【第18幕】
Report / manga:ジョン・カミナリ
logo design:フランチェスコ・アッカッターティス

電遊。辞書に載っていない造語である。電気的な遊び。いわゆる、テレビゲーム。道。その道を、自分の価値観だけを信じて最後まで歩むのが、侍精神である。電遊道は、妥協を許さないサムライゲーマーが歩むべき道。他人に影響されることなく、自分のゲーマーとしての信念を貫き通せばいい。たとえ、ゲームが別の道に進んでも、自分の好きな道をずっと信じ続けるのみ。たとえ、“これこそがゲームの未来形だ!”と言われても、自分の好きなゲームライフを思う存分楽しむのみ。

 この連載記事では、毎月1回、僕のゲーマーとしての物語、そしてゲーマーとしての哲学や信念を独特なスタイルで紹介していきたいと思う。日本のゲームに大きく影響を受けた僕のゲーマー人生を、イタリア人としての個性を生かして面白く語りたいと思う。あるときは、話題沸騰中のニュースについて掲載ギリギリのところまで正直な感想を書いたり、またあるときは、今でも心に大切にしまっている過去の作品を振り返ってみたいと思う。

 1番注目して欲しいのは、「イタヲタのレトロなゲームライフ」というコーナー。僕のオタクとしての青春を文章と漫画を交えて懐かしく振り返りたいと思う。連載の途中で新しいコーナーも生まれるのかもしれない。回を追う毎に中身が変わったり増えたりするのかもしれない。とにかく、サプライズたっぷりの連載を目指しているので、末永くこのページの中で付き合って欲しい!

ジョン・カミナリ(芸名)
国籍:イタリア 年齢:36歳
職業:俳優、声優、タレント、テレビゲーム評論家
趣味:テレビゲーム、映画鑑賞、読書(山田悠介)、カラオケ
主な出演作品:銀幕版スシ王子!(ペぺロンチーノ役、デビュー作)、大好き!五つ子(アンソニー・ジャクソン役)、侍戦隊シンケンジャー(リチャード・ブラウン役)、ピラメキーノ(テレビ東京、月曜~金曜 18時30分~19時放送中)
ブログ:ジョン・カミナリの、秘密の撮影日記
Twitter:http://twitter.com/John_Kaminari
 イタリアで6年間テレビゲーム雑誌の編集部員として働いたあと、新しい刺激を求めて2005年に大好きな日本へ。子供の頃から夢見ていた役者の仕事を本格的に始める。堤幸彦監督の「銀幕版スシ王子!」で個性的なマフィアのボス、ぺぺロンチーノを熱演。現在もTVドラマやTVゲームなどで、俳優・声優として活躍中。日本語を勉強し始めたのは23歳のとき。理由は「ファイナルファンタジーVII」や「ゼノギアス」などのRPGの文章を理解するため。好きなジャンルはRPGと音楽ゲーム。「リモココロン」のような個性的なゲームも大歓迎。お気に入りのゲームは「ゲームセンターCX」と「ワンダと巨像」。芸名はイタリア人の友達に、本人が雷のように予想不可能なタイミングで現われるからという理由で付けられた。将来の夢は、「侍戦隊シンケンジャー」に出演した時から大好きになった戦隊モノにまた出演すること



【もくじ】
一刀両断~話題のゲームニュースについて鋭くコメントしちゃうぞ!~
傑作の如く~期待している新作TOP5~
過去の宝物~こよなく愛した過去の思い出の作品をピックアップ!~
イタヲタのレトロなゲームライフ~ハプニング満載のオタク人生~



■ 一刀両断 ~話題のゲームニュースについて鋭くコメントしちゃうぞ!~

話題のニュースや注目のテーマをピックアップして僕の率直なコメントを載せたいと思う。また、現在のゲームが抱えている問題を解決するアイデアや提案も、このコーナーを通じて考えてみたいと思う。ゲーマーの皆が納得できる未来の為に!

其ノ一:イタリアでもPS Vitaが発売! 購入者の本音を調査!!

 2月22日、イタリアでもソニーの新携帯ゲーム機、PS Vitaが発売された。発売記念イベントは開催されず、長蛇の列という現象もほぼ見られなかった。テレビCMによるプロモーションも、過去のゲーム機よりも少なかった印象を受けた。そこで、発売の様子を確認する為に、そしてユーザーの声を拾う為に、ローマの家電製品店やゲームショップチェーン店などに行ってみた。

 チェーン店は、PS Vitaの大きなポスターが貼られており注目を集めていた。ゲーム売り場にはスタイリッシュな試遊台が設置されており、購入を検討していたユーザーが体験版を遊んでいた。ただ、日本のように、「試遊は10分まで」というようなルールが設定されておらず、他人のことを気にせず、何十分も遊んでいる人も多く見られた。

 まず、基本的な情報から紹介したいと思う。イタリアでも、Wi-Fiモデルと3G/Wi-Fiモデルが同時に発売されており、Wi-Fiモデルのほうは249ユーロ、3G/Wi-Fiモデルは299ユーロという価格で販売されていた。

 タイトルのラインナップは、微妙に日本と違っており、合計で25本のタイトルが同時に発売された。予想していた通り、ゲーム機と一緒に購入したタイトルは、ほとんどのユーザーが「Uncharted Golden Abyss」だった。そして、サッカーが崇められているイタリアらしく、「FIFA Football」を購入したユーザーも多かった。

 もちろん、データをセーブするための必須アイテムであるメモリーカードもよく売れていた。しかし、多くのユーザーは、メモリーカードがパッケージの中に含まれていると思っていたらしく、予定していなかった出費にやや不満だったようだ。ちなみに、ゲームソフトではないが、画面用の保護フィルムやポーチといった6つのアクセサリーを含めた「Starter Kit」という商品が人気だったそうだ。


PS VitaのCMキャンペーンに使用されたキャッチコピーは「The world is in play」だ。日本語に訳すと「世界はプレイモードに入っている」ゲームショップにあるPS Vitaの試遊台は青い光に彩られ、人の注目を引きつけるとてもクールなデザインになっていた大手家電製品店のゲーム売り場では、PS Vita本体、ゲームソフト、そして、あらゆるアクセサリーがずらりと並んでいた

 PS Vitaを購入したユーザー、そして購入を検討しているユーザーにPS Vitaについて話を聞いてみたところ、3つの課題が挙がった。1つ目は3G/Wi-Fiモデルの必要性がよくわからないという点。Wi-Fiモデルとの区別がはっきりしていないのが、Wi-Fiモデルを選んだ理由だという。ユーザーが知りたいのは、今後3G/Wi-Fiモデルがどれだけゲーム性に関わっていくのかということで、それが判明しないかぎり、ユーザーが50ユーロ安いWi-Fiモデルを選択するのは当然だろう。

 もう1つは、PS Vitaのアイデンティティについてだ。PS Vitaをスマートフォンのライバルとして考えてはいけないという意識はあるが、ソフトの価格は高いという意見が多かった。イタリアでは、PS3用のゲームは60ユーロでもいいという考えが以前から定着しているが、携帯ゲーム機のソフトはその半分以下の価格で販売されるべきだという意見が多い。現在は、10ユーロ以下でゲームを購入できるスマートフォンの時代だからこそ、いくら直接的なライバルでないとはいえ、その存在を無視してはいけないだろう。

 そして3つめは、PS Vitaのパッケージ版とダウンロード版の価格の違いについて。日本と違ってイタリアでは、アメリカ出身の某大手ゲームショップチェーン店がマーケットの大半のシェアを獲得している。

 そのチェーン店の成功の秘訣は、ソフトの販売方法にある。あらゆる新作ゲームは、19ユーロという定価の3分の1の価格で販売されている。なぜ、その価格が可能かというと、ユーザーの持つ中古ソフト2つ、プラス19ユーロで、新作ソフトが買えるからだ。不景気のイタリアですごく人気のあるシステムで、クリアしたゲームを売り、新作を買うという循環になっている。

 言うまでもないが、ダウンロード版は“データ”なので、クリアしても店に売ることができない。そういう面でもイタリア人のユーザーは、必然的にパッケージソフトを好み続けるだろう。中には、ダウンロード版の購入を検討している人もいるようだが、イタリアでは価格がパッケージ版の半額ぐらいにならないと、本当の意味で魅力的な商品にはならないと思う。

 例えば、新作を購入し、1週間でクリアしてすぐ店に売れば、(ソフトにもよるが)購入額の半分は取り戻せるだろう。そのお金を次の新作ソフトの購入時に使えば、定価の半額くらいで買うことができる。ダウンロード版の価格をさらに安くするか、もしくはダウンロード版を売却、あるいはレンタルできるシステムにすれば、ダウンロード版もイタリアで普及するだろう。

 イタリア人のユーザーの疑問は、ソフトのクオリティよりも価格にあるようだ。PS Vitaが、日本と違うイタリアのマーケットに定着するカギはやはり、ダウンロード版の妥当な価格にあると思う。携帯ゲーム機は家庭用ゲーム機の“弟的な存在”というイメージが強いので、その価格も“弟的”にならないと、納得しないユーザーが必然的に増えていくと思う。

 PS Vitaが発売されたばかりのイタリアのゲームマーケット。結論を出すのはまだ早いが、奇跡的な販売記録がなかったとしても、これからのプロモーション次第では、イタリアでも少しずつ伸びていくはずだ。しかし、性能面で劣っているとはいえ、3DSが安くなったのと、魅力的なソフトが増えてきたという2つの理由で、着実な進撃を進めている。イタリアのゲームマーケットで、果たしてどちらが勝者になるのか、興味津々だ。

 ネット上のユーザーのコメントも確認してみたところ、僕が思ったように、PS Vitaはソニーの最高のゲーム機であると多くの購入者が絶賛している。しかし、最高のゲーム機を成功させるには、最高のソフトが必要だ。しかし、発売ラインナップのタイトルにはその資格を持ったソフトが少ないと指摘されている。ここからが本番ということだろう。


購入を検討している若いユーザーが、ゲームショップのショーウィンドウを見つめている。果たして、発売ラインナップの中に、本当に遊びたいソフトが見つかったのだろうか?2月22日の夕方。ショーウインドーに残っているメモリーカードは4ギガと8ギガのモデルだけだ。店長によると、最も売れたのは16ギガのメモリーカードだったそうだ日本のようにナンバリングタイトルとしてではなく、「みんなのGOLF 6」は一般的な「EVERYBODY'S GOLF」というタイトルで発売された

□プレイステーションのホームページ
http://www.jp.playstation.com/
□「PS Vita」のページ
http://www.jp.playstation.com/psvita/
□関連情報
【2011年12月17日】PlayStation Vita ハードウェアレポート Part.1
いよいよ発売! 本体各部やメニュー&アプリの動作、ゲームプレイをチェック
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20111217_499626.html
【2011年12月17日】「PlayStation Vita」ついに発売!! 同時発売ソフト特集!!
24タイトルを一挙に紹介。あなたはどれを選ぶ?
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20111217_499609.html




其ノ二:読者たちを怒らせた「ゼルダ」のレビュー事件とは?

 アメリカの某有名なゲームサイトに掲載された「ゼルダの伝説 スカイウォードソード」(スカイウォードソード)のレビュー記事が、読者達を怒らせた。評点は10点満点中、7.5点だった。僕も、仕事として他のレビュアーの記事を読むようにしている。感想が共通している場合もあるが、今回はあまりにも違っていた。

 まず、もっとも読者から指摘されたのは、レビュアーがゲームの悪い点だけを大げさに伝えていたところだった。特に操作に関係した“問題”が並べられていた。例えば、レビュアーはこのような発言をした。

  • 一貫性のない操作システムが、リンクをずっと苦しめている
  • 操作システムに多くの問題があるので、ソードを振り回す動作が楽しめない
  • ソードによる操作は、プレーヤーの正確な動きを求めないようになっている
  • Wiiリモコンが振られる方向をうまく認識できない
  • 腕を振っても、画面のリンクがプレーヤーの動きを無視することが多い

 さらに、ゲームのバランスや敵の人工知能、いわゆるAIに関しても以下のようなコメントをした。

  • フィールドは無意味に回りくねっていて、非論理的だ。そして、敵のAIは笑わせるほど悪い

 そして、「メトロイド」や「ゼルダ」シリーズの、昔から絶賛されている特徴も、欠点として挙げられている。

  • 4つのエリアに何回も戻らなければならないのが良くない

 つまり、リンクが新しいアイテムを手に入れるたびに、それまでに訪れたエリアの探索できる幅が広がっていくという絶妙なゲームデザインが、不満点として述べられている。レビュアーは「Predictable formula」という表現を使った。要するに彼は、本作が提供しているゲーム性は簡単に予測できる、まったく新しくないとコメントしている。

 それに対し、記事に寄せられた読者のコメントのほとんどが、正反対の内容だった。「操作性は完璧ではないけれど、ソードの操作はすごく楽しい」というのが、共通の意見だった。何人かの読者はそのレビュアーに対して挑発的なコメントを送った。

  • このゲームは9点以上を取るべき。そして、このレビューは1点に値する
  • 本当は2時間しかプレイしていないんじゃない?
  • そっちのWiiが壊れているんじゃない?

 欧米のゲーム情報サイトは、読者の注目を集める為に、戦略として話題・スキャンダルになるレビュー記事を掲載することがある。日本のゲーム業界の常識にはないやり方だろう。今回の記事は、その部類に入っているのではないだろうかと推測している。

 「スカイウォードソード」に7.5点を与えることは、僕はある意味、冒涜だと思う。これだけバラエティ豊かで、奥が深くて、楽しいゲーム体験に対しては、脱帽という言葉のほうがずっと適切だ。確かに、読者が明言したように、操作システムはさらに磨きをかけることが可能だが、それをマイナス要素として考えても、0.1点分でしかないと思う。

 レビュアーは、本作の欠点として「簡単に予測できるゲームデザイン」と述べているが、僕は反論する。本作が簡単に予測できるゲームならば、現在の欧米市場を飽和状態にした、“戦争ごっこFPS”や“皆殺しシミュレーター”は、どういうゲームデザインと言えばいいのだろう。その疑問への答えは、あえて言うまでもないだろう。

 僕の「スカイウォードソード」の冒険は62時間で終わった。この62時間はサプライズの連続だった。このダンジョンがラストだろうと思った直後に、新たな試練が加わり、今回のリンクの冒険は本当に果てしないものに思えた。

 そして、最後のダンジョンは、「ゼルダ」シリーズの中で紛れもなく最高の構成とバランスを持っていると思った。1つのダンジョンに、それまでの冒険で体験してきた、あらゆるシチュエーションが凝縮されているのだ。プレーヤーは、頭をフル回転させてあらゆるアイテムを駆使する必要がある。そして、難解な謎を解いた直後の満足感は格別だ。

 本作は、ゲームデザインの百科事典と言える。若いプレーヤーはこういうゲームに憧れて、ゲームデザイナーになりたいと思うのではないだろうか。「ゼルダ」という伝統をずっと続けるために。「ゼルダ」という誇りを息子たちに伝えるために。

 ゲームの百科事典に7.5点という評価は、あまりにも窮屈だ。嬉しいことに、欧米プレスの平均点は9点以上だった。厳しい採点で知られている「EDGE」という雑誌も、本作に10点を与えた。あの記事の存在を忘れるべき理由が、もう1つ増えた。

前作の「トワイライトプリンセス」を再度遊んでみたところ、本作の進化した部分をさらに感じることができた。操作性も抜群に向上しただけでなく、インターフェイスも読みやすくなり、プレイがより快適に進められるようになった

(C)2011 Nintendo

□任天堂のホームページ
http://www.nintendo.co.jp/
□「ゼルダの伝説 スカイウォードソード」のページ
http://www.nintendo.co.jp/wii/souj/
□関連情報
【2011年1月28日】Wiiゲームレビュー「ゼルダの伝説 スカイウォードソード」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/review/20111226_501851.html




■ 傑作の如く ~期待している新作TOP5~

僕が期待している発売前後の新作TOP5。さまざまな情報をもとに、各ゲームのシステムやグラフィックスといった要素の中で僕が魅力的に感じたところを紹介していく。必ずしもメジャーなタイトルではなくて、逆に注目して欲しいマイナーな作品をピックアップすることもある。

(C) SEGA

1位:クロヒョウ2 龍が如く 阿修羅編
   プラットフォーム:PSP
   ジャンル:アクションアドベンチャー
   発売元:セガ
   発売日:3月22日
   価格:6,279円(UMD版)
      5,600円(DL版)
   CEROレーティング:D
   プレイ人数:1人(通信プレイ時:1~4人)

 今回、闘う相手は大阪の阿修羅。地下闘技場の戦いはさらに熱くなること、間違いなし。もちろん、スピンオフとはいえ、「龍が如く」お約束のやり込み要素が健在。マルチプレイが楽しめるプレイスポットも増え、PSPならではの機能がフルに活用されている。PSPはまだまだ元気だ!

□セガのホームページ
http://sega.jp/
□関連情報
【2012年3月1日】セガ、PSP「クロヒョウ2 龍が如く 阿修羅編」
「九州 熱中屋」とのコラボメニューを今日から販売開始
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20120301_515871.html




(C) SEGA

2位:初音ミク and Future Stars Project mirai
   プラットフォーム:3DS
   ジャンル:3Dリズムアクション
   発売元:セガ
   発売日:3月8日
   価格:6,090円(通常版)
      7,140円(ぷちぷくパック)
   CEROレーティング:A
   プレイ人数:1人

 ヨーロッパでも知名度急上昇中のボーカロイドが活躍する新感覚リズムアクションゲーム。裸眼立体視による演出はもちろんのこと、ゲームモードや機能の面でも充実している。一部の楽曲でボーカルキャラが変更できる点が、本作に付加価値を与えていると思う。ライブカードで自分の机がライブ会場に早変わりする特徴も新しい!

□セガのホームページ
http://sega.jp/
□関連情報
【2012年3月6日】セガ、3DS「初音ミク and Future Stars Project mirai」
発売日に秋葉原で発売記念イベントを開催
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20120306_516812.html




(C)Nintendo (C)Sora Ltd.

3位:新・光神話 パルテナの鏡
   プラットフォーム:3DS
   ジャンル:アクションシューティング
   発売元:任天堂
   発売日:3月22日
   価格:5,800円
   CEROレーティング:B
   プレイ人数:1人(通信プレイ時:2~6人)

 いよいよ、念願の「パルテナの鏡」シリーズの新作が発売される。シングルモードは空中戦、地上戦、ボス戦の3つのパートで構成されており、とてもバラエティ豊かなゲーム性を提供している。さらに、最大6人のプレーヤーで遊べるマルチプレイも本作の見どころの1つだ。操作システムが、左利きでも快適に遊べるよう改良されたことを祈っている。

□任天堂のホームページ
http://www.nintendo.co.jp/
□関連情報
【2012年2月22日】任天堂、「ニンテンドーダイレクト」を配信
発売間近の「新・光神話 パルテナの鏡」のプレゼンから川島教授の新作など発表
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20120222_513905.html




(C)Konami Digital Entertainment
(C)2011 MarvelousAQL Inc.

4位:王と魔王と7人の姫君たち ~新・王様物語~
   プラットフォーム:PS Vita
   ジャンル:アクションRPG
   発売元:KONAMI
   発売日:3月29日
   価格:6,480円(パッケージ版)
      5,980円(DL版)
   CEROレーティング:B
   プレイ人数:1人

 欧米でも高い評価を得た「王様物語」の最新作。ゲームの世界観はそれほど変わっておらず、魔物に奪われてしまった王国を取り戻す為に、国民たちの力を借りながら、領土を開拓したり、街を復興させるなど、勇敢な王様の活躍ぶりを描いている。PS Vitaのタッチスクリーンや背面タッチパッドを生かした操作方法に期待!

□KONAMIのホームページ
http://www.konami.jp/
□関連情報
【2012年2月13日】KONAMI、PS Vita「王と魔王と7人の姫君たち ~新・王様物語~」
発売日を3月29日に決定
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20120213_511816.html




(C)2012 Konami Digital Entertainment

5位:SILENT HILL:HD EDITION
   プラットフォーム:PS3
   ジャンル:ホラーアドベンチャー
   発売元:KONAMI
   発売日:3月29日
   価格:4,980円
   CEROレーティング:C
   プレイ人数:1人

 ハリウッドで映画化されるほどのインパクトを与えた、あの有名なホラーアドベンチャーゲームが、HDになって帰ってきた! これで、血と錆にまみれた本作の非日常的な世界がさらに不気味さを増すだろう。ちなみに本作は、PS2用に開発された2作目と3作目を収録している。本音を言うと1作目も入れて欲しかった。

□KONAMIのホームページ
http://www.konami.jp/
□関連情報
【2012年1月30日】KONAMI、PS3「SILENT HILL:HD EDITION」
「サイレントヒル2 最期の詩」と「サイレントヒル3」を収録
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20120130_508527.html




■ 過去の宝物 ~こよなく愛した過去の思い出の作品をピックアップ!~

ゲームは技術的に進化する。グラフィックスが綺麗になる。ポリゴンの数が増える。ゲーム内の景色が実写と見間違えるほどリアルなものになってきている。しかし、時代が変わっても必ずしも進化しないものもある。それはゲームの面白さだ。昔のゲームはグラフィックスはシンプルだが、面白さでは今のゲームに負けていない。いや、それに勝る特別な何かを持っている作品もあると思う。秋葉原のゲームショップや家庭用ゲーム機のオンラインストアで安く購入できる過去の傑作は山ほどある。このコーナーでは、僕が愛した昔のゲームをピックアップしていきたいと思う。具体的なゲーム内容よりも、僕のその作品に対しての気持ちを伝えることができればと願っている。

【ゼルダの伝説】

プラットフォーム:ファミコン
ジャンル:アクションアドベンチャー
発売元:任天堂
発売年:1986年(FC版)
配信開始日:2006年12月2日(VC版)
価格:500Wiiポイント(VC版)
プレイ人数:1人


 10年前から僕の記事を読んでいるイタリア人読者がいる。まだ20代で、日本のゲームの大ファンだ。彼は大切な友達になった。好きなゲームシリーズについて意見を交換することが多い。最近よく出る話題は「ゼルダの伝説」シリーズだ。どの作品が1番面白いかを、過去のエピソードを振り返りながら、各作品の魅力を語り合っている。

 この間のテーマは、ファミコン用の「ゼルダの伝説」。「ゼルダの伝説」は、リンクの冒険を世界に広めたシリーズの1作目だ。ちなみに彼は24才だ。本作が発売された頃、まだ生まれていなかった。つまり、リアルタイムに遊ぶということは不可能だったわけだ。

 最新の「ゼルダの伝説」(主に3Dグラフィックスの作品)を遊び尽くした彼に、こう聞いてみた。「ファミコンの『ゼルダの伝説』を遊んだことがありますか?」。彼は素直な人なので、迷うことなく「いいえ、遊んだことない」と答えた。「じゃあ、今、バーチャルコンソールの『ゼルダの伝説』を見せてあげるよ」と提案した。「是非是非」、彼は僕の提案に興味を示してくれた。


ゲームキャラクターとして生まれたてのリンク。リンクの第1歩はこの画面の中で行なわれた最初のダンジョンを目指しているが、その場所を教えてくれるキャラがいないので、自分の勘だけを信じて、敵だらけのフィールドを進んでいくのだ最初のダンジョンを見つけた。画面ではマップとコンパスを既に手に入れている状態だが、最初はもちろんダンジョンの構造や宝物の位置はわからないようになっている

 僕は、最初のダンジョンをクリアするまで一気にプレイした。そして、コントローラーをテーブルに置き、彼に訊ねた。「どうだった?」。やっぱり、予想していた答えが返ってきた。「面白そうだけど、グラフィックスが……」。なるほど。スーパーファミコン用の作品はまだカラフルで、今でも十分グラフィックス的にも通じるが、ファミコンのグラフィックスが若い世代に受け入れられないということがわかった。

 そこで、僕は彼に言った。「先入観という目を閉じてみて下さい。グラフィックスの向こうにあるゲーム性だけに焦点を当てて下さい」。僕のその言葉はあることを示していた。グラフィックスが粗いとはいえ、ゲーム性は普遍的だということ。「スーパーマリオブラザーズ」と同じく、ファミコンの「ゼルダの伝説」も、まったく色あせていない魅力を持っていると思っている。若いプレーヤーにとっての唯一の“問題”はグラフィックスだ。それを乗り越えることができれば、今でも最高に面白い体験ができるようになる。

 久しぶりに遊んだ「ゼルダの伝説」は、ゲーム性の高さを改めて認識させてくれた。8ビットゲームのゲーム性がもう古くなって、レトロゲーマーの僕さえも消化できないレベルになっているケースもあるが、「ゼルダの伝説」は、昔と変わらず面白いように思えた。懐かしいのではなくて面白い。だから、「ゼルダの伝説」の構造をそのままにして、装いだけを新たにすれば、今でもベストセラーになると確信している。


リンクが手に入れるアイテムは、敵との戦闘を楽にするだけでなく、冒険の幅もだんだん広げていく洞窟に入って、貴重なアイテムを売ってくれる爺さんに出会った。まず、敵の攻撃から守ってくれる盾を購入しようよく見れば、敵も最新の作品にも出ている有名なモンスターばかりだ。25年間の伝統が受け継がれている

 若い世代にも、ドットグラフィックスの持つ魅力をそのままわかって欲しいと思っているが、もし不可能なら、グラフィックスが進化したリメイク版を作るのも、その作品の価値を伝える1つの手段だと思う。例えば、今3DSで流行っている「3Dクラシックス」シリーズの新作として、「ゼルダの伝説」の“豪華バージョン”が発売されたら、若い世代もシリーズの原点を知るきっかけになるかもしれない。

 当時、アクションアドベンチャーというジャンルを定着させた「ゼルダの伝説」。様々なアイテムを使いながら、広大なフィールドやダンジョンを攻略していく面白さは現在の作品と全く変わっていない。1つだけ、最近になって、変わった要素がある。それは難易度だ。最初の「ゼルダの伝説」はヒントがゼロに等しく、攻略本がどうしても必要になるほど難しかった。それに比べ昨今のゲームは、先に進めなくなったら、ヒントを提供してくれるシステムがどこかに必ず存在する。

 今回久々に「ゼルダの伝説」をプレイしたが、ダンジョン4の場所を見つけるのにすごく苦労した。最近のゲームの“優しさ”に慣れ過ぎていて、「えっ? 誰も場所を教えてくれないの?」とばかり思っていて、結局フィールドを1時間以上散策した挙句、最終的にダンジョン3で、大事なダンジョンアイテムを取り忘れたことに気が付いた。そのアイテムを使えば、ダンジョン4へとアクセスできるようになる。「先に進めなくなる不具合でもあるの?」と何回も思うゲーム。それが「ゼルダの伝説」だ。そして、十分注意を払わなかった自分のせいだとわかったときに、「さすが任天堂!」と思うのも「ゼルダの伝説」だ。


「ゼルダ」シリーズの定番の1つ「迷いの森」。進むべき方向を教えてくれる爺さんをまず探さないと……基本的にダンジョンの扉を開く為にカギが必要だが、特殊なアクションを起こさないかぎり、開かない特殊な扉も存在するダンジョンのマップは頼もしい味方だが、十分に注意しないと大事なマップを見失う場合もある

 ダンジョンのデザインは少し古くなったかもしれないが、今の作品と比べて単純とはいえ、謎解きややり込み要素といった材料はすべて揃っている。もちろん当時の作品は、今のような派手で映画的な演出はなかったが、そこはプレーヤーの想像で補われていたと思う。NPCの短いセリフも短かったぶん、そのセリフの持つ意味が深かった。

 例えば、ある洞窟にいる爺さんのセリフがとても興味深い。印象に残るカタカナだけのセリフ。「タダデハハナセナイヨ」。このセリフに対し10、20、50ルピーを払うかという3つの選択肢がある。誰もが、50ルピーを払ったら、秘密を教えてくれると思うだろう。しかし、50ルピーを払ってみると……。その答えは実際に確かめてもらうとして、人生の教訓にもなるNPCのセリフを読むのも、ザ・ファースト「ゼルダの伝説」の魅力の1つだ。

 沢山の秘密が散りばめられた「ゼルダの伝説」のフィールド。果たして、すべてのハートを見つけることはできるのだろうか。頼れるのは自分の、プレーヤーとしてのスキルだけだ。ゴールまで導いてくれる優しい爺さんは存在しない。冒険の主人公はあなただけだ。「ゼルダの伝説」の普遍的な面白さをリアルなポリゴンの世界だけを知っている息子達に教えて欲しい。ハリウッドの無音の白黒映画が今でも傑作であるように、数少ないドットで作られたゲームも、ずっと遊ぶ価値がある。


ヒントがないわけではないが、簡単に思いつかない場所に仕込まれているので覚悟が必要だ例の「タダデハハナセナイヨ」爺さんに出くわした。どれを選ぶかはアナタ次第……湖畔に怪しい桟橋がある。もしかして、これは、何処かに繋がる重要な場所なのか!?

【グッジョブ!】【異議あり!】
ゲーム性が普遍的グラフィックスが古い
フィールドが広大ヒントが少ない
アイテムが多い難易度が高い
音楽が印象的 

(C)1986-2006 Nintendo

□任天堂のホームページ
http://www.nintendo.co.jp/
□VC「ゼルダの伝説」のページ
http://www.nintendo.co.jp/wii/vc/vc_zel_fc/




■ イタヲタのレトロなゲームライフ ~ハプニング満載のオタク人生~

僕のゲーマーとしての人生を懐かしさたっぷりで語っていきたい。毎回、特定の時代をセレクトして、自分の記憶への冒険をしたいと思う。最終的には1つのストーリーになる。僕というオタクのストーリー。僕という和ゲー好きゲーマーのストーリー。文章だけでなく、クライマックスのシーンをもっとダイレクトに伝える為に漫画も使うことにした。ちなみに漫画は、今イタリアで注目の若手漫画家に描いてもらった。とにかく、日本ではありえないシチュエーションについてたっぷり語っていくので、本当に面白いコーナーになると思うぞ!

今回タイムスリップした年:1999年
イベント:3D美少女を口説き落とす為の、ゲームによる体型改造計画が始動!
ハプニング:楽しく体重が減らせるゲームが存在していた!

 ローマのゲームショップ、「バーチャルドリーム」でバイトを続けている。今日はとても大事な日だ。日本文化会館の図書館で奇跡的に出会った、あの3D美少女が、店を訪ねる日なのだ。イタリアのゲームショップはどうなっているのか、是非見てみたいということだった。

 今日の僕の洋服を見た店長は、皮肉めいたコメントをもらした。

 「今日、結婚式でもあるのか?」

 ちょうどその時、3D美少女が店に入った。僕の表情を見た店長が、その瞬間、すべてを理解した。僕の口の開き加減がすべてを物語っていた……。

 30分が、あっという間に過ぎてしまった。結局、お客さんが入ってきたせいか、僕は日本人の3D美少女と会話をかわすことはほぼなかった。店長の前でさらに恥ずかしくなって、顔がずっと赤く染まっていた。

 しかし、3D美少女が、「バーチャルドリーム」の品揃えを気に入ったように思えた。日本から輸入された日本語版のRPGがずらりと並び、彼女の大好きな「風来のシレン」も置いてあった。ちなみに、彼女の好みを知ったとき、僕も「風来のシレン」を購入し、集中的にプレイした。おかげで、僕もこのシリーズの大ファンになったわけだ。

 「君、女性との付き合いが、苦手だろう」

 それは、3D美少女が店を出た直後に、店長が口にしたセリフだった。確かに、ゲームの為だけに生きてきたと言ってもおかしくない自分を形容するのにぴったり当てはまる言葉だった。

 「女性を口説き落とす為の秘密を教えてあげようか?」

 店内で大胆なセリフが響き渡る。よく見ると、店長が、女性のすべてを知っているかのような、正真正銘の二枚目だ。さらに話が続くと、店長がプレイボーイであることがわかった。レジの隣の壁に貼りつけてあった、本人が可愛い女性達と一緒に映っている写真が、それを裏付けていた。

 「是非、その秘密を教えて下さい」

 無意識に僕は店長に向かって頭を下げていた。僕の“改造計画”が、その日始動したのだった。

 まず、自信がつくように、ジムにでも行って体重を減らし、そして筋肉を増やしてというアドバイスを受けた。決してルックスが第一と思っている人間ではなかったが、体型をよくすれば、きっと自信もつくだろうと、僕も思い始めていた。

 ジムに通い始めて、約1週間、単調な作業にもう既に飽きてきた。やせる為に、もっと刺激的で、面白い方法はないのだろうか。例えば、ゲームしながらカロリーを消費できる方法があったらいいなと願っていた。

 今日もバイトが入っている。店の前に到着したが、開店まではあと30分がある。どうしようかと思ったら、ちょうど店の向かい側にゲームセンターがあることに気が付いた。せっかくだから、何か新作がないか確かめたくなり、ゲームセンターの中へと足を運ぶことにした。

 店内の1番奥に、大きな筐体が置いてあった。近づいてみると、KONAMIのロゴが入っている。タイトルは「DANCE DANCE REVOLUTION」(DDR)だった。ジャンルは、当時、聞いたことのなかった音楽ゲームだった。操作の主流だったジョイスティックがなく、その代わりに床に4つの矢印の付いた台が設置されていた。その台に乗ったまま、画面の矢印と曲のリズムに従いながら、足で矢印を踏んでいくという斬新なルールだった。リズミカルに矢印を踏んでいるうちに、自分がダンスしているかのように激しく体を動かし、これで、気になる余分な脂肪を燃焼できるのではないかと、その時思いついた。

 早速、コインを投入!僕の初めての「DDR」セッションが開始した。念の為、難易度の低い曲を選択した。矢印の数が少なく、足が少しずつテンポに慣れていくことを実感する。次のレベルに進まないと。もっと難しい曲を選ぶと、今度は苦しくなるほど、足を上下左右に動かしている。

 その時、店内に来ていたお客さんたちが、一斉に、僕のほうに目を向けた。まるで宇宙人が変な踊りをやっていると言わんばかりの目線だった。決して、ダンスがうまいわけではなかったが、今、確かに、人の関心を浴びながら、煌びやかなクラブの中で踊っているかのような錯覚に陥っている。



 まるで魔法のようにカロリーが消費されていく。これこそが、僕の夢見ていた、ゲーム要素のあるジムというやつだろう。その瞬間、僕の心の中で、ある決断が浮かんだ。今日から、ジムではなくて、このゲームセンターに通おうと。これで、僕の大好きなゲームで、確実に痩せられると、確信した瞬間でもあった。

 あの日から1カ月が過ぎた。「バーチャルドリーム」の店長が、僕の改造計画が順調に進んでいるという事実に喜んでいる。KONAMIのおかげで、僕はたった1カ月で10キロほど体重を減らすことができたのだ。ゲームのおかげで、自信が湧き、これで3D美少女との付き合いが、以前よりうまく行くだろうと思った。

 「君、本当に頑張っているな。どこのジムに通っているんだ!?」

 店長は聞いてきた。僕は少し躊躇ったが、正直に答えることにした。

 「実は……」

 僕は「DDR」のすごさを店長に告げた。こんなに健康に貢献するゲームは初めてだろうと、ゲームの魅力を店長にアピールしまくった。すると、店長は、受話器を取った。東京にある仕入れ先のゲームショップに電話する為に。その電話の内容はまさか“あれ”だったとは……。

 さらに1カ月が経過した。念願の日曜日が訪れた。僕は家の秘密基地で遊んでいる。いや、正確に言うと、踊っているのだ。そう。店長が、あの日、「DDR」のプレイステーション版が発売されたことを知り、ローマでその遊びを広める為に何本も注文したのだった。

 僕の部屋の床には、矢印の付いたマットが敷いてある。僕はその上で踊っているのだ。3D美少女の為に、毎日運動している。ゲームで運動するという響きは、まだ嘘のように聞こえるが、それはまぎれもない事実だった。2D美少女とのバーチャルな交友もこれからも楽しみたいと思うが、僕の人生が次のステップに進む為の3D美少女もとても大切な存在に思えた。来月までに、さらに5キロ痩せようじゃないか。その明るい未来を頭の中で描きながら、最も難しい曲を選んでみた。さあ今日も、「サタデー・ナイト・フィーバー」ごっこの始まりだ!!


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(2012年3月9日)

[Reported by ジョン・カミナリ ]