インタビュー
ポイソフト 開発チーム ロングインタビュー
会社設立の経緯、任天堂を選んだきっかけ、
最新作「マンションパーカッション」についてなど様々な質問をぶつけてみた
(2013/3/6 00:00)
今回、Wii「王だぁ!」、「ボクも世界を救いたい」、ニンテンドー3DS「ひゅ~ストン」、「タケヤリマン」などをリリースし、そして3月6日に「マンションパーカッション」の発売を控えるポイソフトのプログラマー石川 泰 代表取締役、プログラマー中川 晃宏氏にお話を伺う機会を得ることができた。
ポイソフトは、社長を含めて4人という小規模体制ながら、Wiiウェア「王だぁ!」、「ボクも世界を救いたい」、3DS「ひゅ~ストン」、「タケヤリマン」といったオリジナリティ溢れるダウンロードソフトをリリースしている福岡にある開発会社だ。また、発売されたゲームへのユーザー評価が高いだけでなく、リリースのペースも実質3人で開発しているとは思えないほど早い。例えば、3DS「ひゅ~ストン」、「タケヤリマン」、「夜の魔人といくさの国~さまよえるヴァンピール~」で言えば、それぞれ半年程度の期間でリリースしている。
受験シーズンと重なったため飛行機のチケットが取れず、新幹線で福岡から編集部を訪れてくれたポイソフトの面々に、会社を立ち上げた理由、どのように企画立案し、ゲームが生まれていくのかなど、様々な質問をぶつけてみた。
会社設立の経緯、衝撃の出会いを果たした石川氏と中川氏、4人それぞれの役割
――ポイソフトは2008年6月設立ということですが、どのようなきっかけで設立されたのでしょうか?
石川氏:前の会社を辞めてフラフラしてたというか……(笑)。
――立ち上げるために辞めたんじゃないんですか!?
中川氏:彼は会社の設立に関係なく辞めたんです。それで急にゲーム会社を立てようと思ったそうで、私に声をかけてきたんです。
石川氏:僕の記憶だと、会社を辞めると決めて、彼らと仲がよかったので「君らが来るなら会社を立てるが来ないならなんか探す!」と言ったんです。そしたら2日後くらいに辞めてきたので、それじゃあ立てようと。
中川氏:そんな早くは辞めてないよ(笑)。今の会社より彼と仕事した方が楽しいと思ったので当時の上司に話をして辞めました。
石川氏:前いた会社ではいろいろやらせてもらったので、できることなら恩返ししたいですね。
――会社の社員数は4名と伺ったのですが。
石川氏:そうです。僕を含めて4名なのでここにいるメンバーで75%です(笑)。
※本インタビューには石川氏、中川氏に加え、営業担当の中川智之氏が同席。
中川氏:1人(デザイナーの北郷真洋氏)だけ留守番しています。
――皆さん元いた会社のお知り合いだったのですか?
中川氏:彼(中川智之氏)は違います。僕の弟なので。
石川氏:縁故採用です(笑)。
中川氏:部署は違ったので全く同じ仕事をしていた訳ではないですが、社長と僕と北郷は同じ会社でした。さらにその前の会社の話になるとまた違った話になりますね。
――結構長いお付き合いなんですね。
中川氏:私は新卒でゲーム会社に入ったのですが、石川はその時の同期なんです。大学卒業してすぐに入ったのでガチガチになって挨拶したのに、彼は「どーもーどーもー」みたいな挨拶をするんですよ(笑)。
石川氏:学生の頃から働いていたので、その会社には1年早くいたんです。2人ともスーツで新卒っぽいのに、片方は「僕が来たからには甲子園を狙いますよ!」とかふざけていたわけで(笑)。
中川氏:コイツは一体なんなんだ!?と思いましたね。これが最初の出会いです。
――石川社長もプログラマーとして活動しているんですよね。
中川氏:業務の割合から言うと社長というよりプログラマーだよね。社長業もちゃんとしてるけど。
石川氏:社長は何をすればいいのかよくわかってないんですよ(笑)。
――いやいや、そんなことはないでしょう(笑)。
石川氏:そもそも使えるリソースが会社にそれほどないので開発するしかないですね。役割として社長を持ってますけど。
――プログラマー、プログラマー、デザイナー、営業という構成になるんですね。
石川氏:営業と言ってますが、セリフを書いてもらったり、調べものをしてもらったりもしています。
――ある意味プランナーでもあると?
中川氏:スタッフロールではアシスタントプロデューサーとしています。プロデューサーのアシスタントという何でも屋さんの意味で。
――そうなるとサウンドはどうしているのでしょうか?
石川氏:外注ですね。ニコニコ動画などで知られているt.Komineさんにお願いしています。曲を聴いて頼むことに決めました。
――プランナーがいないとなると、プロジェクトの企画・立案はどなたがなさるのでしょうか?
石川氏:企画書は中川が書きます。
中川氏:企画の立案自体はプロジェクトのキリがいい頃にみんなでコンペをします。結果的に僕が出したものが今まで採用されてきたので、プランナーみたいになっています。また、企画を出した人間が基本的にディレクターになるので、ディレクションもやっています。
――作る人と考える人が一緒だと、開発が早く進む利点はありますよね。
中川氏:企画を最初に立てても作っていく内に変更がかかることがあります。それが簡単にできますね。
石川氏:社内的にα版、β版、製品版で内容が全く違いますから。あとで企画書を見て、笑いながら「こんなのできるわけ無いよ」みたいな(笑)。
中川氏:全然違うことが書いてあるんですが、これで任天堂さんに承認を貰っているという(笑)。
石川氏:公序良俗のチェックがあるので、それほど問題はないと信じているんですけどね。
――調整はどうしているんですか?
中川氏:基本はみんなで遊んで決めています。ディレクターとしての意見も言いますけれど、良い意見があれば採用すると。
石川氏:例えば「マンションパーカッション」であれば、音楽ゲームでビートに合わせて玉が動いて、1番大きい時に叩いたら点が高い。これは音楽ゲームとして良いであろう状態ですが、(その要素を)「入れる?」と聞いても「いらん!」と言われる。もう1度聞いても「いらん!」と(笑)。
――デバッグはどうしているんでしょうか?
石川氏:みんなでがんばっています(笑)。
――あまり表に出ない部分ですが、チェック作業って大事じゃないですか。失敗すると出し直しになったり、更新プログラムを出さないといけなかったり。
中川氏:正直な話、規模が大きくなれば外注しなければ、と思っています。今の規模であればなんとかなりますが。シミュレーションゲームは本当に外注しなければと痛感しています。「夜の魔人といくさの国~さまよえるヴァンピール~」の時に、「絶対次は外注に出そう」と思いましたね。