボ2.0」と呼ぶ)
「アーテックロボ2.0」をUSBケーブルでパソコンと接続する
センサーボードの値を確認する。「アーテックロボ2.0」を傾けると加速度センサーの値が変わる
テキストを見ながら、ブロックを組み合わせてロックバスターを組み立てる
「アーテックブロック」は、形状はシンプルだが、突起や穴の向きに注意して組み立てる必要がある
間違えたブロックを外したいときには、付属のブロックリムーバーを使う
色が違うブロックは形状も違っているので、色と突起の向きに注意して組み立てればよい
タッチセンサーに青いブロックを合体させて、それを電池ボックスの下にはめ込む
完成した「ロックバスター」

 「ロックバスター」が完成したら、まずはステージ4で、アーテックロボ2.0の加速度センサーの値を使ってロックマンを動かすプログラムを作成する。加速度センサーは、スマートフォンやNintendo Switchの「Joy-Con」などにも内蔵されているセンサーで、傾きを検出することが可能だ。また、タッチセンサーを押すと弾が発射される機能もステージ4で実装する。

 「ロックバスター」を左右に傾けることで、ロックマンが左右に動き、上に傾けるとジャンプ、下に傾けるとスライディングする。また、人差し指のところにくるタッチセンサーを押せば、弾が発射される。なお、「ロックバスター」を使わずにキーボードでも操作できる仕様になっているので、書籍だけを購入したという人でも、最後のステージ8まで楽しめる(追加ゲームは「メイクロックマン」専用)。

【「メイクロックマン」ロックバスターでロックマンを操作する】
「ロックバスター」を左右や上下に傾けることで、ロックマンを操ることができる。タッチセンサーを押すと弾が発射される

 ステージ4以降では、より実際のゲームらしくするための機能追加が行われ、ステージ5では体力とダメージ処理の実装、ステージ6では壁や床などのステージ作り、ステージ7ではボス戦が実装される。

【「メイクロックマン」ロックバスターでロックマンを操作する】
ステージ7までのプログラムで遊んでいる様子

【ステージ4~7のプログラミング】
ステージ4では、加速度センサーの値を使ってロックマンを動かせるようにする
息子が「ロックバスター」を装着したところ
筆者も「ロックバスター」を装着してみた。大人の男性の腕でも問題ないサイズだ
「アーテックロボ2.0」の入出力設定を行い、P0にタッチセンサーを割り当てる
ステージ7では、ステージやボスが実装される
ボス戦が実装された

特殊武器の装備やエアーマンとの戦いも実現

 ステージ8は、ステージ1~7までに学習したことを全て取り入れて作られたサンプルゲームである。ゲームスタートの演出から、特殊武器(リーフシールド)の対応、チャージショット、エアーマンとのバトルなど、より完成度の高いロックマンゲームが楽しめる。ステージ8のサンプルゲームをベースに、さらに改造して自分だけのロックマンゲームを作ることが最終目標だ。

 ここで面白いと思ったのが、「リーフシールド」の判定の実装だ。キーボードで遊ぶ場合は、aキーを押せば「リーフシールド」が使えるのだが、「ロックバスター」で遊ぶ場合は、ブロックリムーバーの奥にドーナツ型磁石をはめ込んだものを、「アーテックロボ2.0」の上に差し込むことで「リーフシールド」が有効になる。これはどういう仕組みかというと、「アーテックロボ2.0」に搭載されている地磁気センサーを活用しているのだ。磁石を近づけることで、地磁気センサーの値が大きく変わることを利用して、「リーフシールド」のON/OFFを切り替えている。

 一通り、プログラミングやブロック組み立て、作ったゲームでのプレイをやってもらった息子に感想をきいたところ、「プログラミングは結構分かりやすかった。でも、ブロックを組み立てるのが、最初固くて最後まではまらず大変だった。ロックバスターを使うとなかなか思うようにプレイできないけど、これはこれで楽しかった。効果音などもロックマンぽくてよかった。」とのことであった。

【「メイクロックマン」ステージ8のサンプルゲームで遊ぶ】
ステージ8のサンプルゲームで遊んでいる様子。「チャージショット」や「リーフシールド」を使うと「アーテックロボ2.0」のLEDも点灯する

【最終ステージのステージ8】
ブロックリムーバーの奥にドーナツ型磁石をはめこむ
磁石をはめたブロックリムーバーを「アーテックロボ2.0」の上にはめ込むことで、「リーフシールド」が使えるようになる
ステージ8のサンプルゲームを実行したところ。より本格的なゲームがプレイできる。「リーフシールド」を使うと、ロックマンの色が緑色に変わる
ステージ8のボス戦では、「エアーマン」と戦える

コントローラーを組み替えて、他のキャラクターのゲームも遊べる

 ロックバスターを組み立てても、赤色のブロックなど、いくつかブロックが余るようになっているのだが、これはおまけのゲームで遊ぶためのものだ。おまけゲームとして、ロックマンのライバルであるブルースを操作する「ブルースストライク」と敵の「Dr,ワイリー」になってロックマンと戦うゲームが用意されており、それぞれブロックを組み替えて専用コントローラーを作って遊ぶ仕様になっている。ここでは、「ブルースストライク」のみ紹介する。

 「ブルースストライク」は、盾と銃の2つのコントローラーを使ってプレイする。高速強制横スクロールゲームで、3種類の敵と障害物が現れるので、素早く対応する必要がある。盾を構えている状態では、敵が発射する弾を防げるが、こちらの銃を撃つことはできない。敵を撃つためには、縦を下に向けてから銃のボタンを押す。また、迫り来る壁は銃の弾では破壊できず、盾の正面を手で覆うことで発動する「シールドストライク」でしか突破できない。

 最初プレイしたときには、いくら盾の正面を手で覆っても「シールドストライク」が発動せずゲームオーバーになってしまったのだが、その理由もプログラムを見ていて気づいた。「アーテックロボ2.0」には光センサーが内蔵されており、手で覆うことで光センサーの値が小さくなることを利用して、「シールドストライク」を発動させる仕組みなのだが、筆者が試したサンプルではその判定値が10になっていた。つまり、10未満ならシールドストライクが発動するわけだが、実際にセンサーの値を確認したところ、筆者の環境では手でいくら覆っても30程度までしか下がらなかった。そこで、その判定値を50に変更したところ、きちんと「シールドストライク」が発動するようになった。このように上手くプログラムが動かない理由を自分で見付けて修正するというのも、いわゆるデバッグと呼ばれる作業であり、プログラミングの中でも重要な位置をしめる

【「メイクロックマン」ステージ8のサンプルゲームで遊ぶ】
迫り来る壁は盾を手で覆う「シールドストライク」でしか破壊できない(1回目の壁はシールドストライク発動に失敗してダメージを受けているが、2回目は無事破壊できた)

【最終ステージのステージ8】
「ブルースストライク」用のコントローラー。左が盾で、右が銃である
このように銃と盾をそれぞれの手で持ってプレイする
強制横スクロールで進む「ブルースストライク」の画面。一定距離を走るごとにスピードがアップする
「ブルースストライク」をプレイしている様子

幅広い世代が楽しめるプログラミング教材としておすすめ

 「メイクロックマン」は、画面上でブロックを並べてプログラミングを学習できるだけでなく、本物のブロックの組み立ても楽しめるユニークな教材だ。学研から刊行される解説書籍も分かりやすく丁寧であり、説明されていることをすべてマスターすれば、オリジナルゲームを自由に作れるようになるだろう。さらに、「アーテックロボ2.0」は、拡張性が高く、オプションとして販売されている各種センサーやモーター、「アーテックブロック」などを追加することで、複雑なロボットを組み立てることもできる。プログラミングについても、Scratchベースのブロックプログラミングだけでなく、ファームウェアを書き換えることで、スクリプト言語(文字をテキストで入力してプログラミングを行なう言語)のPythonによるプログラミングにも対応するなど、プログラミング教材としての完成度は高く、幅広い世代におすすめする。Makuakeでの予約価格は2万2,000円程度であり、この種のプログラミング教材としては妥当な価格であろう。なお、Makuakeのプロジェクト終了後は、一般販売される予定もあるとのことなので期待したい。