東京ゲームショウ 2011レポート
東京ゲームショウ 2011、基調講演「PlayStation Vitaの全貌」
PS Vita用「RESISTANCE 」など最新のデモンストレーションを披露
参入ライセンシーがかなりの数に上っている。メーカー側の期待値も高い |
ついに開幕した「東京ゲームショウ 2011」において、毎年その年を代表するトピックを取り扱っている基調講演だが、今年は第1部の和田洋一会長による講演に続き、第2部では株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメントによる「PlayStation Vitaの全貌」と題した講演が行なわれた。新ハードとして期待されている「PlayStation Vita」について、昨日は発売日やキャリアなどビジネス面の発表に終始したが、基調講演ではデモンストレーションを中心にPS Vitaで「何ができるのか?」にスポットライトを当てた発表が行なわれた。
SCEIのワールドワイドスタジオ プレジデントを務める吉田修平氏の挨拶に続き、登場したのがSCEI SVP兼第2事業部長の松本吉生氏。PS Vitaのコンセプトとして、単なる新しい携帯ゲーム機ではなく、新しいエンターテイメントを楽しめるよう、ゲーム体験を実生活に取り込むことでこれまでにない楽しみを提供したいとした。
まずは基本的なスペックや価格について触れ、発売日についても12月17日に発売すると改めて明言。タイトルについても幅広いジャンルのラインナップを用意していると語った。なお、PlayStation Stoerから各ソーシャルサービスを楽しめる専用のアプリケーションが配信されるという。これらのアプリケーションははPS Vitaのインターフェイスに最適化され、快適な操作が可能となっているという。PS VitaもPSP同様にシステムソフトウェアをアップデートすることで、より使いやすいマシンを目指すという。
26タイトルを同時発売タイトルとして用意することと、100タイトル以上が制作中であることを表明し、これはプレイステーションの歴史の中でも最大級だとした。
ワールドワイドスタジオ プレジデントを務める吉田修平氏 | SCEI SVP兼第2事業部長の松本吉生氏 |
ここで吉田氏が再度登場。PS Vita用完全新作タイトルとして開発が進められているという「RESISTANCE BURNING SKIES」のでもプレイを行なった。まずはゲームを起動するところからスタート。アイコンをタップするとすぐにゲームが起動するわけではなく、「ライブエリア」と呼ばれる情報集約ページが表示される。ゲームを楽しむための情報、プレーヤーが興味を持つであろう情報を得ることができるようになっている。WEBブラウザが起動し、専用ページが表示されたり、ユーザープロフィールの閲覧を始め、たとえば大会が行なわれるのであれば、ゲームを起動させてそこからオンライン大会に参加するのではなく、大会が行なわれるルームなどが自動的に起動しそこから大会に参加するなど、わかりやすくなっている。このほかにも、フレンドが新記録を出したりトロフィーを獲得したといった情報も表示され、ここにコメントを残すこともできる。
このライブエリアの中からゲームの起動アイコンを選択しゲームをスタート。「RESISTANCE BURNING SKIES」はニューヨークで消防士としてキメラと戦っていく、完全新作ストーリーとなっている。PS Vitaは2つのアナログスティックを搭載していることから、デモプレイを見ている限りではFPSの操作は非常に快適なようだ。武器の切り替えは、画面上に表示されている武器アイコンをタップすることで切り替え、背面のタッチセンサーなど各種ボタンを使い分けることで据え置き型ゲーム機の操作感に迫るインターフェイスを実現したようだ。
「RESISTANCE」シリーズにおいては、シリーズの特徴の1つとしてキメラの技術を取り込んで強力な武器をどんどん開発し揃えていく楽しさがある。吉田氏は「多くの武器が収録されており、ユーザーから高評価をもらっている」と説明しながらプレイを続けた。また、手榴弾を投げるとき、着弾点をタップし、狙ったところに投げることができる機能をデモして見せた。ツインスティックとボタンを使用しオーソドックスな操作方法でありながら、各種センサーやタッチパネルを要所で使用することでよりプレイしやすい環境を実現している。今回のデモで、PS Vitaでゲームをプレイするイメージがつかめたような気がする。「RESISTANCE BURNING SKIES」は、オンラインマルチプレーヤーモードを搭載し、2012年の発売を予定している。
「RESISTANCE BURNING SKIES」のデモが行なわれた。かなり高品質な画像であることも驚きだが、画面をタップすることで手榴弾を投げたり、プレイアビリティが向上する工夫がいろいろと行なわれていたことが好感触だった |
引き続いて行なわれたのは、新しい技術を使いどんな遊びが可能となるのかを示したテクニカルデモだ。これまでから同社が力を入れていたカメラを使ったAR技術についてより一歩進めたデモが提示された。ARマーカーを読み取る技術は、一般的なものとなりつつあるが、マーカーがずれるとすぐに読み取れなくなり、キャラクターなどが消えてしまうのが難点ともいえる。これを克服したものが今回「Wide Area AR」と呼ばれる技術で、テーブルの上程度の広さであればマーカーの読み取りが可能となる。デモムービーではテーブルの上にマーカーを配置しコースを使ったり、さらには高低差を使ってテーブルの上と下にマーカーを置いても高低差を読み取り、コースを自動的に作るといったことを可能としていた。この技術で、テーブルの上をそのままゲームフィールドとすることができるようになる。ペットを育てるゲームで散歩のコースを作るといったデモを展開していた。
さらに進んだ技術として「Markerless AR」といった技術も公開された。環境を3Dで認識し取り込み、空間の中でキャラクターを表示することができる。たとえばカメラを引くとキャラクターは小さくなり、たとえば恐竜が表示されているところでPS Vitaを持って見上げればジャイロセンサーが作用し、きちんとキャラクターを見上げてみているように表示されル。PS Vitaの高度なグラフィックス技術をもって可能になったとしている。現在これらの機能は開発中で、今後ベータキットをデベロッパーに配布していく。SCEIでは今後高速化を目指していくという。
PS Vitaをもって上を向くとジャイロセンサーに反応してキャラクターを見上げるように描画してみせる | カメラから取り込んだ写真をすべて空間として把握しているので、カメラを動かしてもそのカメラの位置を検知し、キャラクターを正しく描画して表示することが可能となっている |
PS3との連携についてはPSPより遙かにできることが多いという。クラウドサーバーを使ったセーブデータのPS3とPS Vitaでの共有、PS3とPS Vitaとのクロスプラットフォームでの対戦(PS3「wipeout HD」とPS Vita「wipeout 2048」で対戦可能)、データコンパチビリティ(「Modnation」でユーザーが作り上げた250万個ものアップロードされたデータがすぐに使用可能となる)などが実現可能となる。
今回はさらにPS3の「torne」との連動がデモンストレーションで明らかとなった。PS Vitaで番組表を表示させ、ダイレクトに予約。また「torne」側から現在放送中の番組を他の部屋で見るといったことも可能となっていた。「torne」のアップデートは12月に予定している。
そしてプレイステーション 3のリモートプレイもより進んだものとなる。デモではPS VitaからPS3上の「KILLZONE3」をプレイして見せた。時々遅延する場面も見られたが、総じて快適。PS3用のコントローラーに対してPS Vitaの方がボタン数が少ないが、これを背面のタッチパネルなどでカバーするような工夫が施されていた。今回のデモでは背面タッチパネルの左下をタップすることで走ることが可能となっていた。これらを可能とするにはいろいろと対応しなければならない点があると言うが、ユーティリティの開発が進んでおりメーカーに配布していくという。
さらにPS VitaをPS3のコントローラーとして使用するデモも実施した。「Little Big Planet」においてコントローラーを使用して通常のPS3版をプレイ。共通の面をPS Vitaでもプレイしているが、PS3でキャラクターを操作し、行く手を遮るギミックをPS Vitaのプレーヤーが飛行機を操作して解除していく。PS Vitaのフロントのタッチパネルをなぞると飛行機がその通りに進んでいく。2人で声を掛け合いながらギミックを解除していき見事ステージをクリアして見せた。松本氏は、「3G、ロケーションを使って新しいゲームが登場することを期待して欲しい」とコメントしデモを終了させた。
PS3とPS Vitaの連動は、PS3とPSPの連動より、より多くのことができるようになっているという |
「torne」のデモ。美しい有機ELディスプレイで番組を楽しめる | |
PS3のリモートプレイ。「KILLZONE3」をプレイして見せた |
「Little Big Planet」を2人でプレイして見せた |
最後に発表されたのが「PlayStation Suite」についての進捗状況だ。現在「PlayStation Suite SDK」を準備中で、仮想マシン上でソフトウェアが動作するようになっていた。PS VitaとXperia PLAYを並べて同じシューティングゲームが動作しているところを見せた。さらにタブレットPCでも動作が確認されたいた。今後はすでに発売されているAndroid端末の動作の確認や、今後発売される端末の検証なども続け、ファミリーを増やしていきたいという意向を示した。
アプリケーションは一定の審査経て、PlayStation Storeで販売が可能となるが、11月にSDKのベータ版の配布が開始され、来年春よりコンテンツの配信が開始される。また、SCEはPlayStation Certifiedを取得したデバイスに向け、10月下旬よりPlayStation Storeを通じて、初代「プレイステーション」等のタイトルなどコンテンツの配信を開始する。配信地域は、日本、アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、オーストラリアの9か国より開始し、展開国を拡大していくという。
「PlayStation Suite」の発表が最後に行われた |
(2011年 9月 15日)