【特別企画】

いまSSDを買うならGen4に決まり! シーゲイトのNVMe Gen4 SSD「FireCuda 520」で最新ゲームのパフォーマンスをベンチと動画で徹底チェック

【FireCuda 520】

2019年11月発売

価格:
14,980円(500GB)
29,980円(1TB)
59,980円(2TB)

 以前は記録用のストレージというとハードディスク(HDD)が主な媒体だったが、数年前からはSSD(Solid State Drive/ソリッドステートドライブ)が広まりだし、あっという間にPCの起動ドライブはSSDへと置き換わった。

 その理由はいくつかあるが、何と言っても一番大きいのが転送速度の差だ。SSDはメモリなどと同様にフラッシュメモリが使われており、HDDの何倍もの書き込み速度を誇る。それに容量についても、当初は128GBあたりからの普及となったが、いまでは512GBモデルが安価なものになると実売8,000円程度と求めやすい価格帯に入ってきており、1TBについても12,000円という価格帯のため、少し背伸びすれば購入可能になってきた。

 ストレージが速くなれば当然のごとくメリットがある。それは言うまでもなく「ゲームの起動速度」や「ローディング」に明らかに現れる。そしてエリアをチェンジしつつ行ったり来たりと場面転換をするゲームでは、表示までの時間が遅いとそれだけでストレスになる。できるだけ速いストレージでゲームをプレイしたいと思うのは当然だろう。

 そこで今回は、PS4の人気タイトルである「DEATH STRANDING」と、PC版「Red Dead Redemption 2」について、NVMe Gen4 SSDである「FireCuda 520」に加えてNVMe Gen3 SSD、Serial ATA(SATA)接続のSSD、あとはHDDの計4ストレージを用意して、起動時間とセーブデータのローディング時間、エリアチェンジの時間といった3点について測定した結果を比較動画と共にお届けしたい。

 FireCuda 520はシーゲイトが11月に発売した最新のNVMe Gen4 SSDだ。シーゲイトという社名は、昔から自作PCをたしなんでいる人であれば知っていると思うが、1979年にアメリカで誕生したストレージメーカーだ。北米や欧州におけるトップ企業で、日本でも1985年に子会社を設立して以来、活動を続けている老舗メーカーとなる。HDD時代のベストセラー「Barracuda(バラクーダ)」シリーズをはじめ、筆者含めお世話になっているPCユーザーが多いはず。FireCuda 520は、そのストレージメーカーの老舗が満を持して送り出す、最新鋭のNVMe Gen4 SSDとなる。

【今回検証したゲームタイトル】
小島秀夫監督が出した待望の新作「DEATH STRANDING」
オープンワールドでワイルドな生活を送れる「Red Dead Redemption 2」

いま選ぶならNVMe Gen4 SSD。その理由とは?

 SSDの中でもいま主流なのは「M.2」という規格のものだ。発売当初に出ていたSATA接続の2.5インチサイズのものとは異なり、チップがむき出しで端部にコネクタがあるなど、メインメモリに似た形をしているのが特徴だ。

 M.2を採用しているSSDには、SATA接続のものと、NVMe接続のものの2種類が存在する。NVMeはPCI Express(PCIe)を利用するため、SATA接続のものよりも転送速度が大幅に改善されており、理論上は40Gbpsまでの速度が出る、となっている。いま販売されているゲーミングPCは、たいていの場合このNVMe接続のM.2を搭載している。

【NVMe Gen4 SSD「FireCuda 520」】

 さてもう1つ規格についての話をしておこう。これが今回の記事のキモなのだが、NVMeにも2種類あるのだ。それはPCIe3.0(Gen3)とPCIe4.0(Gen4)への対応だ。

 ついこの間までは、NVMeと言えばPCIe3.0での接続しかなかった。しかしAMDが次世代規格となるPCIe4.0に対応した「Zen2アーキテクチャ」を採用するRyzen 3000シリーズと、X570チップセットを発表したことで、PCIe規格は新たな1歩を踏み出したことになる。PCIe4.0は、PCIe3.0よりも数倍早い転送速度のため、PCIe4.0対応のNVMe Gen4 SSDであればさらに高速な転送が期待でき、パフォーマンスの向上が見込めるようになったからだ。加えてZen2アーキテクチャでは、チップセットとCPU間の通信も、これまでのPCIe3.0からPCIe4.0へと変わっているので、NVMe Gen4 SSDを使えば高速なやり取りが可能だ。

【SSDの規格による転送速度の違い】
規格転送速度(読み込み:理論値)
SATA SSD600MB/s
NVMe Gen3 SSD4,000MB/s
NVMe Gen4 SSD5,000MB/s

 このNVMe Gen4 SSDは、発売当初は高価なものだった。しかし最近ではGen3のSSDとの価格差があまりなくなってきており、新しく購入するならば、次世代規格であるNVMe Gen4 SSDを求めた方がよいと言える状況になりつつある。インテルプラットフォームはNVMe Gen4 SSDにまだ対応していないが、来年に予定されている次世代規格「Tiger Lake」では対応すると言われており、そうなった場合は一気にNVMe Gen4 SSDが普及することになるだろう。

 またコンシューマー機を見ても、来年の年末商戦期に発売される「プレイステーション 5」(PS5)には、AMDのZen2アーキテクチャが搭載されることはすでに発表済み。先日正式名称が発表された次世代Xbox「Xbox Series X」についてもZen2アーキテクチャを採用することが決定している。つまり間違いなく、来年からはNVMe Gen4 SSDがデフォルトになるのだ。

 そこで本記事では、NVMe Gen4 SSDである「FireCuda 520」とNVMe Gen3 SSD、SeriarlATA(SATA)接続のSSD、2.5インチSATA HDD(5400rpm)について、その性能について比較し、評価していこうと思う。

 今回の主役であるFireCuda 520は11月30日に発売。容量としては500GB、1TB、2TBの3種類が用意されている。製品には5年間の製品保証とユーティリティソフト「SeaTools」が付属する。SeaToolsはドライブの健全性の監視や性能のモニタリング、SSDのファームウェア/ソフトウェアアップデートができる。FireCuda 520を利用するとともに、必ず入れておきたいソフトだ。

ドライブのチェックができる「SeaTools」

NVMe Gen4 SSD「FireCuda 520」の実力はいかに?

 では早速、ストレージ比較に移っていこう。今回FireCuda 520の検証のために用意したストレージは以下のラインアップだ。

【測定に利用したストレージ】
FireCuda 520(NVMe Gen4 SSD)(2TB)
NVMe Gen3 SSD(1TB)
Serial ATA SSD(1TB)
Serial ATA HDD(1TB)

 テストについては、PS4とPCの両方で行ない、PS4については「DEATH STRANDING」、PCについては「Red Dead Redemption 2」というヘビー級のタイトルで検証を行なった。検証用のハードウェアには、PS4はPS4 Pro、PCについては20万円の予算で下記のNVMe Gen4 SSDに対応するRyzenマシンを組み上げた。

【Ryzenマシン】

【検証に使用したPCのスペック】
CPU:Ryzen 7 3700X
マザーボード:MPG X570 GAMING PRO CARBON WIFI(MSI)
ビデオカード:GeForce RTX 2060
メモリ:16GB
電源:850W
起動ドライブ:256GB SATA M.2 SSD

CPU-Zで測定した結果
GPU-Zで測定した結果

 なおPS4での測定だが、M.2は仕様上PS4に直接接続することができないため、すべてのストレージをNVMe SSD対応外付けケースに装着し、PS4のUSBポートに接続して測定している。現在は外付けストレージを、PS4のゲームインストールドライブとして選択できるため、このような運用は十分現実的だ。

【NVMe SSD対応外付けケース】
今回NVMe SSDをPS4に取り付けるために使った「N.ORANIE USB3.1 HDDケース」

 なお、このNVMe SSD対応外付けケースは今回の主役であるNVMe Gen4 SSDもを利用できる。ただしNVMe Gen4 SSDの転送速度に対応しているケースはまだ存在しないため、PS4上の測定テストでは、NVMe Gen4 SSDとNVMe Gen3 SSDとの転送速度は差が出ないと予想される。

 まずは素の実力を測る意味も込めて、ストレージのベンチマークテストとして有名な「CrystalDiskMark」による結果を示しておこう。これを見れば性能の差は歴然としていることがわかる。NVMe Gen4 SSDとNVMe Gen3 SSDでの性能差も数値上では出ている。FireCuda 520は、読み込み速度が2.5インチSSDの5倍というのも驚くしかない。

【CrystalDiskMarkでのベンチマークテスト結果】
Serial ATA HDD(1TB)
2.5インチSATA SSD
NVMe Gen3 SSD
FireCuda 520

NVMe Gen4 SSDをPS4版「DEATH STRANDING」でチェック

【DEATH STRANDING】

 ベンチマークテスト上の違いはわかったので、今度は実際にゲームプレイをしたときの数値について測定しよう。

 まずはPS4の測定結果から。測定前の準備として、それぞれのデバイスはUSBストレージ用のケースに収納し、PS4のUSBポートに接続して、ゲーム本体をそれぞれのストレージにインストールした。インストール後は、メニュー画面からソフトを選び、ゲームのメイン画面が表示されるまでの時間(起動)と、メニューからセーブデータを選び、ゲームプレイが可能になるまでの時間(ローディング)、最後に主人公がプライベートルームに移動し、操作できるようになるまでの時間(エリアチェンジ)の3つについて複数回測定した結果を平均した。

運び屋として、頼まれた荷物を運びながらアメリカの西海岸を目指す
「BT」と呼ばれる敵との緊張感ある戦いも用意されている

 その結果が下の図だ。これを見るとやはり、ゲームデータを展開するローディング時間の長さが際立っており、特にHDDの遅さが目立つ。テストの時にも思ったのは、こんなにもHDDは遅いのか、ということ。これだけの秒数がかかると、待っていることにイライラするだろう。そういうストレスを受けないためにもドライブの高速化は必要だ。

 ところで残り3つのSSDについては、たとえNVMe Gen4 SSDといっても、ケースがスペックに対応していないほか、理論上の転送速度である625MB/s(5Gbps)となるUSB3.1 Gen1接続ではあまりその実力を発揮できていない。このため、ほかのSATA SSDやNVMe Gen3 SSDとの差をあまり感じることはないと言える。しかしNVMe Gen4 SSDは次世代でこそ生きるもの。ここは先取りをしてNVMe Gen4 SSDを購入するのはアリだ。

【DEATH STRANDING」ベンチマーク結果】
PS4で「DEATH STRANDING」を使用してアクセス時間を測定した結果

【「DEATH STRANDING」エリアチェンジ速度比較】

【「DEATH STRANDING」起動速度比較】

【「DEATH STRANDING」ローディング速度比較】

重量級タイトルPC版「Red Dead Redemption 2」はNVMe Gen4 SSDで高速化できるのか!?

【Red Dead Redemption 2】

 今度はPC側の数値を見てみよう。「Red Dead Redemption 2」(RDR2)については、「Rockstar Games Launcher」を起動し、「マイライブラリ」から起動してメニュー画面が表示されるまで(起動)と、ゲームをスタートさせて主人公キャラクターを動かせるようになるまで(ローディング)、「ファストトラベル」を使ってバレンタインまで移動し、移動先でキャラクターを動かせるようになるまで(エリアチェンジ)についての時間を測定した。

「Red Dead Redemption 2」は西部開拓時代の名残が残るアメリカを舞台としたゲーム。オープンワールドで構成されているので、どこに行っても、何をしてもいい。Rockstar Gamesらしく、人を助けるのも、襲うのも自由だ
主人公のねぐらから一番近い町「バレンタイン」。ストーリーはクエストを積み重ねていくことで次第に続いていく

 結果は下のグラフだ。PCではそれぞれのデバイスを直接マザーボードに接続できるため、値がはっきりと出ている。ただ、一番読み込みファイルが多く、立ち上がるまで時間がかかる起動時のタイムは27.6秒と、わずかではあるがFireCuda 520が速い。エリアチェンジはどのドライブもあまり変化がないように見えるが、これはゲーム側でキャッシュコントロールなどをしている可能性もある。

 いずれにしてもNVMe M.2 SSD、そしてNVMe Gen4 SSDであるFireCuda 520が高速なのは理解いただけたかと思う。ゲームの読み込み時に、HDDではでは1分半以上待たされるのに比べて、FireCuda 520では48秒程度とほぼその半分となる。

 なお「RDR2」だが、テストした直後にアップデートがかかり、タイトルから「ストーリー」を選んで開始するローディングでは、修正直前に取ったデータから倍以上の時間がかかるようになり、再度測定したことを述べておく。これはアップデートによってコンテンツが追加されたためと思われ、その処理に時間がかかってしまうからと推察される。

【「Red Dead Redemption 2」ベンチマーク結果】
PCで「Red Dead Redemption」を使用してアクセス時間を測定した結果

【「Red Dead Redemption 2」エリアチェンジ速度比較】

【「Red Dead Redemption 2」起動速度比較】

【「Red Dead Redemption 2」ローディング速度比較】

いまからSSDを購入するならシーゲイトのNVMe Gen4 SSDがオススメ

 今回の検証ではシーゲイトのNVMe Gen4 SSDであるFireCuda 520と、用意したNVMe Gen3 SSD、SATA SSD、HDDの4つについてCrystalDiskMarkやゲームソフトでの転送速度を測定した。CrystalDiskMarkでは、スペック通りのぶっちぎりのスコアが出たものの、ゲームを使った検証では、HDDからは格段に速くなったことは確認できたものの、SSD間では大きな差は見られなかった。

 それではNVMe Gen4 SSDを購入する価値はないのかというとそんなことはない。ここではわかりやすい検証として10GBのファイルを起動ドライブから、それぞれのストレージに転送する速度を測定したのが下のグラフだ。

【10GBのファイルを転送した結果】
ファイルを転送したときの各ドライブの測定結果

 これを見るとシーゲイトのFireCuda 520をトップに、次点でNVMe Gen3 SSD、SATA SSD、HDDの順番で転送速度が速くなっており、NVMe Gen4 SSDの優位がわかっていただけると思う。ではなぜゲームで十分なパフォーマンスが出ないのかというと、単純にゲームの作り方が単純に、SSDに最適化されていないからだ。

 Zen2アーキテクチャで採用されたNVMe Gen4 SSDは、次期プラットフォームであるPS5やXbox Series Xで採用されるのは間違いない。なぜなら両方ともAMDのZen2アーキテクチャに基づいた設計で開発されるからだ。当然次世代機では、SSDネイティブなZen2アーキテクチャに対応したゲームタイトルが出そろうことになる。そのときこそNVMe Gen4 SSDによる、本当の起動高速化も見えてくるに違いない。

 ストレージを増やして使うのであれば、価格も求めやすくなってきたいまこそ、次世代アーキテクチャ準拠のNVMe Gen4 SSDを手に入れてほしい。PCの起動ドライブやサブドライブとして使うのはもちろんのこと、PS4での外付けドライブとしてこれからストレージを購入するのなら、次の世代まで、今後数年使うことも考えて、シーゲイトのNVMe Gen4 SSD、FireCuda 520を選択するのがベストチョイスと言える。