【特別企画】
懐かしの名作がより美しく! Xbox Series X、後方互換にHDRを自動的に付与する仕組みを導入へ
初代Xboxから全世代をサポートする後方互換機能は、Xbox Series Xで堂々の完成へ
2020年5月28日 22:00
- 5月28日発表
Microsoftは5月28日、Xboxの公式ニュースサイトXbox Wireを更新し、今年のホリデーシーズンに発売を予定しているXbox Series Xに関する最新情報を公開した。
2020年に入って、少しずつハードウェアの仕様について明らかにしているXbox Series Xだが、先日5月8日には、ついに実機を使ったプレビューも行なわれた(参考記事)。ただ、この配信では、“ゲームプレイデモ初披露”と謳いながら、トレーラーの公開とクリエイターのトークばかりで、ゲームプレイデモらしいデモががなかったため視聴者からの批判が相次ぎ、担当者が謝罪に追い込まれる事態となった。裏を返せば、それだけ期待されているということでもある。6月からスタートする“オンラインE3”ウィークで、担当者がコントローラーを手に握る形でのゲームプレイデモが行なわれるのか否か。注目したいところだ。
さて、今回の情報公開のメインテーマは、Xbox Series Xの後方互換性について。後方互換とは、最新のゲームコンソールで、旧世代のゲームコンソールのゲームが動作することを保証するものだが、この後方互換性は、Xboxに限らず、あらゆるゲームコンソールにおいて非常に重要な問題だ。
OSやシステムがシンプルな時代は比較的容易に後方互換を確保することができていたが、現行のXbox OneやPS4、Nintendo Switchのように、システムが複雑化し、かつ総入れ替えという状況になると、後方互換性の確保は途端に難解になる。この結果、今世代ではローンチ時点では3つのプラットフォーム全てで、後方互換性が切り捨てられた。
これに対して、プラットフォーム展開の途中で、「やっぱり後方互換性を復活させます」と発表し、地道に後方互換性機能を充実させてきたのがXbox Oneだ。Xbox Oneのリリースが2013年(日本は2014年)に対して、Xbox 360への後方互換を復活させると発表したのが2015年のE3(6月)、2017年には後方互換を初代Xboxまで広げると発表し、ゲームファンを喜ばせた。いまやXboxの後方互換機能は、ゲームコミュニティをつなぎ止めるコアサービスになっている。Xbox Oneの後方互換機能の素晴らしさについてはXbox One Xレビューで触れているのでぜひ参照いただきたい。
さて、この長年の取り組みを、プラットフォームのローンチのタイミングから、圧倒的なソフトウェア資産と、他の追随を許さない付加機能を加え、他のプラットフォームとの決定的な差別化要素として実装されるのがXbox Series Xの後方互換機能だ。
対象となるのは初代XboxからXbox 360、Xbox Oneの全世代。対応タイトルのディスクをスロットインに挿入することで、Xbox Series Xへのインストールができ、最新の環境で、懐かしのお気に入りタイトルをプレイする事ができる。
ただ、同じ事は現行機のXbox One(X)でのサポートしている。動かすだけであればわざわざXbox Series Xを購入する必要はないわけだ。そこで重要になるのは次世代機であるXbox Series Xの後方互換機能は、Xbox Oneのそれより何がパワーアップしているか。今回の情報公開ではそれに関する新情報が公開されたのだ。
Xbox Wireでは、長文のドキュメントで、後方互換へのこだわりとこれまでの取り組みが紹介されているが、簡潔にまとめるとXbox Series Xの後方互換機能がXbox Oneより優れている点は以下の6項目になる。
・Xbox史上最高のパフォーマンスでの動作
・ゲームのフレームレートの安定および強化
・ローディングの高速化
・HDRの自動付与
・クイックレジューム機能
・Xbox Series Xコントローラー
要するに、Xbox Series Xでは、Xbox Oneのように単に後方互換に対応するだけでなく、その“コンソールゲーム史上最高のスペック”を活かし、よりパワーアップした形でゲームを楽しむことができるようになるのだ。
Xbox Series Xスペック(参考) | |
---|---|
CPU | 8x Cores @ 3.8 GHz (3.66 GHz w/ SMT) Custom Zen 2 CPU |
GPU | 12 TFLOPS, 52 CUs @ 1.825 GHz Custom RDNA 2 GPU |
Die Size | 360.45 mm2 |
Process | 7nm Enhanced |
Memory | 16 GB GDDR6 w/ 320mb bus |
Memory Bandwidth | 10GB @ 560 GB/s, 6GB @ 336 GB/s |
Internal Storage | 1 TB Custom NVME SSD |
I/O Throughput | 2.4 GB/s (Raw), 4.8 GB/s (Compressed, with custom hardware decompression block) |
Expandable Storage | 1 TB Expansion Card (matches internal storage exactly) |
External Storage | USB 3.2 External HDD Support |
Optical Drive | 4K UHD Blu-Ray Drive |
Performance Target | 4K @ 60 FPS, Up to 120 FPS |
順番に見ていこう。まず「Xbox史上最高のパフォーマンスでの動作」および、「ゲームのフレームレートの安定」については、史上最高のハードウェアを実装しているため当たり前といえば当たり前だが、リリースによればXbox Series Xでは、後方互換タイトルが、従来の力技によるエミュレーションではなく、ネイティブ駆動するとしている。ブーストモードやダウンクロックもなし。Xbox Series Xの圧倒的なパワーをフルに活かして後方互換タイトルが存分に楽しめるようだ。この結果、フレームレートについては30fpsのものは60fps、60fpsのものは120fpsまで上がるタイトルもあるということで、かなり魅力的。対応タイトルの発表を待つ必要があるが、「これだけで購入確定!」というゲームファンの声が聞こえてきそうだ。
また、ネイティブ駆動の影響は当然ローディングにも影響する。Xbox Series Xが搭載しているNVMe SSDによって、後方互換タイトルの読み込み速度もかなり高速になるようだ。
上記3つの項目だけでもかなり魅力的だが、Xbox Series Xの真の凄さはその先が用意されているところだ。具体的には、後方互換タイトルに対して、自動的にHDR表現を付与するという。対象となるのは初代XboxからXbox 360、Xbox Oneまで全世代で、メーカー側で追加の作業は発生しないというから驚きだ。
後方互換の歴史において、“ほぼ同等”や“テクスチャが綺麗に見える”といった表現が使われることはあっても“表現が自動で強化される”というのは聞いたことがない。それはもうリマスターやリメイクの世界になってくるが、Xbox Series Xではそれを実現するという。どのようなものになるのか、早く仕上がりを見てみたいところだ。
クイックレジューム機能は、Xbox Series Xで初めて実装される新機能の1つ(参考記事。現行のゲームコンソールにすべて搭載されているレジューム機能をパワーアップしたもので、複数のタイトルでゲームの状態を保持したまま、プレイするゲームを切り替えられるという、あれこれ同時平行してプレイしたい欲張りゲーマーにはありがたい機能だ。このクイックレジューム機能を後方互換タイトルでも利用することができる。複数の後方互換タイトルを切り替えながら遊んでもいいだろうし、「Forza Motorsport 8(仮称)」でフレンドのジョインを待ちながら後方互換タイトルで遊んでもいい。地味にありがたい機能だ。
最後のXbox Series Xコントローラーでのプレイは、文字通りの意味だ。Xbox Series Xコントローラーは、Xbox Oneワイヤレスコントローラーと、Xbox Eliteワイヤレスコントローラー シリーズ2の良い部分を併せ持つ標準ゲームコントローラーで、最大の特徴は単に改良を重ねて操作しやすいだけでなく、シェアボタンが新設され、スクリーンショットや動画のキャプチャー、シェアが容易になっているところ。こうしたメリットも後方互換タイトルですべて活かすことができる。
Xbox Series Xの直接のライバルであるプレイステーション 5(PS5)も、PS4の後方互換機能のサポートを表明しているが、現時点で発表されている情報だけで判断する限り、後方互換機能については、Xbox Series Xに軍配が挙がりそうだ。また、Xboxの強みであるサブスクリプションサービスXbox Game Passは、Xbox Series Xでも引き続き利用できるため、Xbox Game Passユーザーなら買った瞬間から凄まじい数のタイトルを、ハイクオリティな状態で楽しむことができるようになる。残るは発売日と価格と、ローンチタイトル。それらの発表を期待しながら次なるアナウンスに注目していきたいところだ。