【第12幕】
Report / manga:ジョン・カミナリ
logo design:フランチェスコ・アッカッターティス

電遊。辞書に載っていない造語である。電気的な遊び。いわゆる、テレビゲーム。道。その道を、自分の価値観だけを信じて最後まで歩むのが、侍精神である。電遊道は、妥協を許さないサムライゲーマーが歩むべき道。他人に影響されることなく、自分のゲーマーとしての信念を貫き通せばいい。たとえ、ゲームが別の道に進んでも、自分の好きな道をずっと信じ続けるのみ。たとえ、“これこそがゲームの未来形だ!”と言われても、自分の好きなゲームライフを思う存分楽しむのみ。

 この連載記事では、毎月1回、僕のゲーマーとしての物語、そしてゲーマーとしての哲学や信念を独特なスタイルで紹介していきたいと思う。日本のゲームに大きく影響を受けた僕のゲーマー人生を、イタリア人としての個性を生かして面白く語りたいと思う。あるときは、話題沸騰中のニュースについて掲載ギリギリのところまで正直な感想を書いたり、またあるときは、今でも心に大切にしまっている過去の作品を振り返ってみたいと思う。

 1番注目して欲しいのは、「イタヲタのレトロなゲームライフ」というコーナー。僕のオタクとしての青春を文章と漫画を交えて懐かしく振り返りたいと思う。連載の途中で新しいコーナーも生まれるのかもしれない。回を追う毎に中身が変わったり増えたりするのかもしれない。とにかく、サプライズたっぷりの連載を目指しているので、末永くこのページの中で付き合って欲しい!

ジョン・カミナリ(芸名)
国籍:イタリア 年齢:35歳
職業:俳優、声優、タレント、テレビゲーム評論家
趣味:テレビゲーム、映画鑑賞、読書(山田悠介)、カラオケ
主な出演作品:銀幕版スシ王子!(ペぺロンチーノ役、デビュー作)、大好き!五つ子(アンソニー・ジャクソン役)、侍戦隊シンケンジャー(リチャード・ブラウン役)、ピラメキーノ(テレビ東京、月曜~金曜 18時30分~19時放送中)
ブログ:ジョン・カミナリの、秘密の撮影日記
 イタリアで6年間テレビゲーム雑誌の編集部員として働いたあと、新しい刺激を求めて2005年に大好きな日本へ。子供の頃から夢見ていた役者の仕事を本格的に始める。堤幸彦監督の「銀幕版スシ王子!」で個性的なマフィアのボス、ぺぺロンチーノを熱演。現在もTVドラマやTVゲームなどで、俳優・声優として活躍中。日本語を勉強し始めたのは23歳のとき。理由は「ファイナルファンタジーVII」や「ゼノギアス」などのRPGの文章を理解するため。好きなジャンルはRPGと音楽ゲーム。「リモココロン」のような個性的なゲームも大歓迎。お気に入りのゲームは「ゲームセンターCX」と「ワンダと巨像」。芸名はイタリア人の友達に、本人が雷のように予想不可能なタイミングで現われるからという理由で付けられた。将来の夢は、「侍戦隊シンケンジャー」に出演した時から大好きになった戦隊モノにまた出演すること



【もくじ】
一刀両断~話題のゲームニュースについて鋭くコメントしちゃうぞ!~
傑作の如く~期待している新作TOP5~
過去の宝物~こよなく愛した過去の思い出の作品をピックアップ!~
イタヲタのレトロなゲームライフ~ハプニング満載のオタク人生~



■ 一刀両断 ~話題のゲームニュースについて鋭くコメントしちゃうぞ!~

話題のニュースや注目のテーマをピックアップして僕の率直なコメントを載せたいと思う。また、現在のゲームが抱えている問題を解決するアイデアや提案も、このコーナーを通じて考えてみたいと思う。ゲーマーの皆が納得できる未来の為に!

其ノ一:イタリア人がクリスマスに購入したいのは3DS?それともPS Vita?

イタリアの家電量販店でも3DSのバーゲンセールが実施された。このようなチラシが自宅に届いた

 イタリアでも3DSの大幅な値下げが実施された。価格は259ユーロから179ユーロへと変わった。換算レートで考えれば日本ほど安くなっていないが、もちろん反響はあった。ゲームショップに貼られた広告がユーザーの注目を引いているようだ。しかし、まだ購入をためらうユーザーがいるのも事実だ。その理由は、言うまでもなく、今年の年末商戦でライバルになるPS Vitaの存在だ。

 しかし、ローマのユーザーに声をかけてみると、PS Vitaのことを詳しく知らない人が意外に多かった。イタリアのゲーム雑誌にはPS Vitaの紹介記事が既に大きく掲載されているが、テレビや店頭ではまだ正式に公開していない。今年の東京ゲームショウで発売日が発表されたら、テレビや店頭での広告による戦略が正式に始動するだろう。

 一方、3DSを発売当時の価格で購入したユーザーの反応が真っ二つに分かれた。岩田社長が提示したアンバサダープログラムを朗報として受け止めたユーザーもいれば、ネット上で不満をあらわにした購入者も多くいた。確かに20のクラシックゲームが無料で手に入るのはありがたいが、それよりも1万円相当のタイトルを自由に選ぶシステムにしたほうがよかったのではないかという声も相次いだ。でも、岩田社長のフランクな姿勢が(給料を半減したことも含め)、イタリア人ユーザーの間で好評を博した。

 不思議なことに、欧米の大きなチェーン店では(イタリアもそうだが)値下げが行なわれる以前から3DSのバーゲンセールが実施された。その理由は正式な値下げが始まる8月中旬までの間、3DSが売れなくなることを恐れたからだ。任天堂がこの事態をどのように受け止めたのかわからないが、少なくとも欧米で問題にならなかったのは確かだ。チェーン店の目線で考えれば、こういう作戦を練るのは当然の流れと言えるだろう。

インタビューを行なった100人の男女は3DSを体験しており、PS Vitaの存在をイタリアのゲーム雑誌やゲームサイトから知ったと言っていた

 そんな中、年末のクリスマス商戦にどちらのゲーム機を購入したいと思っているのかを、ローマにある家電量販店「Media World」と「FNAC」、ゲームショップのチェーン店を訪ね合計100人のユーザーに聞いてみた。意識調査のターゲットは子供が20%、20代の男女が50%、30代以上の男女が30%だった。ちなみにユーザーの80%は男性だった。女性ゲーマーの数がまだ少ないという印象を受けた。

 結果から発表すると、今回の意識調査はPS Vitaの圧勝で終わった。3DSは14票、PS Vitaは86票を集めた。理由も聞いたが、3DSを選んだ人は、既にPS3かXbox 360を持っているから、ラインナップが大きく異なる3DSを買ったほうがお得だという回答が多かった。大幅な値下げが購入を決めた要因になったという意見もあった。また、ほとんどの子供が3DSをクリスマスプレゼントとしてもらいたいと答えた。ちなみに、3DSの納得できないところは?という質問には、「裸眼立体視は目が疲れる」、「思ったほど、画像が立体的に見えない」というコメントが目立った。

 一方、PS Vitaを選んだ86%のユーザーは「ゲームだけでなく、映画などのメディアが利用できるからいいと思う」、「たった50ユーロを足すと高性能なスマートフォンにもなるし、価格もとてもリーズナブルだ」という感想を述べた。グラフィックスの性能やタッチパネルによる直感的な操作方法も大きな魅力となっているようだ。意外だったのは、20代の女性の多くがPS Vitaで遊んでみたいと答えたこと。イタリアでは、「女性=任天堂」という昔からの方程式があったので、傾向が変わってきているのには正直びっくりした。

 PS Vitaの発売日が公開される9月中旬から、状況はさらに変わっていくだろう。3DSも任天堂ならではのキラータイトルを迎え、さらに魅力的な携帯ゲーム機になることも予想できる。確実に言えるのは今年の年末商戦は去年よりも熱くなるということだ。

ホワイトボードにユーザーの票を記していった。見ての通り、PS Vitaがイタリア人の間で既に高く評価されているFNACはローマなどに支店を構えるフランス出身の大きなチェーン店だ。パソコンやテレビから書籍やテレビゲームまで、バラエティ豊かな品揃えを誇る

□任天堂のホームページ
http://www.nintendo.co.jp/
□プレイステーションのホームページ
http://www.jp.playstation.com/
□関連情報
【2011年7月28日】任天堂、ニンテンドー3DSを8月11日より1万円値下げ!
改定前購入者には任天堂のFC/GBAのVC10タイトルずつを無償配信
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20110728_463686.html
【2011年6月10日】SCE、E3で日本・アジアのプレスを集め「PS Vita」のタイトルをプレゼン
「Japan/Asia Media Conference」で実機によるデモを披露
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20110610_452199.html


其ノ二:原点回帰し斬新な試みも取り入れる「真かまいたちの夜」

ロゴも興味深い。真というのは、原点回帰しサウンドノベルの真髄を究めた“真の「かまいたちの夜」”を意味しているのか、それとも、あのペンションで起こった殺人事件の真実を明らかにするという意味なのだろうか?追加情報に期待したい

 イタリア人として誇りに思う記録を持っている。すべての「かまいたちの夜」をプレイしたこと、さらに「かまいたちの夜2」のカウンターが100時間を超え、すべてのシナリオやサブストーリーをクリアしたこと。

 僕は「かまいたちの夜2」も愛したが、日本人ユーザーの多くが指摘したように「かまいたちの夜×3」は、ファンの期待を裏切った作品と言えるだろう。ボリュームもそうだったし、舞台やキャラクターが再利用されたせいか、1作目が持っていた新鮮味に欠けていたと思う。それでも、ホラーサウンドノベルとしてしっかり作られていたことには変わりがなかった。

 日本では多くのファンを誇る「かまいたちの夜」シリーズだが、残念ながらイタリアを含めたヨーロッパではほぼ無名と言っていい。それは本当にもったいないと思う。“ゲームを読む”というカルチャーが浸透したことのないイタリアでは当然の結果だが、これからの試み次第では人気ジャンルになることもありえると信じている。

 「かまいたちの夜」という文字が今、僕の思考を支配している理由は、つい先日、待望の続編「真かまいたちの夜 11人目の訪問者」が公開されたからだ。言うまでもなく、シリーズのファンとしてこの発表をずっと前から待ち望んでいた。しかも、2011年末に発売されるPS Vita版も制作中なので、なおさら楽しみだ。僕は、PS Vitaの販売を後押しできるメジャータイトルだと思う。

 この続編は原点回帰し、奥深いストーリーを楽しめる「マルチエンディング・マルチストーリー」というサウンドノベルの神髄を突き詰めていくという。その神髄とは何か、僕は毎回プレーヤーを驚かすようなストーリー展開だと思う。2周目でも、3周目でも1周目と同じテンションが保たれるような絶妙なバランスのストーリー展開が、本作のウリになるのではないだろうか。

 予告動画をじっくりと何度も見させてもらったが、最後のほうに出てくる“あなたのせいで死体がふえる”というセリフに最も関心が湧いた。これはプレーヤーの判断ミスで死者が増えるという意味だろうか。それとも、プレーヤー自身が意図的に死者を増やすということだろうか?プレーヤーが犯人であることを示唆する、興味深いセリフだと思った。

 トレーラーの内容から察するに、これまでの作品とは違い文章が三行まで表示されている部分も大きなヒントだと思う。もしかすると、文章量と背景の演出との比率が変わったのではないかと思わせるようなトレーラーだった。もし、本当にそうだったら、欧米への進出の場合、言語へのローカライズ作業が減るし、文章を読むのを面倒くさがるユーザーもこれでサウンドノベルというジャンルとの距離が近づくのではないかと思う。

 さらに、本作にはシリーズ初のネットワーク機能を使ったモードも搭載されるという。オフィシャルホームページの情報によると、100人までのプレーヤーがゲームに参加できるようだ。具体的にどういうふうに参加するのか、ゲームの流れがどうなるのかは現段階では謎に包まれているが、それに対して期待感が増すのはファンとしての自然な反応だ。

 ここからは僕の勝手な想像だが、例えば、100人のプレーヤーが同じ舞台で訪問者として登場し、お互い情報交換などを行なうシステムになるだろうと推測している。各プレーヤーが、RPGのように自分のキャラクターの役割などを決め、他のプレーヤーと共通するストーリーの中で事件に影響を与えていく。

 「風来のシレン」のテーマのように、「1000回遊べる」サウンドノベルになったら最高に嬉しい。毎回、ランダムでストーリーが変わるようなシステムだったら、何回プレイしても飽きないだろう。ネットワークモードは、ボードゲームの定番である「クルード」のようなルールや展開を見せることも考えられる。プレーヤーは、推理する側と犯行を起こす側にわかれ、ソーシャルゲームのように対戦していくという展開もありえると思う。

 とにかく、今回の発表はまさに電撃的だった。正直に言うと、続編が作られるとは思っていなかった。しかも舞台は、雪に閉ざされたペンション。これまでの展開を考えると、あのペンションはもう……と思ってしまうが、どういう理由であのペンションを訪問することになるのか、想像が膨らむばかりだ。シュプールであの夜に起きた事件の本当の真実が語られるかもしれない。それとも、舞台が酷似しているだけで、まったく新しい“雪に閉ざされたペンション”が用意される可能性もある。

 最後に本作が、PS3とPS Vita向けに発売されることについて一言。少し大胆な発言だが、1本のソフトを使って両方のハードで遊べたらさらにすごいと思う。PS3とPS Vitaの性能が似ているからこそ実現できそうな話だ。例えば、家にいる時はPS3で遊んで、外出中はPS Vitaの画面で遊び続けるという形になったら、本作がさらに普及することは間違いないだろう。この続編がきっかけで、ヨーロッパへの進出も願っている。“ゲームを読む”という素晴らしいカルチャーがイタリアでも広まるように!

【トレイラームービー】

YouTubeのチュンソフトチャンネルで「真かまいたちの夜 11人目の訪問者」の予告動画がアップされている。シリーズのファンでなくても必見!

□チュンソフトのホームページ
http://www.chunsoft.jp/
□「真かまいたちの夜 11人目の訪問」のページ
http://shinkama.chunsoft.jp/
□関連情報
【2011年8月25日】チュンソフト、PS3/PS Vita「真かまいたちの夜 11人目の訪問者」
「かまいたちの夜」の原点に帰り、奥深い物語が楽しめる最新作が登場!
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20110825_472648.html


其ノ三:「ゼノブレイド」欧州版の発売日を記念して写真掲載!

 実は、今回の「電遊道」の掲載日がイタリアでの「Xenoblade Chronicles」(欧州版『ゼノブレイド』)の発売日と同じだ。この記事を読んでいる頃に、イタリア人ゲーマーがモノリスソフトの傑作RPGを購入し、家で遊び始めているところだ。記念すべき欧州版「ゼノブレイド」のスクリーンショットと、同時発売の限定版に同梱されるクラシックコントローラ(赤)の写真を掲載する。

限定版には高橋哲哉氏のサイン入り特大ポスターとクラシックコントローラ(赤)が同梱されている。JRPGのファンはきっとこれを選ぶだろう限定版に同梱されるクラシックコントローラ(赤)。特にRPGではクラシックコントローラのほうが快適だと思う

クエストの説明文もちゃんとイタリア語になっている。これでイタリア人も100%この作品の深さを堪能できるだろうメニューの項目や特技の名称もイタリア語にローカライズされた。ちなみにヨーロッパの各言語のローカライズ作業はドイツの任天堂で行なわれる声の吹き替えはおそらく英語になっている。オリジナル版の日本語の吹き替えも選択できたらいいと思う

 スクリーンショットが証明しているように、今回イタリア語への完全ローカライズが行なわれた。気の遠くなるような作業で膨大な文章量が完全にイタリア語に翻訳された。英語という言語だけを持っているイタリア版RPGの主流に対して、驚くべき特徴といえるだろう。これで英語が得意でないイタリア人のユーザーもストーリーや世界観により深く感情移入できるだろう。

発売日の2週間前から予約がスタート。しかし、店頭では限定ボックスの告知がされていなかった。不思議だ

 しかし、ここで少し残念な事実について話さなければならない。ローマの幾つかのゲームショップを訪ねてみたところ、「Xenoblade Chronicles」を大きく告知している店が少ないことがわかった。イタリアの大きなチェーン店である「GAME STOP」のショーウィンドーでは予約中という告知ポスターが貼られていたが、それ以外の店では発売がほとんど告知されなかったというのが現状だ。

 有名なフランチャイズのFPSだけが注目を集めるといわれているヨーロッパのゲーム市場ではあるが、例えば、ゲームの特徴を紹介するイベントが発売日の前に行なわれていれば、もっとそのタイトルに対しての関心と認知度が高まるだろう。イタリアのゲーム市場が狭いとはいえ、こういうイベントを行なわない限り、せっかくの傑作RPGの販売がそうそう伸びないことが心配される。

 せめて2012年の初頭に発売予定の「THE LAST STORY」のゲームショップイベントを是非設けて欲しい。こういうイベントが実施されれば、お決まりのFPS大作の続編の巨大なポスターだけでなく、JRPGも注目を浴びるはずだ!

□Nintendo of Europeのホームページ
http://www.nintendo-europe.com/
□「Xenoblade Chronicles」のページ
http://www.nintendo.it/NOE/it_IT/games/wii/xenoblade_chronicles_32583.html



■ 傑作の如く ~期待している新作TOP5~

僕が期待している発売前後の新作TOP5。さまざまな情報をもとに、各ゲームのシステムやグラフィックスといった要素の中で僕が魅力的に感じたところを紹介していく。必ずしもメジャーなタイトルではなくて、逆に注目して欲しいマイナーな作品をピックアップすることもある。

(C) CHUNSOFT

1位:真かまいたちの夜 11人目の訪問者
   プラットフォーム:PS3/PS Vita
   ジャンル:サウンドノベル
   発売元:チュンソフト
   発売日:未定
   価格:未定
   プレイ人数:1人~100人

 「かまいたちの夜」シリーズが待望の原点回帰を果たす。雪に閉ざされたペンションというクラシックな舞台で真の恐怖を体感させてくれるだろう。伝統を守るホラーサウンドノベルとして注目するべきだが、プレーヤー100人が参加できるネットワークを使ったモードも非常に気になる。もちろん、100以上のエンディングが用意されていることを願っている。

□チュンソフトのホームページ
http://www.chunsoft.jp/
□関連情報
【2011年8月25日】チュンソフト、PS3/PS Vita「真かまいたちの夜 11人目の訪問者」
「かまいたちの夜」の原点に帰り、奥深い物語が楽しめる最新作が登場!
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20110825_472648.html

(C)2011 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
CHARACTER DESIGN:TETSUYA NOMURA

2位:FINAL FANTASY 零式
   プラットフォーム:PSP
   ジャンル:RPG
   発売元:スクウェア・エニックス
   発売日:10月27日
   価格:7,700円(UMD2枚組)
   CEROレーティング:C
   プレイ人数:1人

 別の名称で始動したPSP用の新作「ファイナルファンタジー」が、従来の要素をすべて持っていることに感心した。ワールドマップ、自由に世界を移動できる飛空挺の画像を確認した時、眠りかけていた感動がよみがえった。これこそが、ファンが待ち望んでいた“伝統と進化”をまとめた「ファイナルファンタジー」だと思う。

□スクウェア・エニックスのホームページ
http://www.square-enix.com/jp/
□関連情報
【2011年8月26日】スクエニ、PSP「FINAL FANTASY 零式」
発売日を10月27日に延期
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20110826_473154.html

(C)CHUNSOFT

3位:極限脱出ADV 善人シボウデス
   プラットフォーム:PS Vita/3DS
   ジャンル:極限脱出アドベンチャー
   発売元:チュンソフト
   発売日:未定
   価格:未定
   プレイ人数:1人

 前作の「極限脱出 9時間9人9の扉」の秀逸なストーリーとキャラクターに魅了された。だがシステムに関しては、シナリオマップがないため分岐点の寸前にスキップできず、毎回最初から読まなければならないというところが気になった。この続編でシステムがもっと現代に合った快適さを持ち合わせれば、アドベンチャーゲームとしてさらに楽しめると思う。

□チュンソフトのホームページ
http://www.chunsoft.jp/
□関連情報
【2011年8月26日】チュンソフト、PS Vita/3DS「極限脱出ADV 善人シボウデス」
「脱出×ミステリー×裏切り=謎3」な新作登場
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20110825_472660.html

(C)Konami Digital Entertainment

4位:FRONTIER GATE(フロンティアゲート)
   プラットフォーム:PSP
   ジャンル:RPG
   発売元:KONAMI
   発売日:2011年
   価格:未定
   CEROレーティング:B

 数々の傑作RPGを手掛けてきたトライエースがKONAMIとタッグを組みPSP用の新作RPGを制作中。ゲームシステムに関する情報はまだ少ないが、小牟田ディレクターによると、ターン性バトルのコンボの繋ぎが非常に気持ちいいそうなので、すごく楽しみだ。シングルプレイの場合、選んだパートナーによってストーリーが異なるのも新鮮だ。

□KONAMIのホームページ
http://www.konami.jp/
□関連情報
【2011年8月26日】KONAMI、PSP「FRONTIER GATE」
オープニングムービーを公開
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20110826_473104.html

(C)Konami Digital Entertainment

5位:戦律のストラタス
   プラットフォーム:PSP
   ジャンル:ドラマチック殲滅アクション
   発売元:KONAMI
   発売日:10月27日
   価格:5,980円(通常版)    5,480円(DL版)
   CEROレーティング:C
   プレイ人数:1人

 「ドラマチック殲滅アクション」と銘打たれた本作は、アニメのような流れで物語が展開する。各エピソードがオープニング、エンディングと次回予告を持っているので、アニメを見ているかのような感覚でゲームを楽しめるのが気持ちいい爽快感に繋がるのではないだろうか。各方面の実力者を起用したスタッフも紛れもないクオリティーの保証だと思う。

□KONAMIのホームページ
http://www.konami.jp/
□関連情報
【2011年8月26日】KONAMI、「KONAMI Media Conference 2011」TGS出展タイトルレポート
PSP「フロンティア ゲート」、 PSP「戦律のストラタス」、
3DS「ラビリンスの彼方」、PS3/Xbox 360「ネバーデッド」など
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20110826_472856.html



■ 過去の宝物 ~こよなく愛した過去の思い出の作品をピックアップ!~

ゲームは技術的に進化する。グラフィックスが綺麗になる。ポリゴンの数が増える。ゲーム内の景色が実写と見間違えるほどリアルなものになってきている。しかし、時代が変わっても必ずしも進化しないものもある。それはゲームの面白さだ。昔のゲームはグラフィックスはシンプルだが、面白さでは今のゲームに負けていない。いや、それに勝る特別な何かを持っている作品もあると思う。秋葉原のゲームショップや家庭用ゲーム機のオンラインストアで安く購入できる過去の傑作は山ほどある。このコーナーでは、僕が愛した昔のゲームをピックアップしていきたいと思う。具体的なゲーム内容よりも、僕のその作品に対しての気持ちを伝えることができればと願っている。

【クロックタワー】

プラットフォーム:SFC/PS/WS
ジャンル:ホラーアドベンチャー
発売元:ヒューマン
配信元:サンソフト
発売日:1995年9月14日(SFC版)
    1997年7月17日(PS版)
    1999年12月9日(WS版)
    2010年8月3日(VC版)
価格:800Wiiポイント(VC版)


 ヒューマンというゲームメーカーは、残念ながらゲーム業界から消えてしまった。斬新なアイデアを盛り込んだヒューマン制作のアクションアドベンチャーゲームは、プレーヤーの間で高い注目を集めた。あのタイタニックのような悲劇を体験させた「セプテントリオン」もそうだし、今回感想をお届けする「クロックタワー」も絶妙な演出で真の恐怖を味わわせる傑作ホラーアドベンチャーだ。

 「クロックタワー」の舞台は、ホラー映画の定番中の定番という表現に相応しい謎めいた屋敷だった。孤児である主人公ジェニファーの元に、養女として迎え入れたいという手紙が届く。メアリー先生と友達3人と共にジェニファーはバローズが主人であるその屋敷に訪れることになった。その薄暗い屋敷の持つ、恐ろしい過去の出来事を知らずに……。

 ホラーゲームのお約束(?)その1。最初はプレーヤーを安心させるプロローグシーンがある。ジェニファーたちが、屋敷の大広間で友達と会話をしている。バローズってどういう人かなと、興味が湧いている。メアリー先生が席を外れ、部屋を出る。沈黙。しかし、時間が経っても教師は戻らない。ここでプレーヤーの出番だ。カーソルを画面内のターゲットに持っていき、ジェニファーの向かうべき目的地を選ぶ。

 教師の安否を確かめる為に、ジェニファーを大広間のすぐ隣の廊下へ導く。ここも沈黙が支配している空間だ。1歩、また1歩進む。すると……沈黙が、不気味な絶叫に打ち破られる。さっきまでいた大広間からだ。一瞬にして、何分か前の通常の精神状態が、心を壊しかねない不安と恐怖に豹変する。友達の安全を心配しつつ大広間に戻ったジェニファーの目に飛び込んだのは、誰もいなくなった不気味な雰囲気に包まれた空間だった。

 この屋敷には一体、どういう謎が隠されているのだろうか?ジェニファーはプレーヤーに導かれながら、バローズ屋敷の謎を解明することになる……。

「クロックタワー」のイントロは、サウンドノベル的なイラストと文字を使っているメアリー先生は、不安を煽るような不気味な笑みを見せることがある。ただの気のせいか?ジェニファーたちは屋敷の大広間でバローズが迎えに来るのを待っている。しかし、その時が本当に訪れるのだろうか?
絶叫が聞こえた大広間に戻ってみると、明りが消え、友人たちも姿を消している。この屋敷は一体?

ジェニファーを床に座らせると、乱れた精神状態や減った体力が少しずつ回復する。体力の回復に合わせ顔のイラストの色が、赤・黄色・緑へと変化する

 ホラーゲームのお約束(?)その2。主人公は弱い。精神的なショックを受ける時も体力を消耗する。走っている時も体力が激減する。ジェニファーは普通の少女だから、武器を使えるわけでもない。たとえ、モンスターや殺人鬼が突然目の前に現われたとしても、その脅威から遠ざかる唯一の手段はがむしゃらに走るのみ。これこそが、サバイバルホラーというジャンルの原点だと思う。

 「クロックタワー」の脅威といえば、シリーズのトレードマークにもなったあのシザーマンだ。大きなハサミを持った謎の男が随所に現われ、無防備なジェニファーを執拗に追いかける。こういう危機的な状況を回避する為にジェニファーは部屋のベッドの下に隠れるか、あるいは勇気を振り絞ってシザーマンに立ち向かうことになる。

 後者の場合は、敵に向かってbボタンを連打するとシザーマンを一時的に撃退できる。しかし、奴は殺せない。少しだけなら気絶させることはできる。そして、また逃げる、逃げる、逃げる。もっと安全な場所を見つける為に……。

シザーマンが現われるタイミングを予想できないのも本作の見所。椅子から飛び上がるのは確実だろうシザーマンが現われたら、冷静に立ち向かってみよう。bボタンを連打すれば、一時的に撃退できるようになっているシザーマンが出現する場所は、部屋を訪れた順番によって微妙に変わる。恐怖を煽るにはランダムという要素が重要なことを再認識した

 ホラーゲームのお約束(?)その3。屋敷の地図は存在しない。バローズ屋敷の構造を自分の記憶に焼き付けるしかないのだ。不便に思うゲーマーもいるかもしれないが、マップを確認できないことが不安な気持ちを増幅させ、サバイバルの世界で生き残ろうとしている主人公の心の葛藤を際立たせると思う。

 随所に現われるシザーマンを撃退すると、ある程度安心して部屋を調べられるアドベンチャーパートへと移る。部屋の調べられる場所やアイテムにカーソルを持っていくと、簡潔な説明が表示される。謎解きに重宝するアイテムを発見することもある。ちなみにaボタンを押せば、画面の下部に所持しているアイテムが並べられる。謎解きのヒントがないところも、昔懐かしいアドベンチャーゲームの貴重な特徴だ。

机や床に過去の事件について書かれている書類や手紙が散らばっている場合もある。細かく部屋を探索しよう!この部屋の不気味なマネキンは、プレーヤーを待っているかのようだ。調べてみると、驚くべきサプライズが……ジェニファーは屋敷のガレージで車を発見した。鍵を見つければ逃げられる!と思ったけど、やっぱり友人たちの安否を確かめないと……

 「クロックタワー」は、マルチエンディングを採用したアドベンチャーゲームのパイオニアでもあった。今は当然だと思えるマルチエンディングだが、発売された当時は新鮮味に満ち溢れていた。プレーヤーの部屋を訪れる順番や拾うアイテム、解く謎によって物語の結末が変わるシステムになっていた。

 本作には、全部で8つのエンディングが用意されている。ストーリーの背景を全部把握するには、すべての結末を見る必要がある。回を重ねるごとに、パズルのピースを集めているかのように少しずつ真実が見えてくる。絶妙とも言えるゲームの構造が、プレーヤーを最後の最後まで画面に釘付けにする。

 最後に、イタリア人として本作をリスペクトしている理由を紹介したい。ヒューマンが当時語ったように、本作はイタリアの鬼才ホラー監督、ダリオ・アルジェントの「フェノミナ」へのオマージュである。主人公の名前もルックスも、「フェノミナ」の主人公とまったく同じだ。ちなみに「フェノミナ」の主役は、アメリカ人女優のジェニファーコネリーが演じていた。つまり、「クロックタワー」の主人公がジェニファーと呼んでいるのは意図的だった。

 もちろん、舞台やストーリーの設定も「フェノミナ」からインスピレーションを受けている。効果音もダリオ・アルジェントのホラーの伝統を引き継いでいる。音楽もダリオ・アルジェントのホラー映画を盛り上げた伝説のバンド「GOBLIN」の独特なスタイルを取り入れている。シザーマンもダリオ・アルジェント監督作品に必ず出てくる、鋭利な武器を握った執拗な殺人鬼へのオマージュと考えられる。

 「クロックタワー」は、今でも優れたホラーアクションアドベンチャーだと思う。アクションと推理の絶妙なバランスが、発売から約16年が経過したことをまったく感じさせない。残念ながらヒューマンはなくなってしまったが、「クロックタワー」シリーズの著作権はサンソフトとカプコンが持っている。是非、この1作目のリメイクして欲しい!

【グッジョブ!】【異議あり!】
緊張感が抜群ジェニファーの動きがやや遅い
謎解きが絶妙エンディングロールがスキップ不可
マルチエンディング 
音楽や効果音が印象的 

(C)SUNSOFT

□サンソフトのホームページ
http://www.sun-denshi.co.jp/soft/
□VC版「クロックタワー」のページ
http://www.nintendo.co.jp/wii/vc/vc_ct/



■ イタヲタのレトロなゲームライフ ~ハプニング満載のオタク人生~

僕のゲーマーとしての人生を懐かしさたっぷりで語っていきたい。毎回、特定の時代をセレクトして、自分の記憶への冒険をしたいと思う。最終的には1つのストーリーになる。僕というオタクのストーリー。僕という和ゲー好きゲーマーのストーリー。文章だけでなく、クライマックスのシーンをもっとダイレクトに伝える為に漫画も使うことにした。ちなみに漫画は、今イタリアで注目の若手漫画家に描いてもらった。とにかく、日本ではありえないシチュエーションについてたっぷり語っていくので、本当に面白いコーナーになると思うぞ!

今回の時代設定:1995年
イベント:スーパーファミコン用の傑作サッカーゲームが誕生!
ハプニング:日本のサッカーゲームを応援する○○屋さんがあった?!

 1995年。僕が高校生活を終えると共に、ゲーム機が32ビット時代に突入した。スーパーファミコンやメガドライブの温かいドットが、セガサターンやプレイステーションのポリゴンに変わろうとしていた。これまでゲームセンターだけの独占だったポリゴンは、当たり前のように家庭でも楽しめるようになろうとしていた。

 僕は、高校のゲーム友達と離れて大学に入学した。しかし、1人だけ僕と同じく生物学科に入学した友達がいた。「ファイナルファンタジーIV」で知り合ったエマヌエーレだった。愛称はエマちゃん。化学の授業の重苦しさを和らげるためにゲームの話をいっぱいしていた。おかげで、メモ用だったはずのノートのページが、当時発売間近の新作のキャラクターで埋め尽くされていた。

 大学入学と同じ時期にローマのマンガ学校にも入学した。朝は大学の授業、そして午後からは漫画の楽しい授業を受けていた。漫画学校ももちろん、エマちゃんと一緒に通っていた。先生は僕達にイタリアンスタイルを求めていたが、僕達はそれを無視して大好きな日本のマンガを真似てキャラクターを描いていた。ちなみにエマちゃんは「ファイナルファンタジー」のドットグラフィックスのような可愛いらしいキャラクターを描くのが得意だった。言うまでもなく、先生はそのスタイルをなかなか受け入れられなかった……。

 1995年のある日。漫画学校が終わり、僕とエマちゃんは帰宅する前にローマの“ゲームショップ巡礼”に時間をかけていた。なにか新作が届いたかなと、既に知っているゲームショップの前を通るのはもちろん、ひっそりとゲームを売っている穴場を発見するのが僕達の何よりの楽しみだった。この日までの僕達の1番すごい発見は、スーパーファミコンのJRPGを販売していたメガネ屋さんだった。それと並ぶ、独特なゲームショップをまた見つけることができるのだろうか?その期待を膨らませつつ、僕とエマちゃんはローマの商店街を歩いていた。

 その時だった。家からそう遠くない商店街の銀行とスーパーの間に、どこか奇妙な店が建っていた。看板には「時計屋さん」と書いてあったが、店名とショーウィンドーに並べられた品物との明らかな矛盾にすぐ気が付いた。

 ショーウィンドーには、薄暗い右半分のスペースに様々な時計が展示されていたが、テンプル(神殿)のように輝いていた左側のスペースにスーパーファミコン用のゲームが陳列されていた。しかも、同じゲームばかりだった。そのゲームのタイトルを確かめる為にショーウインドーに歩み寄った。

 「International Superstar Soccer」。僕たちの大好きなメーカー、KONAMIの新作サッカーゲームだった。

 店内を見渡すと、カウンターの側に背を曲げた恰好で、例のサッカーゲームで遊んでいる男がいた。僕とエマチャンはその男を見て瞬時に思った。この人は、ジュリオの持っているNEOGEOの格闘ゲームのあのキャラクターに似ていると。名前は誰だったっけ……そうだ!テリー・ボガードだ!「餓狼伝説2」のテリー・ボガードだ!帽子や服の色もまったく一緒だった。名前を聞く前に僕たちは決めた。今日からこの人のことをテリーと呼ぼうと。

 よく見ると、勝手にテリーと名付けた男の後ろにお爺さんがいた。まるで誰かに殴られたかのような虚ろな目で時計が並んでいるショーウィンドーを眺めていた。この人、テリーとどういう関係だろうと、僕とエマちゃんはその背景のストーリーを勝手に想像し始めた。その時、店内から声をかけられた。

 「何か御用ですか?」。コントローラーをテーブルに置いたテリーが、僕達に声をかけてきた。

 「いや、ショーウインドーを見ていて、すごいなと思っていたけど……」。照れながら僕とエマちゃんはその場を言い繕った。

 「これね、世界最高の新作サッカーゲームですよ!」。自分の息子を自慢するかのような笑みでテリーが説明した。

 「僕たちもスーパーファミコンを持っています。ちょうど新しいゲームを買おうと思っていたところです」。サッカーの大ファンであるエマちゃんがすぐその新作サッカーゲームに興味を示した。

 「あの、少し試していいかな?」。エマちゃんは祈るように手を合わせてからテリーに頼んでみた。

 「その前に自己紹介するのはどうですか?」。話せば話すほどテリー・ボガードに似てくるテリーが聞いてきた。

 「僕はジョンです。KONAMIのシューティングゲームが大好きです」。
 「僕はエマちゃんです。『ファイナルファンタジー』シリーズを愛しています!」。

 僕たちが名乗った後、テリーも自己紹介した。「僕はマッシモと言います。この店のオーナーの息子です」。少し間を置いてからさらに続けた。

 「この人は僕のお父さんです。時計屋さんをずっと前から営んでいるけど、最近僕がゲームも販売しようと決めたんです。ゲームが増えるばかりだから、ちょっと心配しているみたいです。ははは」。少し照れながらテリー、いやマッシモが店の現状を僕たちに説明した。

 「どうぞ、試して下さい。本当にすごいから!」。

 エマちゃんはおそるおそるテーブルに近づき、コントローラーを握って遊び始めた。僕はサッカーゲームをあまりやらなかったのでよくわからなかったが、エマちゃんの表情からするとこのゲームは本当にすごいらしい。結局、試合はエマちゃんの負けで終わった。それでもエマちゃんの満足した顔は変わらなかった。

 「これをすぐ下さい!」。

 どうやら、マッシモの熱意がエマちゃんにも伝わったらしい。これで「International Superstar Soccer」のファンが1人増えた。そして、今日という日は別の理由でも記念すべき日になった。僕たちのゲーマー人生を盛り上げた“テリー”との出会いの日。あれから、彼の店で発見した“宝物”が後を絶たなかった。しかしこれは、別のストーリーだ……。

【番外編】

 “テリー”の時計屋さんはまだ存在するのだろうか?早速現場へと足を運んでみたが残念ながら、テリーことマッシモの店はもうなかった。マッシモは10年ほど前に、母国のアルゼンチンに帰国したということを知った。彼はイタリアとアルゼンチンのハーフだった。連絡をすることもできなかった。おそらく、今もアルゼンチンでKONAMIのサッカーゲームのすごさを広めているのではないかと想像している。そして、「昨今のポリゴンよりも昔のドットグラフィックスのほうがよかった!」というような話も続けているのではないかと思う。テリーさん、これからも日本のゲームを応援して下さい!





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(2011年9月2日)

[Reported by ジョン・カミナリ ]