インタビュー

配信直前!! 「アイカツアカデミー!」バンダイ インタビュー

ライブをキーとした新しい「アイカツ! ライブエンターテイメント」とは?

【アイカツアカデミー!お披露目ライブ】

7月27日19時スタート

 「アイカツ!」の新プロジェクト「アイカツアカデミー!」がいよいよスタートする。「アイカツアカデミー!」はこれまでの「アイカツ!シリーズ」とは異なり、"配信"を中心としたコンテンツとなる。シリーズが持つ"可能性"を大きく拡げる「アイカツ!」の新たな挑戦だ。

 「アイカツアカデミー!」では、3名の新人アイドルである「姫乃みえる」、「真未夢メエ」、「和央パリン」がトップアイドルを目指していく。「まずは自分たちを知ってもらいたい」、そう思った彼女たちは配信部を立ち上げ、YouTubeで「アイドル活動」の配信を行っていく。同時にプライベートチャンネルも開設、日々の活動の報告や歌枠、ゲーム配信など色々なことに挑戦していく。VTuber(バーチャルYouTuber)の側面も持つアイドルなのだ。

【3人のアイドル】
「姫乃みえる」、「真未夢メエ」、「和央パリン」。彼女たちはファンがチャットで応援できる動画配信を通じファンと一緒に、トップアイドルを目指していく
4月に「アイカツアカデミー!」に入学した頃の「姫乃みえる」、「真未夢メエ」、「和央パリン」

 最初の配信は7月27日19時。今回配信直前のタイミングで、バンダイのメディア部シニアプロデューサーの原田真史氏にインタビューで「アイカツアカデミー!」のコンセプトを語ってもらった。

【【アイカツアカデミー!】入学のご案内】

現実のアイドルの卵が成長していく「アイカツアカデミー!」

 原田氏はまず「アイカツ!」のこれまでのシリーズの"流れ"を語った。「アイカツ!」が始まったのは2012年から。「アイカツ!」はプレーヤーがカードを購入しマイキャラをセルフプロデュースしていくアーケードカードゲーム「データカードダス」が起点となり、その世界を描くTVアニメーションと、セットで展開され、そしてそれぞれが多くのファンに支えられてきた。

 これまでの「アイカツ!」はアニメのコンテンツとしてのキャラクターの強さと、繰り広げられるドラマの面白さ。そして「データカードダス」としてプレーヤーが「マイキャラ」をセルフプロデュースしていく所に大きな魅力があった。

【これまでと異なる展開】
「アイカツアカデミー!」は、これまでの「データカードダス」と、「アニメ」という流れではなく、アイドルが配信番組を通じトップアイドルを目指す展開していくライブエンターテイメント

 一方、「アイカツアカデミー!」は「姫乃みえる」、「真未夢メエ」、「和央パリン」という、トップアイドルを目指す女の子達が実在している。実際、彼女たちは入学オーディションで選ばれており、実際にアイドルとしてのレッスンや、アイドル活動を行っていく。

 アニメのようにシナリオがあって、キャラクターを演じる声優がいて、という形ではなく、3人の女の子は日々アイドルとして活動し、ダンスレッスンや歌のレッスンをし、「ライブ」という形で配信番組でファンに向けてパフォーマンスを行い、色々なチャレンジをしたり、ファンとの交流を行う。彼女たち自身の成長をライブで体験していくところに「アイカツアカデミー!」の面白さがあるのだという。

 原田氏は「3人の女の子達は『アイカツ!』のキャラクターを演じているわけではないんです。逆に彼女たち自身の性格や受け答えがキャラクターになっていく。「アイカツアカデミー」という学園としての世界観の設定はありますが、あくまでセルフプロデュースでトップアイドルを目指す生の彼女たちの頑張りを応援していくところに、これまでの『アイカツ!』とは異なる、独自の面白さがあります」と語った。

【配信番組】
彼女たちのキャラクターデザインや、活躍する舞台は「アイカツ!」の歴代スタッフがデザイン、シリーズとしての世界観を濃密に感じさせるものに
実際にアイドル達のパフォーマンスの成長や、キャラクターを知っていく配信動画

 「アイカツアカデミー!」の原点は2014年に行った「アイカツ! Live☆イリュージョン」にある。ここではスクリーンに映し出されたアイドル達がファンの前に現れ、ライブを行うというものだった。当時はライブ中にアイドルとファンとの双方向のやり取りできなかったが、多くのファンからリアルタイムに声援が送られた。

 「ファン達とライブで、双方向のふれあい。アイドル達の反応がファンを沸き立たせ、その反応がアイドル達に届く。そんなエンターテイメントが2024年ならば実現可能です」と原田氏は語る。「アイカツアカデミー!」はその"可能性"を追求する、これまでと異なる方向性の展開を目指している。また、新たな「アイカツ!シリーズ」へのエントリーコンテンツにもなり得ると考えているという。

【アイカツ!LIVE★イリュージョン上映会を公開】
アニメやゲームを飛び出したアイドルによる「アイカツ!LIVE★イリュージョン」。今回のプロジェクトの原点となるエンターテインメントだ

 これまでの「アニメ」と「データカードダス」で展開していた「アイカツ!シリーズ」と大きく異なる部分は、実際にトップアイドルを目指して努力していく3人のアイドルの卵を応援しながら一緒に新しい「アイカツ!」をゼロから作り上げていくことが、「アイカツアカデミー!」の楽しみ方になる。3人のアイドルはこれまでのアニメやゲームでシナリオが用意されていた「キャラクター」ではなく、それぞれ自分なりのアイドルへの想いがあり、自分たちの考えでトップアイドルを目指すために色々なことにチャレンジする。

 だからこそ「世界観は大切にしたい」と原田氏は語った。3人のアイドルのビジュアルは歴代「アイカツ!」TVアニメーション番組シリーズのキャラクターデザインを行って来たクリエイターが担当。彼女たちが通う学園や、配信を行う背景なもデータカードダス「アイカツ!シリーズ」を手がけたスタジオ、クリエイターが担当している。

 こういった「アイカツ!」ならではのバックボーンは、キャラクターデザイン、世界観といったところでバンダイナムコピクチャーズ(旧サンライズ)も関わり、楽曲はランティスが担当、シリーズファンも安心できる要素も大事にしていく。原田氏自身、初代「アイカツ!」のプロジェクトプロデューサーであり、「アイカツアカデミー!」立ち上げに当たり、バンダイ社内でも色々な部署にいる「アイカツ!シリーズ」に関わっていたスタッフからこのプロジェクトへの参加の手が挙がったという。見せ方、展開でこれまでと違うアプローチをとるが、「アイカツ!」らしさにこだわった運用もしていくという。

配信番組という、現代のファンに親しみやすい形で新しいファン層を獲得する
アイドルとファンが共に成長していくプロジェクト

 「ファンの方はもちろん、作り手であるスタッフそれぞれに"『アイカツ!』らしさとはなんなのか?"という想いを持っています。それは10年間色々な形で受け継がれています。今回、『アイカツアカデミー!』メンバーはそれぞれ強く"『アイカツ!』とはこういうものだ"という想いを持ったメンバーを集めることができました。これまでと異なる所も多い『アイカツアカデミー!』ですが、ファンの方にもぜひそれぞれの『アイカツ!』を発見し楽しんでもらえると嬉しいです」と原田氏は語った。

 シリーズのファンに満足してもらう世界を展開すると共に、「アイカツアカデミー!」が挑戦するのが"新しいファン層の開拓"だ。VTuberように配信番組を行っていくのも、今の時代特に低年齢のファンを獲得するためのアイディアなのだ。3人のアイドル達も親しみやすい動画配信を目指していく。

 アイドル達はファンの声を受けて成長していく。子供達とふれあうようなイベントも予定している。アニメやデータカードダスのメインターゲットが小学生中高学年層の女の子だったように、「アイカツアカデミー!」もアイドルに憧れを持つ女の子にアプローチしていく。動画配信という形は、より多くの人が触れやすい親しみやすいコンテンツを目指し、新しいファンを獲得するための形だという。では、アイドル達はどんな配信番組を作っていくのだろうか? 次章では具体的な活動を原田氏に聞いていこう。

アイドル達の努力が見える「ライブ」と、ふれ合える新しいコミュニケーション

 「アイカツアカデミー!」のメインとなるのがアイドル達の「配信部」のチャンネルである。アイドル達はトップアイドルを目指して、どんな活動をしているかを毎週予定している配信番組で報告していく。時にはリスナーから意見をもらったりもする。この「アイカツ(アイドル活動)」こそがメインコンテンツであり、ファンはトップアイドルを目指して努力する彼女たちを応援すると一緒に新しい「アイカツ!」を作っていく。

 「アイカツアカデミー!」の大きなキーワードが"ライブ"だ。ライブとはステージの上からファンに向けてのパフォーマンスを指すだけでなく、生配信、さらに"生きている"といったような幾つもの意味を含むと原田氏は語る。そのキーワードの中で中心となるのが歌って踊る「ライブ」。もちろん、アイドル本人が歌って踊る。

【配信番組】
最初の配信は7月26日

 配信でのライブはアイドルの努力の成果だ。歌の表現力、ダンスの切れの良さ、タイミング、ライブは回を重ねるごとに洗練されていくのか? 1回目のライブパフォーマンスより、2回目の方が成長しているのか? そこにはアイドル本人の努力や想いなどが凝縮されている。それこそがライブエンターテイメントであり、彼女たちの成長を感じ、自分も頑張ろうと思えるならばそれこそが、「アイカツアカデミー!」の最大の楽しみとなるし、作り手側が感じて欲しいことだという。

 「『アイカツアカデミー!』は大きな流れとして彼女たちがトップアイドルを目指して努力していくその姿をリアルタイムで配信していきます。その大きなお披露目のポイントが『ライブ』なわけです。もちろん『ライブ』から『アイカツアカデミー!』に入っていただいても良いですし、アイドルの個人チャンネルから興味を持っていただくこともありだと思います。ぜひ、それぞれの楽しみ方を見つけていただけると嬉しいです」と原田氏は語った。

【動画】
見所は「ライブ」。アイドル達の歌やダンスがどのように成長していくかを見守る
彼女たちのプライベートや、個性が見える配信も
色々なチャレンジも見所

 配信だけでなく、ユニークなチャレンジとしてアイドル達は8月10日、11日にパシフィコ横浜で開催される「ちゃお×りぼん ガールズコミックフェス2024」に出演するという。前回はプレスに対してアイドル達をお披露目する発表会だったが、今回はこのイベントに来る女の子を中心とした一般ユーザーに「アイカツアカデミー!」のアイドル達をお披露目する。

 「アイドルは色んな所に行って自分をアピールする"ミート&グリート"と呼ばれる活動をする。『ちゃお×りぼん ガールズコミックフェス2024』はその最初のイベントになります。今回は、彼女たちが看板になったイベントではないし、来場者も『アイカツアカデミー!』だけを見に来たわけじゃない。そういうところに出て行って自分たちを知ってもらおう、というチャレンジです。スタジオと会場を繋いで、会場の子供達から曲をリクエストしてもらって歌ったり、そういう交流ができる最初の場所になる予定です」と原田氏は言う。

 この"観客からのフィードバック"こそ、「アイカツアカデミー!」での大きな武器だと原田氏は語った。作ったコンテンツをそのままユーザーに向かって提供するのではなく、フィードバックがある。チャットの反応だったり、ステージの観客席からの声援、そういった"反応"がステージに立つアイドルに影響を与える。これはこれまでの「アイカツ!」ではなかった要素だ。そしてその反応はアイドル達自身だけではなく、彼女たちを支えるスタッフ、そしてファン自身も変えていく。この可能性を原田氏は大きく期待しているという。

 「そしてやはり目標としてはステージの"ライブ"があります。『アイカツアカデミー!』の名前でステージを用意し、ライブを行う。そのためには彼女たち自身が成長し、大きなファンを得て、ライブが望まれるアイドルへと成長しなければならない。この目標に向かって努力するアイドル達を通じて新しい「アイカツ!」を作っていく。これこそが『アイカツ!』シリーズが持つ『トップアイドルを目指す、スポ根サクセスストーリー』というテーマを、『アイカツアカデミー!』でどう表現するかというチャレンジなのです」と原田氏は語った。

 さらに原田氏は言葉を重ねる。「『アイカツ!』そのものがチャレンジをしていく物語なのです。アニメでもトップアイドルを目指し、アイドル達が様々な挑戦をする。私達スタッフもコンテンツを育てるために色々なチャレンジをしてきました。『アイカツ! Live☆イリュージョン』もそのチャレンジの1つだったんです。そこからシリーズでは、『アイカツフレンズ!』でのオンデマンドでのカード筐体や、『アイカツプラネット!』では"実写化"もした。だからこそ今回も、アイドル自身だけでなく、我々スタッフも色んなチャレンジをしていきます」。

 歌や踊りをステージで見せる狭い意味での「ライブ」を軸に据える場合は、生で歌うことで観客から反応が得られ、その声援がアイドル達のパフォーマンスをさらに魅力的なものにできる、広い意味での「ライブ」がなければ成立しないのではないか? 「『アイカツアカデミー!』はファンや観客との生のふれ合いこそが大きなポイントだと思っています」と原田氏は語った。

【マイページ】
ファンの大きな楽しみとなるのが「マイページ」でのカード収集、配信やイベント参加でカードがもらえる。カードには特別なボイスも収録

 このほか、「アイカツ!」ならではの要素も盛り込まれる。例えば配信動画で過去の「アイカツ!」シリーズからのアイドルとのコラボ企画なども、アイディアとして考えているという。しかしそうなると"世界線"が気になる人もいるであろう。

 「アイカツアカデミー!」のアイドル達はどういう立ち位置なのか? 彼女たちは私たちのいる現実世界でトップアイドルを目指して努力していくが、その外見や住んでいる世界は「アイカツアカデミー!」としての、フィクションがない混じった世界だ。

 原田氏は「そこは本質ではないと思います」と語る。「アイカツアカデミー!」は「トップアイドルを目指す女の子達が努力し、成功を掴むドラマ」である。その面白さこそがテーマだ。大事なのは、3人の女の子がこれから本当にトップアイドルを目指してレッスンを重ね、時にはプライベートでの自分を語り、歌やダンス、そして人柄やキャラクター性でファンの心を掴み、ファンと共に成長することにある。「アイカツアカデミー!」は彼女たちとファンが作り上げていく新しい形の「アイカツ!」になって欲しいという。

 最後にファンへのメッセージとして原田氏は「『アイカツ!』はこれまでたくさんのファンの皆様に支えられここまでこれたと思っています。『アイカツアカデミー!』ではこれまでと少し違う見せ方で、支えてくださったファンの皆様と共に新しいファン、子供達へもアピールしていけるようにチャレンジしていきます。ぜひ応援よろしくお願いします」と語りかけた。

「アイカツアカデミー!」のチャレンジに期待して欲しいと語る、本作のプロデューサーを務めるバンダイのメディア部の原田真史氏。原田氏は初代「アイカツ!」のプロデューサーであり、今作ではシリーズを手がけたスタッフが結集しつつ、進行は若いスタッフが中心となってプロジェクトを進めているという

 「アイカツアカデミー!」は発表会でもユニークな取り組みだと感じたが、「成長するアイドルを応援していく」という"物語"を、フィクションとリアルの境界線にいるアイドルで、配信番組で展開するという本作ならではのコンセプトを今回改めて聞くことができ、とても面白く感じた。

 実際、アイドル達が努力により歌やダンスがうまくなっていくのを配信でしっかりわかったり、ゲームや趣味の話などの配信で彼女たちの人となりを知ったり、チャットやステージで交流できるというのは、現実のアイドルやVTuberに近い感覚であるだろう。

 ここに「アイカツ!」のこれまでのノウハウがどう活かされるのか、「アイカツアカデミー!」ならではのアイドルとはどのようなものになるか、期待しつつ、第一回の配信を待ちたい。「アイカツアカデミー!」の配信は7月26日19時からである。