【第13幕】
Report / manga:ジョン・カミナリ
logo design:フランチェスコ・アッカッターティス

電遊。辞書に載っていない造語である。電気的な遊び。いわゆる、テレビゲーム。道。その道を、自分の価値観だけを信じて最後まで歩むのが、侍精神である。電遊道は、妥協を許さないサムライゲーマーが歩むべき道。他人に影響されることなく、自分のゲーマーとしての信念を貫き通せばいい。たとえ、ゲームが別の道に進んでも、自分の好きな道をずっと信じ続けるのみ。たとえ、“これこそがゲームの未来形だ!”と言われても、自分の好きなゲームライフを思う存分楽しむのみ。

 この連載記事では、毎月1回、僕のゲーマーとしての物語、そしてゲーマーとしての哲学や信念を独特なスタイルで紹介していきたいと思う。日本のゲームに大きく影響を受けた僕のゲーマー人生を、イタリア人としての個性を生かして面白く語りたいと思う。あるときは、話題沸騰中のニュースについて掲載ギリギリのところまで正直な感想を書いたり、またあるときは、今でも心に大切にしまっている過去の作品を振り返ってみたいと思う。

 1番注目して欲しいのは、「イタヲタのレトロなゲームライフ」というコーナー。僕のオタクとしての青春を文章と漫画を交えて懐かしく振り返りたいと思う。連載の途中で新しいコーナーも生まれるのかもしれない。回を追う毎に中身が変わったり増えたりするのかもしれない。とにかく、サプライズたっぷりの連載を目指しているので、末永くこのページの中で付き合って欲しい!

ジョン・カミナリ(芸名)
国籍:イタリア 年齢:35歳
職業:俳優、声優、タレント、テレビゲーム評論家
趣味:テレビゲーム、映画鑑賞、読書(山田悠介)、カラオケ
主な出演作品:銀幕版スシ王子!(ペぺロンチーノ役、デビュー作)、大好き!五つ子(アンソニー・ジャクソン役)、侍戦隊シンケンジャー(リチャード・ブラウン役)、ピラメキーノ(テレビ東京、月曜~金曜 18時30分~19時放送中)
ブログ:ジョン・カミナリの、秘密の撮影日記
Twitter:http://twitter.com/John_Kaminari
 イタリアで6年間テレビゲーム雑誌の編集部員として働いたあと、新しい刺激を求めて2005年に大好きな日本へ。子供の頃から夢見ていた役者の仕事を本格的に始める。堤幸彦監督の「銀幕版スシ王子!」で個性的なマフィアのボス、ぺぺロンチーノを熱演。現在もTVドラマやTVゲームなどで、俳優・声優として活躍中。日本語を勉強し始めたのは23歳のとき。理由は「ファイナルファンタジーVII」や「ゼノギアス」などのRPGの文章を理解するため。好きなジャンルはRPGと音楽ゲーム。「リモココロン」のような個性的なゲームも大歓迎。お気に入りのゲームは「ゲームセンターCX」と「ワンダと巨像」。芸名はイタリア人の友達に、本人が雷のように予想不可能なタイミングで現われるからという理由で付けられた。将来の夢は、「侍戦隊シンケンジャー」に出演した時から大好きになった戦隊モノにまた出演すること



【もくじ】
一刀両断~話題のゲームニュースについて鋭くコメントしちゃうぞ!~
傑作の如く~期待している新作TOP5~
過去の宝物~こよなく愛した過去の思い出の作品をピックアップ!~
イタヲタのレトロなゲームライフ~ハプニング満載のオタク人生~



■ 一刀両断 ~話題のゲームニュースについて鋭くコメントしちゃうぞ!~

話題のニュースや注目のテーマをピックアップして僕の率直なコメントを載せたいと思う。また、現在のゲームが抱えている問題を解決するアイデアや提案も、このコーナーを通じて考えてみたいと思う。ゲーマーの皆が納得できる未来の為に!

其ノ一:3DSの未来を垣間見られた任天堂カンファレンス

 今年の任天堂カンファレンスが行われる直前に、ヨーロッパでは3DSを巡った様々な噂が飛び交った。最も注目されていたのは、2つ目のアナログスティックを持った3DSの新バージョンが、カンファレンスで公開されるのではないかということだった。僕もその噂を耳にし、本当にそのような新ハードが公開されたら大きな信頼問題に発展してしまうと心配した。

 噂の真相を確かめる為に僕もリアルタイムに任天堂のカンファレンスを観た。もちろん、2つ目のアナログスティックがアクションゲームに大いに役立つと認めながらも、本当にそのハードができたらこれから買うユーザーは喜ぶかもしれないが、前のバージョンを購入したユーザーは嘆き、任天堂というブランドから遠ざかることになると思っていた。

 だが、嬉しいことにそのような展開は見せなかった。公開されたのは、これからのゲームシーンが盛り上がるような充実したラインナップだった。そして、どのタイトルよりも輝いていたのは、「モンスターハンター3(トライ)G」、そして開発中の続編「モンスターハンター4」だったと言える。「モンスターハンター3(トライ)G」は、3DSの独自の機能を使ったパワーアップバージョンで、今年のクリスマスシーズンに発売されることもあり、3DSの普及に大きく貢献すると予想している。

 2つ目のアナログスティックを実現した周辺機器「ニンテンドー3DS専用拡張スライドパッド」(拡張スライドパッド)が公開されたのも、とても嬉しかった。欧米の報道やユーザーの反応は様々だったが、やはりマイナス点として挙がったのが外観だ。しかし、実際試してみると意外と使いやすくて、「モンスターハンター3(トライ)G」で操作性が圧倒的に向上するといった意見が多かった。

 とはいえ、2つのアナログスティックを持ったPS Vitaという強力なライバルが存在するので、「モンスターハンター」シリーズのファンは必然的にそっちにも興味を示すことになるだろう。任天堂カンファレンスで電撃発表された「モンスターハンター4」も3DS用に開発中ではあるが、カプコンはおそらくそれと同時に、PS Vita用の「ポータブル」シリーズを展開させるはずだ。プレーヤーとしての理想はどちらのシリーズも平和に共存することだ。お互いのゲーム機の良いところを引き出すような作りで、これからも活躍していくことを願っている。

タッチスクリーンによるコマンド選択、そして同時発売される拡張スライドパッドで3DSでも理想的な操作性が実現した。装着後の外観がバランスを失うことが少々気になるが……

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※画像は開発中のものです。
※ニンテンドー3DSの3D映像は本体でしかご覧いただけません。画面写真は2D表示のものです。
※3D映像に関して:3D映像の見え方には個人差があります。

□任天堂のホームページ
http://www.nintendo.co.jp/
□「ニンテンドー3DS」のページ
http://www.nintendo.co.jp/3ds/
□カプコンのホームページ
http://www.capcom.co.jp/
□「モンスターハンター3(トライ)G」公式サイト
http://www.capcom.co.jp/monsterhunter/3G/
□関連情報
【2011年9月15日】カプコン、3DS「モンスターハンター3(トライ)G」
ステージイベントでは辻本氏と藤岡氏がゲームを紹介
12種類の操作方法を含む体験レポートも掲載
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20110915_477811.html
【2011年9月13日】任天堂、「Nintendo 3DS Conference 2011」
3DS新色「ミスティピンク」発表! ソフトはシリーズ作を前面に押し出し、ラインナップの充実をアピール!
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20110913_477173.html
【2011年7月28日】任天堂、ニンテンドー3DSを8月11日より1万円値下げ!
改定前購入者には任天堂のFC/GBAのVC10タイトルずつを無償配信
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20110728_463686.html


其ノ二:圧倒的なクオリティーでプレーヤーを驚かせたカプコンの最新作

 今年の東京ゲームショーで特に注目を浴びたブースがあった。それは間違いなく、カプコンのブースだった。任天堂カンファレンスで発表されたばかりの「モンスターハンター3(トライ)G」はもちろんのこと、PS3やXbox 360用の新作も来場者を惹きつけた。

 その中で僕がオススメするのは「ドラゴンズ ドグマ」だ。E3でも欧米のプレスを驚かせたが、日本では初めて体験版が出展されることもあり、なおさら注目の的になった。「ドラゴンズ ドグマ」の凄いところは、その統一感だと思う。王道でありながら新鮮な要素も多く提供し、アクションゲームとRPGのファンを同時に満足させられるようなバランスの取れた作品だと確信している。

 僕は「ドラゴンズ ドグマ」で、アメリカ製の人気アクションRPGシリーズ「The Elder Scrolls」と対等に戦うことができると思っている。海外発のアクションRPGの自由度の高さに、日本ならではの表現力と統一感に優れた世界観が加わることによって、これまでなかったような新感覚のアクションRPGが生まれるかもしれないとワクワクしている。

 「DARK SOULS」のような作品で、日本のメーカーが欧米のプレーヤーの好みにぴったり合うような作品も作れることが証明されたので、「ドラゴンズ ドグマ」もそれを上回るような大人気タイトルになって欲しい。

「ドラゴンズ ドグマ」は、欧米のアクションRPGよりも統一感に優れた世界観を実現していると思う。グラフィックス面では、特に世界の景色の色合いや、モンスターの豊かなアニメーションパターンが日本のメーカーならではと評価したい

 普遍的な魅力を持つ「ドラゴンズ ドグマ」に対して、日本という個性を最大限に表現したのは、サイバーコネクトツーが開発中の「アスラズ ラース」だ。これも、今年の東京ゲームショーで大活躍した作品と言える。

 まずびっくりしたのは、作品からみなぎってくるエネルギーだ。キャラクターの表現力、演出の力強さ、そして格闘からシューティングへと切り替わるゲーム性の変化。1つの作品に日本の魂が凝縮されているという印象を受けた。

 アニメのようにエピソードに分けられ、テレビでよく見られるアイキャッチ(CMの前に挿入されるアニメーション)という演出も使われ、アニメを見ているような感覚でゲームを楽しめるのは、非常に新鮮だと思った。サイバーコネクトツーを率いる松山社長のとてつもないエネルギーが見事に反映された作品だと思う。

 「アスラズラース」はCERO審査を恐れないような、自由なゲーム作りが進められている作品でもあると思う。主人公が両腕を失っても戦闘を続ける強烈な場面があれば、気持ちいい温泉に浸かりながら女性の巨乳を主観視点で覗ける、思わずニヤッとしてしまいそうなシチュエーションも用意されている。

 最初から最後まで驚きの連続でプレーヤーは画面に釘付けになるだろう。そういうすごいアクションゲームに仕上がっていると思う。少し気になったのが、QTE(クイックタイムイベント)の多さだ。確かにQTEの採用で演出を豪華にできるがその分ゲーム性が落ちるので、バランスは大切だと思われる。

「アスラズ ラ―ス」には、いろいろなジャンルの良いところが詰まっていると思う。遊びやすさも大きな特長だ

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□カプコンのホームページ
http://www.capcom.co.jp/
□「ドラゴンズ ドグマ」のページ
http://www.capcom.co.jp/DD/
□「アスラズ ラース」のページ
http://www.capcom.co.jp/asura/
□関連情報
【2011年9月26日】西川善司の3Dゲームファンのための「東京ゲームショウ2011」グラフィックス講座
ついに“4次元方向”に進化し始めた3Dゲームグラフィックス達
http://game.watch.impress.co.jp/docs/series/3dcg/20110926_479487.html
【2011年9月16日】東京ゲームショウレポート カプコンブースレポートPS3/Xbox 360「アスラズ ラース」
「熱く、熱く、ちょっと泣ける。」と魅力をアピール!
とんでもないスケールと展開の連続で迫る新アクションタイトル
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20110916_478127.html
【2011年9月16日】東京ゲームショウレポート カプコン「ドラゴンズ ドグマ」
スペシャルステージ&試遊レポート 新PVも掲載!
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20110916_477916.html


其ノ三:「METAL GEAR SOLID」を巡った“競合事件”

 KONAMIは、今年の東京ゲームショーで大きな発表を控えたという印象を受けた。小島秀夫氏のステージイベントでは、「Z.O.E」シリーズの秘話や新しいゲームエンジンを使った新作が開発中であることは紹介されたが、「METAL GEAR SOLID」シリーズの正真正銘の新作について具体的な内容は発表されなかった。非常に残念だ。

 そして不思議に思ったのは、PS3とXbox 360で「METAL GEAR SOLID HD EDITION」が発売されることだ。もちろんファンとして喜ぶべき発表だが、コレクションには3作目も入っているので、これで3DS用に開発された「METAL GEAR SOLID: SNAKE EATER 3D」の存在意義が無くなるかもしれないと心配している。

 ヨーロッパでもその発表が3DSユーザーの指摘を浴びた。しばらく独占と思われていたタイトルが、ほかのゲーム機で、しかもHDという豪華なグラフィックスで提供されることになったので、3DSユーザーの反感を少し買ったようだ。

 もちろん、ジャイロセンサーを使ったアクションや裸眼立体視は3DSだけの特長なので、直接影響しないかもしれないが、発表当時の感激が半減したのは間違いないだろう。PS3/Xbox 360版の発売をもう少し遅らせても良かったのではないかと思う。

もちろん、裸眼立体視やジャイロセンサーを活かしたゲーム性や操作性で差別化されているが、PS3やXbox 360でも同じエピソードが楽しめるのはどうかと思う

(C)Konami Digital Entertainment

□KONAMIのホームページ
http://www.konami.jp/
□「METAL GEAR SOLID HD EDITION」のページ
http://www.konami.jp/kojima_pro/hd/mgs/
□「METAL GEAR SOLID SNAKE EATER 3D」のページ
http://www.konami.jp/mgs_se/jp/
□関連情報
【2011年9月18日】「東京ゲームショウ2011」KONAMIブースイベントレポートその3
小島プロダクションが「Z.O.E」シリーズのマル秘トークを展開
あの人気シリーズの最新作が発売決定のサプライズ発表も
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20110918_478657.html
【2011年9月16日】「東京ゲームショウ2011」KONAMI編その1
ステージイベントに小島監督が登場、
「METAL GEAR」シリーズ最新作など多数紹介!
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20110916_478070.html


其ノ四:念願の原点回帰を約束する「ブレイブリーデフォルト」

 スクウェア・エニックスは今年もRPGづくしのブースを展開させた。前作の“問題点”を解消した「ファイナルファンタジーXIII-2」もそうだが、任天堂カンファレンスで初公開された「ブレイブリーデフォルト」も高い注目を浴びた。

 ポップさを前面に押し出した若いユーザー向けの「ファイナルファンタジーXIII-2」に対し、「ブレイブリーデフォルト」はRPGというジャンルの伝統を汲み、原点回帰を果たしそうだ。僕もARカードの専用アプリをダウンロードし、さっそく試してみた。まず、3Dと2Dの間の独特な味を醸し出すグラフィックススタイルに魅了された。既に欧米でも、高く評価されているようだ。

 昔と違って今のスクウェア・エニックスは、対極的な2つの顔を持っている。王道RPGのファンが受け入れにくいタイトルもあれば、クラシックな雰囲気を重点にした作品の開発も進められている。今後、「ブレイブリーデフォルト」のような王道RPGが提供され続ければ、あらゆるタイプのユーザーが自分の好きなRPGを見つけることができ、支持者はさらに増えていくだろう。

 僕は昔からのプレーヤーなので、やはり「ブレイブリーデフォルト」のような作品を好む。「ファイナルファンタジーXIII-2」も是非プレイしたいタイトルだが、TGSの動画でQTEのようなシステムによって戦闘が展開されているのを見て、演出を重視した作品になりそうな印象を受けた。QTEのようなシステムの導入は確かに演出の派手さに繋がるが、RPGはある意味、地味さも合わせ持つべきだと思う。イメージ重視になってきた昨今の「ファイナルファンタジー」に、共感できない自分がいるのも確かだ。

 ちなみに、「ブレイブリーデフォルト」というタイトルに違和感を覚えたアメリカ人が多くいたようだ。確かに聞いたことのないような独創的なタイトルだと思うが、もっとRPGらしいわかりやすいタイトルにすれば良かったのではないかという意見が目立った。

「ブレイブリーデフォルト」の温もりを感じさせるキャラクターデザインにも注目だ昔懐かしいワールドマップも健在!これもやはりRPGというジャンルの欠かせない要素の1つだ戦闘パートはどのように進行するのかまだ謎だが、ジョブシステムが用意されているので、ジョブ毎のアビリティーや魔法を使える戦闘になるのは間違いないだろう

(C)SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. CHARACTER DESIGN: Akihiko Yoshida.
※画面は開発中のものです。

□スクウェア・エニックスのホームページ
http://www.square-enix.com/jp/
□「ブレイブリーデフォルト」のページ
http://www.square-enix.co.jp/bdff/
□関連情報
【2011年9月22日】スクエニ、3DS「ブレイブリーデフォルト」
RPGの持つ素朴な魅力を詰め込んだ作品
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20110922_478708.html
【2011年9月16日】「東京ゲームショウ 2011」スクエニブースレポートその1
「ファイナルファンタジーXIII-2」、「キングダム ハーツ 3D ドリーム ドロップ ディスタンス」などの話題作を紹介
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20110916_478015.html
【2011年9月22日】スクエニ、3DS「ブレイブリーデフォルト」発売決定
本作専用のARマーカーを「TGS2011」にて先行配布!
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20110913_477108.html


其ノ五:いつでもどこでもプレイできるPS Vita

高性能なのに価格が手頃なのも、PS Vitaの大きな魅力だ。タブレットによく似たタッチスクリーンによる直感的な操作性も、新たなユーザーを引き付ける要因になるだろう

 約束通り、東京ゲームショーで発売日が公開されたPS Vita。日本での発売日は12月17日になった。世界同時発売を密かに願っていたが、さすがに生産が間に合わないだろう。

 ソフトに関しては、ゲーム機と同時発売されるタイトルは多いが、キラーアプリケーションが少ないのも事実だ。といっても、PS Vitaに様々な機能やアプリケーションが内蔵されているから、当日にソフトを購入しなくても、PS Vitaを楽しめるのではないかと思う。

 僕も12月17日に東京のゲームショップで並ぶ予定だ。ゲーム機と一緒に「真かまいたちの夜 11人目の訪問者」を購入しようと思う。チュンソフトのサウンドノベルの大ファンで、今回初めて新作がゲーム機と一緒に発売されることになったので、なおさら買わずにはいられない。ジャイロセンサーを使った探索パートや、タッチスクリーンによる直感的な操作性を楽しみにしている。

 そして、気になるのはやはりソフトの価格だ。これはPS Vitaの成功と普及に深く関わる要素だと思うので、価格設定はよく考えて頂きたい。安く面白いゲームを購入できるタブレットの市場が拡大を続ける時代だからこそ、携帯ゲーム機でもソフトの価格の手頃さが、これからの勝敗を左右するような、大きなファクターになると確信している。

ジャイロセンサーを使った探索パートだけでなく、ストーリーの分岐に影響を与える要素として新たに導入された推理パートも大きな進化点だ。おバカ系サブシナリオが多く用意されているようなので、シリーズファンとしては大喜びだ

(C) Sony Computer Entertainment Inc. All rights reserved. Design and specifications are subject to change without notice. Screen Image Simulated.
(C) 2011 CHUNSOFT

□プレイステーションのホームページ
http://www.jp.playstation.com/
□「PlayStation Vita」のページ
http://www.jp.playstation.com/psvita/
□「PlayStation Vita コミュニティサイト」
http://psvita.jp.playstation.com/
□チュンソフトのホームページ
http://www.chunsoft.jp/
□「真かまいたちの夜 11人目の訪問者」のページ
http://shinkama.chunsoft.jp/
□関連情報
【2011年9月26日】チュンソフト、PS3/PS Vita「真かまいたちの夜 11人目の訪問者」
PS Vitaの機能を使った、新規要素を紹介
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20110926_479751.html
【2011年9月17日】TGS2011「SCEブースレポート」Vita編・Part.2
「アンチャーテッド」、「GRAVITY DAZE」などファーストタイトルメインのプレイレポート!
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20110917_478449.html
【2011年9月16日】TGS2011「SCEブースレポート」Vita編・Part.1
PS Vitaの機能を使った各社タイトルを試遊
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20110916_478016.html
【2011年9月15日】東京ゲームショウ 2011、基調講演「PlayStation Vitaの全貌」
PS Vita用「RESISTANCE 」など最新のデモンストレーションを披露
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20110915_477738.html
【2011年9月14日】「Sony Computer Entertainment Japan Press Conference」
河野氏「PS Vitaのコンセプトは、コアなゲームからカジュアルまで、すべてのプレイスタイルを満たす」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20110914_477581.html



■ 傑作の如く ~期待している新作TOP5~

僕が期待している発売前後の新作TOP5。さまざまな情報をもとに、各ゲームのシステムやグラフィックスといった要素の中で僕が魅力的に感じたところを紹介していく。必ずしもメジャーなタイトルではなくて、逆に注目して欲しいマイナーな作品をピックアップすることもある。

(C) 2011 CHUNSOFT

1位:真かまいたちの夜 11人目の訪問者
   プラットフォーム:PS3/PS Vita
   ジャンル:サウンドノベル
   発売元:チュンソフト
   発売日:12月17日
   価格:各6,090円(パッケージ版)
   4,980円(DL版、PS Vita)
   プレイ人数:1人(PS Vita版のふたりでかまいたちが2人
            オンラインのみんなでかまいたちが1ルーム最大100人)

 おそらく新規ユーザーを獲得する為にも、サウンドノベルの金字塔である「かまいたちの夜」シリーズが、装いも新たにPS Vitaでデビューすることになった。昔からのファンは、アドベンチャー要素が濃くなったことに対して異論を唱えるかもしれないが、ジャイロセンサーを使った探索パートや情報を組み合わせる推理パートに大きな魅力を感じる。

□チュンソフトのホームページ
http://www.chunsoft.jp/
□関連情報
【2010年9月26日】チュンソフト、PS3/PS Vita「真かまいたちの夜 11人目の訪問者」
PS Vitaの機能を使った、新規要素を紹介
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20110926_479751.html

(C) SQUARE ENIX CO.,LTD. All Rights Reserved. Developed by indieszero Co.,Ltd.

2位:シアトリズム ファイナルファンタジー
   プラットフォーム:3DS
   ジャンル:シアターリズムアクション
   発売元:スクウェア・エニックス
   発売日:今冬
   価格:未定

 「ゲームセンターCX」でクラシックゲームの懐かしさをたっぷりと味わわせてくれたindieszeroが、スクウェア・エニックスとタッグを組み究極のリズムゲームを開発した。純粋な音楽ゲームとして楽しめるのはもちろん、溜めた経験値でキャラクターをレベルアップさせたり、アビリティーを装備したりすることもできるのでRPGファンも注目だ。

□スクウェア・エニックスのホームページ
http://www.square-enix.com/jp/
□「ファイナルファンタジー」シリーズポータルサイト
http://www.finalfantasy.jp/
□関連情報
【2010年9月22日】スクエニ、3DS「THEATRHYTHM FINAL FANTASY」
「サポートキャラクター」などゲームシステムの詳細を公開
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20110922_478988.html

(C)CAPCOM CO., LTD. 2012 ALL RIGHTS RESERVED.

3位:ドラゴンズ ドグマ
   プラットフォーム:PS3/Xbox 360
   ジャンル:オープンワールドアクション
   発売元:カプコン
   発売日:2012年初頭
   価格:未定
   プレイ人数:1人(多人数ネットワーク)

 「モンスターハンター」シリーズで培ったノウハウを活かして、カプコンは世界中のプレーヤーを夢中にさせるオープンワールドアクションゲームを生み出そうとしている。生命感に満ち溢れる細部にこだわった世界観も魅力的だし、オンラインでほかのプレーヤーとポーンの貸し借りができるシステムも革新的だと思う。ポーンの人工AIに期待大。

□カプコンのホームページ
http://www.capcom.co.jp/
□関連情報
【2010年9月16日】東京ゲームショウレポート カプコン「ドラゴンズ ドグマ」
スペシャルステージ&試遊レポート 新PVも掲載!
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20110916_477916.html

(C)SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. CHARACTER DESIGN: Akihiko Yoshida.
※画面は開発中のものです。

4位:ブレイブリーデフォルト
   プラットフォーム:3DS
   ジャンル:RPG
   発売元:スクウェア・エニックス
   発売日:2012年
   価格:未定
   プレイ人数:1人

 昨今の「ファイナルファンタジー」は変わり過ぎと感じている、昔懐かしいRPGファンの為の新作RPG。3DSのグラフィックス性能を活かしながら、ジョブシステムなどの「ファイナルファンタジー」シリーズから受け継いだシステムを持っている。情報はまだ少ないが、既に世界中で注目を浴びているゲームだ。

□スクウェア・エニックスのホームページ
http://www.square-enix.com/jp/
□関連情報
【2010年9月22日】スクエニ、3DS「ブレイブリーデフォルト」
RPGの持つ素朴な魅力を詰め込んだ作品
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20110922_478708.html

(c) 2010 Ubisoft Entertainment. All rights Reserved. Child Of Eden, Ubisoft and the Ubisoft logo are trademarks of Ubisoft Entertainment in the US and/or other countries.

5位:チャイルド オブ エデン
   プラットフォーム:PS3/Xbox 360
   ジャンル:シナスタジアシューター
   発売元:ユービーアイソフト
   発売日:10月6日
   価格:各6,279円
   CEROレーティング:A(全年齢対象)
   プレイ人数:1人(オフライン)

 「Rez」で音楽と映像にこれまでになかった一体感を持たせた水口哲也氏の最新作。今回も、「Rez」のように曲のリズムに乗りながら、シューティングゲームのように画面内の敵をロックオンして撃っていくシステムになっている。普通のコントローラーでのプレイも十分面白いが、KINECTやPlayStation Moveだとさらなる臨場感を味わえる。

□ユービーアイソフトのホームページ
http://www.ubisoft.co.jp/
□関連情報
【2010年9月27日】ユービーアイ、PS3/Xbox 360「Child of Eden」
店頭体験会を10月1日に東京の池袋にて開催
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20110927_479859.html



■ 過去の宝物 ~こよなく愛した過去の思い出の作品をピックアップ!~

ゲームは技術的に進化する。グラフィックスが綺麗になる。ポリゴンの数が増える。ゲーム内の景色が実写と見間違えるほどリアルなものになってきている。しかし、時代が変わっても必ずしも進化しないものもある。それはゲームの面白さだ。昔のゲームはグラフィックスはシンプルだが、面白さでは今のゲームに負けていない。いや、それに勝る特別な何かを持っている作品もあると思う。秋葉原のゲームショップや家庭用ゲーム機のオンラインストアで安く購入できる過去の傑作は山ほどある。このコーナーでは、僕が愛した昔のゲームをピックアップしていきたいと思う。具体的なゲーム内容よりも、僕のその作品に対しての気持ちを伝えることができればと願っている。

【アクスレイ】

プラットフォーム:SFC
ジャンル:シューティングゲーム
発売元:コナミデジタルエンタテインメント
発売日:1992年9月11日(SFC版)
    2008年5月7日(VC版)
価格:800Wiiポイント(VC版)


 「グラディウス」や「パロディウス」でKONAMIのシューティングゲームの面白さを知った。画面の下部に表示されたメニューの項目を使った、任意に自機を強化できるシステムはもちろん、高音質のサウンドトラック、最先端のグラフィックスにいつも心を踊らされていた。KONAMIの新作が発売される度に、僕はレビュー記事を読まずに100%そのクオリティを信用して、自動的にゲームショップに向かっていた。

 1992年にスーパーファミコンで発売された「アクスレイ」も例外ではなかった。ローマの日本版ソフトを扱っていた店で購入した日のことをまだ鮮明に覚えている。少し高かったが、家で遊んでみたら高かったことを全然後悔させないすごいシューティングゲームだった。

 しかし思い出は思い出、今は今だ。時間が経つにつれて、ゲームは古くなってしまう。覚えていた凄さが、普通以下になるケースもある。「アクスレイ」もそのグループに入るのだろうかという疑問を感じつつ、バーチャルコンソールのメニューで「アクスレイ」という文字に再会した。今でも楽しめるかどうか確かめたくなって、早速ダウンロードしてみた。15年ほど前に、「アクスレイ」のカセットを新しいゲーム機を買う為に売ってしまっていた自分を呪ったが、今安く購入できるから絶対にお得だと思って購入を決定した。果たして、思い出は思い出のままのほうがいいのだろうか……。

 はっきり言って最も心配していたのはモード7を使用した3次元を再現する奥行きのあるステージが、今でも違和感なく受け入れられるかということだった。ポリゴンがほぼ存在しなかった当時、あっと驚かせるようなすごいエフェクトだった。ゲーセンが家に引っ越したかのような喜びを感じていた。

 バーチャルコンソールのソフトを起動して、まず、迎えてくれたのは「アクスレイ」のアニメ風のイントロだ。ほかのシューティングゲームよりも、「アクスレイ」はストーリー要素が濃かったといえる。イーリス恒星系に闇の帝国が現われ、侵略を始める。過去に3度の奪還を試みたイーリス恒星系は、新たに開発した強力な兵器を搭載できる戦闘機「アクスレイ」に最後の希望を託すことにした。

 有名なSFアニメを思わせるようなシーンに心を奪われていた。勇壮な音楽がプレーヤーの感情移入度を高めていた。僕はその瞬間、戦闘機「アクスレイ」のパイロットとして復讐してやると心に誓った。もちろん、20年近く経過した今でも、イントロを見て同じ感動を覚えた。

今、当たり前と感じるイントロが、当時、プレーヤーにとって大事な存在だった。長ければ長いほど感動は大きかった

 イントロが終わり、「アクスレイ」のカッコいいロゴが画面の中央に表示された。スタートボタンを押して、早速プレイ。本作は「グラディウス」などと違い、使用する武器をステージ前のブリーフィング画面で選択するようになっている。最初のステージでは決められた武器セットしか選択できないが、ステージが進むにつれ新たな武器が追加されていく。つまり、本作では「グラディウス」シリーズのようにステージ中にパワーアップアイテムが出ることはない。

 戦闘機のポッド、サイド、ベイの3カ所に搭載できる武器は、L/Rボタンで切り替えることができる。最初のステージで使える武器はそれぞれ、ポッドが正面に向かって強力なショットを射出する「ストレートレーザー」、サイドが攻撃ボタンを押したり放したりすることでショットの向きを変えられるとても個性的な武器「ラウンドバルカン」、そしてベイが速度が遅い半面、威力が高い上級者向きの武器「マクロミサイル」だ。ちなみに、敵のショットを受けると、使っていた武器が故障しステージの最後まで使用できなくなる。すべての武器が故障すると、戦闘機はノーマルショットだけで戦わなければならないわけだ。

敵に囲まれている時に重宝するのがラウンドバルカン。ボタンを押したり放したりすることで、ショットの向きを調節できるミサイル系の武器は遅いが、良いタイミングで撃てば敵により多くのダメージを与えられるステージ3から、周囲にレーザーを放出する「ニードルクラッカー」というユニークな武器が追加される

 ゲームの途中でパワーアップしたり、武器を回復させるようなアイテムが一切登場しないというシステムについては賛否両論があるだろう。だが、僕は逆にこの制限がさらなる緊張感へと繋がり、プレーヤーをより一層集中させてくれるシステムだと思っている。場面に合った賢い武器選択が、勝敗を分けるわけだ。

 「アクスレイ」は6つのステージを収録している。ステージは、「沙羅曼蛇」のように縦スクロールと横スクロールを交互に展開させているというのも、大きな魅力だ。最初のステージはモード7を使った奥行きのある縦スクロールで、ステージ2は横スクロール。昔懐かしい2Dグラフィックスで構築されている。これでバラエティが増し、1つのソフトで2つのサブジャンルが見事にまとまっている感じだ。

最初のステージでは、岩でできた迷宮のようなゾーンも用意されている。ジグザグしながら、岩を避けなければならないステージに奥行きを与える雲のエフェクトが今でも色あせていない各ステージの途中にもボスが現われる。ファイナルボスほど手強くないが、それでも油断は禁物だ

 奥行きを再現するモード7のスペシャルエフェクトが今でも楽しめるかどうか疑問だったが、驚いたことにポリゴンのように古くなっていない。例えば、32ビットゲーム機のポリゴンでできたシューティングゲームを今遊んでみると、ポリゴンの粗さに耐えられなくなるケースが多い。それに対して、「アクスレイ」のモード7はまだ通じるような気がした。奥から現われてくる敵のスプライトが平べったく見えるのは少し気になったが、全体的にはまだまだ十分に楽しめるグラフィックスだと思った。

 横スクロールのステージに関しては本当に申し分なし。複数のパララックスエフェクトが2Dステージに奥行きを与え、モード7を使った回転エフェクトがファイナルボスにダイナミックさを加える。敵やギミックも絶妙なバランスで配置されており、本当に研究を積み重ねた上で構築されたステージであることを感じさせる。

ステージ2、ステージ4、ステージ6が昔懐かしい横スクロールで展開する。その圧倒的なクオリティにまた感動したステージ2のファイナルボスも、モード7を見事に使っている。ロボットが頭を回転させながら、強力なショットを撃ってくるステージ3は、奥行きを感じられる縦スクロールで展開する。ステージのバランスとバラエティが圧倒的だ

 「アクスレイ」がすごいと思う理由はもう1つある。ゲーム性に直接に絡む要素ではないが、プレーヤーの盛り上がり度をグッと上昇させるような要素であることは間違いない。それは音楽だ。後で知ったことだが、本作のサウンドトラックの希少度が非常に高く、現在も日本で高く評価されていると聞いた。音楽がなくても「アクスレイ」は非常に良いシューティングゲームだが、すごいサウンドトラックが加わると戦いがさらに熱くなる。ちなみに僕のお気に入りはステージ2の音楽だ。「アクスレイ」の素敵な音楽をぜひ体験してみて欲しい!

【グッジョブ!】【異議あり!】
バラエティ豊富敵が平べったく見える
武器が個性的パワーアップアイテムがない
音楽が素敵 
モード7が最高! 

(C)Konami Digital Entertainment Co., Ltd.

□KONAMIのホームページ
http://www.konami.jp/
□VC版「アクスレイ」のページ(KONAMI)
http://www.konami.jp/products/dl_wii_axeley_vc/
□VC版「アクスレイ」のページ(任天堂)
http://www.nintendo.co.jp/wii/vc/vc_ax/
□コナミシューティングコレクション(DISK8 - アクスレイ オリジナルサウンドトラック収録)
http://www.konamistyle.jp/sp/shooting_c/



■ イタヲタのレトロなゲームライフ ~ハプニング満載のオタク人生~

僕のゲーマーとしての人生を懐かしさたっぷりで語っていきたい。毎回、特定の時代をセレクトして、自分の記憶への冒険をしたいと思う。最終的には1つのストーリーになる。僕というオタクのストーリー。僕という和ゲー好きゲーマーのストーリー。文章だけでなく、クライマックスのシーンをもっとダイレクトに伝える為に漫画も使うことにした。ちなみに漫画は、今イタリアで注目の若手漫画家に描いてもらった。とにかく、日本ではありえないシチュエーションについてたっぷり語っていくので、本当に面白いコーナーになると思うぞ!

今回の時代設定:1999年
イベント:「サイレントヒル」がイタリアで発売!
ハプニング:僕とエマちゃんはゲーム史上最恐の体験を……

 テリーこと、マッシモと知り合ってからというもの、大学や漫画学校の授業が終わった後、毎日のように彼の店に通っていた。常連客というよりもゲーム友達と言ったほうがいいだろう。念願の続編や面白そうな新作が発表される度に、ほぼ自動的にエマちゃんと僕の足はテリーの時計屋さんに向かっていた。唯一、僕たちの来店を歓迎していなかったのは、時計の販売を第一に考えていたマッシモのお父さんだった。

 いつ行っても、僕たちを迎えていたのは、ISS(「International Superstar Soccer」)に夢中のテリーの曲がった背中だった。どんなにすごいプレイステーション用の新作が発売されても、彼は「やっぱりスーパーファミコンは最高だ」という信念を曲げなかった。初ポリゴンの「Winning Eleven」が発売された時、ゲーム性が大きく変わったことを嘆きまくっていた。

 しかし時代は、マッシモの願いに逆行していた。メガドライブやスーパーファミコンの温かいドットグラフィックスが、当時最先端だったポリゴンにすり替えられようとしていた。セガサターンやPSが本格的に店頭に並び始め、16ビットのゲーム機がどんどん姿を消していった。

 だが、世の中の傾向に断固反対するマッシモは、ドットグラフィックスのISSをサッカーゲームの神様として崇め続けていた。サッカー好きなイタリア人を幸せにできる唯一のゲームとして。

 時が経つにつれて、ポリゴンは当たり前になり、僕とエマちゃんは少しずつスーパーファミコンから離れていった。当時学生だった僕たちがPSのゲームを買う方法は1つしかなかった。スーパーファミコンやメガドライブのゲームを売ることだった。そして、金策してできたお金でPSの新作を買っていた。そのせいで、スーパーファミコンのソフトが並んでいた本棚が、だんだん空っぽになっていった。その代わり、PSのソフトが増え始めた。

 当時の気持ちはまだよく覚えている。雑誌で見たPSの新作を買う為に売ってもいいゲームがあるのかなと、時間をかけてスーパーファミコンのゲームが並んだ本棚と睨めっこしていた。「いや、これはダメだな」、「これも絶対売っちゃダメ」という気持ちと裏腹に「でも、売らないとあのゲームで遊べないよな」という気持ちもあった。結局、絶賛されたPSの新作に負けて、スーパーファミコンのソフトが1つ、また1つと消えていった。

 ある日のこと。授業の後、いつものようにマッシモの店に向かった。何か新作が出たかなと思っていると、遠くから見えるショーウインドーには新しい商品が展示されているようだった。そのゲームのタイトルを確かめる為にショーウインドーに近づいた。エマちゃんも僕とシンクロして歩を進めた。

「サイレントヒル」

 不気味な響きのそのタイトルに身震いを覚えた。メーカーのロゴに目をやると、KONAMIの新作だということがわかった。僕もテリーもエマちゃんも大好きなKONAMIの最新作だったのだ。しかも、これまでのKONAMI作品と違って、ジャンルはホラーアドベンチャーだった。その瞬間、PSで遊んだカプコンの「バイオハザード」が思い浮かんだ。今、まさにホラーアドベンチャー時代の真っ只中。人気に乗じてほかのメーカーも似たようなソフトを作っている時代でもあった。KONAMIも例外ではないということか?

 しかし、「サイレントヒル」のロゴとイラストから何か、すごいものを感じた。これはただものではないと。推測の世界から覚まさせたのはテリーの声だった。

「それ、今日、入荷したばかりだよ」

 「餓狼伝説」のテリー・ボガートとまったく同じ恰好のマッシモが、僕たちに歩み寄りながら言った。

「まだ試していないけど、すごいらしいぞ」

 自信たっぷりのその発言に、僕たちはどきっとした。エマちゃんは「バイオハザード」のすごさを認めていたが、元々ホラーが嫌いなジャンルだったので、僕の家で初めて遊んだ時、何度も椅子から飛び上がった。

 レビューをまったく読まずに果たして買うべきかと少し迷ったが、いつも驚かせてきたKONAMIだったから、直感を信じることにした。結局5分後には、僕の手に「サイレントヒル」の箱が握られていた。マッシモの店に着いたばかりなのに、急に家に帰りたくなった。マッシモには悪いが、今、このゲームですぐ遊ばなきゃという想いが頭を占拠している。

 エマちゃんは怖がりなので説得するのに時間がかかったが、最終的には僕の家に遊びに来ることになった。ホラーゲームは夜に遊んだほうが何百倍も怖いから、太陽が暮れるのを待ってからスイッチオン。

 濃い霧に包まれた町、サイレントヒルに車で向かう主人公やハリーとその娘、シェリル。そこでハリーが交通事故に遭い、意識を取り戻した時、助手席に娘の姿はもうない。車を後にしたハリーは霧に包まれた町、サイレントヒルに向かう。行方不明になった娘を探すために……。


 暗闇に包まれた部屋の中で僕とエマちゃんはテレビに釘付け状態だ。独特なカメラワークが演出する臨場感は新鮮だ。僕はまさに、このゲームの監督であるかのような視線で主人公のドラマを追っている。

 サイレンが鳴っている。ついさっきまで昼間だったのに、地獄へ向かっているかのように周囲が真っ暗になった。カメラワークがさらに大げさに上から主人公の移動を追っている。この先に一体、何が……と思いながら、僕はおそるおそる主人公を前進させる。緊張感は絶頂に達している。隣で僕のプレイを見守っているエマちゃんは目を閉じて違う方向を見ている。このゲームの内容が、彼にとって強烈過ぎるという意味だろう。

 まだ見えないが、音響効果から周囲に不気味な生き物がいることがわかった。この町の正体は一体?どうやら次元が変わったり、時間が勝手に進んだりするようだ。見たことのないような演出。見たことのないような舞台。見たことのないようなゲーム性。「バイオハザード」と違って、主人公は無防備で、場合によってモンスターと戦うより逃げることを最優先にするべきだ。KONAMIは、あの名作の“クローン”を作ったのではなく、まったく新しい形のホラーアドベンチャーを作った。そして、僕とエマちゃんは今、その恐ろしいストーリーを体験している。

 僕とエマちゃんの秘密基地のドアがノックされた。と同時に2人とも椅子から飛び上がった。

「誰だ!」と、つい漏らす。
「ママだけど、夕飯、できたわよ」

 お母さんの声で僕たちは現実世界に引き戻された。

「エマちゃんも一緒に食べる?」

 エマちゃんに頭で合図を送る。「残ってくれ」という意味だった。

 安心な気持ちになるキッチンの明りに照らされて、皆が美味しいパスタを食べている。家族との時間は楽しいが、やっぱりあのゲームの続きが気になる。ある意味、暗い部屋で遊びたくないが、それはホラーゲームの鉄則だから勇気を振り絞ってプレイしないと。

 マッシモの言っていた通り、「サイレントヒル」はすごいゲームだった。KONAMIのサポーターであるマッシモの直感は正しかった。明日、授業が終わったら、彼の店に行ってお礼を言わないと。パスタの最後の一口を飲み込んだ直後に、また地獄へ行く覚悟で嫌がるエマちゃんを引きずりながら秘密基地へと向かった……。




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(2011年10月7日)

[Reported by ジョン・カミナリ ]