【特別企画】
ゲーセンが手の中に! 2つのアーケード筐体型ミニゲーム機「レトロアーケード」と「TINY ARCADE」を遊んでみた!
2019年4月19日 00:00
筆者は昔のアーケードゲームが大好きだ。中でも立ってプレイする“アップライト型筐体”にはグッとくる。この筐体をミニチュアで再現したアイテムは、昔からチェックしており購入していた。ゲームセンターの筐体が小型化されて家に置いてある、この雰囲気は、とても心躍るものがある。
そんな筆者にとって、“夢”を叶えたようなアイテムが発売された。その出会いは2018年夏頃のこと。ミニチュアのアップライト筐体の中のゲームがきちんと動く「TINY ARCADE」シリーズだ。これらはSuper Impulse Limitedが製造、日本ではハピネットから今年の3月から発売になっているが、筆者は当時、海外版の「パックマン」、「ギャラクシアン」、「スペースインベーダー」を直輸入して楽しんでいた。
一方でもう1つ同じようなコンセプトとして「RETORO ARCADE MICRO PLAYER」シリーズという物もある。こちらもdreamGEAR, LLC.が製造、日本ではインフォレンズから3月25日以降「レトロアーケード」シリーズとして購入可能になっている。こちらについては知り合いが輸入しているといういきさつから発売済みのシリーズ5製品を借りることができた。
「レトロアーケード」シリーズは汎用筐体のミニチュアがベースになっており、筐体のサイズがちょっと大きめだ。今回、この機会に「レトロアーケード」シリーズ5製品と、筆者手持ちの「TINY ARCADE」シリーズとを比較しつつ、そのサイズ感や実際に遊んでみた感想を、動画や写真も交えて紹介させてほしい。
ゲームが遊びやすい「レトロアーケード」
国内で3月発売となった「レトロアーケード」シリーズの現在のラインアップは、「パックマン」、「ギャラガ」、「ディグダグ」、「ギャラクシアン」、「マッピー」の5種類で、各ゲームタイトルに合わせた筐体のデザインになっており、中のゲームも同じ物が収録されている。価格はオープンプライスで、Amazonでの参考価格は各4,298円(税込)。
「レトロアーケード」シリーズの共通の仕様として、操作パネルには、移動操作に使う十字キーを備え、中心部にはネジ式のスティックが取り付けられるので、ジョイスティックのような操作も楽しめる。他にもゲームに応じて使用するボタンがそれぞれ用意されている。電源は単3電池4本駆動のほかに、microUSBによる給電も可能。バッテリーは内蔵していないが、モバイルバッテリーなどを利用することで、電池がなくても外出先などでプレイすることができる。
本体デザインはディスプレイが斜めに配置された、椅子に座ってプレイするタイプの汎用筐体をモデルにしているが、サイズが少し大きめになっており、1/12フィギュアと比較すると少し大きすぎるため、こうしたフィギュアと並べて置くのには向かないが、単体で飾っておくには申し分のないサイズ感だ。
ゲームをプレイする場合、筐体を両手で抱えて左手で十字キー、右手でボタン操作をするのがちょうどいい。操作パネルの下部にあるコイン投入口全体が電源スイッチになっており、ここを押すことで、電源が入るようになっている。音量調整は背面上部に音量コントロールのボタンがあるほか、イヤフォンジャックも備えているので、イヤフォンを使ってプレイする事も可能だ。
実際のゲームプレイについては、ディスプレイがかなり大きいため、視認性がかなり高く、どのゲームも動作には申し分なく、快適にプレイすることができた。いずれのタイトルもおかしな挙動などは特になく、ゲームその物が快適に動作するので、純粋にゲームを楽しむにはもってこいの感触だ。
一方で、一部の個体では十字キーの上下の反応が鈍く感じる場合もあり、ちょっとクセがある印象だったので、この辺は慣れが必要な場合もあるだろう。実際にゲームの動作する様子については動画を参照してみてほしい。
各タイトルについて補足しておくと、「レトロアーケード」の現在の5種類については、いずれもファミコン版がベースになっているようだ。これについてはメーカーなどから公式のアナウンスがあるわけではないので、あくまでもこちらの検証結果から出た結論となる。
その理由としてはいずれも起動時に共通のタイトル表示が出るつくりになっている事だ。このタイトル表示はファミコン版限定の作りである事から、今回の収録タイトルがいずれもファミコン版ベースになっている事は明らかだ。また、パックマンについては更に明確な違いがあり、フルーツの表示が単色になっているほか、BGMのキーが少し異なり、ゲームスピードも序盤は少しゆっくりだ。
本体の作りを見るとディスプレイ部のアスペクト比が4:3のため、共通設計の筐体を利用する際にアスペクト比が狂わないようにファミコン版のROMデータを利用して統一しているのだと思われる。アーケード筐体のミニチュアにファミコン版のソフトが収録されているという作りはちょっと残念な面もあるが、一方で各ソフトの動作が安定している点については評価したいポイントだ。
とにかくコンパクトさが驚きの「TINY ARCADE」
日本国内では、国内3月発売の「TINY ARCADE」シリーズはいずれもはアップライト筐体をモデルにしているが、サイズはかなり小さく、1/12フィギュアなどと比較すると小さすぎるため、こちらも並べて置くのには向かないが、手のひらに収まるコンパクトサイズでキーチェーンも備えるので、持ち運びやすいのが魅力だ。電源は単4電池3本で駆動。
現在国内で発売中のラインアップは「パックマン」、「ギャラクシアン」、「ディグダグ」、「ギャラガ」の4種類で、価格は各2,678円(税込)。
ゲーム用のスティックやボタンはかなり小さいため、操作に慣れるまではかなりクセが強い。一方で割とカッチリしたスイッチを採用しているので、慣れてくると意外と普通に操作できる。ただし、ディスプレイがかなり小さいため、視認性はかなり厳しく、これも慣れにはかなり時間がかかる印象だ。
前述の「レトロアーケード」がファミコン版ベースだったのに対して、「TINY ARCADE」の各タイトルはアーケード版がベースになっているようだ。わかりやすい挙動としては、「ディグダグ」のタイトルがアーケード版準拠の画像のタイトル表示になっているほか、「ギャラクシアン」や「パックマン」のタイトル表示が特になく、電源投入後もいきなりゲームのスコア説明が表示される点などが挙げられる。
ちなみに「ディグダグ」は縦の長さが足らなかったからか、上下にスクロールするという独自の動きになっているが、これにより縦長の画面サイズをうまく再現しているようだ。個人的な感覚だと「パックマン」と「スペースインベーダー」についてはかなりアーケード版を忠実に再現できている印象だった。
一方で、ギャラクシアンなどは画面サイズが小さすぎるためだと思われるが、エイリアンたちのエリアと自機の位置の間のスペースがかなり狭くなってしまっているため、敵の攻撃が避けにくく、難易度が色んな意味で上がってしまっている。ここは多少つぶれ気味になっても構わないので全体の比率は合わせておいてほしかった。
また、ギャラガにいたっては、起動直後の説明デモが表示されず、単なるテキスト表示のみの質素なタイトルになってしまっているほか、ステージ開始直後の敵エイリアンの動きが明らかにコマ落ちしてしまっている。こうしたゲーム内の再現で粗さが目立つのは非常に残念なところだ。
ゲーム性重視なら「レトロアーケード」だが最大の魅力はそのミニチュア感
以上、2種類のレトロゲームのミニ筐体型ゲーム機シリーズを同じ目線で紹介してみた。とにかくミニサイズの筐体デザインが好きなら「TINY ARCADE」なのは間違いない。また前述のようにアーケード版の移植に魅力を感じる場合も「TINY ARCADE」だ。ゲームをプレイせずにデモを流すだけでも音が流れるのでちょっとした息抜きにボタンをポチッとするという楽しみ方もできる。一方でこちらはサイズのためにゲーム内容が犠牲になっている点も留意すべきポイントだろう。なお、「TINY ARCADE」シリーズには7月下旬に「スペースインベーダー」と「フロッガー」の追加が予定されている。
そして、当時の懐かしいゲームを純粋に楽しみたい、というなら「レトロアーケード」のシリーズの方が向いていると感じた。大きめの筐体はゲームが遊びやすい作りだし、電池不要でも遊べるようにmicroUSBを備えているのはかなり魅力的だ。とにかくゲームをプレイする上でのバランス感と汎用筐体の大きめのミニチュア感は製品としてのバランスがとてもいいと感じる。また、ラインアップには6月下旬に「ローリングサンダー」、「エレベーターアクション」、「バブルボブル」の3種類が追加される予定となっている。
ここまできてちょっとぶっちゃけた話をしてしまうと、今回紹介した昔のゲームを純粋にゲームとして遊びたい人たちは、各種ゲーム機で発売している「ナムコミュージアム」などのコレクション物のシリーズのソフトを購入するのがベストだったりする。ゲーム機の方がハードウェアのスペックが高いので、移植の精度が圧倒的に高く、ゲームがプレイしやすいのも間違いないからだ。
今回紹介した「レトロアーケード」や「TINY ARCADE」の一番の魅力は何といっても当時のアーケード筐体の形状のミニチュア感なのだ。昭和末期から平成初期にかけてのアーケードゲーム全盛の時代、アップライト筐体や汎用筐体がずらっと並ぶ昔のゲームセンターの雰囲気を肌で感じられる筐体のデザインは、やはり当時ちょっと危ない大人な雰囲気があった「ゲームセンター」への“郷愁”が大きいのだと思う。
筆者は当時のアーケードゲーム筐体が生み出していた雰囲気が好きだ。特に「パックマン」は未だに多くのグッズを購入するほど大好きなタイトルだ。画面内のドットを全て食べればクリアというシンプルなルールながらも、パックマンを追う4色のモンスターたちそれぞれに個性が設定されているなど、意外と奥の深い作りである点もポイントだ。
また、「ギャラクシアン」についても、当時月刊コロコロコミックに連載されていた「ゲームセンターあらし」でよく登場していたタイトルだった事もあり、デパートの屋上のゲームコーナーなどで見かけては1コイン投入してプレイし、あっさり玉砕しまくりで、漫画では飛んでくるエイリアンを簡単そうに撃破しているのに、実際はかなり難しいものだと、現実の厳しさを知った思い出が残っている。
そんな筆者の心をグッと掴んだのが、「アーケードゲーム筐体のミニチュア」だった。業務用のアップライト筐体などを模したミニチュアと言えば、2017年には日本で「namco アーケードゲームマシンコレクション」というミニチュアが発売されている。プレーヤーが立ったままゲームをプレイするアップライト筐体の1/12サイズのミニチュアで、筐体その物の再現性は高く、1/12サイズの人型フィギュアと合わせることで、違和感なくゲームをプレイする様子が再現できた。
この他、2009年には「スペースインベーダー」のテーブル筐体を模した貯金箱「スペースインベーダー ゲーム筐体型バンク」がタカラトミーから発売されている。こちらはゲームが内蔵されていたが、その再現性がかなり低かった。具体的にはインベーダーの数が圧倒的に足らない、砲台やインベーダーのサイズが画面サイズに比べて大きすぎるなど、個人的に不満は多く、購入はしたものの、何度か遊んだ後、そのまま物置の奥に消えていった。
これら製品と比べた時に「TINY ARCADE」シリーズや「レトロアーケード」シリーズは、コレクションとして並べて飾れる“モノ”としての魅力に加えて、それらに内蔵されたゲームが実際に遊べる作りになっているところが、シリーズ最大の魅力であり、筆者のようなミニチュア好きのオールドゲーマーの心をくすぐるのである。
もし筆者と同じ思いを持つ人がいるなら「レトロアーケード」や「TINY ARCADE」はいずれも購入して損はない一品であると思うので、是非おススメしたい。