【特集】
「エルデンリング」自由研究! 「壺人」の謎を追うことで見えてくるエルデンリングの世界【夏休み特集】
かわいい見た目とは裏腹に重い設定
2024年8月15日 00:00
- 【SHADOW OF THE ERDTREE】
- 6月21日〜 配信
- 価格:4,400円〜
「エルデンリング」においてマスコット的なキャラクターである「壺人」。壺から手足が生えている謎多き生物で、狭間の地の様々な場所で登場する。子供のような小型の壺人や、超巨大な壺人など、様々なタイプが存在し、敵として登場する個体が多いものの、「鉄拳アレキサンダー」や「小壺」のように、こちらに友好的なNPCもいる。壺には顔らしきものはなく、目や耳はないがしっかりと見聞きはできているようで、口がないのに喋る。もちろん、表情もわからない。奇妙な見た目をしているのだが、その一方でどこか愛嬌があり、可愛げのあるキャラクターだ。
そんな壺人だが、その中身や製法には謎が多く、可愛い見た目に反して中身が人間の肉であることから様々な考察がなされていた。DLC「SHADOW OF THE ERDTREE」で明かされた壺人の設定に関する情報も多く、よりファンのフロム脳を刺激するものとなっていた。
壺人の中身は何なのか? 壺人はどこから、そしてなんのために生まれてきたのか? 今回は夏休み企画として「壺人」の謎を追求・考察していく。筆者の想像も随所に混じる点には留意して欲しい。
※この記事には「エルデンリング」本編、及びDLCのネタバレを含みます
※本記事には一部グロテスクな画像・表現が含まれます
壺人は善良? 「影の地」で明かされる壺人の「中身」
壺人は狭間の地(本編)で明かされた情報からだと、基本的に壺人は善良であること。壺には色々な役割があり、アレキサンダーのような「戦士の壺」は戦士の遺体を中身に詰めることでより強くなることなどがわかっていた。
また、彼らの破片は禁呪の力を秘めているとされており、中身を狙う密猟者もいるらしい。実際、小壺のイベントでは壺村が襲撃者の被害にあったり、アレキサンダーのイベントでは彼の破片をタリスマンとして入手することができる。そのタリスマンの効果は「戦技の威力を上げる」という超強力なもので、禁呪の力と言われても納得だ。
DLCの舞台となる「影の地」にも壺人は登場し、彼らに関連するアイテムも登場するが、そのどれもがブラックな内容となっている。
まず、壺人が敵として登場する「牢獄」の名を関するいくつかのダンジョンには、必ず大量の壺が転がったり、吊るされている。牢獄は名前の通り罪人を閉じ込めておく牢屋らしく、黒い影のような罪人と思われる敵も登場するが、ベルラートの牢獄では「壺は嫌だ……」と嘆く霊体の姿も確認できる。
この時点で嫌な予感がするのだが、そのまま牢獄の深くまで進んでいくと、壺の中から肉の塊のようなグロテスクなクリーチャーが這い出てくる。突然登場した壺の中身とその姿には驚かされた人も少なくないだろう。
そんな壺の中身だが、倒すことで「中身肉」というアイテムをドロップすることがある。中身も見た目もそのまんまのアイテムだが、テキストには「善き人になるために切り刻まれ、大坪に詰め込まれた罪人達のなれの果て」という、なんとも物騒なことが書かれている。牢獄の罪人たちも、罰として壺の中身になっていったのだろう。そして、制作者の狙い通り「善き人」となったからこそ、「壺人は善良」とされているようだ。
では、こんな惨忍な手法で壺人を制作したのは誰なのだろうか? その答えは、影の地にある「ボニ村」に行くことで明らかになる。ボニ村は影の地の先住民族である「角人」達の村で、村にはたくさんの空の壺が積まれており、不穏な空気が漂っている(DLC序盤から関わることになるNPC「角人」の人種が「角人」。少しややこしい……)。
ボニ村では巨大な解体包丁を持った角人の敵対NPC「大壺師」が何人か襲ってくる。彼らを倒しても武器は手に入らないが、ボニ村を探索することで「ボニの解体包丁」と「歯の鞭」という、壺の中身と製法の核心に迫る記述がある武器を入手することができる。
ボニの解体包丁には、「牢獄に納める大壺を作るために人体を切り分ける大包丁」と書かれており、牢獄にあった壺の中身が人の肉だと改めてわかる。一方の「歯の鞭」には「汚れた歯は、あらゆる雑菌に塗れており、その歯傷には猛毒が蓄積する。(省略)巫女たちは他の肉とよく馴染んだという」。
読んでいるだけで身体が痛くなるようなテキストだが、「巫女たちは他の肉とよく馴染んだという」という一文から、壺には罪人だけでなく、巫女も入れられていたことが察される。ボニ村には巫女に「大人しく壺に入りなさい」、「善き人になりなさい」と呟く霊体が存在することからも、壺人の中身は、罪人を「善き人」にするために、巫女の肉と罪人の肉をミックスした、なんともグロテスクなものだと推測できる。
巫女とはどこから来たのか……
何の罪もないにも関わらず、罪人たちと一緒に壺の中身にされてしまった「巫女」とは、どこからやってきたのだろう。 影の地には「巫女の村」という土地が存在するのだが、その場所は隠されており、とある教会で「母よ」のジェスチャーを使うことでしか見つけることができなくなっている。教会には「慈悲よ 攫われた巫女たちに」というメッセージがあり、「母よ」のジェスチャーがボニ村にある巫女の遺体から手に入ることなどから、角人によって「巫女の村」から攫われた巫女が、ボニ村で壺の中身にされていたであろうことがわかる。
余談となるが、「巫女の村」は、「エルデンリング」全体の重要人物である女王マリカの出身地でもある。マリカはDLCで登場する「串刺し公メスメル」の母でもあり、そのメスメルはマリカに命じられ、影の地で虐殺を行なった人物。そしてその虐殺の主な被害者は角人だ。ここから、巫女たちを誘拐し、痛めつけて壺の中身にした角人に対する復讐として、マリカが虐殺を指示したのではないかと筆者は予想している。
本編の壺人=影の地の壺人ではないが……
このように、DLCでは壺人の様々な情報が明かされた。特にその製法は、マリカやメスメルといった重要人物、ひいては「エルデンリング」全体のストーリーにも関わってくる重要なものだった。
とはいえ、頭頂の紋章が異なることや、影の地には「戦士の壺」がいないこと等から、影の地にいる壺人と、狭間の地にいる壺人は全く同じ存在ではないようだ。しかしながら、狭間の地で入手できるタリスマン「友なる壺」のテキストには「壺たちは皆善良である。あるいはそれこそが彼らが作られた理由であったろうか」とあることから、狭間の地の壺人達のルーツも、影の地=ボニ村にあると考えられるのではないだろうか。
どのようにして影の地から、狭間の地へと壺人の作り方が伝わったのか、投擲アイテムである「壺」とどのような関係があるのか、そもそも「小壺」とは何なのか(壺は成長するのか)など、まだまだ考察の余地のある壺人。その製法がどんなにダークなものであっても愛すべき存在なのには変わりがない。ぜひ今後も、「善良」な彼らを慕ってほしい。
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