インタビュー

「Marvel’s Avengers」開発者インタビュー。メインストーリーを幹に、サイドミッションで多彩なヒーローが? ゲームのイメージが明らかに

 ついに姿を現わした「Marvel’s Avengers」。プレイデモの後、本作のスタジオヘッドを務めるCrystal DynamicsのScot Amos氏にインタビューを行ない、気になる部分を聞いた。

スタジオヘッドを務めるCrystal DynamicsのScot Amos氏

 一番気になるのは「本作はどんなゲームになるのか?」だ。プレイデモはまさにオープニングの「ヒーローのお披露目」であり、プレーヤーは決められた順番で、決められたヒーローを操作し、ステージをクリアしていくリニア型(一本道)のアクションゲームのように見られた。本作の基本はこういったリニア型のゲームなのだろうか。

 Amos氏は本作はリニア型のメインキャンペーンがあり、そこから分岐する形で様々なヒーローをプレイできるという。分岐したミッションでヒーローをアンロックし、その新しいヒーローでマルチプレイに参加できる。解放されたミッションをプレイすることで、ゲームの世界は広がっていく。そして世界中の様々な地域で活躍できるようになるのだ。

 また、キャンペーンの合間に様々なサイドミッションでヒーローがアンロックできるサイドミッションが受けられるようになるとのこと。プレーヤーの任意でひたすらサイドミッションに挑むこともできるし、急いでキャンペーンクリアを目指すことも可能な、ハイブリッドの構造になっているとAmos氏は語った。ユーザーテストではサイドミッションばかりに夢中になる人もいるとのこと。ヒーローを集めるのは大きな楽しみであり、これらは追加コンテンツとして、さらに楽しさをもたらしていく。

会場ではヒーロー達のスーツを展示。細かい所まで作り込まれている

 「Marvel’s Avengers」では基本は最初に出てきた5人のヒーローが中心になっていくという。E3のトレーラーではピム博士が登場したが、他のヒーローはまだ秘密とのこと。発売後、無料でステージやヒーローが追加されていくが、そのスパンは今後明らかにされていくとのこと。しかし、最初からかなり遊べるボリュームが実装される予定で、その点は安心して欲しいとAmos氏は語った。

 公開されている「オンラインマルチプレイ」要素は、クリア後同じミッションを別のヒーローで挑戦するなど、より幅広い楽しみ方が可能だ。同じミッションでも他のヒーローでプレイすると違った感触になるという。追加されたヒーロー達がどのような能力を発揮するかも楽しみなところだ。

 オンラインマルチプレイの大きな楽しみは「自分だけのヒーローが作れるところ」。3つのカスタマイズの方向性があり、「ギア(装備)」、「スキル」、そして「スキン」があるという。ギアやスキンは興味が惹かれるところだが、詳細については今はまだ明かせないとのこと。スキルに関してはスキルをレベルアップさせることで強化が可能で、例えばブラック・ウィドウでも近接攻撃に特化したり、遠距離攻撃が得意だったり、プレーヤーによって違いが出てくるとのこと。

 アイアンマンは他のアーマーが使える様になるという。ゲームではブラック・ウィドウが光学迷彩で姿を消すなど、映画「アベンジャーズ」とは違う能力を獲得しており、ゲームでの彼らがどんな能力を持っているか気になることだ。Crystal Dynamicsは、マーベルの監修の元ゲームを制作しているが、ストーリーはオリジナルであり、ヒーローなどにももちろん原作をリスペクトしながら、ゲームオリジナル要素を積極的に盛り込もう、というのが開発のポリシーとのことだ。ちなみにアベンジャーズ達のイメージが映画版に近いと感じたのだが、インスピレーションは受けているももののあくまでオリジナルと言うことだ。キャプテン・アメリカのシールドに描かれた星が大きいなど、本作ならではのエッセンスも多いとのこと。

一見映画と似たデザインだが、細部は大きく異なっている

 「トゥームレイダー」などこれまでの開発がどのように役立っているかという質問に、Amos氏はゲーム開発のための自社のエンジン、ララの躍動感溢れる動きなど、コレまで得たテクニックが存分に活かされていると語った。培ってきた知識を活かし、そしてレベルアップして「Marvel’s Avengers」に挑んでいるとのことだ。

 そしてヒーローの魅力を活かすために、様々な能力をゲームで表現する際に最大限の注意を払っている。今回、あえて最も派手であろうボス戦をブラック・ウィドウに任せたのも、その表われとも言える。強力なアベンジャーズの中で、彼女だけが取り残されないように、そして彼女のファンに気に入ってもらえるように、ブラック・ウィドウの魅力を活かせる場面を用意したとのことだ。また個々のヒーロー像だけでなく、アベンジャーズらしく皆が集まったチームとしての凄さも意識しているという。

 「アベンジャーズのゲームを作る」ということがチームに知らされたとき、Amos氏は喜びで大騒ぎしたという。彼は1991年からゲーム開発に携わっているが、マーベルコミックの大ファンであり、このゲームを開発できるのは本当にうれしいとのことだ。Amos氏はあえて「どのヒーローが好きか」という質問には答えなかった。Amos氏にとって最も尊敬するヒーローはお母さんであり、Amos氏は5人兄弟の末っ子。5人もの子供を育て上げた母親は本当に尊敬しているし、5人兄弟だった彼だからこそ、5人のヒーローであるアベンジャーズを見事に描ける自信があるという。母親は残念ながら数年前に他界してしまったが、「幸せのために自分の身を捧げる」というところでも、Amos氏が持つヒーロー像に強く影響を与えてくれた存在とのことだ。

 開発をしているとどのヒーローが一番、というのは絞り込めない。そのときに開発しているヒーローが一番のお気に入りとなる。もちろん破壊衝動を発散させたいと言うときはハルクになりたいと思うし、ソーになって空を飛びたいとも思う。その時々でも変わるとのことだ。

ハルクは、バナーの衣装を展示

 ファンへのメッセージとしてAmos氏は「日本のファンにまずお見せできたのがすごくうれしいです。今後、発売日に向けて、追加ヒーローなどの情報や、新しいニュースを随時届けていきたいと思います。是非楽しみにして下さい」と語りかけた。

 今回の情報では、ステージクリア型のアクションゲームという側面が強いように感じた。「トゥームレイダー」のようにオープンワールドアクションが本編かと思っていたのだが、少々異なるようである。強制スクロールや、ユニークな地形での戦いなど、今回のオープニングで見せてくれた様々な戦場でヒーローが力をふるうゲームになるのだろうか? 今後の続報を待ちたいところだ。