インタビュー
その時ワシントンDCに何が起きたか? ミステリー要素も見所の「ディビジョン2」インタビュー
前作をベースに多くをリファイン。推しは長く遊べる「エンドゲーム」!
2018年10月19日 12:00
2019年3月15日発売予定のプレイステーション 4/Xbox One/PC用オンラインRPG「ディビジョン2」。人気タイトル「ディビジョン」の続編ということで、大きく期待されている1作だ。
そして今回、「ディビジョン」シリーズ開発スタジオのMassive Entertainmentより、クリエイティブディレクターのジュリアン・ギャリティ氏と、ゲームディレクターのマティアス・カールソン氏にインタビューし、気になるゲームシステムからストーリーの見所までたっぷり聞くことができた。
UBIDAY2018ではステージイベントやプレイデモのレポート記事をお伝えしたが、今回はUBIDAYでの内容を踏まえた上でのインタビューになっている。合わせてご覧いただきたい。
ユニークな体験が1:1スケールのワシントンDCから生まれる
――UBIDAYはお疲れ様でした。そのときのプレゼンテーションで驚いたのは、今回はワシントンDCが1:1スケールで再現されていることです。通りや建物まで、ほぼ再現されていると考えていいのでしょうか。
ジュリアン氏: 私たちはDCの街に敬意を払って再現しています。GIS(地理情報システム)データを利用することで、限りなく詳細なものが作れたと思っています。それに何かを縮小したり省いたりするのは、1:1の街を作るよりも手間のかかることでした。ですから、我々にとってもやりやすいアプローチだったんです。
加えて、「ディビジョン2」用に変化も加えています。ウィルスが蔓延し、どれほど混乱した世界になっているのか。この部分を楽しんでいただけると思います。
――探索する場所が「リアルな街」というのは、没入度を上げるために最適なアプローチだと思いました。
ジュリアン氏: 前作のニューヨークもそうですが、DCは色々な映画などで登場していますから、多くの人にとってまったく知らない街ではないはずです。ホワイトハウスだったり、リンカーンセンターだったり、今実際にあるものが破壊されています。そうした様子を目の当たりにするのは、ユニークな体験になると思います。
――日本のプレーヤーにとっては、ワシントンDCに馴染みのない方もいると思います。「ディビジョン2」をプレイする気分を盛り上げるために、おすすめできるような映像作品はありますか?
ジュリアン氏: リアリティという意味では、ハリケーンのカトリーナなど実際の災害の様子を知る方がより良いかも知れません。ですがあえて映像作品を挙げるなら、1970年代の古い映画ですが、私の好きな映画に「大統領の陰謀」があります。それに、「ハウス・オブ・カード」、「インデペンデンス・デイ」などを見ると、街の象徴的なものを知っておけると思います。
それに……もし映画を見なくても、どこかの誰かが良くニュースに出ているので、ワシントンDCの様子はなんとなくわかるのではないでしょうか。誰とは言いませんけどね!
マティアス氏: 加えて言うなら、もし実際のDCを知らなくても問題ないというくらい、とても興味深い街になっています。街の中にはたくさんの人の生活があって、それらがいかに破壊されていったかをプレーヤー自身が見ていくことになるからです。
ゲーム部分は多くの要素がリファイン。ダークゾーンは12月に詳細公開
――UBIDAYでは環境について多く話していただけましたので、ゲームの内容についてお聞きしたいと思います。「ディビジョン2」は、前作のゲームシステムがベースになっていると考えていいのでしょうか。
マティアス氏: はい。前作でも「ディビジョン2」でも、ゲームのコアとなるのは3人称視点によるRPGシューターです。戦略性などは、前作をそのまま受け継いでいると考えていただけたら。ですから、シューティングとしての動作と、プレーヤー自身がどんなキャラクターを育てていくかの2つのハーモニーが描かれると考えてください。
――成長要素のポイントにはスキルの解放があります。前作とはどの辺りに変化がありますか。
マティアス氏: スキルについては、いかに前作を踏襲しつつ、変化やリファインをしていくかが重要でした。どのプレーヤーもフレッシュな気持ちで触れるようなものを目指した、ということです。
まったく新しい体験としては、「スペシャリゼーション」というものがあります。これはレベル30に到達した時に、選択した「スペシャリゼーション」によって固有の武器とスキルが獲得できるというものです。たとえばグレネードランチャーなど、「これは新しい」と思ってくれるものを追加しています。
――新しいスキルの中で、何かおすすめはありますか。
ジュリアン氏: ひとつ例を挙げると、「ケミランチャー」というものがあります。これはグレネードランチャーのように弾を投射して、着弾時に爆発してガスを充満させるものです。敵が固まっているところに撃ち込めば、ガスの雲で敵にダメージを与えられます。
――前作の特徴と言えば、ゲームの中心に作戦基地があって、ここをだんだんとアップグレードして街の秩序を取り戻していきました。今作にも同じような要素があるのでしょうか。
ジュリアン氏: もちろんあります。そして、より新しく、良くなっています。UBIDAYでお見せしたデモには、その点が凝縮されています。デモに登場したコントロールポイントという場所では、飛行機が墜落し、その中の荷物が散乱しています。
これらの荷物は資源になるので、周辺に住む市民にとってもエージェントにとっても大事なものですし、そして敵が欲しがるものでもあります。こうした場所を自分たちの統治下に置くことで、周りの人たちが安心して暮らせるようになる、というようなイメージです。
――ベースとなるシステムは前作を踏襲しているということで、今作でもメインミッションやサブミッションが数多く登場すると思います。UBIDAYでは様々なロケーションが登場するという話がありましたが、これらはミッションの構成に影響するのでしょうか。
ジュリアン氏: いくつかはそうです。メインミッションは、各エリアによって特徴的なミッションが体験ができます。サイドミッションに関しては、強盗や暴動など様々な事件が様々な場所で発生します。UBIDAYでは6つの環境があると言いましたが、重要なのは、全体で1つの世界ということです。ワシントンDCそのものが、1つの世界だと思ってほしいのです。
――前作では地域ごとに推奨レベルがありましたが、今作はあまり関係ないということでしょうか。
ジュリアン氏: 地域ごとに推奨レベルが存在する、という要素は変わっていません。しかし、踏み入ることは可能です。前作では、ブルックリンにいる段階でレベル30になっている人もよく見られました。そういうプレイもアリですね。
マティアス氏: 推奨レベルという点では、メインとなるキャペーンが終わったあとの世界にも注目してほしいですね。キャンペーンが終わると、エリア全体が自分のレベルに合わせた環境になります。新しいアクティビティがあったり、驚くような仕掛けを用意していて、長い時間をかけて楽しめるようなものにしています。キャンペーン後、つまり本作のエンドゲームにぜひ注目してください。
――続いてマルチプレイにして聞きたいのですが、ダークゾーンやPvPモードで何かお話できることはありますか。
ジュリアン氏: ダークゾーンについては、12月くらいにすべての秘密を公開しようと計画しているので、今の段階では明かせません。ですが、前作からはずいぶん良くなっているはずです。前の悪かった部分を直しつつ、新しい要素も入れています。デスマッチなど新しいPvPモードについても、同じ時に明らかにする予定です。
――協力モードについて何か新しい要素はありますか。
マティアス氏: 新しい要素には「レイドモード」があります。これは4人1組が2チーム、合計8人でプレイする協力戦です。
本編での協力モードについては、前作でもそうだったようにいつでもどこでもできるものです。マルチプレイでも、1人プレイでも楽しい体験になるように作っています。またローディング時間は問題の1つだったので、できる限り短くできるよう、ゲームエンジンの「Snowdrop」を常にカスタマイズしています。
物語は「DCで何が起きたか?」を探っていくミステリーになる
――次はストーリーについて伺いたいのですが、「ディビジョン2」に登場するエージェントは前作とは関係あるのでしょうか。
ジュリアン氏: 前作とは関係ない、新しいディビジョンチームになります。ディビジョンのメンバーはアメリカ全体に存在していて、普段は他の市民と同じような生活を送っている“スリーパーエージェント”です。ですから、サンフランシスコにも、ニューヨークにも、ワシントンDCにもメンバーはいます。
ただ、「ディビジョン2」では「DCの外にいる」メンバーを操作することになります。そして彼らがDCに入り、「そこで何が起きたか?」を見ていくストーリーが描かれるのです。
――ストーリーとしては、ミステリー要素が入ってくるということですね。
ジュリアン氏: その通りです。UBIDAYでお見せしたトレーラーでは、アメリカの中心で、最も戦力があって、最も攻め落としづらいはずDCが“なぜ”失われたのか、というところが語られています。
――前作には「エコー」という機能で「そこで何が起きたか?」を探る要素がありました。今作でも「エコー」は登場しますか?
ジュリアン氏: 「ディビジョン2」にも「エコー」はあります。ただし、パンデミックから7カ月経っているので、残っているエコーはどんどん失われています。状況が変わっているので、調査には前作とは違うアプローチが必要になるかも知れません。
――UBIDAYでも大きく目立っていた「トミーベア」の意味を教えてください。
ジュリアン氏: トミーベアには様々な意味があります。1つは道具のパーソナライゼーション、つまり自分用のカスタマイズということです。特殊部隊を取材したとき、彼らは戦場で使い勝手がいいようにバッグや道具を改造していました。トミーベアもそのカスタマイズの1つということです。
もう1つは、バッグ1つで語られるストーリーとしての意味です。このトミーベアは、特殊部隊の1人が娘からプレゼントされたものなんです。そこから彼と娘の関係性がわかりますが、では娘は今どこにいるのでしょうか? そんな物語が、バッグ1つで語られるわけです。
マティアス氏: ゲームの中では、プレーヤーの勲章という意味もありますね。それを見るだけで「あのミッションをクリアしたプレーヤーなんだ」などということがわかります。言葉ではなく、見た目でプレーヤーの過去が理解できるのです。
ジュリアン氏: 我々としてトミーベアは、ほんの小さいアクセサリーのつもりでした。でも秋葉原に来たら2メートル近いものになっていて、本当に驚きましたよ(笑)。
――前作のプレーヤーに何か特典はありますか?
ジュリアン氏: 前作「ディビジョン」で「シールドプログラム」というキャンペーンを行なっています。これは「ディビジョン」の中でミッションを達成すると、報酬が「ディビジョン」と「ディビジョン2」の両方で獲得できるというものです。今まさに進行中のキャンペーンなので、チェックしていただければと思います。
――では最後に。今後予定されているベータでは、何がプレイできますか?
ジュリアン氏: それは……言えません!
――わかりました! 楽しみに待つことにします。本日はありがとうございました!