【特別企画】
デュエルスペースが使えなくてもTCG対戦はできるって知ってた?
参加費、交通費すべて無料! ショップ主催のデュエマオンライン交流会に参加してみた
2020年5月9日 00:00
新型コロナウイルスの感染を抑えるための緊急事態宣言が発令されてから約1か月が経過したが、まだまだ安心できる状況には至っておらず、緊急事態宣言も5月31日まで延長されることが決定した。こうした状況で、深刻な立場に立たされているのがTCG(トレーディングカードゲーム)を扱うTCGショップ(カードショップ)である。
緊急事態宣言発令後、多くのTCGメーカーが公認大会を一時的に中止することを表明しており、それに合わせてTCGショップも店内の対戦スペース(デュエルスペース)を封鎖しているところが増えている。
こうした状況下で、TCGショップでの対戦機会が失われてしまったTCGプレーヤーが編み出した方法が、本来相手と対面で対戦するTCGを、インターネット経由(オンライン)で対戦する方法だ。この対戦方法は単にオンライン対戦、リモート対戦といったり、“リモートデュエル”と呼んだり、さまざまな呼び方があるが、その基本的な考え方はシンプルであり、SkypeやLINEなどに用意されているビデオ通話機能を使うだけだ。
通常、スマートフォン同士のビデオ通話は、液晶側のインカメラを使うことで、お互いの顔を見ながら通話するというものだが、インカメラではなく、背面のアウトカメラに切り替えて、適当なアームか台にスマートフォンを乗せて、TCGの盤面を写すようにすれば、スマートフォンだけでも、オンライン対戦が可能になる。
筆者は4月に、オンライン対戦のやり方を紹介する記事を書いたが、おかげさまで多くの方に読んでいただき、参考になったというコメントも多数いただいた。各TCGメーカーや大手TCGショップからも、オンライン対戦の始め方に関する記事が公開されるようになり、すでにオンライン対戦やリモート対戦をおこなっている方やこれから始めたいと思っている方が、日に日に増えてきていることを実感している。
この記事にも書いたが、TCGのオンライン対戦自体は、以前から一部のプレーヤーによっておこなわれていたが、新型コロナウイルス対策でTCGショップでの対戦ができなくなってしまったことで、オンライン対戦へのニーズが急増しているのだ。
オンライン対戦のやり方については前回の記事で詳しく解説したが、肝心の対戦相手が見つからないという人もいるだろう。また、オンライン対戦はやっているが、いつも決まった内輪の相手とだけでは物足りないという方もいるだろう。そこでこの記事では、前回の記事の続編として、オンライン対戦環境は整えたが、そのあとどうすればいいのか困っている人や、もっと違う相手と対戦したいという人のために、対戦相手の探し方やオンライン対戦コミュニティ、オンライン対戦による交流会や大会などを解説したい。
まずはSNSを使って対戦相手を探そう
TCGのオンライン対戦環境を作ったのはいいが、対戦相手をどうやって探せばいいのか分からないという人もいるだろう。オンライン対戦相手を探すには、TwitterなどのSNSを活用するのが一番手っ取り早い。SNSの中でも利用者が多く、TLも見やすいTwitterがおすすめだ。
Twitterで、「#オンライン対戦」や「#Web対戦」、「#リモートデュエル」といったハッシュタグと、「#MTG」、「#遊戯王」、「#デュエマ」などのプレイしたいTCGのハッシュタグをつけて、「本日MTGのオンライン対戦相手を募集します。モダン、レガシー、パイオニアが可能です。Discordでお願いします。DMかコメントお待ちしてます。身内・相互・FF外関係ありません」のようなツイートを投稿することで、オンライン対戦相手を募集できる。マジック・ザ:ギャザリング(以下MTG)の場合は、「#オンライン対戦」や「#Web対戦」、遊戯王やデュエマの場合は「#リモートデュエル」というハッシュタグが使われていることが多いようだ。
もちろん、フォロワーがある程度いなくては、あまり拡散も見込めず、対戦相手が見つかる可能性も低くなるので、対戦相手を募る前に自分と同じTCGをプレイしている人を何人か相互フォローしておくことをお勧めする。対戦相手を募るときと同じように、「#MTG」、「#デュエマ」などのハッシュタグでプレーヤーを検索できる。また、特にMTGの場合は、「#MTG初心者」などのハッシュタグをつけて、「MTG始めました。よろしくお願いします。」みたいなツイートをすると、親切なMTGプレーヤーが次々とフォロー&リツイートしてくれ、熱心にアドバイスをしてくれる方もいる。
ある程度同じTCGをプレイするフォロワーが増えたら、思い切って対戦相手募集ツイートをしてみよう。もちろん、すぐに対戦相手が見つからない場合もあるが、筆者のTLを見ている限りでは、数時間以内に対戦相手が見つかり、マッチングが成立していることが多い。逆に、「#MTG」や「#オンライン対戦」、「#リモートデュエル」のようなハッシュタグで検索して、対戦相手を募集しているツイートを見つけて、「私と対戦お願いできませんか?」などのリプライを返して、対戦を申し込むのもいいだろう。
相手が見つかったら、ビデオ通話が可能なツールのアカウントをお互いにDMなどで送って、フレンド登録をすれば、オンライン対戦を始めることができる。オンライン対戦で使われているツールとしては、「Skype」や「LINE」などもあるが、主流は「Discord」である。Discordは、もともとゲーマー向けチャットツールとして開発されており、PCでもスマートフォンでも使えるほか、動作も安定していて高機能である。Twitterでも、「#Discord対戦」や「#Discord募集」などのハッシュタグをつけて対戦相手募集のツイートをしている人が多い。Discordの場合、3人以上での多人数対戦も比較的容易に実現できる。例えば、MTGにはEDH(統率者戦)と呼ばれる多人数戦ルールがあるが、DiscordでEDHのオンライン対戦をおこなっている方々もいる。
TCGプレーヤーが集まるDiscordサーバーに参加する手も
TwitterなどのSNSで対戦相手を毎回募るのが面倒なら、最初からオンラインでTCG対戦を楽しむプレーヤーが集まるDiscordサーバーに参加するのがお勧めだ。緊急事態宣言の発令後、TCGショップでの対戦ができなくなったこともあり、TCGオンライン対戦のためのDiscordサーバーが続々と増えている。これらのDicordサーバーは、TCGショップなどの企業が運営しているものもあれば、個人が立ち上げているものもある。代表的なDiscordサーバーをいくつか挙げるので興味があったら、参加してみてはいかだろうか。なお、以下の参加者数は、2020年5月8日時点のデータである。また、Discordサーバーへの参加に際して、料金は一切かからない。
【カードキングダムDiscord店】
Discord招待URL:https://discord.gg/Jdj9FTy
運営者:カードキングダム
大手TCGショップ「カードキングダム」が運営しているTCG全般をカバーするDiscordサーバー。参加者数4,300人を超える、TCGオンライン対戦コミュニティとして最大規模を誇る。「遊戯王」、「デュエマ」、「ヴァンガード」、「ポケモンカードゲーム」、「バトルスピリッツ」など、各TCGごとに対戦用チャンネルや雑談チャンネルなどが用意されている。参加者同士でフリー対戦ができるだけでなく、週末にはさまざまな交流会がおこなわれており、対戦会「カードキングダムコロシアム」も開催されている。MTG以外のTCGプレーヤーで、対戦相手を探したいとか、腕を磨きたいというのなら、まずはここに入ってみることをお勧めする。
【magi対戦スペース】
Discord招待URL:https://discordapp.com/invite/RjEfTky
運営者:トレカ専用フリマアプリmagi
トレカ専用フリマアプリ「magi」が運営しているTCG全般をカバーするDiscordサーバー。参加者数3,300人を超えており、こちらもかなり規模が大きい。「デュエマ」「遊戯王」「ポケモンカードゲーム」「MTG」「バトルスピリッツ」「ヴァンガード」「バディファイト」「ヴァイスシュヴァルツ」など、各TCGごとに対戦用チャンネルや雑談チャンネルなどが用意されている。
【カードラッシュ ポケカ部】
Discord招待URL:https://discord.com/invite/PcYYC5V
運営者:カードラッシュ
大手TCGショップ「カードラッシュ」が運営しているポケモンカードゲーム専門Discordサーバー。参加者数は600人超で、対戦相手募集用チャンネルや雑談チャンネルなどが用意されている。5/17には、参加費無料の対戦会も行なわれる予定だ。
【MTG対戦募集サーバー(鮭)】
Discord招待URL:https://discord.com/invite/M4rFU26
運営者:あーるまん(@R_man2400)
TCGプレーヤーのあーるまん氏が個人で運営しているMTG専門Discordサーバー。2018年8月から運営されており、参加者数は800人超と、MTG専門サーバーとしては最大規模を誇る。対戦募集チャンネルは個人戦と多人数戦に分かれており、前者はさらに構築全般とリミテッドに、後者はEDHとBrawlに分かれている。また、「Magic Online」や「MTG Arena」といったデジタル版の対戦相手募集チャンネルや構築相談、雑談などのチャンネルも用意されている。MTGのオンライン対戦をしたいのなら、このサーバーがお勧めだ。
【FRIENDLY MATCH】
Discord招待URL:https://discord.gg/AhecAyV
運営者:47(@mtgsyoshinsya)
MtG初心者交流会(FRIENDLY MATCH)などのリアルでの交流イベントを主催している47氏が立ち上げたMTG専門Discordサーバー。参加者数はまだ60人程度だが、フリー対戦だけでなく、日時を決めた交流会などもおこなわれている。
【いーさんくらぶMTGの部】
運営者:いーさんくらぶMTGの部(@MTG03712965)
小中高生が対象のMTGサークルのDiscordサーバー。参加者数は十数名だが、活発にオンライン対戦が行なわれている。小学生の場合は、保護者が代理として参加することも認められている。同年代の仲間が欲しいと思っている小中高生MTGプレーヤーは、是非Twitterで運営者に連絡をとっていただきたいとのことだ。
ここで紹介したDiscordサーバーはあくまで一部であり、Twitterなどで検索すれば、他にも数多くのDiscordサーバーが見つかる。また、自分に合ったDiscordサーバーが見つからないのなら、自分でDiscordサーバーを立てて、仲間を集めるのもいいだろう。サーバーを立てるといっても、Discordの場合はメニューから選んで、いくつかの項目を決めるだけなので、専門的な知識は不要だ。
カードキングダムDiscord店で開催されたデュエマの交流会に参加してみた
これらのTCGオンライン対戦コミュニティでは、単にマッチングの機会を提供しているだけでなく、定期的に交流会などのイベントを開いているところもある。イベント開催に特に積極的なのがカードキングダムDiscord店だ。カードキングダムDiscord店は、カードキングダムで複数店舗の店長を歴任してきた名物店長「とり店長」が、さまざまなオンラインイベントを企画しており、これまでにデュエマやポケモンカードゲームの交流会などがDiscord上で開催されている。筆者は、5月3日に開催された「デュエルマスターズ カードキングダムコロシアム in Discord店(β)」(以下カードキングダムコロシアム)に参加したので、その様子を紹介したい。
カードキングダムコロシアムは、4月26日に初めて開催されたが、参加者数は120名を超える盛況となった。大会参加費は無料で、途中退出や休憩も可能、途中でデッキを変更することも可能(ただしプロキシは不可)と、気軽に参加できるルールになっている。また、デュエマでは、ループと呼ばれる一連の手順を無限(有限の場合も)に繰り返すことで、勝利を実現する戦術があるのだが、オンライン対戦では、ループの証明などがやりにくく、交流会には適さないということで、ループを使うことは禁じられている。このあたりは、オンライン対戦を知り尽くしたカードキングダムのスタッフならではの配慮といえるだろう。
カードキングダムコロシアムの参加受付は、TCG大会主催者向けサービス「イザジン」を利用しておこなう。具体的なやり方などもイザジンの申し込みページで詳しく説明されている。交流会の流れは、以下の通りだ。まず、DiscordでカードキングダムDiscord店に入り、大会受付チャンネルで、イザジン受付番号と登録名を書き込み、受付を行なう。受付が完了すると、名前の色が白色から青色に変わる。受付が完了したら、対戦相手を募集するチャンネルに移動する。
カードキングダムコロシアムは、「ランクアップガンスリンガー」と呼ばれる形式で運営されている。これは、全員レベル0からスタートし、規定勝利数をあげると、次のレベルに上がるというものだ。途中で何回負けても問題はなく、とにかくそのレベルで決められた数勝てれば昇格できる。レベル0からレベル1、レベル1からレベル2へはそれぞれ3勝すれば昇格でき、レベル2からレベル3へは2勝で昇格できる。レベル3で2勝すると晴れて殿堂入りとなり、1つ前のレベル3でフリー対戦を続けることができる。
殿堂入りするまでには10勝が必要になるが、殿堂入りすると、専用ロール(Discordの中での役割を示すバッジのようなもの)が与えられ、殿堂入りページに名前とデッキが掲載される。この交流会は参加費無料であり(将来的には有料にすることも考えているそうだ)、特に賞品などもないが、殿堂入りの名誉を目指して、レベルアップに挑むわけだ。DCGでいう、ランク戦やラダーと似たものだと思えばよい。
対戦のマッチングは、各レベルごとに用意された対戦募集チャンネルで、参加者各自でおこなう。対戦相手が決定したら、フレンド登録をして、ダイレクトメッセージのビデオ通話を使って、デュエマの対戦をおこなう。対面では先攻後攻はジャンケンで決めるが、オンラインのカードキングダムコロシアムではダイスなどで決めることになっている。
対戦が終了したら、結果報告用フォームに対戦結果を入力する。この結果報告用フォームでは、自分と対戦相手のDiscordIDを入力するが、リストから選択するだけなので間違えにくい。対戦相手を評価する項目もあり、低い評価が多いプレーヤーを大会から退場させることもできるようになっている。各レベルで規定数勝利したら、レベルアップするので、「デュエマlvアップ報告」チャンネルでそのことを報告し、昇格したらその該当するレベルのチャンネルで、また対戦相手を募集するという流れだ。
なお、各レベルで勝った場合は、勝った人用の対戦募集チャンネル、負けた場合は、負けた人用の対戦募集チャンネルで対戦相手を募集することになるので、勝てば、前試合で勝った相手(またはそのレベルで初めて戦う相手)と当たり、負ければ同じく前試合で負けた相手とマッチングされることになる。スイスドローに近い形式であり、実力が近い者同士とマッチングされる可能性が高まるので、あまり自信がないという人でも、楽しく対戦できる。
筆者も、実際に参戦してみた。今回のカードキングダムコロシアムは14時10分頃からマッチングがスタートしたのだが、筆者はちょっと準備が遅れてしまい、最初の対戦は14時40分頃からであった。筆者は、カジュアルプレーヤーであり、半分くらい勝てればいいかなと思っていた。最近のカードをほとんど入れてない、赤白レッドゾーンで挑んだのだが、想像以上に参加者のレベルが高く、17時50分のマッチング終了まで全部で11回対戦できたのだが、結果は4勝7敗であった。なんとかレベル1に昇格して、そこで1勝することはできたのだが、上のレベルに行くにはもっとデッキもプレイングも磨かないと厳しそうだ。
ただ、交流会の運営はスムーズであり、対戦相手もみな丁寧にプレイしてくれたので、気持ちよく対戦できた。身内以外の人とデュエマの対戦をするのは久しぶりだったが、とても楽しく、あっという間に3時間が経ってしまった。デュエマは、MTGでいうインスタントがなく、相手の盤面への干渉手段もそれほど多くないので、オンライン対戦向きではあるのだが、対戦もみなさん手慣れた感じであった。環境については、PC+Webカメラよりも、スマートフォン1台だけでやっている人が多かったようだ。
運営によると、今回のカードキングダムコロシアムの参加人数は延べ160人、総対戦回数は910回に達したとのことだ。店舗の公認大会やCSなどと違って、途中で休憩したり自分のペースで楽しめることが、オンライン交流会の魅力である。
なお、第3回のデュエマ カードキングダムコロシアムは、5月10日に開催されることが決まっている。イザジンで受付中なので、デュエマの対戦相手が欲しいという方は、参加してみてはいかがだろうか。
オンライン対戦はTCGの新たな遊び方として定着しつつある
カードキングダムDiscord店は、さまざまなTCGプレーヤーが参加しており、ポケカやRe:バースなどの交流会も行なわれている。他にも、TCGショップが運営するDiscordサーバーで、TCGのオンライン交流会を計画しているところが増えている。TwitterのTLでも、4月以降、「TCGのオンライン対戦を始めました」とか「どうやったら始められますか?」みたいなツイートが増えてきたと感じる。娘は3年前から、MTGのオンライン対戦をやっているのだが、筆者のように近くにTCGショップがない場所に住んでいる人や、TCGショップがあってもなかなか行く時間がないという人にとって、TCGオンライン対戦は、TCGのモチベーションを高めてくれるまたとない方法だ。
新型コロナウイルス対策のためにTCGショップで遊べなくなったことから、盛り上がりを見せているオンライン対戦だが、新型コロナウイルスが終息して、再びTCGショップで遊べるようになっても、TCGの新たな遊び方として定着することになりそうだ。考えてみれば、DCGを集まって遊ぶ店舗大会(シャドウバースのES大会とかハースストーンの炉端の集いとか)があるのだから、TCGを遠隔でプレイするオンライン対戦があったっておかしくはない。オンライン対戦は、交通費も参加費も不要なこともメリットだ。オンライン対戦によって、TCGの世界がさらに広がることを期待したい。