【特集】

PCだけでできることって何だろう? ゲーマーのためのWindows 10移行講座

ゲームを遊ぶだけではもったいない! PCだからできるマルチタスクと“ものづくり”

 Windows 7のサポート終了を来年1月14日に控え、そろそろWindows 10への移行を本気で考えているゲーマーに贈る短期集中連載。3回目となる今回は、ゲーミングPCがゲームを超えて広がるクリエイティブな楽しみ方について紹介していきたい。

 PCでのゲーム体験は、単にゲームをするだけでは終わらない。ネットサーフィンや動画/ライブ配信、eスポーツ配信の観戦、ゲーム制作に至るまで、ゲームが好き、楽しいという気持ちをスタート地点にしたクリエイティブな世界が限りなく広がっている。

 インターネットが世界中のゲーマーを繋ぎ、プロユースの環境が無料で手に入るようになっている現在、技術さえあれば1人で作ったゲームで世界を取ったり、全世界が注目する配信者になったり、ハリウッドからオファーが来るようなクリエイターとして名を馳せることもできるようになった。PCはそのための窓口であり、もっとも基本的な設備投資だ。

 今回は、第1回でも紹介したWindows 10の機能「Xbox Game Bar」を使ったゲーム配信や、動画編集、さらにじわじわと独自のコミュニティが拡大しているVRの世界といったハイスペックPCだからこそできる遊びを、実際に動かしつつ紹介していきたい。

【今回の検証に使用したゲーミングPCはこちら】
LEVEL-R040-i7K-TWVI [Windows 10 Home]

PCだから楽しい、PCにしかできないこともある!

 ゲーミングPCはコンソールに比べると価格が高い。そして複雑だ。だが、そんなデメリットがあってもなおPCを選ぶのは、それ以上に大きなメリットがあるからだ。そのメリットとはズバリマルチタスクの快適さと、PCだけが持つクリエイティビティだ。

 高画質なゲーム画面で配信をしながら、テキストチャットに流れるコメントを読み上げソフトで読み上げ、マルチモニターで片方はゲーム、片方はチャットや配信の管理画面を表示するといったマルチタスクはPCが最も得意とする分野だ。

 Windowsからの動画配信には、NVIDIAのドライバを入れると付いてくるNVIDIA ShadowPlayや、定番の配信ソフト「OBS Studio」、ワンボタンで最適な環境を設定してくれる「Streamlabs OBS」、有料版はエフェクトなどが豊富な「XSplit Brodcaster」、ニコニコ動画への配信に特化した「N-Air」などたくさんの配信用ソフトがある。

【Streamlabs OBSでの配信】
「OK」ボタンを押しているだけで、ややこしい初期設定を自分のマシンに最適化した状態にしてくれるのが便利

 配信のプラットフォームも、Youtube LiveやTwitch、ニコニコ生放送など多彩なサービスから選択できる。これまで配信をしたことがなく、ちょっと試してみたいというならWindows 10に標準搭載されているゲームツール「Xbox Game Bar」を使ってMixerへ配信してみるのがいいだろう。ここでは実際にMixerを使った配信の仕方をご紹介する。

Xbox Game BarからMixerにゲーム実況を配信する

 MicrosoftのストリーミングサービスMixerは、Xbox Game Barを使って簡単にゲーム実況を配信することもできる。Mixerは遅延が少なく、ほとんどリアルタイムの配信を特徴としたゲームのストリーミングサービス。「フォートナイト」の配信で有名なNinjaがTwitchから完全移籍したことで日本でも話題となったので、Mixerユーザーでなくとも名前だけは知っているという方も多いだろう。

 配信前の準備は1つだけ。Microsoftアカウントと、Mixerアカウントを連携するだけだ。すでにMixerのアカウントを持っている場合は、Mixer側でMicrosoftアカウントと連携する。これでXboxのゲーマータグに似たアカウントが自動的に割り振られる。

 2つのアカウントの連携が終われば、後は「配信とキャプチャ」の右端にある配信開始ボタンを押して、配信を開始するだけだ。こちらもPC設定から、配信中のフレームレート、音質、外部マイクやカメラの設定や配信言語の設定などを設定することができる。

 Mixerには他にも、配信者と視聴者がインタラクティブに関係を持つことができる「Mix Play」や、最大4つの配信を画面を4分割して同時に配信できる「共同ストリーミング」といった機能もある。「Mix Play」はまだ対応タイトルは限られているものの、視聴者がリアルタイムに実況者のプレイを手伝ったり、時には邪魔をしたりすることもできる。Mixerは低遅延を武器に、単なるゲーム実況配信を超えて、これ自体が遊びとして成立するようなコミュニティ空間を目指している。

【Mixerへの配信】
低遅延がウリのMixer。配信している画面とゲーム画面を並べて動かすと、レイテンシの低さに感動する

 Xbox Game Barはスクリーンショットや動画の撮影にも活躍する。「配信とキャプチャ」には直前の30秒を遡って録画する機能もあり、バトルロイヤルで倒された後の確認に使ったり、難易度の高いゲームで失敗の原因を調べたりと便利に使うことができる。撮影した動画は「Xbox本体コンパニオン」を使って簡単な編集も可能だ。

【Xbox本体コンパニオン】
動画撮影などの機能はGame Barに移動したが、編集機能は残っている

録画した動画を編集して作品を作る

 Windows 10には他にも標準搭載されたフォトビューアー「フォト」を使った動画作成機能がある。 Windows 7には「ムービーメーカー」という初心者でも簡単に操作できる無料の動画編集ソフトが付いていた。Windows 10ではその役割を「フォト」が担っている。フォトはその名の通り、Windows 10に搭載されたフォトビューワーだが、実はスライドショーの作成やビデオ編集もできるマルチなソフトとなっている。

 撮り貯めた動画をフォトで開いて、分割したりトリミングしたり、文字やエフェクトを加えて新しい1本の動画として保存することができる。細かい設定ができない代わりに、難しい映像がらみの知識は一切必要なく、誰でも気軽に触ることができる。

【フォト】
トリミングと連結に機能を絞った動画編集機能。誰でも感覚的に使うことができる。たくさんの3Dのエフェクトや画像効果が用意されており、面白い動画が作れる

 さらに凝った動画を作るなら、Adobe Premiere Proをはじめとした有料の動画編集ソフトのほか、こちらもAviUtlなどの無料ソフトも存在する。

 丁寧な解説が入った攻略動画や、NG集のようなおもしろ動画、プレイ日記、ストーリーの考察動画からオリジナルストーリーの映画まで、YouTubeやニコニコ動画などに上がっているゲームを題材とした動画は、現在のゲームコミュニティを盛り上げている重要なパーツだ。人の動画を見るだけでなく、自分も作ってみたいと思った時、Windowsがその真価を発揮してくれる。

【Adobe Premiere Pro】
プロも使っている映像編集ソフト。After Effectと組み合わせることで、かっこいい動画を作ることができる

ゲームを遊ぶだけではなく作る側にまわる

 ここまではWindows 10が持つ標準機能を使えば、動画の撮影や編集、配信を簡単に行なうことができることを解説してきたが、せっかくのPCを所有したのなら最後にたどり着きたいのはやはりゲーム製作だろう。

 海外には製品版のゲームを自分たちでカスタマイズするMOD文化があり、ゲーム自体が創作の材料とされてきた歴史がある。例えば今をときめくeスポーツタイトル「League of Legends」は、もともとはBlizzardの「Warcraft III」のMOD文化の発展系として誕生したことはあまりにも有名だ。バトルロイヤルゲーム「DayZ」も「ARMA 2」のMODだし、「Counter-Strike: Global Offensive」も元を辿れば「Half-Life」のMODだ。日本ではゲームコンソールが常にゲームのメインストリームだったこともあり、ゲームを改造して遊んだり、自分でゲームを作るのはごく一部の人たちだけのものだった。

【League of Legends】
MODから始まり、世界を制した「LoL」。こんなゲームを作ることだって夢ではない

 だが現代はPCさえあれば、プロと同じようにゲームを作ることができるようになった。例えばUnityやUnreal Engineなど普段遊んでいるゲームが使っているゲームエンジンは、アマチュアなら無料で使うことができる。

 Unityは今まで英語版しかなく、それが敷居の高さに繋がっていたが、2018年からUnity Hubを使って簡単に日本語環境で利用できるようになった。Unreal Engineももちろん日本語で使うことができる。もっとも、これらゲームエンジンは英語での情報が圧倒的に多いので、コマンドや用語を英語のまま覚えておいた方がいいという側面もある。

 これらのツールはプログラムの知識がなくてもゲームを作ることができる。そのため、プログラム教育の最初のステップとしてUnityを使う学校も出てきている。2020年からいよいよ新教育指導要領による小学生からのプログラミング教育がスタートする。いまは縁遠く感じるUnityやプログラムも、これからの時代にはより身近にあって求められる素養となっていくだろう。

【Unityのチュートリアルゲーム】
日本語

高度な3DCGも無料で作れる時代

 ゲーム開発に必要なのはもちろんプログラムだけではなく、グラフィックスやサウンドなども必要となるが、Windows 10 PCなら、これらについてもフリーのツールが無数に存在し、追加コストゼロで、ゲームに必要なアセットを作ることができる。フリーツールは、オープンソースの3DCG製作ソフトBlenderやフリー版のLive 2Dなどが定番だ。これらのフリーツールでも使い方によっては市販されているゲームに負けないクオリティの作品を造り出すことができる。さらに学生であれば、プロ用のCG製作ソフトMayaを格安で使うこともできる。

【Blender】
インディーご用達の無料3D統合ツール。修得難易度は高いが、多機能で非常にクオリティの高いCGが作れる

 最近ではゲームのキャラメイクのようなノリで簡単に3Dキャラクターを作成できる「Vroid Studio」のようなツールも登場した。Vroid StudioはもともとオリジナルのVtuberをお手軽に作れるソフトとして登場したが、Vroid SDKを使えば作ったキャラクターをUnity上でゲームキャラとして動かすこともできる。

 インディーゲームを発表する場所も増えている。Steamのようなデジタルプラットフォームはもちろん、今ではコンソールでも多くのインディーゲームが発売されている。TGSのインディーコーナーや、京都で開催されるインディーのお祭りBitsummitも毎回大盛況だ。ゲームを単に遊ぶだけではなく、開発を通じて楽しんでいる人たちは確実に増えている。どんなに派手なゲームでも、開発はひたすらに地味な作業の繰り返しだ。しかし自分で作ってみれば、市販のゲームを遊ぶ時の視点が変わるはずだ。

【Vroid Studio】
簡単に美少女3Dモデルが作れる。カスタマイズ要素が多く、思った以上に自由度高く、様々なキャラを作ることができる

シミュレーションから創作活動まで広がりを見せるVRもお任せ

 Vtuberを支える技術としてのVRにもPCならではの強みがある。VRゲーム市場は落ち着いているが、VR技術はVtuberの収録から産業用シミュレーションまで広く活用されている。

 Vtuberの動きを、3DCGのアバターに反映させるには、ハイスペックなPCとモーションキャプチャ―のための設備が必要だ。以前は非常に高価で素人には到底手の届かなかったモーションキャプチャーだが、現在は20数万円で購入できる比較的安価なPerception Neuronというシステムも登場している。そしてVRヘッドセットもこうした創作環境の中で強力なツールとして活躍している。

 例えばHTC Viveと、Viveトラッカーを利用すれば、安価に全身をトラッキングできる環境を作ることができる。VR機器ならそういった収録に加えて、独自のゲームプラットフォームであるVive PortやSteamから様々なVRゲームをダウンロードして遊ぶこともできる。アーケードゲームにもなった大人気の「ビートセイバー」も家で遊びまくれるのだ。

【Beat Saber】

活況のバーチャルマーケットにもアクセスできる!

 VR空間には、未来のゲーム環境を垣間見せてくれるPCならではのサービスもある。「バーチャルマーケット」は「VR Chat」というVR空間を使ったコミュニティの中で開催される即売会だ。VR Chatの中はいくつものワールドに分かれており、そこではアバターを身に着けた多くの人が遊んだり、踊ったり、話をしたりしている。VR Chatではワールドやギミックまですべてユーザーが作ることができるため、マリオのようなアクションゲームが遊べるワールド、迷路になったお化け屋敷、モンスターが出てくる闘技場などギミックも雰囲気も様々な世界が無数に存在している。

 バーチャルマーケットでは、3Dキャラクターやオブジェクト、エフェクト、モーションなど、アセットと総称されるゲームのパーツが販売される。面白いのは売り手も買い手もバーチャル空間にいて、実際に売っているアバターを着てみたり、ギミックを手に取ってみたりできることだ。

【バーチャルマーケット】
電車を降りて改札をくぐったところに、バーチャルマーケットへの入り口がある
販売しているアバターには試着できるものもある。イベント専用の手鏡機能を使って、かわいくなった自分を見ることもできる
会場の1つ、Pretty Pop Party、ポップでサイケな空間にブースが点在している

 9月21日から28日まで開催された「バーチャルマーケット 3」は、ネオ渋谷、仮想工廠、Pretty Pop Party、Castello Magica、Sky Island、九龍帝国城下町という雰囲気の全く違う6つのコンセプトで作られた15の会場で開催された。知り合いが出展していたので筆者も遊びに行ってみたが、協賛しているセブン-イレブンのバーチャル店舗があったり、出展者が企画した非公式イベントがあったりと、歩いて回っているだけでも楽しかった。何しろヴァーチャル空間での開催なので、交通費を気にせず日本全国から参加できる。

 出展ブースも昭和のアパート風だったり、魔法のツリーハウスだったり、燃えていたりとそれぞれに工夫が凝らされている。売っているものも、美少女アバターはもちろん、リップシンクにも対応したタカアシガニから自作のシェーダーまで未来を感じさせるラインナップだった。

 いまはまだ様々な制約があるが、日々進化しているVR空間のコミュニティを見ていると、VR空間に飛び込んでのゲームもそれほど遠い将来の話ではないかもしれないと思ってしまう。VR Chatにはモニターで遊べるモードもあるので、VRヘッドセットがない人でも遊びにいくことができる。

 今回ご紹介したゲーミングPCの活用法は、ごく一部の可能性を示したに過ぎないが、ゲーミングPCが持つ、ゲームコンソールとは異なるポテンシャルを感じていただけたらと思う。

【バーチャルマーケット】
昭和のたたずまいのブース。テレビに映っているアバターを販売していた。外の風景との落差がすごい
企業協賛していたセブン-イレブンのバーチャルショップ。実際の店舗にいるのかと錯覚するほどリアルに再現されていた

ゲームを遊ぶだけでは終わらない環境をハイスペックで支援

 さて、今回のレポートに使用したPCは、ユニットコムのゲーミングPCブランド「Lebel ∞」の、NVIDIA GeForce GTX 2070 SUPER -とCore i7-9700Kを搭載したハイスペックモデル「LEVEL-R040-i7K-TWVI [Windows 10 Home]」。BTOにも対応しており、PCを使って行なう様々な創作活動を強力にバックアップしてくれるスペックを備えている。

【LEVEL-R040-i7K-TWVI [Windows 10 Home]】

【LEVEL-R040-i7K-TWVI [Windows 10 Home]】
CPU:Core i7-9700K
GPU:NVIDIA GeForce RTX 2070 SUPER 8GB GDDR6
チップセット:インテル Z390 Express
メインメモリ:DDR4-2666 DIMM (PC4-21300)8GB(4GB×2)
ストレージ:250GB NVMe M.2 SSD/1TB HDD
光学ドライブ:DVDスーパーマルチ
電源:700W 80PLUS BRONZE認証 ATX電源
OS:Windows 10 Home 64bit
価格:164,980円(税別)~

製品ページ

https://www.pc-koubou.jp/products/detail.php?product_id=698592

 CPUはインテルのCoffee Lake Refreshこと第9世代のCoreシリーズハイエンドモデルのCore i7-9700K。メインストリーム向けでは最上位であるCore i9-9900と同じ8コア。ベースクロックは3.60GHz、ブーストクロックは4.90GHz。GPUはTuringアーキテクチャ採用のRTX 2070 SUPER。リアルタイムレイトレーシングに対応したRTコアや、可変レートシェーディング、メッシュシェーダーなど次世代の技術、4KやDirectX 12にも対応した高性能ながら6万円台と手の届きやすい価格で、性能に対するコストのバランスに優れている。

 これまで3DCG製作や動画編集を行うようなクリエイター向けのワークステーションにはQuadroのような高価なプロユースのGPUが求められたきた。だが、GeForceシリーズの性能が向上したことで、個人の開発環境としてならRTXで十分な性能を手にいれることができるようになった。実際にプロの現場でもRTXを使用する例が増えている。

 今回紹介した複数のサービスでも、このスペックのPCがあれば動作はもちろん、起動やロード、セーブなども快適だった。スペックの低いPCからの配信にありがちなカクつきや画像の乱れもなく、特にMixerでは低遅延配信の快適さに、改めて感動を覚えた。わずか数秒の差と思うかもしれないが、その映像に対して視聴者が反応を返してくるまでには更に数秒を要する。現在進行形でプレイしながら、10秒近く前のことにリアクションを取らなければならないのは予想以上に大変だ。Mixerは現在はまだ日本ではメインストリームとは言えないが、この快適さは配信する側にとっては大きなメリットになるだろう。

 PCを使って何かを作ろうと思ったときにはスペックは高ければ高いほどいい。決して安くはない値段ではあるが、その価格は快適な環境を確実に保証してくれる。コンソールとPCが近くなりつつある今、PCが得意とするマルチタスクやクリエイティビティを最大限に生かせるだけの環境を整えてはどうだろうか。

憧れのハイスペックゲーミングPCは、ゲームだけでは終わらない新しい世界への入り口だ