インタビュー
「Microsoft Flight Simulator」開発ヘッドJorg Neumann氏インタビュー
ついにエアレース来るか!? ヘリは2022年に。今後も圧倒的なボリュームでアップデートを計画中!
2021年7月29日 00:00
- 【Microsoft Flight Simulator for Xbox Series X|S】
- 7月27日発売
- 価格:7450円(税込)より
7月27日、「Microsoft Flight Simulator」がついにXboxにも届けられた。28日0時からは日本でもサービスを開始し、Xbox Series X|Sユーザーは、パッケージ、ダウンロード、あるいはXbox Game Pass、様々なルートを介して世界のフライトを愉しんでいることだろう。
PC版が2020年8月にリリースされた当初は、極めてヘビーな、メモリ大食いのタイトルとして、「果たして本当にコンソール展開が可能なのか?」と危ぶむ向きもあったが、Xbox版の開発と同時平行して、PC版の最適化を継続。リリース当初と比較すると必要なスペックも下がり、メモリ管理もより適切となり、その延長線上の成果として、Xbox版も無事リリースされた。当初予定されていたXbox Oneへの対応は今回見送られたのが玉に瑕だが、シリーズ初の試みとなる“Xboxでリリースする”という公約は果たされたことになる。
筆者もプレビュービルドをプレイしてみたが、全般的な起動の速さ、PC版同等のコンテンツの充実ぶり、なんといってもXboxでフライトシムが遊べるという感動は大きい。重箱の隅をつつけば、UIがゲームコントローラーに最適化されているとは言い切れず、マウスが”準必須“なところや、予期できていたとは言え、グラフィックスはPC版にやや劣ることなど、いくつかのツッコミは可能だが、Xboxでフライトシムが遊べる感動の方が何倍も大きい。Microsoftは良い仕事をしたと思う。
今回はXbox版の発売を記念して、開発ヘッドのJorg Neumann氏にインタビューを行なった。PC版とXbox版の内部的な違いを皮切りに、今後のアップデート計画までひととおり質問を重ねてみた。昨年からフライトシムを愉しんでいるコアユーザーも、今日からフライトを楽しみだしたXboxユーザーもぜひお楽しみいただければと思う。
「ワールドアップデート:日本」は大成功。日本のフライトシムコミュニティも拡大中
――前回のTokyo Game Show 2020でのインタビューから10か月が経過しましたが、これまでのアップデートについてどの様に評価しているかを教えてください。
Jorg Neumann氏: 前回のインタビューで特に記憶に強く残っているのは、日本語化についての質問でして、ローカライズの動きが本格化したのはGAME Watchさんから是非に、といった内容のコメントを含めて、多くのフィードバックが私たちに届いていたからなのです。当時の私たちにそうした刺激を与えてくださったことに、私はもちろんのこと、開発チームもとても感謝しています。
さて、これまでのアップデートに関してですが、幸いなことに成功を重ね続けているといえます。当初の目的のひとつであったひと月ごとの文化圏単位でのワールドアップデートを含めた各種アップデートですが、日本のワールドアップデートを皮切りに米国、イギリス、アイルランド、北欧地方のアップデートが実装され、私の率いるチームは現在、次なるワールドアップデートの舞台となる予定の ドイツ に注力をしています。
こうした地域ごとのアップデートの裏には、各地で『Microsoft Flight Simulator』を楽しんでいるファンの皆さんにピンポイントに、かつ今後の有望な潜在的なファンも含めてあまねく触れていきたかったから、という思いがありました。
例えば、日本のように航空業界が非常に身近な国もあれば、そういった文化がまるで存在していない地域も世界のいたるところに存在しているのです。ピンポイントに地域を指定し、そこに集中してアップデートすることで彼らに私たちの取り組みを意識してもらい、ゆくゆくは空を自由に突き進む飛行機の美しさや魅力を伝えられるよい機会になったらと考えています。
そのためには、彼らの住む世界を可能な限り忠実に、そしてアクセシブルにしていく必要があると私たちは考えてきました。またまた日本を例としますが、日本が舞台のワールドアップデート以降、国内におけるプレイヤー数は驚くほど増えており、私たちチームはアップデートの結果に大きな喜びを感じています。今ではなんとミッションの作成などを通して国内のフライト魂に火を灯す大きな役割を担っている日本のコミュニティまでもが生まれているようで、私たちの目指す場所に共に進んでくれる同志たちの登場に感動しています。
また、少し大枠かつ開発チーム内の話になりますが、ワールドアップデートを複数控えている今、私たちはとっても忙しい日々を過ごしています! 今年中にはもう2つほどの実施が予定されており、来年はもう6つほど実装予定です。それらの間には皆さんのフィードバックを受け、チーム内で作成した優先順位リストの中から実現可能性を加味し、個別に着手した様々な取り組みの結果を反映させたシミュ関連の各種アップデートが実装される予定です。コミュニティの皆さんから貴重なフィードバックが多く届くため、チームでは透明性を第一に、それらのフィードバックを優先順位別のリストにしています。このリストは私たちのウェブページ上で公開されていて、それぞれの項目に対する進捗を(これもウェブで)毎週報告しているため、コミュニティの皆さんも安心してアップデートをお待ちいただけているようです。この取り組みを始めた当初は三日坊主にならないかと心配されたりもしましたが、私たちがこのリストを尊重し、ユーザー目線の改善の要望に対して本気で取り組んでいる姿を見せてからはより積極的なフィードバックが得られるようになりました。
その他にもこの10か月の中で大きなハイライトになったのはサードパーティーからの力強いサポートでした。サードパーティーのみなさんからは毎日のように電話がかかってきて、「『Microsoft Flight Simulator』というゲームは素晴らしい」から始まり、「私たちはこれからこのタイトルに貢献できるようなコンテンツの開発を行っていく」で括られた会話を何度繰り返してきたか分からなくなるほど多くの縁に恵まれました。こうした縁は素晴らしくポジティブな性質のものだと考えています。ゲーム開発にありがちなのが、周囲やコミュニティと特に強い結びつきもなく開発され、気に入ってもらえるか確信が出来ないまま世に送り出していくパターンですが、『Microsoft Flight Simulator』に関して言えば、受け入れてくれている人々がいて、彼らが共により良い体験を目指すサポートをしてくれていることが分かりやすい形でフィードバックされてくるのです。『Microsoft Flight Simulator』での体験に磨きをかけ続ける同好の士たちの存在にはチーム一同頭が上がりません。本当に感謝しています。
――今回ついにリリースされるXbox版についてですが、PC版とどのような違いがありますか?
Jorg Neumann氏: 私にとってコンソール版の『Microsoft Flight Simulator』はPC版のそれと大差ないものと認識しています。もっとあけすけに言えば、7月28日にコンソール、そしてPC向けに発売される新しいバージョンの『Microsoft Flight Simulator』といった認識が最も正解に近いかもしれません。これより先、本作で実施されるあらゆるアップデートがコンソール版、PC版を問わず同日実装されるようになるため、チームでは新たに発売されるコンソール版を『Microsoft Flight Simulator』全体を通しての5つめのアップデートと位置付けています。
その上で、パフォーマンスの最適化という点において、開発チームが考えうる中で最も優れた結果をたたき出してくれたこともあり、私たちはこの新しい『Microsoft Flight Simulator』が全体を通して最も優れたバージョンであるとも確信しています。そもそも、地球全体を描写することの難しさ、そして処理しなければならない大量のデータが列をなして待ち構える環境はどんな屈強なシステムにとっても大きな負荷となっていました。しかしながら、ここまでの10か月間、開発チームは本作の最適化のためにあらゆる手を尽くしてきました。それが功を奏して、ついには『Microsoft Flight Simulator』の最低動作環境を引き下げられるほどの状況に私たちはたどり着くことができました。私のキャリアの中でも初めての経験である「最低動作環境の引き下げ」でしたが、端的に言えばよりスペックの低いPCでも『Microsoft Flight Simulator』が動作し、より安定したフレームレートでの描画、そしてより高速なロードが実現したということになります。
かつてはPCによってはロードに2分以上かかり、ゲームを開始してもあまりの重さにカクカクしてしまい操作に支障をきたしたこともあった『Microsoft Flight Simulator』ですが、現在はロードするのに30秒程度しかかからなくなりました。こうした最適化を経たことで、7月28日に手を取ってくださる皆さんにはより快適な体験をお届けできるようになりました。
また、今回のアップデートでは新しいファン層の開拓に力を入れました。空をこよなく愛し、何十年もシミュレータで旅をしてきたベテランたちはもちろんのこと、PCやXbox Game Passに『Microsoft Flight Simulator』が収録されたことで本作はかつてないほどの新規プレイヤーに手に取ってもらえるようになっています。
こうした背景から、今回のバージョンでは新規プレイヤーの皆さんが空の上での体験を快適に楽しめるように様々な工夫を凝らしました。まったくの未経験者がフライトシムの世界に足を踏み入れた時、まずどのようなところで苦労するのだろうか。そして、緊張して委縮した人たちに手を差し伸べる時に最も適切な手法は何なのか。様々な可能性を考慮し、最新のバージョンではエジプトのピラミッド、エベレスト、そしてリオといった世界各地をツアーする「ディスカバリー フライト」を追加で16本用意しました。
これらの追加の「ディスカバリー フライト」ではプレイヤーが直接操作する必要がありません。離着陸はもちろん自動で制御されており、素晴らしいコンディションの空を十分な燃料を積んだまっさらな機体でフライトしながら観光を楽しめてしまいます。これらの「ディスカバリー フライト」をフライトシム未経験者にテストとして体験してもらったところ、大絶賛の嵐であったと記憶しています。未経験者の皆さんにとって、新しいディスカバリー フライトは代え難い成功体験の礎になってくれたのです。
加えて、初心者向けのチュートリアルもブラッシュアップの対象になりました。PC版では8つのチュートリアルが用意されていましたが、いずれも少し長すぎたようでチュートリアルの達成率、そして各チュートリアルでの学びの反映度合いを調べたところ、もっと細かく区分けされているチュートリアルが必要であることを認識しました。その際にはオーバーヘッドキックやり方を含めた豆知識、そしてサッカーの各ルールを短時間で教えてくれる『FIFA』シリーズのチュートリアルを参考にしました。結果的に『Microsoft Flight Simulator』はそれぞれのトレーニングに要する時間を5分以内と決め、達成後には評価システムによってスコアを出してもらえる方式へと切り替えられました。
今回のアップデートで忘れてはならないのがラベリング機能です。地図を思い浮かべてみれば、地域や場所を示すラベルはあって当然なのではないか、といった風に考える人も中にはいると思いますが、実はこの機能、これまでに実装されたことがなかったのです。ラベリング機能の登場によって、これからは街や川、さらには山々を超えていくときにそれぞれの名称のラベルが表示されることで現在地が素早く把握でき、フライトの経路や自身の制御技術にある程度の自信を持つことができるようになります。
景観や風景を楽しむときに操縦桿を委ねる相棒的な立ち位置にいるフライトアシスタントツールもアップデートされました。フライト中に見て回りたい地点があれば、アシスタントのオートパイロット機能で近くまで寄り、旋回してくれたりするのでプレイヤーの皆さんは操作をせずともコックピットの外に映る景色を楽しむことができるようになります。
アシスタントはフライトにおいて最も恐怖を駆り立てられると噂の着陸シークエンスに関してもサポートをしてくれます。これからはアシスタントを介して近隣の空港を指定すれば、着陸に関する一切をアシスタントが取り仕切ってくれるようになります。そして着陸についてさらに掘り下げるならば、着陸用のギアにフロートや大型の車輪などが新たに加わったことで湖や川にも着陸ができるようになりました。これら全てのアップデートはプレイヤーたちにシミュレータを使った最高の成功体験を届けるために用意されました。まだまだフライトシム未経験の皆さんがこれらのツールを駆使して空を自由気ままに旅する日を心待ちにしています。
――Xbox版『Flight Simulator』の開発時にもっともこだわった部分、実現が大変だった部分を教えてください。
Jorg Neumann氏: 最も複雑な実装だったのはコックピット内での体験の忠実性を、限りなく現実に則したものにしようと目指す過程そのものでしょうか。大きな飛行機のコックピットの中を覗いてみれば分かりますが、ああいった機体には複雑な機器、計器類がところせましと並べられています。それらの一つ一つが天候レーダーやナビゲーション用の演算などを行っていて、いずれもがコックピット内での体験を現実のものに近づける時には絶対に実装しなければならない物でした。
先ほどお伝えしたようにリアルな体験を求め続けた『Microsoft Flight Simulator』では物理演算、天候の状態までを含めた全ての要素に対しても限りないリアルさを追求してきました。ボーイング社などが専属のエンジニアチームを用意して開発しているような極めて難しい処理を行っている機器を、ソフト面だけとはいえ忠実に再現するのはただごとではありません。最終的に、全てのデバイスが動作するようになったのを見たときは本当に正しく動いているか半信半疑でしたが、これを実現したのは業界においても最高峰のプログラミングチームで、彼らは今回のアップデートに向けて素晴らしい成果を上げてくれました。
――Xbox版は、初代Xbox Oneから、Xbox One S、Xbox One X、Xbox Series S、Xbox Series Xと5つのプラットフォームへのサポートを表明していますが、内部的にいくつのバージョンがあり、ゲームの表現にどのような違いがあるのでしょうか?
Jorg Neumann氏: 今バージョンの『Microsoft Flight Simulator』はXbox Series X、そしてXbox Series Sに向けて7月28日に発売されます。現時点ではXbox Oneに対応したバージョンはありません。というのも、PC版『Microsoft Flight Simulator』は23GBものメモリを占有しており、次世代コンソール機には8GBほどのメモリが搭載されていますが、Xbox One世代は2GBほどしか搭載されていないため、これに本作を実装するとなると少しばかり冒険が過ぎてしまいまして。結果的に、まずはXbox Series世代できっちりと動くものを作ることに私たちは注力しました。
今回は内部的には2種類のバージョンをご用意しています。まずはXbox Series Xですが、こちらはフルネイティブ4Kで動作させており、Xbox Series Sでは1440pでの動作から必要に応じてアップスケールをさせています。こうした違いはあれ、どちらのバージョンでもプレイ中は差異にはほぼ気づかないと思います。コンソール機に向けての展開を行うにあたって、私たちの初志はPC版となんら変わりないものか、それよりも優れたものを準備する、という分かりやすいものでしたが、これはどちらのバージョンを遊んでいただいても分かりやすく体験いただけると私は思っています。実際、これまでに公開されたトレーラーの全てがコンソール機向けの本作でのゲームプレイ中に数シーンを切り抜いただけのものなので、実際にプレイしたときもあの通りの体験が皆さんを待っていますよ。
細かい微調整やパフォーマンスの改善に関して言えば、『Microsoft Flight Simulator』はデータのストリーミングに非常に気をつかうタイトルになります。Microsoftのテクノロジスタックをフル活用することでビジュアルデータの保存が可能になり、ワールド全体のデータもクラウド上に全て格納されています。皆さんのフライトが進行するにつれ、データが順次クラウド側からローカルへと送り届けられていく方式で、クラウドを最大限活用しているといえます。ローカルマシン側で行っている処理というと、飛行機のいくつかの基本的な処理といくつかの物理演算になりますね。
『Microsoft Flight Simulator』ならではのお話をすると、本作の周囲には開発チーム本隊と同じ方向を向いてコンテンツを創っているサードパーティーのクリエイターの皆さんがいて、そしてその結果ゲーム自体のサイズがより膨大になっています。現時点でサードパーティークリエイターの皆さんが貢献してくださったコンテンツは500点を超えており、これらの合計ファイルサイズを見ると、なんと1000GBを優に超えているのです。これらの管理もまた一つの大きな課題なのですが、今後を見越した試算ではコンテンツの追加が加速していくと考えられています。5年先にはこれらのコンテンツが合計サイズで5000GBを超えるものと私たちは思っています。
今後クラウドが挑まなければならない最大の課題は、このままではいずれ届いてしまうであろう5000GBものコンテンツデータを誇るストアを全てのプレイヤーの思うままに提供できるようにすることでしょうか。現在では技術面での実現可能性を探っている段階ですが、これが実現してしまえば世界中の誰もが『Microsoft Flight Simulator』を、好きなようにプレイできることにダイレクトに繋がります。とても素晴らしいことだと思いませんか?航空業界にとっても、フライトシムというホビーにとっても最高の出来事となるでしょう。今から待ちきれませんよ。
エアレース実装の可能性あり! 今後の拡張計画について
――『トップガン マーヴェリック』とのコラボレーションが実現しましたが、今後の展望としてアニメやマーベルなどとのコラボも検討していますか?
Jorg Neumann氏: 今回のコラボですが、開発に携わっているチームの多くが初代『トップガン』と共に育ち、この映画のおかげで飛行機、さらには飛行への興味を持った人たちがとても多いのです。
最初の映画から大分経ちますが、新しい『トップガン』の発表にはチーム一同大いに喜びましたが、そのプロジェクトチームと共に働くことが決まった時の感動は過去にないほど大きなものでした。『トップガン マーヴェリック』プロジェクトを推進している素晴らしい面々とともに今回のコラボを実現するためのミーティングを重ねると重ねるほど、私ほど幸運な男は居ないと確信するに至るほどでした (笑)。
あまり多くのコメントは難しいのですが、プレイヤーの皆さんはトップガンとしての忠実な体験を楽しんでいただくことになります。ついでに言えば、本当に、本当に高速な体験になります。これ以上具体的にお伝えできるのは少し先の話になりますが、とてもクールなコラボレーションになると確信しています。ぜひご期待ください。
――エアレースのようなゲーム内の遊びが欲しいと考えているプレイヤーが多く存在しています。こうしたフィードバックに応える計画は動いているのでしょうか?
Jorg Neumann氏: 現時点でお答えできるものはありませんが、レースなどを熱望するプレイヤーの皆さんに気に入っていただける発表が近いうちに案内できるかもしれません。この半年間、私たちはエアレーシングに触れる機会が非常に多く、歴史や現代におけるその姿などを学んできましたので。
――前回は具体的な回答が得られませんでしたが、今回『Microsoft Flight Simulator』内におけるヘリコプターの実装について伝えられるものはありますか?
Jorg Neumann氏: ヘリコプターの実装は2022年に向けて進められており、約束の期日までにこれを実現するための足場をちょうど組み始めたところになります。現実世界では、現場で活躍しているヘリコプターを送り出している企業の数々とのパートナーシップを作るためにも動き出しています。私たち自身はヘリコプターパイロットではないので、これまでの道のりには手助けが必要な場面もいくつかありましたが、コミュニティに救難信号を送ったところ、経験の豊富なメンバーたちが多く助けに馳せ参じてくれたのです。
彼らのおかげでヘリコプターに関する包括的な知識を持った人たちとの繋がりが生まれ、ヘリコプターの実装を目指す取り組みは、フライトシム業界ではよくあることなのですが、コミュニティまでもを巻き込んだ一大プロジェクトへと発展しています。フライトシムコミュニティのメンバーは様々なものが欲しいとフィードバックしてくれるので、そうした声に耳を傾ける姿勢とコミットする意志を明確に伝えることで彼らは強力にサポートしてくれるのです。まさにお伝えした通りのことが起きているヘリコプターの開発ですが、比較的自信をもって来年の実装を目指しています。
――PC版に関する話題と言えばWindows 11は外せないと思います。Windows 11における『Microsoft Flight Simulator』の動作について詳しく教えていただけませんか?もし動作するとしたら、フレームレートやグラフィックスはWindows 10のものと比べて向上すると考えてもいいのでしょうか?
Jorg Neumann氏: Windowsのチームと連携して、Windows 11のトレーラーでも『Microsoft Flight Simulator』を映していただいたので、ぜひご期待いただければ! パフォーマンスについては、次回のインタビューまでお待ちいただければと思います。また、近いうちに関連したテーマでお話しする機会が来るといいですね。東京オリンピックの開催後などがタイミング的にもいいかもしれませんね!
――最後に日本のフライトシムファンに向けてメッセージを。
Jorg Neumann氏: まず第一に感謝をお伝えしたいです。日本が舞台のワールドアップデートは最初の地域別アップデートでもあったため、非常に試験的な内容となっていました。色々な人が日本というチョイスに首をかしげていましたが、結果的には想定を超える大成功をおさめることができました。『Microsoft Flight Simulator』初のワールドアップデートが日本で、さらには東京ゲームショウ2020にちょうど重なる最高のタイミングでの実装もあいまって、これ以上ないほどの反響と反応をチームは日本国内外から感じ取っています。日本のワールドアップデート以降、国内においてはいくつかのサードパーティーが日本を拠点としたコンテンツの開発を始めており、日本の数々の空港や三菱の飛行機、さらにはホンダのジェットまでが作成されています。これらの変化は、フライトシムが日本でホビーとしての立ち位置を確立し始めている確かな感触として私たちは受け取っています。今後もフライトシムが日本に根付いていくのを、私たちはとても楽しみにしています。
――これからも期待しています。ありがとうございました。