【特集】

Windows 7サポート終了まで4カ月! ゲーマーのためのWindows 10移行講座

Windows 10ってこんなOS。まずはゲーマーに役立つ情報をまるっとおさらいします

2020年1月14日Windows 7サポート終了

 Windows 7のサポート終了(EOS)がじわじわと迫っている。今年の4月に、ゲーマーに向けたWindows 7終了の記事を掲載したが、その時点ではSteamの公表している使用OSデータではWindows 7が25.1%と約4分の1もいた。あれから半年、2019年9月現在の利用率は約20%。予想以上にぎりぎりまで粘っている人が多いという印象だ。

【Windows 7】

 Windows 7のサポート終了についてよくわかっていない人や、なんとかなるんじゃないかと楽観視している人、そろそろ移行しなくちゃと思いつついまひとつ具体的な行動に移れずにいる人、評判のよかったWindows 7からの移行に不安を感じている人など、事情はそれぞれ違うだろう。だが、来年1月14日になれば、確実にWindows 7のサポートは終了する。その後のリスクは個人責任だ。

【Steamのハードウェア&ソフトウェア調査】
【春と秋のOSシェア比較】
春の調査では、Windows 10のシェアは67.2%、Windows 7は25.1%だった
秋の調査ではWindows 10が72.3%に増えている、Windows 7は枠2割まで減ったがまだまだ大きなボリュームを占めている

 そこで、今回から4回の連載では、EOS後はどうなるのか、移行にはどんな作業が必要なのか、そしてWindows 10とはどんなOSで移行することで何が変わるのかと言ったことを紹介したい。ユニットコムからお借りした3台のゲーミングPCを使って、Windows 10でしか楽しめない最新技術や、動画配信など様々な機能を紹介していきたい。

本特集ではWindows 10の魅力を余さずお伝えするために、ユニットコムのゲーミングPCブランド「LEVEL∞」からスペックの異なる3台のゲーミングPCを借りて検証した

Windows 7は2020年1月14日にサポート終了

 まずは「サポートライフサイクル」と呼ばれるWindows8.1までのサポート体制についてどんなものなのかを概説したい。Windows 8.1までのOSにはそれぞれ10年のサポートライフサイクルが定められている。サポートは2段階あり、発売から5年間は有償、無償含むフルサポートが受けられるメインストリームサポートの期間、5年後から10年後までは、セキュリティ更新プログラムなど一部のサポートのみが受けられる延長サポートの期間となり、10年後にはすべてのサポートが終了する。

 Windows 7は2009年10月22日にライフサイクルがスタートしており、2015年1月13日にメインストリームサポートが終了。現在は延長サポート期間だが、それが2020年1月14日に終了する。同様にWindows 8.1の延長サポートは2023年1月10日に終了する予定だ。

【OSのサポートライフサイクル】

Windows 10のモダンライフサイクル

 前述のサポートライフサイクルだが、Windows 10からは新しいモダンライフサイクルへと変わっている。マイクロソフトはWindows 10を最後のナンバリングOSとしている。これまでのOSはバージョンが新しくなるたびに購入して、インストールし直す必要があった。Windows 10からは「半期チャネル(Semi-Annual Channel、SAC)」という形になり、毎年春と秋に大規模なアップデートが入るようになった。

 それぞれのアップデートはリリースから18カ月間サポートされる。そのサポートが切れるまでに新しいバージョンへのアップデートを行なうことで、一度購入した後は途切れなくサポートを受け続けることができる。

【モダンライフサイクル】

切り替えないとハッキングやウイルス感染のリスクが上昇

 サポートが終了するからといって、いきなり起動しなくなったり使えなくなるというわけではない。だが、使い続けることで発生する問題がある。最も恐ろしいのは、セキュリティ更新プログラムが提供されなくなることで生まれる脆弱性だ。オンライン常時接続が当然の現代、サポートの切れたOSのままでは、ウイルスやマルウェアに引っかかりやすくなってしまう。

 最近のゲーム環境では、様々なアカウントを作って管理する機会が増えている。セキュリティの脆弱性が高まれば、それだけアカウントハッキングに遭う危険性が高くなる。いつの間にかバックドアを作られて、違法なファイル交換に使われていたとか、ハッキングされて大切なキャラクターの装備や財産をすべて盗まれてしまったという悲劇を回避するためにもセキュリティで手を抜くことは絶対に許されない。

パーツを新しくしてもOSが最新規格に未対応

 また、サポート期間中のOSはその期間に出てくる新しいデバイスなどの規格に対応するが、レポート終了後はこれもされなくなってしまう。特に32bitOSではメモリを4GBまでしかサポートしてないので、せっかくメモリをたくさん積んでもOSが足を引っ張ってしまう。「ファイナルファンタジー XIV」は最新拡張パッケージ「漆黒のヴィランズ」で32bitOSのサポートを終了している。

【ファイナルファンタジー XIV: 漆黒のヴィランズ】
ストーリーの評価が非常に高い「漆黒」。32bitOSでも動くが、OSに起因するトラブルが発生してもサポートは受けられない。遊ぶなら64bitOSで

 ハードについても同様だ。Core i9やRyzenなどの最新パーツはWindows 7がサポート対象外になっているので、現状のパーツをこれらのパーツに入れ替えるなら、そのタイミングでOSも変更したほうがいい。さらにGeForce RTXのリアルタイムレイトレーシングは、Windows 10の「Windows 10 October 2018 Update」で実装された「DirectX Raytracing (DXR)」がなければ利用できないので、Windows 7ではハードとソフトが揃っていても機能を使うことができない。

【バトルフィールド V】
リアルタイムレイトレーシング機能を使うにはWindows 10が必須だ

Windows 10ってこんなOS

 Windows 7が発売されたのは今から10年前の2009年。iPadの発売が2012年で、当時はまだタッチパネルを指で操作するという文化がなかったため、Windows 7は基本的にマウスとキーボードでの操作に最適化されている。

 その後登場したWindows 8ではタッチパネル操作を念頭に置いたメトロデザインの新ユーザーインターフェイス(UI)が登場した。だがスタートボタンがないなど、激変したUIに戸惑いも多く、マイナーチェンジした8.1ではスタートボタンが復活した。

【Windows 10のスタートメニュー】
右側のパネルはサイズや位置を自由にカスタマイズできる。よく使う機能へ素早くアクセスできる

 これまでのユーザーのフィードバックをもとに開発されたWindows 10は、Windows 7のようなマウス&キーボードでの使い心地とWindows 8のような指でのタッチ操作をうまく融合したいいとこ取りのOSだ。Windows 7ユーザーにも使い慣れた左下にスタートボタン、その右側にタスクバーというデザインはそのままに、スタートボタンの中に自由にカスタマイズできるメトロデザインが採用されている。タブレットPCや2in1の場合、使い方によって自動的にデスクトップモードとタブレットモードが切り替わる機能も搭載されている。

 これまでのアップデートでは音声認識アシスタント「Cortana(コルタナ)」や、強力なセキュリティ機能「Windows セキュリティ」、指紋や顔などの生体認証でログインできる「Windows Hello」など次々に最新のテクノロジーが実装されている。

 また、ゲーマーとして忘れてはならないのがDirectX 12だろう。DirectXはマイクロソフトが提供している、マルチメディアやゲームを開発、プレイするためのAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)群。最新版のDirectX 12は2014年にサンフランシスコで開催されたゲーム開発者会議GDCで発表された。

 前世代のDirectX 11はWindows 7と同時期に発表され、Windows 8、Windows 8.1の発売に合わせてマイナーアップデート版がリリースされてきた。DirectX 12はWindows 10の発売に合わせて2015年にリリースされた。DirectX 12は前世代よりも効率的にCPUやGPUを使うことができるため、同じスペックでもより高いパフォーマンスが期待できる。

【Windows セキュリティ】
Windows Defenderをはじめとした強力なセキュリティ機能がPCを外部の脅威から守ってくれる

ゲーマーが欲しい機能を丸ごと集めたXbox Game Bar

 Windows 10に標準装備されているXbox Game Barには、静止画のキャプチャや、さかのぼり録画、配信、ボリューム調節、フレンドとのやりとりなどゲームプレイに便利な機能がまとめられている。インストールの必要はなく「Windows」キーと「G」キーでいつでも起動できる。

【Xbox Game Bar】
スクリーンショット撮影、動画キャプチャ、配信、SNS連携などが一カ所に集まったWindows Game Bar

 Game Barの中にある動画の録画機能「Game DVR」は最大4時間まで動画をキャプチャできる。キャプチャの品質やフレームレートはWindowsの設定画面から設定することができ、ショートカットキー(Windows キー+Alt+R)でワンボタンでの操作も可能だ。キャプチャした動画は、こちらも標準搭載のXboxコンパニオンアプリから簡単な編集をすることができる。

 さらにGame Barの配信機能を使えば、マイクロソフトの動画サイトMixerから簡単操作でゲーム実況を配信することもできる。最新のアップデートではSpotifyで音楽を再生しながらゲームをするという機能が追加された。作業的な要素が多いRPGのレベル上げやオンラインゲームなどではゲームのBGMを消して、好きな音楽をかけながらプレイしている人もかなりいるだろうが、そういう人向けの機能と言えるだろう。

 もしXbox Oneを持っているなら、Xbox OneのゲームをPCでストリーミングプレイすることもできる。さらにタイトル数は限定されるもののWindows 10 PCとXbox Oneのどちらでもプレイでき、セーブデータを共有できるXbox Play Anywhereというサービスもある。たとえば、最新作「Gears 5」はダウンロード版を購入すれば、Windows 10 PCでも、Xbox Oneからでもプレイでき、しかも続きを好きなプラットフォームからはじめられる。Xbox Oneを持っていて、PCでWindows 10を使っていないゲームファンはぜひ試して貰いたい機能だ。

【ゲームの配信】
ワンボタンでMixerでの配信が可能だ

Windows 10移行にまつわる素朴な疑問

 これまで説明してきたように、Windows 10には、Windows 7には実装されていない多数の機能が存在している。現在ではMicrosoftアカウントを基軸に様々なサービスが連携しており、Windows 10もログインでは基本的にオンラインへの接続とMicrosoftアカウントが求められる。ローカルアカウントでのオフラインログインも可能だが、使える機能が一部制限される。特にストアアプリのインストールにはMicrosoftアカウントが必須だ。

 あちこちでIDとパスワードを聞かれて煩雑さを感じることがないわけではないが、MicrosoftアカウントがあればWindowsの認証に長いコードを打ち込む必要がなかったり、複数のPCで壁紙などの基本設定を同期したり、Office365やXbox Liveなど同社のサービスとの連携が容易になるなどメリットは多い。

移行のために万全の準備を

 Windows 7からWindows 10への切り替えには、移行のためにいくつかの準備が必要だ。まず最も気になるのは今の環境がどうなるのか、だろう。オンラインゲームなどのアップデートと同様に、Windows 7から10へは既存の環境を維持したままアップデートすることができる。

 ただし、Windows 10で廃止された一部のガジェットや壁紙など引き継がれないデータもある。また、アップデートの中で万が一消えたりしないように、重要なデータは必ずバックアップを取っておいたほうがいい。OneDriveに放り込むか、外付けのストレージに入れておけば安心だ。

 フリーソフトなどのアプリもほとんどは動くだろうが、中にはWindows 10に対応していないものもある。古いソフトを使っているなら移行前に確認しておいた方がいい。同様に古いPCを使っている場合も注意が必要だ。購入した当時は高級品だったPCも、6年、7年と使い続けていればスペックが不足している可能性が高い。現在はDDR4メモリが主流だが、古いPCならDDR3メモリを積んでいるかもしれない。DDR3とDDR4ではサポートしている容量やスピード、省電力などが違う。またOSをハードディスクに入れているなら、SSDに変えるだけでローカル線が一気に新幹線速度に変化するはずだ。

 最後のポイントはどのパッケージを選ぶかということだ。Windows 10にはHomeとProという2つのパッケージがある。BTOPCにデフォルトで搭載されているのはたいていHomeで、価格も安いのでHomeを選ぶ人が多いだろうが、Proにはリモートアクセスをはじめとした便利な機能があるため、財布に余裕があるならぜひおすすめしたい。

次回から、Windows 10 PCでゲームを満喫する方法を紹介

 今回は、EOSを放置してはいけない理由や、Windows 10の基本的な情報を紹介した。日本ではまだまだPCでゲームをする人は少ないが、Windows 10でしか遊ぶことができないゲームを始めPCは無数のゲームを非常にお手軽に遊ぶことができる優れたプラットフォームだ。次回からは、実際にWindows 10の入ったマシンでどんなことができるのかを、ゲーマー視点で紹介していきたい。

 次回は、現在続々と増加しているサブスクリプションサービスのゲームプラットフォームなど、新しいゲームとの出会い方を紹介する。第3回は、今回紹介したGame Barを使った配信方法や、Vtuber、VR Chatなど新たな表現やコミュニケーションについて、最終会はハイエンドのゲーミングPCが実現してくれる最新の映像表現について紹介していきたい。

次回からはユニットコムのゲーミングPC「LEVEL∞」を使ってWindows 10の魅力を紹介していきたい。