インタビュー

「モンハンワイルズ」開発陣インタビュー! 開発者が語る”モンハンらしさ”のこだわり

【モンスターハンターワイルズ】

発売日:2025年予定

価格:未定

プレイ人数:1人(オンライン:1~4人)

CEROレーティング:審査予定

 カプコンは、ハンティングアクションゲーム「モンスターハンター」シリーズの最新作「モンスターハンターワイルズ」の発売を2025年に予定している。

 先日公開された第2弾のプロモーション映像では、本作の世界観やゲームシステムの一部を垣間見ることができ、よりドラマチックな演出を可能とした新たなリアリティのあるグラフィックス表現の美麗さで多くのファンを熱狂させた。

 とは言えまだまだ未知な部分の多い本作。本稿では現状公開された「モンスターハンターワイルズ」の新情報をまとめつつ、メディア向けに行なわれた開発者インタビューにて判明した本作の魅力について掘り下げていく。

【『モンスターハンターワイルズ』 プロモーション映像2】

シームレスに動く世界と「モンハン」らしさを追求した原生的に尖った独特の雰囲気に注目

 現在公開されているPVでは、砂漠を舞台にハンターと新モンスターである“ドシャグマ”等が攻防を繰り広げている姿が映し出され、ストーリー展開とゲームプレイがシームレスに繋がる様子が確認できた。

 進化したグラフィックス技術で描かれた原生的な世界とキャラクター達は、過去作「モンスターハンター:ワールド」を正統進化させたような美しさであり、自然にアクションへと繋がるシームレスのシステムと合わせて高い没入感を生み出している。

 加えて本作では大型モンスターも群れを形成して襲って来たり、狩猟中も天候や砂嵐などの自然現象といった世界の移り変わりもシームレスに行なわれるとのことで、「モンハン」が持つ原生的な世界観をより強めるような施策が多く成されているという。

 クエストのシステムも受注して狩りに向かうのではなく、今までにない“モンスターを発見してからシームレスに始まる”といったスタイルも可能になっているため、全体的にシームレスを活用して臨場感を高める事に重点が当てられているような印象を受けた。

砂漠でモンスターに終われるシーンでは美しいムービから流れるようにアクションパートへ移る様子が確認できる。ロードも違和感もないのが凄い……!
恐らく序盤モンスターに登場するモンスターであろう“ドシャグマ”も群れを成して追ってくると流石に恐ろしい。シームレスに巻き起こる自然の変化と合わせて、過去一で自然の過酷さを味わう事になりそうだ

 ストーリーパートでは、今作の舞台となる「禁足地」へ赴くハンターの姿や、物語の鍵を握る何かを探す謎の少年“ナタ”の姿が確認できたりと非常に強いドラマ性を感じ取れる。他にも人語を喋るアイルーがいたり、過去作を彷彿とさせるような衣装を身に纏っているキャラクターが居たりと現状ですら気になる要素が満載だ。

 「モンスターハンター」シリーズはストーリー部分にも非常に力が入っているため、この高い没入感の中でどのような物語が紡がれるのかも注目したい。

禁足地調査を任命されるハンターと、一行と行動を共にする謎の少年……歴代シリーズの中でもトップレベルにシビアな雰囲気を感じる

「集中モード」と「武器の切り替え」で進化した狩猟アクション! 過去作で人気だったアクションも続投か!?

 アクションシステム面における本作の独自性も続々と公開されている。

 まず1つ目が「集中モード」だ。今作では狩猟を行なう中でモンスターにダメージを与えていると体表の色が変化していき、通常の弱点とは別に大ダメージを狙えるポイントが発生する。「集中モード」はそんな急所となる部分を狙って特殊な攻撃アクションを行なえる新要素となっており、大ダメージを狙うことができるのだ。カメラワークや立ち回り、アクションなども既存シリーズにない挙動となっているため、本作らしい狩りを体現するシステムとなりそうだ。

集中モードではカメラワークが通常とは異なる視点となり、臨場感満載のカッコいいアクションが炸裂する!

 2つ目は狩猟中に行なえる「武器の切り替え」だ。今までのシリーズ作品ではできてもベースキャンプでの武器の切り替えだけだったが、今作からはモンスターと対峙している状態から2つの武器を入れ替えられるようになっている。

 武器の切り替えはハンターの移動をサポートする乗用動物「セクレト」に乗って移動している際に行なえるようで、スピーディーで速度感のある狩りを楽しめそうだ。

 他にも今作では「セクレト」に騎乗した状態での攻撃アクションを行なうことができたり、空を滑空できたりと「セクレト」を用いたシステムが数多く存在している。歴代シリーズを大きく上回るレベルで広大なマップを探索する本作の特徴を鑑みても、「セクレト」の役割は非常に大きいと言えるだろう。

「モンスターハンターライズ」の時に存在した「ガルク」のような存在である「セクレト」。使っていない武器を持ち運んでくれているというニュアンスで騎乗中の武器交換が可能といった感じだろうか?
素早く移動しながらの攻撃や滑空ができたりと、ライド系モンスターの中では既存シリーズを超える活躍を見せてくれそうだ!

 また、過去作品から続投となる人気システムも数多く見受けられた。「セクレト」もその1つだが、「モンスターハンター:ワールド」で登場した「スリンガー」のシステムが、今作では「フックスリンガー」として復活していることが確認できる。

 「フックスリンガー」は、フィールドの自然ギミックを起動できたりアイテムと合わせて様々なアクションが可能だったりとその役割は多種多様のようで、詳細はまだ不明だが本作の狩りにおいて重要な役割を担っているだろう。シリーズファンからすると少し懐かしいアクションだが、使い勝手の違いや本作ならではの使い道があるのかなど非常に気になる。

PV内で確認できる「フックスリンガー」のアクションはファンなら馴染み深い物が多い印象! 「セクレト」に乗りながら「スリンガー」を使っている姿はある意味シリーズの垣根を超えたアクションといった感じ

 現状だけでもかなり多くの独自性が垣間見せる本作。原生的で自然の厳しさを表現した殺伐とした独特の雰囲気にワクワクを感じたプレーヤーも多いのではないだろうか。

 続々と判明した本作独自のアクションと、「セクレト」や「スリンガー」といった既存シリーズを彷彿とさせるアクションたちが合わさってどのようなゲーム体験を生むのか非常に気になるところ。まだまだ全貌は掴めないので、今後も情報を追っていきたい。

アクションの選択肢を増やしながらもやり応えは随一! 開発者が語る”モンハンらしさ”を全面に出したこだわりポイントとは?

 最後にメディア向けに行なわれたインタビューにて開発陣より語られた内容を紹介したい。

 今回インタビューを受けて頂いたのは「モンハン」シリーズではお馴染みとなった本作プロデューサーの辻本良三氏、本作ディレクターの徳田優也氏、エグゼクティブディレクター/アートディレクターの藤岡要氏の3名だ。

 YouTubeにてこの3名によるデベロッパーメッセージも公開されているので、気になる人はぜひチェックしてみてほしい。

左から徳田氏、辻本氏、藤岡氏

【『モンスターハンターワイルズ』 デベロッパーメッセージ】

Q:リアリティのある美麗グラフィックスや随所のシームレス化による没入感の高さなど、本作ならではの表現はどのような経緯で生まれましたか?

A:「モンハン」シリーズでは生態系や自然風景などをよりリアルに捉えて描くという本質的なコンセプトが一貫してありまして、現代機になるにつれて上がったマシンパワーを活かして今作ではさらにパワーアップした表現が可能になったという形になります。

 本質的な部分は変わってないので今回だからリアル調になったというよりは、「モンスターハンター」の世界を描くためにより技術を投入しているといったイメージです。加えてモンスターや自然風景をよりリアルに描けるようになったので、登場する人物もそこに合わせて自然となるように描くのが重要だと感じていますので、今作ではキャラクター達も同じような質感や素材を用いた表現で描かれています。

Q:PV等の雰囲気や随所のシームレス化など、今作は「オープンワールド」らしさが随所に見られますが実際はどうでしょうか?

A:「オープンワールド」の定義が多岐に渡るので捉え方としては難しいのですが、いわゆる「どこでも自由に行けてプレーヤーの好きなようにゲームを進めることができる」といったオープンワールドを目指している訳ではないです。

 シリーズの特徴や遊び心地を大事にしたいですし、生態系の描き方といった部分に強くフォーカスしているので、随所のシームレス要素はそこに生きる人物や生態系を描く上で今回実装しました。ストーリー進行によって行けるエリアが増えていくのですが、その間に展開されるストーリーやアクションもシームレスに繋がる様になっているので、実質的にはシームレスで繋がる世界を楽しんでいただけるようになっています。

Q:今作独自のアクションである「集中モード」や「狩猟中の武器の切り替え」はどういった経緯や理由から生まれましたか?

A:今作はフィールド環境の変化やモンスターの種類が非常に膨大なボリュームになっています。そういった環境の変化に対応していくためには1種類よりも2種類の武器を持っておくことで、弱点属性の違うモンスター達との狩猟を有利に運んだり、切断系の武器と打撃系の武器を使い分けることで尻尾切断と気絶の両方を狙ったりなど、プレーヤーの選択肢を広げながらも、変化する環境に適応できるような遊び方ができるようにしています。

 また「集中モード」における「傷」に関してですが、コチラは「ワールド」や「アイスボーン」にも似たシステムが存在していたのですが、あの形とは全く異なる形で「傷」というシステムを昇華できないか、当時の技術ではできなかったが今回ならできることがあるのではないか、という経緯で今回登場します。

 今作ですと普通に攻撃するだけで「傷」は発生しますし、「集中モード」じゃなくても「傷」に攻撃すれば通常よりも多くのダメージが出るようになっていますので、一時的な弱点のような感覚でプレイできると思います。「集中モード」は、使用するとフォーカスが現われ、そのフォーカスに対して各アクションを手軽に行なえる仕組みになっているので、アクションが苦手な方にとっても入りやすい難易度になってくれたらと思い実装したシステムになります。「集中モード」中に「傷」に対して大ダメージが狙える「集中弱点攻撃」もモーションや構えが変わるのでアクションのアクセントに派生してほしいなと思い今回入れています。

 どちらの新システムもシリーズ経験ユーザーだけでなく初心者プレーヤーでも楽しめるような形で実装しつつ、それでいてこのシステムを使いこなさないと絶対にクリアできないといった形にはしていないのもポイントです。

【集中モード】

Q:PV内では生物的な恐ろしさを感じる「ドシャグマ」の群れなど、いぶし銀なモンスターがインパクト強めに描写されていましたが何か理由がありますか?

A:今作は大型モンスターでも群れる特質を持った存在も作りたいと思いまして、群れることでの脅威性を演出するキャラクターとして「ドシャグマ」や「バーラハーラ」等が登場しています。そういったモンスターは造形としてはかなりナチュラルな姿をしているのですが、群れることで威圧感が出るようなデザインを主眼としてます。キャラクターに応じたコンセプトでデザインの方向性を決めているのですが、そこのアプローチ自体はとても「モンハン」らしいと感じてるんですよね。

 今までも「モンハン」は1個の特性や生態系を1つのキャラクター性と捉えてデザインを構築しているので、群れを成す「ドシャグマ」や「バーラハーラ」も今までの「モンハン」から変える為に生まれたというよりは、今回の特性にあったデザインとして生まれた存在って感じです。今後も様々なコントラストのモンスターが出てくるので、ぜひ表現の幅を楽しんでいただきたいです。

【バーラハーラ】
砂地に生息する海竜種のモンスター

【ドシャグマ】
強靭な体躯が特徴の「闢獣(びゃくじゅう)」
縄張り意識が強く、群れを形成することもあるという

Q:「フックスリンガー」ではどのようなアクションが可能ですか? 「ワールド」で登場した「スリンガー」との違いなどはあるでしょうか?

A:まず1つ目は「セクレト」に乗った状態でも遠くのアイテムを回収できる点ですかね。「セクレト」に騎乗中、目的地が決まっているとオートで移動してくれるシステムがあるのですが、その際などに採集や「スリンガー」で使用する「弾」の補充などが行なえたりするので、原生的で広大なフィールドが特徴的な本作や「セクレト」との相性が非常に良いシステムだと思っています。弾がなくても今までにないフィールドギミックを起動できるので、かなり便利で楽しいアクションになってるかと思います。イメージとしては今までの「スリンガー」に「フック」がついた名前の通りの要素になりますね。

【フックスリンガー】

Q:禁足地というワードや過酷な砂漠描写など、リアル調と相まって本作には独自の雰囲気がありますが何かコンセプトなどはありますか?

A:今作で描きたい生態系の部分を言いますと”自然の驚異と豊かさ”という部分をしっかりコントラストに「モンハン」らしく表現したいと強く思ってます。その中で各エリアに特化したモンスターや色んな生態系を描いている形になります。今回砂原から始まっているのはストーリーの導入としてマッチしていたので、今回のテーマに沿ったアートワークにしているという感じです。ちなみに「禁足地」と言うのは一般的な意味での禁足地という意味合いになりまして、過去作で出ていたどこか等ではなく今作の世界における禁足地という場所に調査隊として足を踏み入れていくという形になります。

入ってはいけない場所という意味の「禁足地」。最初に調査するのは「隔ての砂原」というエリアになる

Q:「アイルー」が今回既存シリーズと異なり、喋れるようになっていましたが意図はありますか?

A:今作では「アイルー」を従来の猫語と各言語に変更が可能ですので好きなようにプレイできます。ボイスを入れた理由としては、今回もオトモや編纂者が共にフィールドに出て狩りをサポートしてくれるのですが、今作は特に色んな環境変化が多く、ユーザーが見ているだけでは気づきにくいような要素が数多く発生するので、そういう物を共にフィールドに来ているキャラクターがアドバイスしてくれるといった時にボイスが非常に有効なるからです。キャラクターとして、より相棒感が出ることに加え、プレーヤーの気づきを促す存在として今回はアイルーにもボイス対応をした形になります。

 新しい試みなので最初はアレルギーが出ちゃうプレーヤーもいるかもしれませんが、声を聴いてると「あっコイツ凄く役に立ってるな……」と体感できたりもするので、ぜひボイスの方も試してほしいと思っています。

【オトモアイルー】
プレーヤーのオトモとして調査隊に参加するアイルー。今作では人語を喋るように

Q:クエストの受注がシームレスになっているとのことですが、従来のような拠点からクエストを受けてフィールドに向かうといったスタイルでもクエストを行なえますか?

A:従来のスタイルでもクエスト受注は可能です。「クエストカウンター」や「アルマ」に話しかけてクエストを受注しフィールドに向かうこともできます。今回クエストに関してもシームレスに変化した部分が加わったというイメージで考えて頂けたらと思います。

フィールド内でモンスターの狩猟を開始すると、同時にクエストも開始されるシステムが導入されているとのことだ

Q:新アクションの追加などでハンター側がかなり強くなったように見えますが狩猟の難易度やゲーム性はどのように変化しましたか?

A:私達が思っている「モンスターハンター」のアクションにおける主眼は、モンスターの動きを見ながら自分がどう立ち回るかを判断していくというゲームだと思っていますので、その部分においては今回の新しい要素が入って来てハンターが強くなっていても根底が崩れるような形にはしていないです。

 ですので一方的にプレーヤーが好きなことばっかりできるといった調整はしないですし、逆に今回ハンターが強くなったからといってモンスターをメチャクチャ固くしたり強くするといった“何かをやらないとクリアできない”等といった遊び辛さを生むようなこともしていません。今作でもしっかり今までのモンハンライクな触り心地は期待して頂いても良いかなと思っています。

Q:オフラインでもNPCキャラクターと複数人狩猟ができるとのことですが、NPCはどのぐらいのパワーになりますか?

A:もちろん適正なパワーバランスで遊べるように調整はしているのですが、現在はまだ開発中になります。ただ私達も1人で遊ぶ方も数多く居るということは認知しておりまして、そのプレーヤーの方々にもちゃんとサポートできる部分を手厚くしていこうとは考えておりますので、今後の続報をお待ちいただければと思います。

 NPCとの協力プレイ自体はかなり序盤から使えるシステムにはなってるので、マルチで遊ぶ楽しさはもちろんながらソロプレイで遊ぶプレーヤーでもストーリーを等しく楽しめるような形にできればと思っております。

プラットフォーム間でのクロスプレイも可能になる今作。1人でも複数人でもプレイしやすい環境を期待できる

 ついにゲーム内容が公開されはじめた「モンハンワイルズ」。次回の大きな続報は8月の「gamescom Opening Night Live 2024」になるとのことだ。「gamescom 2024」の会場では世界初となるプレイアブル体験も予定されているので大きな情報発表を期待したい。