インタビュー

猿と一緒に温泉に入れる! 「Ghost of Tsushima Director’s Cut」インタビュー

コロナ禍での開発。しかし壱岐を現地取材並みにリサーチ

【Ghost of Tsushima Director’s Cut】

8月20日 発売予定

価格:
PS5版 8,690円(税込)
PS4版 価格:7,590円(税込)

 8月20日発売となるプレイステーション 5/プレイステーション 4用オープンワールド時代劇アクションアドベンチャー「Ghost of Tsushima Director’s Cut」。最大の目玉となる追加ストーリー「壹岐之譚」に加え、様々な新機能が追加された完全版となる。

 とくに「壹岐之譚」は、主人公「境井人」のルーツをたどる物語になることが先日公開されたストーリートレーラーによって明かされている。舞台は対馬と海を隔てた壱岐となり、未知となる体験が今から楽しみだ。

 今回は発売に先駆けて、本作開発を務めたサッカーパンチへのインタビューができたのでその模様をお伝えする。インタビューに応えてくれたのは、クリエイティブディレクターのネイト・フォックス氏と環境アートリードのジョアンナ・ワン氏だ。ではさっそく、その内容をお届けしたい。

クリエイティブディレクターのネイト・フォックス氏
環境アートリードのジョアンナ・ワン氏
【『Ghost of Tsushima Director’s Cut』 発売告知トレーラー】
【『Ghost of Tsushima Director’s Cut』 ストーリートレーラー】

対馬は「誰もが行きたくなる素晴らしい場所」

――「Ghost of Tsuhima」はヒット作になりました。発売後の反響を受けて、今の思いをお聞かせください。

ネイト氏:みなさんに楽しんでいただけたのは素晴らしい気持ちです。私たちが大好きだった、時代劇のジャンルに何かしらを提供できて嬉しく思います。黒澤映画作品などは私たちの原動力になっていましたので、とくに日本の方に楽しんでもらえてよかったです。

ジョアンナ氏:本作は私たちが開発したゲームではありますが、すでにみなさんのゲームになっています。プレーヤーのみなさんの経験はそれぞれ違っていて、それぞれの主人公「境井仁」のストーリーを楽しんでいただいています。そのような作品へと育っていって、夢のように思っています。

――開発の方にとっても、印象的な作品になったのでしょうか。

ネイト氏:今までにも様々なゲームを開発してきましたが、舞台の多くはフィクションです。過去には「InFAMOUS Second Son」でシアトルを舞台としましたが、「Ghost of Tsuhima」の対馬は行ったことのない、しかも地球の反対側の場所です。そういう意味でははじめての経験になりました。

 対馬には実際に行って取材もしましたが、想像していた以上に素敵な場所でした。一方で、この地域で起きた元寇の史実を知っていくにつれて「この歴史は正しく伝えないといけない」と責任を感じるようにもなりました。

 もちろん「Ghost of Tsuhima」はフィクションですし、史実通りのストーリーを完全に描いているわけではありません。ですが、信じられないほどの美しい景色があって、温かい人々で溢れている対馬はそのまま表現しています。一度知ったら誰もが行きたくなるような、素晴らしい場所です。


「壹岐之譚」開発プランは本編と同時に進行

――追加ストーリーの「壹岐之譚」について、開発の経緯を教えてください。

ネイト氏:「Ghost of Tsuhima」制作の途中では、仁が侍から冥人へと変わっていくプロセスを語るためのアイデアがいくつもありました。本編ではすべてを採用できなかったのですが、その中のひとつで、とくに気に入っていたのが「壹岐之譚」で描かれているストーリーです。

 開発プランは本編と同じ時期に考えていて、実際の作業に取りかかったのは本編の開発終了後です。壱岐の周りの海はすでに作り込んであったので、ここから段々と内容を膨らませていきました。

――もともとの計画に「壹岐之譚」が入っていたということですね。

ネイト氏:そうです。が、内容は盛りだくさんになっています。それと、一部の要素はユーザーからの声を受けて追加しています。たとえば、一体の敵にフォーカスする戦闘中のロックオン機能や、矢筒の非表示機能などです。

 これまでも二周目(ニューゲームプラス)などの機能をパッチで追加してきていますが、これらは「Director’s Cut」に直接盛り込む形で追加されます。


――壱岐への取材はされたのでしょうか?

ジョアンナ氏:対馬へは直接取材に行けたのですが、壱岐へはチームの安全を考慮してどうしても取材できませんでした。ですが、サポートスタッフの力を借りるなど、方法を工夫して本編と同じくらいのリサーチをしています。

――「壹岐之譚」のボリュームはどれくらいでしょうか?

ジョアンナ氏:イメージとしては、三幕構成となっていた本編の一幕ほどにあたります。壱岐での新しいロケーションや新しいキャラクター、その他のコンテンツも楽しんでいただけると思います。

――今回は「癒やし」がテーマになっていると聞きました。

ネイト氏:「壹岐之譚」のストーリーは、仁自身の歴史、今現在の彼、そして彼がこれからがどうするのかにフォーカスして描かれます。仁というキャラクターが、自分の過去と向き合ってそれを癒やすというテーマがあります。

 それと、我々も自粛しながら「壹岐之譚」の開発に打ち込むことができました。目的ができたことで、明るくいられたんです。我々にとっても癒やしのプロジェクトになりました。


動物の増加は「より自然とのつながりを感じる」ため

――「壹岐之譚」でのお気に入りのシーンはありますか?

ジョアンナ氏:壱岐にも「温泉」がありますが、猿と一緒に入れる場所があるんです。「猿岩」の周りを探索していくと行き着くのですが、そこがお気に入りですね。

――今回、撫でられる動物が増えていますが、それはなぜでしょうか。

ジョアンナ氏:私たち、動物が大好きなんです(笑)。それと、動物の種類を増やすことで、プレーヤーがより自然の世界との感情的なつながりを持てるように、という狙いもあります。

 本編では、プレーヤーのみなさんが狐と戯れている様子を見るのが楽しみでした。8月20日の発売以降、みなさんがどのようにゲームをプレイしていくのか、どのように動物を戯れていくのか、今から楽しみにしています。

――ありがとうございました。