インタビュー

「新生FFXIV」、「パッチ2.4 氷結の幻想」実装直前吉田Pインタビュー

パッチ2.4について。忍者・双剣士のジョブクエストはちゃんと読まないと損をする!

パッチ2.4について。忍者・双剣士のジョブクエストはちゃんと読まないと損をする!

シーフ的な役割の「双剣士」
トリッキーでプレーヤースキルが出る「忍者」

――「パッチ2.4 氷結の幻想」ですが、まずは今回「忍者」と「双剣士」を追加した意図について教えてください。

吉田氏: 「旧FFXIV」が達成できなかった要素の1つとして、あまりにも「FF」らしくないということがあり、僕自身もプレイしてこの点については同様に思いました。その上で「FF」らしさが伝わるよう意識して作ったのが2.0スタート時のジョブです。盾役がナイトと戦士であり、攻撃役として竜騎士、黒魔道士。「FF」シリーズだとわかりやすさには特に気を遣ったつもりです。その上でトップのダメージをたたき出せるものの、手数が多くて疾風迅雷の維持に左右されるモンクがいてモンクがいて、オーソドックスに使える竜騎士がいて、遠距離から詠唱時間という絶対時間を計算した上で、黒魔道士はやはりダメージをどんどん出せるジョブ。そして回復の白魔道士がいて、ペットを使う召喚士と学者がいてという、ある意味堅実で直球勝負、変化球がなにもない状態でした。言わばトリックスターみたいな存在を用意する余裕がありませんでした。

 これら基本としての「FF」らしさの上で、もう一段トリッキーなジョブが必要だという話をしていて、2.0の当初からいわゆるローグ系、スカウト系のジョブということで、なんとかシーフと忍者を入れられないかという話をしていました。DPSというロールが世界中で1番人気なのは間違いないので、その不足していると感じた部分をできるだけ早くお届けしようと、いうのが双剣士/忍者を実装に至った最大の理由です。

――これまでゲーム内になかったローグ系の新ジョブということですね。

吉田氏: やれることは多いけれど、操作がある程度複雑です。正面に立って殴られると柔らかいけれど、忍術を駆使すればかっこよく戦えるジョブ。バトルチームがイメージ通りに仕上げてくれたと思います。

――トリッキーなジョブのようですが、忍者が入ることで今ある攻略法が変わったり、新しい遊び方に変わったりするのですか?

吉田氏: それはないです。今でもパーティー内のモンクと竜騎士の数が入れ替わっても、時間当たりのDPS計算は若干異なるものの、コンテンツの攻略方法には影響がありません。それと同じだと思ってください。もし忍者が入ることで攻略方法が変わってしまうようなら、その場合は、忍者がパーティに必須となるか、まったく必要なくなるかの二極になってしまいます。そうではありません。

――では、単純にモンクや竜騎士と並ぶ近接ジョブが1クラス増えるという認識でいいのですか?

吉田氏: その認識は人によると思います。プロデューサーレターLIVEでも少し触れたのですが、忍者はとにかくありとあらゆるものを持っています。スタンも持っているし、沈黙も持っています。他人のTPを回復するアクションも持っていますし、範囲攻撃や、強力な単体攻撃も持っています。「かくれる」というアクションによってステルスもします。

 僕も固定で「大迷宮バハムート:侵攻編」に通っていますが、じゃあ詩人をやっている人に忍者をやってもらって、MPはヒーラーの腕に任せ、ギミックによっては詩人と忍者をスイッチして、全体バランス重視にするか、DPS重視にするか……そんな話があり得るのかもしれません。それでも詩人と忍者はまったく別物ですし、こういった編成が流行かと言えばそうでもない気もします。または、モンクをやっているとても上手なプレーヤーが、「総DPSは少し下がるかもしれないけれど、ありとあらゆる局面で安定性が上がるから、メインを忍者に変更するね」といった会話がなされることはあるかもしれません。しかしこれは、それぞれの固定メンバーだったり、集まったパーティーメンバーの中でどう組み立てるのか、他のジョブと同じように、必須ではなく、自由にしたつもりです。忍者は決してマストになる切り札のエースではなく、むしろジョーカーに近いです。ただ8人のコンテンツの場合、8枠というものに対して前ジョブに該当する10枚のカードが用意されることになり、どう使うかは皆さん次第だと思います。

――双剣士と忍者は本当にやれることが多そうですね。

吉田氏: 今回「双剣士」のクラスクエストと「忍者」とジョブクエストに関しては、開発チームも1年やってきてこなれたという感じをすごく受けています。1つ1つのクエストのテーマがちゃんと双剣士のアビリティやアクションを覚えるのにふさわしいお話になっていますし、その中でやるバトルはまさに双剣士になりきって遊べるクエストというかバトルになっているので、文字を飛ばさずにきっちりと読んでプレイをしていただくと、プレイスキルも上がるという作りになっています。

――ボタン連打で飛ばさない方がいいということですね。

吉田氏: 双剣士と忍者を使いこなすためのヒントがたくさん入っています。ストーリーとしてもちゃんと作ってありますので、新クラス/ジョブのレベリング中で「早くレベルを上げたい!」と焦る気持ちもあると思いますが、飛ばさない方が後々絶対に上手に使いこなせるようになると思います。ぜひ連打せずにお願いします(笑)。

――なるほど。うっかりストーリーを読み飛ばさないよう気を付けておかないとですね。

吉田氏: おそらく本当にたくさんの方が忍者をやるぞと楽しみにしていると思いますが、ボタン連打のレベリングではなく、何か目標を決めてバトルをして頂けたら嬉しいです。

――それは必要なプレーヤースキルが追いつかないということですか?

吉田氏: これまでプレイして頂いている感覚とはまったく異なるジョブに仕上がっていると思います。忍術は単純に技を出すだけなら難しくないのですが、使い込みの伸びしろが大きいです。

――ダメージをちゃんと出すのが難しいということですか?

吉田氏: サポートに回るにしても、単に沈黙を入れるだけなら詩人で良いと言われるでしょうし、たくさんの技を持っているが故にきちんと理解しないとサポートもダメージも中途半端になりやすいかもしれません。

――上手下手が出やすいジョブなのですね。

吉田氏: 出やすくはなっていると思います。そのかわりちゃんと使いこなすと、めちゃくちゃ気持ちよいです。実装してたくさんの方に触っていただいた後に、ある程度調整する部分は必ず出てくると思うのですが、少なくとも今、自分たちで触っている限りでは、とても楽しいですし、やり応えがあると感じています。メインを変えようか、本気で悩んでいるスタッフもいますし(笑)。

――12月頃にはフォーラムに忍者弱体希望のスレッドがたくさん立っているかもしれないですね。

吉田氏: どうなんでしょう(笑)。逆もありえますし、議論になっているかもしれませんし、コンテンツとの相性によっては、強化もありえるのかもしれないですね。

――ステルス状態を使って敵の敵視を切ることはできるのですか?

吉田氏: ステルスは「かくれる」というアビリティなのですが、隠れられるのは自分がどの敵からも敵視されていない時だけです。隠れた状態から「不意打ち」とか「だまし討ち」という2アビリティを使えます。ステルス状態で目と鼻の先からいきなり姿を現わして攻撃するのが「不意打ち」で、背後から忍び寄っての攻撃が「だまし討ち」です。当然攻撃すると姿が現われます。

 こうしてお話しすると「かくれる」からの攻撃は、戦闘の開幕にしか使えないように聞こえると思いますが、忍者になってレベルが上がると変化が出ます。確かに「かくれる」自体は敵視が乗ってしまうと使えないのですが、忍術の中にとある技が1つあり、それを使うと自身に変化が起きて、「かくれる」中にしか使えない技が使えるようになります。コンビネーションの中で不意打ちとだまし討ちが、開幕以外は使えないかというと、そんなことはないように作ってあります。忍術の使いこなしは、ジョブクエストでも重点的にフォローさせて頂きました。

ジョブクエストは飛ばさずに見てくださいと吉田氏

――その辺りでもジョブクエストが重要になってくるわけですね。

吉田氏: 忍者は1つ新しいアビリティを伝授されると、非常に多くのことができるようになるジョブです。「天の印」、「地の印」、「人の印」という3つの印を順番に覚えていくのですが、印は単体でも忍術に影響を与えますが、3つの印の組み合わせこそ、忍術のキモになる部分です。この3つの印はものすごくよく使うので、ホットバーに配置する際には、「天」、「地」、「人」、「忍術」の4つを近くには位置した方が良いと思います。あらかじめ決め打ちで4カ所空けておくと、手の馴染みが早いかもしれません(笑)。

――DPSが増えることでタンクとヒーラー不足が懸念されますが、何か対応策は考えていますか?

吉田氏: パッチ直後は特にそうなるとは思いますが、強引な報酬によるロール是正を行なうつもりはありません。現在の不足ロールボーナスは1日に1回ずつのデイリーを回すだけで、月間約37万ギル得られるようになっています。その金額をある程度の期間は倍増させて頂くつもりです。それくらいでしょうか。

 それでもプレイ時間の短い方は、メインジョブで新しいアラガントームストーンを集めることと、忍者のレベリングで精一杯なのではないかと思っていて、極端なロール是正施策は、結局のところ、全体に対してのストレスが余計に大きくなるのではないかと考えています。

――DPSがマッチングしづらくなるのはある程度仕方がないと?

吉田氏: 忍者をレベリングしたい人が、報酬のためだけにタンクやヒーラーをプレイするのは、やはり辛いと思いますし……。レベリングのためのコンテンツファインダーが、当面の間マッチングしづらくなるだろう、という予測は皆さんもお持ちだと思います。おそらくレベリングの主体はF.A.T.E.や攻略手帳、ギルドリーヴなどを組み合わせたものが効率が良いと感じています。実際、F.A.T.E.もアートマ実装のタイミングで発生頻度を調整していますし、どこにどんなF.A.T.E.があるか、皆さんもかなり知識が豊富なので、F.A.T.E.でのレベリング係数が非常に高くなると思っています。固定パーティの場合だと、周回した方が早いかも知れません。たとえば4人で「今日はA君の忍者を50にするから、明日は交代してB君のを集中ね!」といった方法もあると思います。

(石井聡)