インタビュー
「DEAD OR ALIVE 6」プロデューサー新堀洋平氏インタビュー
eスポーツについてはサーキットスタイルの世界ツアーを検討中!
2019年1月26日 00:10
Taipei Game Show初日の1月25日、SIETブースメインステージにおいて、コーエーテクモゲームスの新作格闘ゲーム「DEAD OR ALIVE 6(DOA6)」のステージイベントが行なわれた。ステージイベント後は、メディア向けのインタビューも行なわれ、プロデューサーの新堀洋平氏が「DEAD OR ALIVE 6」のリリース後の方針について語ったのでまとめてお伝えしたい。
コーエーテクモゲームスでは、「DOA6」のプロモーションのためにグローバルツアーを展開しており、台湾は最後のツアー先になるという。台湾での発売日は日本や海外と同じ3月1日で、予約特典や早期購入特典の内容も同じで、日本およびアジア限定のコレクターズエディションも用意される。繁体中文版という以外はすべて同じ仕様となっている。
グローバルツアーでの共通衣装となったバイマンのコスプレで登場した新堀氏は、「DOA6」は、ゲームエンジンから作り直した完全新作であり、その上で、ブレイクゲージシステムをはじめとした「DOA6」の新システムや、ほのかやNiCOなどの新キャラクターを紹介した。ブレイクゲージと呼ばれる必殺技ゲージを消費することで、「DOA」シリーズの魅力である打撃やホールドを決めることができ、新たな駆け引きを生み出している。ビギナー向けにはフェイタルラッシュと呼ばれるボタン連打スタイルのかんたんコンボシステムを用意することで、誰でも手軽に格闘ゲームの醍醐味が楽しめる。
ゲームの紹介が終わった後は、3人の格闘ゲーマーが登壇し、新堀氏と対戦を行なった。新堀氏は「15年も『DOA』を作ってきた」と豪語していた割にはかなり下手くそで、まだ「DOA6」のシステムに慣れていないはずの女性2人に連敗。たまらず3人目の相手は、プロ顔負けの実力を持つというコーエーテクモスタッフに変わったが、こちらも敗北。開発元の意地を見せることには失敗したが、観客達は大きく進化したグラフィックスやシステムに魅了されていたようだ。
ステージイベント後に行なわれたインタビューでは、台湾メディアからは主にリリース後のアップデートの方針について質問が集中。筆者はeスポーツへの取り組みについて質問し、ワールドツアーを計画していることが明かされた。正式発表を待ちたいところだ。
――オンラインβでのユーザーフィードバックは?
新堀氏:色んな国から色んな言語でたくさん来ている。まだ全部読めていないぐらいで、良かったという意見はそのまま安心して、「ここはこうしたほうがいいのでは」という意見は、そうした方がいいと思った場合はすぐ実行に移したり、非常に役に立ち、良いテストだったと思う。
――前作はPS版とSteam版はグラフィックスに差異があったが今回は?
新堀氏:絶賛作業中の部分を含むが、コンテンツは基本的には変わらない。ゲームの内容は同じ。ただ、ハードによってマシンパワーが違うので、グラフィックスの表現は差異がある。あとは、ハードごとに操作が違う、たとえばキーボードに対応するとかそういう細かい違いはあるが、ゲームとしての差はないように作っている。
――オンラインβのコメントの中で要望が多かったのは何?
新堀氏:それに答えるのは難しい(笑)。1番はキャラとステージが少ないので、もっと色んなものを使わせてくれという意見が多かったと思う。
――「DOA6」ではDOAセントラルという新システムが用意されているが、特定のキャラクターのアイテムを、他のキャラクターに使うことはできるか?
新堀氏:実は気づいている人は気づいていると思うが、眼鏡の中には複数のキャラクターで使えるものもある。さすがにコスチュームの着せ替えはできない。眼鏡だけはということで色んなキャラクターで掛けられるようにしている。ただ、全部ではなく、女天狗のお面は他のキャラクターでは付けられないなど、ちょっとしたルールはある。
――同じキャラで上半身と下半身で違うコスチュームの組み合わせはできるのか?
新堀氏:それは毎回検討していることだが、やらないでおこうという判断になった。やはりヘンな組み合わせができてしまうのがイヤで、我々の方で作ったデザインで遊ぶというところは変えないようにしたい。
――先ほどユーザーからキャラ、ステージが少ないというフィードバックがあったということだが、今後増やす予定は?
新堀氏:少なくともコスチュームは増えるし、できればステージも増やしたい。お客さんから求められたらやるということもあるし、こちらから提供することでゲームを盛り上げていくという部分もあるが、数や時期については様子を見ながらということになると思う。
――先日女天狗のPVを公開したが、ユーザーから目つきが可愛らしくなったというコメントがあったが、キャラクターに関して本作と前作ではどのような違いがあるのか?
新堀氏:もう全然違う。キャラクターどころか、ステージ、ライティング、モーション再生から、とにかく全部違うゲームエンジンになっている。全然違う見た目になるというところからはじめて、「誰これ?」という見た目になって、「DOA」らしくするのに時間が掛かった。
――前作「DOA5」はロングランのタイトルで、多くのDLCがリリースされたが、今作でのDLCの予定は?
新堀氏:(笑)。さすがに1,000個ぐらい出すかどうかわからないが、「DOA5」シリーズも、「5」から「プラス」、「アルティメット」、最後にPS4で「ラストラウンド」を出してという形で、その都度バージョンアップを重ねて、その度にゲームも良くなって、コスチュームも増やしてということを、7年ぐらい、開発を入れると10年ぐらいやっていた。その中でゲームとしてもおもしろくなっていったし、「DOA」シリーズを好きになるお客さんも増えていった。
「DOA6」では、また新しいスタートだからお客さんとのコミュニケーションもはじまったばかりで、これから活性化していくので、コミュニケーションを取っていくうちにまた増えていくことになるかもしれない。そうなれば我々にとって幸せなことだし、お客さんにとっても長く続けていくということは良いことだと思うし、できればそうしていきたいので皆さん応援よろしくお願いします。
――レオンや、エリオットの師匠ゲン・フーの出番はないのか?
新堀氏:それについて今言うと約束になるので、約束はできない。もちろん、もみじやレイチェルを出してくれという意見が多いのは知ってるし、俺も出してえしと思っている。発売前の最後の発言の機会になるかもしれないので言っておくと、ゲーム開発では、開発費とか、色々条件があって、作りたいことを全部作れるわけではない。
最初にどういうゲームを作ろうかと考えたときに、ストーリーがあって、キャラクターがいてと順番に決めていくなかで、どうしてもストーリーに出てこないキャラクターが生まれてしまう。その中で、キャラクターの人気や、ゲームプレイのおもしろさなどで決めていった中で、レオンはおもしろいけど、ストーリーがないので外していった。正直に話すと、キャラクターを作るのは時間とお金が掛かるので、たくさん売れるとそういう機会も作れると思う。
――ほのかは他のキャラの技を真似る能力があるそうだが、新キャラの技も真似ることができるのか?
新堀氏:なかなか良い質問。答えは使えない。何故かというと、まだほのかは会ったことないし、見たことがないから。ほのかの技は、1度でも見たことがある技しか使っていない。これ以上は、ストーリーのネタバレになるから言わない(笑)。
――基本無料版のリリース予定は?
新堀氏:やるかやらないかでいえばやる。リリース時期はまだ検討しているところ。発売後、どれぐらい後にするか、開発工数や、マーケティング的な話もあって、まだ決まっていないというのが正直な所。
――今日はなぜバイマンのコスプレなのか?
新堀氏:実はバイマンは全然使えない(笑)。ただ、バイマンの技を考えてるのは私で、好きか嫌いかでいえば大好き。「DOA2」で1度消えていて、その後また復活していて、男らしさ格好良さがあるキャラクター。「DOA5」から新しい役割が与えられて、服装も代わり、このオレンジのジャケットではなくなっていた。「DOA6」で絶対にこれを着せるんだという私の意気込み、方針決めがあったなかで愛着があったキャラクターのひとり。今や普通の格好で出られないぐらい、このバイマンの格好が気に入っている。
――eスポーツへの取り組み、大会、リーグの開催計画について教えて欲しい。
新堀氏:eスポーツについては計画中という状態。色んな所に声を掛けたり、ネゴシエーションしているところで、今はまだ答えられない状態。構想について触れると、ワールドワイドでサーキットのように大会を回って、最終的にチャンピオンを決めるような、賞金も割と大きなものをやろうとしている。どこで大会でやるか、どういう形式か、賞金はいくらかとか、すぐに決まるものではないので、弊社のeスポーツをやっているグループでそれを交渉したり、調べたりしているところ。
――コーエーテクモは日本eスポーツ連合の正会員でもあるが、「DOA6」プロライセンスの発行について基本的な考え方を教えて欲しい。
新堀氏:プロライセンスについては、まだ検討まで至っていないというのが正直な所。日本のライセンスでいうと、プロというとお互いに責任を持たなければならない関係になる以上、流行っているからやるってわけにはいかない。「DOA6」自体がeスポーツをやろうと走り出したばかりなので、まずは今何ができるかを考えているところで、まだそこまで考えがいっていないというのが正直な所。
――アーケード展開について決まっていることがあれば教えて欲しい。
新堀氏:アーケードへの計画はある。これは日本だけになるが、セガのAPM3で出すことになっている。時期については我々から発表するわけにはいかないが、続報はそのうちお届けしたいと考えている。