ミニチュア「namcoアーケードゲームマシンコレクション」レビュー

namcoアーケードゲームマシンコレクション

実機設計図をもとに立体化した精密さが、1/12フィギュア遊びを盛り上げる

ジャンル:
  • フィギュア
発売元:
  • FREEing
開発元:
  • FREEing
価格:
各2,759円(税別)
発売日:
2017年1月27日
namcoアーケードゲームマシンコレクション

 FREEing企画・発売、グッドスマイルカンパニー販売のゲーム筐体ミニチュア「namcoアーケードゲームマシンコレクション」が1月末に発売された。

 バンダイナムコエンターテインメント協力のもと、同社がナムコ時代にリリースしたアーケードゲームの筐体を当時の設計図をもとに、1/12スケールで立体化したこの製品。弊誌では昨年10月に、企画担当のFREEingの依田氏と、資料提供や監修を行なったバンダイナムコエンターテインメントの指田氏に、本製品についてのインタビューを行なっている。

 今回筆者が購入した製品を使ってレビューをお届けしていく。

当時の思い出を鮮明に蘇らせるゲーム筐体達

 今回立体化されたのは、ナムコ製の日本国内で出回ったアップライト筐体だ。これらがリリースされた1980年前後の国内のアーケードシーンはテーブル型の筐体が主流となっていたので、当時としてもやや珍しく、リアルタイムで見かけた人は少ないかもしれない。

 筆者は当時、沿線にナムコが存在した東急目蒲線(現在は東急多摩川線)蒲田駅の東急プラザ屋上にあったナムコ直営の遊園地でこの筐体を見たことがある。中に入っていたゲームが今回ラインナップされたタイトルかどうか記憶がないのだが、独特の丸みがあって出っ張っているコイン投入口と、クリア素材でできたスタートボタンの特徴的なデザインは今も覚えている。

 ラインナップは「ギャラクシアン」、「パックマン」、「タンクバタリアン」、「ラリーX」、「ギャラガ」の5タイトル。当時の名作揃いで、そのほとんどが家庭用ゲームにも移植されていて、ゲームを遊んだことがある人は多いだろう。この製品では、これらの筐体を精密に立体化するとともに、純正な「出荷状態」にこだわってデザインしている。

 アーケードゲームの性質上、これらのゲーム筐体は、内部の基板やコントロールパネル、マーキー(筐体上部看板)などを入れ替えて新しいゲームとして営業することが常識で、もし現存したとしても、ゲーム内容とモール(筐体左右の断面部分の塗装)やコイン装置の色などが異なっていることもあるが、ラインナップの5機種に関しては当時の資料や設計図、写真などに基づいてのカラーリングを施しているのだ。

【namcoアーケードゲームマシンコレクション】
パッケージは中身が見えるウィンドウボックス。ドット絵のキャラクターも楽しい
パッケージ裏にはゲームの解説文がある。コンパクトなので収納もしやすい
ミニチュア本体とシールが同梱。またシールを貼る場所が書かれた説明書も入っている
筐体左右に貼るシール。コイン投入口シールは100円玉仕様で予備も含め4枚付属

 サイズは実寸で、高さ141×52×66mm(高さ×幅×奥行き)。可動箇所はない。ユーザーによる組み立ては必要ないが、筐体左右とコイン投入口に貼りつけるシールが付属している。前者はモールのカラーで造形された本体サイドを隠すように全面に貼りつける考えられたデザインだが、面が大きいのでずらさないよう貼るには若干のコツが必要だ。

 このシールは押さえて密着させなければ貼り直しもできる仕様なので、ずれたり気泡などが入ったりしたときは慌てずにその部分まで剥がして貼り直すのがいいかもしれない。

 素材はABS樹脂で、画面とマーキー、コントロールパネルにはクリア素材を採用している。ゲーム画面もオリジナルを忠実に再現しているが、アップライト筐体のデザインの関係で若干見づらいのが少し残念なところだ。

 電飾するのもありかと思うが、かなりしっかりした構造なので、分解などをするのは難しいかもしれない。また個体差のようだが、一部コントロールパネルのシールに気泡やたるみがあるものが存在していたのも気になったところだった。

 1/12フィギュアと絡められるプレイバリューの高さや、コレクションや資料としての価値など含めて、総合的な完成度はかなり高いものだった。実勢2,500円前後と手軽な価格も嬉しいところだ。

 発売から1週間以上が経過し、既に店頭在庫はかなり少なくなっている現状だが、これが好評なら、次期シリーズなども期待できるので、まだ手に入れていない人は早めに店舗をチェックしてみよう。

【namcoアーケードゲームマシンコレクション】
シールが貼られていない状態の筐体。デザイン的にはこの色のままでも楽しい
カラーは3色。「タンクバタリアン」、「ラリーX」、「ギャラガ」は共通のオレンジだ
シールは筐体前方向(写真向かって左側)のラインに合わせて貼ると見栄えがいい
シールを貼った状態。本体サイドの色が隠されて、モールの色が目立つようになった
コントロールパネルのシールも鮮やかで、インストラクションカードの文字もほぼ読める
コイン投入口のシール。予備があるので、他のフィギュアに貼るのも楽しいかもしれない
背面には通気口やメンテナンス用パネルのモールドも。上部には吊り下げ用パーツもある
底面にはキャスターの造形がある。簡単に塗装してみるのもいいだろう
並べて比較すると、コンパネの形状やスピーカーの位置なども違うことがわかる
全種揃うと「ゲーセン感」がグッと増す。小物と絡めてジオラマを作りたくなる
「figma archetype next(GSC 15th anniversary color ver.)」を立たせてみた。フィギュアと絡めると楽しさ倍増だ
こういうポーズを取らせたくなってしまうのが筆者のようなアラフォー世代。炎や電撃のエフェクトがあれば完璧!

ゲーム紹介

「ギャラクシアン」(1979年)

1979年11月にリリースされたナムコ初のシューティングゲーム。曲線を描いて飛び回るカラフルなエイリアン達や、独特の効果音に魅せられた当時のゲームファンは多いはず。その後「ギャラガ」、「ギャプラス」などの固定画面のシューティング作品にコンセプトが継承されている。
【ギャラクシアン】
コイン投入口の周囲にイラストが施されているのはこの「ギャラクシアン」のみ

「パックマン」(1980年)

1980年5月リリースのアクションゲーム。迷路の中を走り回り、追いかけてくるオバケたちを避けながらクッキーを食べていく、ドットイートアクションの金字塔。ピースが欠けたピザのようなパックマンと、個性が付けられたオバケ達のユニークな追いかけっこは、世界的な人気を博した。
【パックマン】
パックマンの綴りは当時の「PUCK MAN」から現在の「PAC MAN」に変更になっている

「タンクバタリアン」(1980年)

1980年10月にリリース。マイタンクを操作して、自軍の要塞に次々と現われるエネミータンクを倒していくアクションゲーム。敵の攻撃は画面下の司令部にも向けられ、これが壊されると強制ゲームオーバーという、緊張感のあるルールを採用していた。後にファミコンで「バトルシティー」としてアレンジ移植された
【タンクバタリアン】
コンパネは近年のスタイルとは異なり、右手でスティックを操作する仕様だった

「ラリーX」(1981年)

1980年11月にリリース。赤い敵車の追跡をかわし、左右にスクロールする迷路の中にあるチェックポイントのフラッグを取っていくアクションゲーム。FM音源が搭載され軽快なBGMが流れるアップグレード版「ニューラリーX」が有名だが、本作はその元となる作品で、車の形状やメインBGMのメロディも異なる。
【ラリーX】
今回のラインナップの中で唯一、画面が横置きのタイトル

「ギャラガ」(1981年)

1981年9月リリース。「ギャラクシアン」の続編となるシューティングで、美しい旋律のBGMと、敵ボスに捕獲にされた自機を奪い返すことで攻撃力が倍になる「デュアルファイター」のシステムが大きな特徴となっている。点数を稼ぐためのチャレンジングステージの存在もインパクトがあった。
【ギャラガ】
今回のラインナップの中で唯一、画面が横置きのタイトル