インタビュー

20年越しでゴッドパワーがリチャージ式に! 「Age of Mythology: Retold」体験レポート

【Age of Mythology: Retold】

9月4日発売予定

価格:3,800円より

 Microsoftといえば、現在ではXboxの担い手というイメージが浸透しているが、同社がゲームコンソールビジネスに参入する前は、Windows OSの振興策としてPCゲームの担い手であってことはあまり知られていない。現存するフランチャイズとしてはなんといっても「Microsoft Flight Simulator」だが、それに並ぶ存在と言えるのが「Age of Empires(AoE)」シリーズだ。

【Age of Mythology: Retold – Xbox Games Showcase 2024】

 「AoE」シリーズは、eスポーツの黎明期、1997年に誕生し、Blizzard Entertainmentの「Starcraft」(1998年)やCavedogの「Total Annihilation」(1997年)に並ぶリアルタイムストラテジーの代表作として一世を風靡した。その当時、多くのPCタイトルが代理店による販売だったのに対して、「AoE」シリーズはマイクロソフト自身がローカライズして自社販売していたため、日本でもかなり人気となった。当時開催されていた世界最大規模のeスポーツ大会「World Cyber Games」で日本人が優勝したこともあると言えば、その盛り上がりぶりがわかるだろう。現在は、「League of Legends」に代表されるMOBAに取って代わられ、eスポーツシーンから退場して久しいが、eスポーツ初期に必ず名の上がるフランチャイズということは覚えておいて欲しい。

【WCG種目にもなった「Age of Mythology」】
写真はWCG 2002「Age of Mythology」部門の日本予選に参加するHalen選手。当時はeスポーツの種目にも選ばれるゲームだった

 前置きが長くなったが、今回紹介する「Age of Mythology: Retold」は、2002年に発売された「AoE」シリーズの外伝的作品「Age of Mythology(AoM)」のリマスター版だ。「Age of Empires」と「Age of Empires II」が世界的に大ヒットしていた後の作品だけに、非常に注目度も高く、開発元のEnsemble StudiosもRTSの開発スタジオとして油がのりきっていた時期だ。筆者もかなり遊び込んだ記憶がある。

 ただ、当時の評価はどうだったかというと、あまり芳しくなかった。2002年当時は、ゲームのグラフィックスが2Dから3Dに切り替わりつつあった過渡期で、「AoM」もその影響を大きく受けた作品だったと言っても過言ではない。ゲームバランス的にもゴッドパワーが強すぎて大味になっていた印象がある。当時プレイした多くのPCゲームファンには“惜しかったタイトル”として記憶に刻まれているタイトルだ。

【グラフィックスの進化】
当時のゲーム解像度は1024×768(XGA)ドットレベルだった
「Retold」では4Kに対応。表示領域が全然異なることがわかる
ユニットの造形も進化。当時から角張っていてあまり良くなかったが、ようやくまともになった
シンボルであるタイタンも進化。かなり強そうに見える

 「Age of Mythology: Retold」は、2021年に発売されたシリーズ最新作「Age of Empires IV」のエンジンをベースに、完全に作り直されており、最初からXbox Series X|S版も同時発売される。開発元は、Ensemble Studiosの後継スタジオとして、「Age of Empires II: Definitive Edition」を皮切りに新生「AoE」シリーズを生み出し続けているWorld‘s Edge。

 開発にオリジナルスタッフは直接は関わっていないということだが、開発責任者のEarnest Yuen氏は、Microsoft側のスタッフとして「AoE」シリーズの開発に関わっており、当時の開発メンバーとの交流は続いており、アドバイスは容れているという。なお、生みの親であるシェリー氏は、すでに業界から完全にリタイア済みで、関わっていないということだが、Yuen氏からすると神のような存在ということで、リスペクトし続けているという。

取材に応じてくれたWorld‘s’ EdgeシニアディレクターのEarnest Yuen氏
「AoE」シリーズの生みの親 Bruce Shelley氏

 ちなみにタイトルをこれまでのリマスター版で使っていたDefinitive Editionではなく、Retold(再編)とした理由は、中身を進化させて、再度世に訴えかけるという想いを込めたという。実際「Age of Mythology: Retold」では、「AoE II」や「AoE III」のDefinitive Editionと違って、グラフィックスやサウンドが進化しただけでなく、ゲーム性が変化している。

 中でも最大の変化は、ゲームのキー要素であるゴッドパワーが何度でも使えるようになっているところだ。「Age of Mythology」では、ゴッドパワーは1種類につき1度しか使えず、なかなか使いどころが掴めなかった。「Retold」ではチャージ式になっており、「LoL」的な感覚でバトルの度にバンバン使って行ける。この結果、バトルがさらにエキサイティングかつアグレッシブになった印象だ。「色んなゴッドパワーを組み合わせて使って見て欲しい」とYuen氏。ちなみにYuen氏によれば、ゴッドパワーの1回限りの仕様は、当時も不評だったように記憶しているが、実は技術的な制限でやりたくてもできなかったという。

 体験プレイでは、部隊を率いてステージ奥にいるタイタンを倒すという15分ほどの内容だったが、表示領域が広く、グラフィックスも精密になっているため、かなり遊びやすくなっている。加えてゴッドパワーがリチャージ式になっているため、敵が波状攻撃を仕掛けてくるような難所でどんどんゴッドパワーを使用し、さらにタイタン戦でもガンガンライトニングを打ち込み、見事にクリアできた。当時に比べると、比較にならないほど遊びやすくなっており、RTS初心者から往年のRTSファンまで幅広い層にオススメできる作品に仕上がっていると感じた。

【スクリーンショット】