【第14幕】
Report / manga:ジョン・カミナリ
logo design:フランチェスコ・アッカッターティス

電遊。辞書に載っていない造語である。電気的な遊び。いわゆる、テレビゲーム。道。その道を、自分の価値観だけを信じて最後まで歩むのが、侍精神である。電遊道は、妥協を許さないサムライゲーマーが歩むべき道。他人に影響されることなく、自分のゲーマーとしての信念を貫き通せばいい。たとえ、ゲームが別の道に進んでも、自分の好きな道をずっと信じ続けるのみ。たとえ、“これこそがゲームの未来形だ!”と言われても、自分の好きなゲームライフを思う存分楽しむのみ。

 この連載記事では、毎月1回、僕のゲーマーとしての物語、そしてゲーマーとしての哲学や信念を独特なスタイルで紹介していきたいと思う。日本のゲームに大きく影響を受けた僕のゲーマー人生を、イタリア人としての個性を生かして面白く語りたいと思う。あるときは、話題沸騰中のニュースについて掲載ギリギリのところまで正直な感想を書いたり、またあるときは、今でも心に大切にしまっている過去の作品を振り返ってみたいと思う。

 1番注目して欲しいのは、「イタヲタのレトロなゲームライフ」というコーナー。僕のオタクとしての青春を文章と漫画を交えて懐かしく振り返りたいと思う。連載の途中で新しいコーナーも生まれるのかもしれない。回を追う毎に中身が変わったり増えたりするのかもしれない。とにかく、サプライズたっぷりの連載を目指しているので、末永くこのページの中で付き合って欲しい!

ジョン・カミナリ(芸名)
国籍:イタリア 年齢:35歳
職業:俳優、声優、タレント、テレビゲーム評論家
趣味:テレビゲーム、映画鑑賞、読書(山田悠介)、カラオケ
主な出演作品:銀幕版スシ王子!(ペぺロンチーノ役、デビュー作)、大好き!五つ子(アンソニー・ジャクソン役)、侍戦隊シンケンジャー(リチャード・ブラウン役)、ピラメキーノ(テレビ東京、月曜~金曜 18時30分~19時放送中)
ブログ:ジョン・カミナリの、秘密の撮影日記
Twitter:http://twitter.com/John_Kaminari
 イタリアで6年間テレビゲーム雑誌の編集部員として働いたあと、新しい刺激を求めて2005年に大好きな日本へ。子供の頃から夢見ていた役者の仕事を本格的に始める。堤幸彦監督の「銀幕版スシ王子!」で個性的なマフィアのボス、ぺぺロンチーノを熱演。現在もTVドラマやTVゲームなどで、俳優・声優として活躍中。日本語を勉強し始めたのは23歳のとき。理由は「ファイナルファンタジーVII」や「ゼノギアス」などのRPGの文章を理解するため。好きなジャンルはRPGと音楽ゲーム。「リモココロン」のような個性的なゲームも大歓迎。お気に入りのゲームは「ゲームセンターCX」と「ワンダと巨像」。芸名はイタリア人の友達に、本人が雷のように予想不可能なタイミングで現われるからという理由で付けられた。将来の夢は、「侍戦隊シンケンジャー」に出演した時から大好きになった戦隊モノにまた出演すること



【もくじ】
一刀両断~話題のゲームニュースについて鋭くコメントしちゃうぞ!~
傑作の如く~期待している新作TOP5~
過去の宝物~こよなく愛した過去の思い出の作品をピックアップ!~
イタヲタのレトロなゲームライフ~ハプニング満載のオタク人生~



■ 一刀両断 ~話題のゲームニュースについて鋭くコメントしちゃうぞ!~

話題のニュースや注目のテーマをピックアップして僕の率直なコメントを載せたいと思う。また、現在のゲームが抱えている問題を解決するアイデアや提案も、このコーナーを通じて考えてみたいと思う。ゲーマーの皆が納得できる未来の為に!

其ノ一:ゲーム業界にバラエティを与えるレベルファイブ

今回はレベルファイブにとっての初めてのプライベートショーだった。試遊台も多く設置され、来場者はラインナップのバラエティを体験できた
「GUILD01」はゲームという媒体を他の分野と繋げる夢のようなプロジェクトだと思う。ゲームクリエーター以外の感覚で生み出されるゲームを遊ぶのを楽しみにしている。もちろん、PS3やPS Vitaなどの他のハードの展開が待ち遠しい

 メーカーとして独立し、たった数年で「レイトン教授」や「イナズマイレブン」など、確固たる認知度を誇るフランチャイズを世に送り出したレベルファイブの活躍ぶりは、さらなる加速を見せた。先日行なわれた「LEVEL5 WORLD 2011」も、ゲーム業界を盛り上げるような発表の連続だった。あらゆる世代が興味を抱くような、斬新な発想を実現させた新作ソフトが公開された。10月の大きなイベントだったので、作品をピックアップしてコメントしていきたいと思う。

 まず、筆者が注目したのは「GUILD01」。日野氏の前置きも、とても興味深いものだった。「ゲームが大きなビジネスとなり、クリエイターがアイディアを思いついても、しっかりした利益をたてるタイトルに繋がるかわからず、どうしてもシリーズタイトル中心となっている」。そこで、アイディアは斬新だが1本のソフトにするのは難しいタイトルを、きちんと遊べる内容にしていくつかまとめることを思いついたという。この日野氏の提案は、独自のビジョンを抱く日本のクリエイターの斬新な発想の実現に大いに貢献することになるだろう。

 低価格で販売される「GUILD01」には各業界出身のクリエイターやお笑い芸人の制作したソフトが4つ入っている。制作者がゲームクリエイターだけではないというところも新しい。これから有名な映画監督など、あらゆるアーティストが参加すると思われる企画なので、本当に遊んだことのないような独創的、かつ刺激的なソフトが誕生することは間違いないだろう。

 最初の「GUILD01」には海外でも絶大な人気を誇るグラスホッパー・マニファクチュアの須田剛一氏やレベルファイブの松野泰己氏の新作が入っている。ミニゲーム的なボリュームだろうと勝手に思っていたら、イベントで公開された動画からすると、各ソフトは本格的なゲームであることが判明した。

 例えば、須田氏の手掛けた3Dシューティングゲーム「解放少女」のアニメ風のイントロ動画を観て、これはある意味、通常の商品以上に価値があるのではないかと強く感じた。何故なら、これはマーケットのルールを意識せず、本当にクリエイターがやりたいゲームを実現させているからだ。たとえ、やり過ぎだから商品化が難しいとボツにされる可能性の高い企画書さえも、「GUILD01」のお陰で、ユーザーのもとに届くわけだ。これこそが、今のゲームクリエイターが活躍の幅を広げる大きなビジネスチャンスだと思う。

解放少女「レンタル武器屋 de オマッセ」
「AIR PORTER」「CRIMSON SHROUD」

 「428」などで注目を浴びたイシイジロウ氏の新作、「タイムトラベラーズ」も大きな反響を呼んだ。まず、元々3DSの独占だったソフトが、PSPやPS Vita用にも制作中である情報が電撃的だった。理由はより多くのユーザーに遊んで頂きたいとのことだ。誰もが納得する理由だが、必然的に3DSとPS Vitaではグラフィックス的に違いが出るだろう。それぞれのハードの良さを活かしたゲームになることを願っている。

 ゲームの内容に関しては、発表当時サウンドノベルの進化形として考えられていたが、イシイジロウ氏が伝えたようにイベントシーンだけで進行するようなシネマティックアドベンチャーだ。複数の主人公のストーリーを交差させるという過去に手掛けた作品の特徴を保ちながら、文章の代わりに映像を中心とした、まったく新しい体験になりそうだ。

 個人的には、文章がイベントシーンに置き換えられたことで、海外の言語へのローカライズ作業もスムーズになるだけでなく、小説のようにゲームを読むという文化が根付いていない欧米でも、本作が成功する可能性が高くなると思う。サウンドノベルならではのじっくり文章を読むという特徴は無くなったが、映像だけでストーリーに干渉できるというゲーム性も面白いと思う。だがインタラクト性を増す為に、なるべく多くの分岐やシナリオを用意することも重要だ。発売にはまだまだ時間が必要そうだが、これからの続報に期待したいところだ。


サイズからすると子供向けに開発されているのが窺える。大人向けのラインナップも提供して欲しい

 今回のイベントでは、レベルファイブのアミューズメント業界への参入も明らかになった。汎用筐体「レベルファイブ ステーション」で、日野氏はゲームセンターの世界に進出する。これで、家庭とゲームセンターが一体化することになり相乗効果が生まれ、お互いの業界がより一層支え合う理想的な環境ができるだろう。

 アミューズメント業界が縮小傾向にあると言われているが、こういったビジネスが提案される限り、ゲームセンターに足を運びたくなる。残念ながら欧米では家庭とゲームセンターを繋げるようなビジネスがほぼないので、日本だけでなく、海外にも「レベルファイブ ステーション」が設置されることを願っている。

 そのほかにも、新規事業は発表された。例えば、レベルファイブのあの有名なフランチャイズ「レイトン教授」がディー・エヌ・エーと提携し、初のソーシャルゲーム「レイトン教授ロワイヤル」に生まれ変わるという情報も人気を集めた。そして、初のiOS用アプリケーションとして、スピンオフ的な位置に置かれる「レイトンブラザーズ・ミステリールーム」も公開された。これもまた、iPhoneやiPadの特徴を活かす、タッチだけで進行する直感的な推理アドベンチャーゲームだ。レイトン教授の息子であるアルフェンディ・レイトンが本作の個性的な主人公で、犯行現場に残された証拠や関係者の証言を集めながら、事件解決へと導いていく。メインシリーズで味わえないテイストで作られているので、昔からのファンはもちろんのこと、新規ユーザーの開拓にも繋がる機会になると思う。

「レイトンブラザーズ・ミステリールーム」はメインシリーズで味わえないテイストで作られているので、昔からのファンはもちろんのこと、新規ユーザーの開拓にも繋がる機会になると思う

 日野氏はこれまで1年毎に新たなフランチャイズを生み出すという難しい課題を実現させてきたが、これからもその行進は続く。イベントで初公開された「妖怪ウオッチ」が、「レイトン教授」や「二ノ国」と並ぶフランチャイズとして制作されていることが判明した。日野氏はこう告げた。「夜、この企画を思いついたときは手応えを感じて、制作スタッフにすぐに企画書を送った」。この言葉から日野氏のゲーム作りへの熱意が伝わってくる。今の若いゲーマー世代に何が求められているのかという直観。それをひらめいたらすぐ実現。本当にびっくりするほどの即決力だ。

ジャンルやゲーム機など、「妖怪ウオッチ」の情報はまだ謎に包まれているが、公開された動画は既に高い完成度を誇っていた。発想は非常に面白いし、クロスメディア展開にぴったりの世界観になっていると思う。メインターゲットはもちろん子供だが、大人も興味を持ってもおかしくないほど、魅力に溢れている

 最後に「機動戦士ガンダムAGE」についても一言。日野氏はアニメのシリーズ構成やシナリオを担当している。そして、バンダイナムコゲームスから発売されるゲームソフトにも携わっている。僕は外国人だから完全に理解できないかもしれないが、日本人にとって日本のアニメーションの神様と位置付けされる「機動戦士ガンダム」に関わること自体、何よりも光栄に思うような大きなゴールだと思う。それについて日野氏は「一制作者として純粋な気持ちで挑んでいる」と語った。ゲーム業界のリーダーであるにしても、その謙虚な姿勢に心を打たれた。

 バンダイナムコゲームス側も、日野氏との協力を喜んでいるのではないだろうか。今の若い世代を1番理解できると言われているゲームクリエーター、日野氏が、「ガンダム」という伝統キャラクターをもっと子供達に近づける力を持っていると思う。日野氏は「ガンダム」の良さを若い世代に伝える為のメッセンジャーという大事な使命を担っている。きっと、その使命は完璧に全うすると思う。これからの情報が楽しみだ。

□レベルファイブのホームページ
http://www.level5.co.jp/
□「LEVEL5 WORLD 2011」のページ
http://www.level5-world.jp/
□関連情報
【2011年10月15日】レベルファイブ、初のプライベートショー「LEVEL5 WORLD 2011」開催
新フランチャイズ「妖怪ウォッチ」をクロスメディアで展開
「タイムトラベラーズ」など最新作がプレイアブルで出展
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20111015_484060.html

其ノ二:イタリアのゲームセンターが苦しんでいる理由とは?

Extra Ballはローマで有名なゲームセンターのチェーン店。現在、正真正銘のゲームが残っているのは、バチカンの周辺にある本店だけだ。日曜日だというのに客数が非常に少ない。昔のあの活気はどこへ……

 「レベルファイブ ステーション」の発表で、アミューズメント業界の現状について考えさせられた。日本でも昔ほど盛り上がりはないものの、家庭用ゲームとの差別化を図ったことによって存続している。プリクラやクレーンゲームはもちろんのこと、ゲームセンターでないと体験できない筐体が開発され続けていることは確かだ。

 一方イタリアでは、ゲームセンターはもとに戻れない状態にまで追いやられた。10年前まではローマにあったゲームセンターが、1つ、また1つと消えていった。その傾向に反し、なんとか存続できたのは、Extra Ballというゲームセンターだけだ。

 この間、現状を調べる為に、久しぶりにExtra Ballに足を運んでみた。日曜日だというのに、まず、お客さんがほとんどいないことにびっくりした。高校時代からこのゲームセンターに入り浸っていた僕にとってはあまりにも痛い事実だった。

 筐体も昔からほとんど変わらない。10年以上前のゲームが目立つ。あの名作、「DAYTONA USA」の筐体もある。昔は長蛇の列に並ばなければならないほど盛り上がっていたが、今は言うまでもなく、こんな古いレーシングゲームで遊びたい若いプレーヤーは誰もいない。

 比較的に新しい筐体も見つけた。例えば、バンダイナムコゲームスの体感シューティングゲーム、「Deadstorm Pirates」が置いてあった。しかし、その筐体は体感アトラクションのようにシートが動く豪華なバージョンではなく、シートが固定されたエコノミークラスのバージョンだった。

「DAYTONA USA」の筐体は博物館に展示するほどの大切さを持っていると思う。若いプレーヤーも基本知識を知るべきだPS3用の忠実な移植版が増え、ゲームセンターのバージョンで遊ぶ客は著しく減ったという

 疑問を晴らす為に、さっそく店長に話を聞いてみた。高校の頃から変わらない店長だった。「何故、新作が入荷されていないんですか?」という僕の問いに、「一応、毎年ローマでアミューズメントマシンのゲームショーがあるんですけどれも、日本から来るマシンは高すぎて購入できない状態です」という、あまりにも現実的な答えが返ってきた。

 店長の話によると、10年前まではお客さんは多かったが、家庭用ゲーム機がゲーセン以上の高品質なゲームを提供し始めてからは少なくなったという。日本のように、ゲームセンターは次のステップへ進化できなかった。イタリアのゲームセンターは家庭用ゲームと違うものを提供できなかったわけだ。もちろん、日本人と趣向が違うので、日本の流行をそのままイタリアに輸入できるわけでもない。プリクラも根付かなかったし、クイズゲームやタッチパネルとカードを併用した対戦RPGも流行らなかった。それでも何か打つ手はあったと思う。

昔の人気度ほどではないが、DDRシリーズはまだ遊ばれているようだ。ちなみに僕は10年前、ジムの代わりにDDRを使用していた店長の話によると、イタリアで特に注目されるのはレーシングゲームという。現在も、レーシングゲームを優先的に入荷するそうだクレーンゲームも何台か置かれていた。しかし、景品の位置を直したり、お客さんにアドバイスを与える、日本のゲーセンでよく見られるスタッフはいない

店長の話によると、スロットマシンの導入はゲームセンターを存続できる唯一の手段だった。これでゲームセンターの原形が犠牲になったような気がした

 今、イタリアのゲームセンターは正真正銘のゲームが減り、その代わりスロットマシンが増えている。お金目当てのお客さんが増えたと同時に、借金問題も著しく増大した。10年前の明るい雰囲気を醸し出していたゲームセンターが、嘘のようだ。

 落ち込んだまま、Extra Ballを後にする。また元気になる為に昔の記憶をあさり始める。子供の頃、ゲームセンターがキノコのようにどこにでも生えていた時代。新作が届くと長蛇の行列が出来る時代。家庭用ゲーム機の高性能化はありがたいが、あの感動を蘇らせる為にゲーム機の性能を落として!と、密かに願う自分がいるのも確かだ。





■ 傑作の如く ~期待している新作TOP5~

僕が期待している発売前後の新作TOP5。さまざまな情報をもとに、各ゲームのシステムやグラフィックスといった要素の中で僕が魅力的に感じたところを紹介していく。必ずしもメジャーなタイトルではなくて、逆に注目して欲しいマイナーな作品をピックアップすることもある。

(C)2011 Nintendo

1位:ゼルダの伝説 スカイウォードソード
   プラットフォーム:Wii
   ジャンル:アクションアドベンチャー
   発売元:任天堂
   発売日:11月13日
   価格:6,800円
   CEROレーティング:A
   プレイ人数:1人

 船や電車で旅をしたリンクは、今度は大空を冒険する。今回の作品でゼルダシリーズは大きな進歩を遂げた。鳥に乗って大空の世界を自由自在に動き回るのはもちろん、Wiiリモコンプラスを使った戦闘パートも見どころ。ボスの直前でセーブして再開できる便利な機能も大歓迎。アイテムの改造やクスリの調合ができるのも革新的。

□任天堂のホームページ
http://www.nintendo.co.jp/
□関連情報
【2011年9月13日】任天堂、「Nintendo 3DS Conference 2011」
3DS新色「ミスティピンク」発表! ソフトはシリーズ作を前面に押し出し、ラインナップの充実をアピール!
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20110913_477173.html

(C)LEVEL-5 Inc.

2位:二ノ国 白き聖灰の女王
   プラットフォーム:PS3
   ジャンル:ファンタジーRPG
   発売元:レベルファイブ
   発売日:11月17日
   価格:8,800円
   CEROレーティング:A
   プレイ人数:1人

 言うまでもなく、高性能なPS3だからこそ実現できたスタジオジブリの幻想的な世界。ワールドマップの中を歩く主人公たちを見る度に感動する。こんなに美麗なワールドマップは久しぶり!今回、マジックマスターは同梱されていないが、画面で十分に再現されているので一安心。しかも、不足するページを探すという遊びも追加された!

□レベルファイブのホームページ
http://www.level5.co.jp/
□関連情報
【2011年8月25日】レベルファイブ、PS3「二ノ国 白き聖灰の女王」
11月17日発売決定! 豪華声優陣も発表
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20110825_472837.html

(C) 2011 Nintendo
※画面写真は開発中のものです。
※「ニンテンドー3DS」の3D映像は本体でしかご覧いただけません。掲載している画面写真はすべて2D表示のものです。

3位:スーパーマリオ 3Dランド
   プラットフォーム:3DS
   ジャンル:3Dアクション
   発売元:任天堂
   発売日:11月3日
   価格:4,800円
   CEROレーティング:A
   プレイ人数:1人

 3Dなのに、2Dなマリオの魂が宿っている作品が生まれた。3DSの裸眼立体視のお陰で、3Dの世界に不慣れなプレーヤーもミスすることなく簡単にジャンプできるようになったので嬉しい。マリオの新しい変身、プロペラボックスも裸眼立体視の良さを際立たせると思う。望遠鏡で3DS本体を上下左右に動かすことでステージを見渡せる新要素もありがたい。

□任天堂のホームページ
http://www.nintendo.co.jp/
□関連情報
【2011年10月06日】任天堂、3DS「スーパーマリオ 3Dランド」
初心者も安心のアシスト機能を搭載して登場!
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20111006_482026.html

(C)Spike All Rights Reserved.

4位:ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生 PSP the Best
   プラットフォーム:PSP
   ジャンル:ハイスピード推理アクション
   発売元:スパイク
   発売日:11月23日
   価格:2,940円
   CEROレーティング:D
   プレイ人数:1人

 超人的な高校生だけが集まる市立希望ヶ峰学園。そこでは、前代未聞の恐ろしいゲームが行なわれようとしていた。斬新な発想で推理アドベンチャーの常識を翻したあの名作が、廉価版として帰ってきた。謎が謎を呼ぶ最後まで予想できないスリル満点のストーリー展開。アクション要素や躍動感あふれる演出を盛り込んだ裁判パート。絶対に体験するべきだ!

□スパイクのホームページ
http://www.spike.co.jp/
□関連情報
【2011年09月08日】スパイク、PSP「ダンガンロンパ PSP the Best」
通常版から視認性や操作性を向上させて発売
発売1周年記念パッケージも同時発売
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20110908_475987.html

(C)Sony Computer Entertainment Inc.

5位:俺の屍を越えてゆけ
   プラットフォーム:PSP
   ジャンル:世代交代RPG
   発売元:SCEJ
   発売日:11月10日
   価格:4,980円(UMD版)
      3,800円(DL版)
   CEROレーティング:B
   プレイ人数:1人(アドホックモード時 最大4人)

 2年ほどで寿命が尽きてしまう「短命の呪い」にかかったあの有名な一族の物語がPSPで蘇る。その恐ろしい呪いを解く為、神々と「交神の儀」を行ない子孫を残していく。最終目標は、呪いの原因である朱点童子を討伐すること。今回のリメイクでグラフィックスが綺麗になったし、神々をレベルアップできるといった新要素も追加されたので、期待大!

□プレイステーションのホームページ
http://www.jp.playstation.com/
□関連情報
【2011年10月20日】SCEJ、PSP「俺の屍を越えてゆけ」
体験版の配信を開始。体験版特典としてレア神様がDL可能に
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20111020_485005.html



■ 過去の宝物 ~こよなく愛した過去の思い出の作品をピックアップ!~

ゲームは技術的に進化する。グラフィックスが綺麗になる。ポリゴンの数が増える。ゲーム内の景色が実写と見間違えるほどリアルなものになってきている。しかし、時代が変わっても必ずしも進化しないものもある。それはゲームの面白さだ。昔のゲームはグラフィックスはシンプルだが、面白さでは今のゲームに負けていない。いや、それに勝る特別な何かを持っている作品もあると思う。秋葉原のゲームショップや家庭用ゲーム機のオンラインストアで安く購入できる過去の傑作は山ほどある。このコーナーでは、僕が愛した昔のゲームをピックアップしていきたいと思う。具体的なゲーム内容よりも、僕のその作品に対しての気持ちを伝えることができればと願っている。

【ベア・ナックルII 死闘への鎮魂歌】

プラットフォーム:メガドライブ
ジャンル:格闘アクション
発売元:セガ
発売日:1993年1月14日(MD版)
    2007年5月15日(VC版)
    2007年7月11日(XBLA版)
    2011年7月28日(PS3版)
価格:600Wiiポイント(VC版)
   400MSP(XBLA版)
   600円(PS3版)
   400MSP(XBLA版)
   CEROレーティング:B(12歳以上対象)


 最近あまり見ないジャンルの1つ「ベルトスクロールアクション」。このジャンルの人気の引き金となったのは、「ダブルドラゴン」だった。そして、1989年にゲームセンターで登場した「ファイナルファイト」(カプコン)が、ベルトスクロールアクションを代表する作品となった。その後リリースされたベルトスクロールアクションを、「ファイナルファイト系」と呼ぶほど新しいスタンダードを確立した。

 1990年に発売されたスーパーファミコン版「ファイナルファイト」を購入した。グラフィックス面は忠実に再現されていたが、ROMの容量制限が理由で2Pモードやステージ4が収録されず残念な気持ちになったのも事実だ。それでも移植度の高い良作としてユーザーに認められた。

 その一方、セガが「ファイナルファイト」と並ぶような高品質なベルトスクロールアクションの制作に取り掛かった。それが「ベア・ナックル」だった。ヨーロッパでは「Streets of Rage」というタイトルで発売されたが、僕もその熱狂的なファンの1人だった。

 色数やスペシャルエフェクトという面では「ファイナルファイト」に敵わなかったが、「ベア・ナックル」は念願の2Pモードに加え、敵との位置関係を意識した投げ技など斬新な格闘システムを持っていた。また、古代祐三氏のダンス・テクノ系の音楽が、本作の大きな魅力になっていた。アクションが単調気味になりがちなジャンルだったからこそ、音楽はプレーヤーの気持ちを盛り上げる重要な役割を担っていた。

ゲームのストーリーが語られるイントロでは、古代祐三氏のカッコいい音楽が流れる。音楽もゲーム性と同じく本作の特長といえる選択可能なキャラクターは4人。アダムがいなくなった代わりにマックスとサミーが新登場。各キャラクターはそれぞれスピードやパワーなどのパラメーターが異なるので、毎回違う格闘スタイルが楽しめる

 そして、本作での古代祐三氏の音楽はさらに磨きがかかったと思う。当時欧米では「エニグマ」というバンドの教会のコーラスを使った独特なテクノが流行っており、古代祐三氏はおそらくそれにインスピレーションを受け、日本人向けにアレンジしたことで、さらなる深みを与えたと思う。メガドライブを支持していた僕のゲーム友達の間でも「ベア・ナックル」ブームが起こり、“YUZO KOSHIRO”が超有名人になったこともよく覚えている。アクションと音楽の絶妙な融合が本作の魂だったと、今でも思っている。

 久しぶりに遊んでみたが、懐かしい気分に浸ったのと同時に、ベルトスクロールアクションがポリゴンの世界にうまく進出できなかったという事実も認めざるを得なかった。当時は、2Dの世界だったからカメラという概念が存在せず、グラフィックスが画面に固定されていた。そのお陰でプレーヤーはカメラを操作することなく、純粋に画面のキャラクターやギミックにだけ集中できた時代でもあった。もし今後、新たな「ベア・ナックル」が開発されることになっても、ハイデフ(HD)でもやはりドットグラフィックスのほうが望ましいだろう。

 「ベア・ナックルII 死闘への鎮魂歌」の見どころといえば、その遊びやすさだろう。3つのボタンの組み合わせで色々な技が繰り出せる。今の格闘ゲームでは当たり前になっているカウンター攻撃のようなコマンドも用意されていた。例えば、敵に羽交い締めにされた場合には、ジャンプボタンと攻撃ボタンをタイミングよく組み合わせると抜け出せるようになっている。

格闘で特に重宝するのは敵を掴んだ状態の投げ技だ。敵を掴んだままで肩の上をジャンプし、向こう側へと飛べるというアクションが本作の顔の1つだった選択できるキャラクターはどれも個性豊かだが、僕の気に入りはやはりBLAZE(ブレイズ)だ。大きなボスも困らせる女性格闘家は、誰よりも魅力的だと思う2作目から敵の名前と体力ゲージが表示されるようになった。ステージ2のボス、JET(ジェット)が名前通りジェットが付いており、倒すのに知恵が必要になるとても厄介な敵だ

 豊かになったのは攻撃や技の種類だけではない。ステージのグラフィックスも豪華になっており、ロケーションのバラエティも増えていた。例えば、ステージ3は遊園地を舞台にしており、パイレーツのアトラクションやエイリアンのようなモンスターが出没するホラー屋敷も用意されている。

 前作より難易度は低いがステージ3からボスの強さが上がるので、コンティニューせずにクリアするにはかなりのテクニックと集中力が必要になる。特にボス戦では、投げ技と攻撃の上手な繋げ方がカギとなる。たまに、ここでやられるしかないという難しい場面も登場するが、2人でボスに挑めば勝率は確実に上がる。

ステージはちょうどいい長さになっており、シチュエーションのバラエティも絶妙だゲームセンターからパイレーツのアトラクションへ。よく見ると「ベア・ナックル」が置かれている。壊すのはもったいないが、貴重なアイテムが現われるかもしれない格闘はバーの中でも続く。ムチで攻撃してくる女性も登場する。これもシリーズの有名な敵の1人だ
BLAZEが敵を掴んだ。パンチで攻撃するか、ほかの敵に向かって投げるか?それとも体力を消費するスペシャルアタックを使って周囲の敵も巻き込むか?常に、複数ある選択肢の中からどれかを選んで戦わなければならない武器を持ったまま敵に羽交い締めにされた。ジャンプボタンを押して抜け出そう!「ベア・ナックル」は英語で「素手で戦う」という意味だが、たまには武器を拾って戦うのも悪くない。場合によって、大ダメージを与えられることもある

 今作では、画面内のすべての敵にダメージを与えるパトカーによるスペシャルアタックが無くなった。その代わり、体力を消費するスペシャルアタックが導入され、アクションのテンポを損ねることなく、敵に大ダメージを与えられるようになった。操作するキャラクターによって、2つの異なるスペシャルアタックが用意されているので、バラエティの面でも進化を遂げていると言えるだろう。

 しかし、2Pとの連係技がなくなったのは残念。いくら前作であまり活用する場面がなかったとはいえ、無くしてしまうのはもったいなかった。さらなる特徴を加えていれば、2Pでの格闘はさらに楽しいものになっていたと思う。それでも、個人的には「ベア・ナックルII」がシリーズの中で最も完成度の高い作品だと思う。シリーズのファンとしては、すべての作品を購入することをお薦めしたい。

 最後に、ファンとしてセガへ熱いメッセージを送りたい。「ベア・ナックルIV」をぜひ開発して欲しい。ゲームシステムにさらに磨きをかけ、2Dグラフィックスをより一層豪華にし、昔懐かしいベルトスクロールアクションの面白さを今の若いプレーヤーに伝えて欲しい!

【グッジョブ!】【異議あり!】
グラフィックスが綺麗効果音の音質が粗い
アニメーションが豊富2Pとの連係プレイがない
投げ技が楽しい 
古代祐三氏の音楽が最高 

(C)SEGA
MUSIC (C) YUZO KOSHIRO

□セガのホームページ
http://sega.jp/
□VC版「ベア・ナックルII 死闘への鎮魂歌」のページ
http://vc.sega.jp/vc_bknuckle2/
□PS3版「ベア・ナックルII 死闘への鎮魂歌」のページ
http://www.jp.playstation.com/software/title/jp0177npjb00130_00svcstreetofrage2.html
□XBLA版「ベア・ナックルII」のページ
http://marketplace.xbox.com/ja-JP/Product/66acd000-77fe-1000-9115-d8025841086d



■ イタヲタのレトロなゲームライフ ~ハプニング満載のオタク人生~

僕のゲーマーとしての人生を懐かしさたっぷりで語っていきたい。毎回、特定の時代をセレクトして、自分の記憶への冒険をしたいと思う。最終的には1つのストーリーになる。僕というオタクのストーリー。僕という和ゲー好きゲーマーのストーリー。文章だけでなく、クライマックスのシーンをもっとダイレクトに伝える為に漫画も使うことにした。ちなみに漫画は、今イタリアで注目の若手漫画家に描いてもらった。とにかく、日本ではありえないシチュエーションについてたっぷり語っていくので、本当に面白いコーナーになると思うぞ!

今回の時代設定:1998年
イベント:不朽の名作、「ゼノギアス」が発売!
ハプニング:「ゼノギアス」の専門用語を理解する為の勝負が始まる!

 1998年。日本文化会館の日本語講座に通っていた僕は、「歩く漢字辞典」と呼ばれていた。もちろん授業の成果でもあったが、教科書に載っていない漢字も知っていたのは、毎日家で日本のRPGで遊んでいたからだった。1997年に発売された「ファイナルファンタジーVII」が、日本語を積極的に勉強しようと思ったきっかけだった。当時、RPGが英語にローカライズされる過程が非常に長く、僕は誰よりも早く日本のRPGを楽しむ為に日本語を勉強することにした。

 しかし、RPGでは難しい漢字や古い表現が使われることが多い。セリフの意味を理解する為に漢字辞典を沢山購入した。しかし、それでも足りなかった。ポエムのようなセリフや謎めいた表現を解読する為には日本文化会館の教師たちの力を借りるしかなかった。

「先生、この漢字、なんと読むんですか?」

 先生は僕のメモを手に取り、少々青ざめた顔で「これは一体、どこで……!?」という展開がしばしばだった。

 それでも少しずつ、「ファイナルファンタジーVII」のストーリーを理解していった。しかし、1998年に、「ファイナルファンタジーVII」を上回る強敵が現われた。それは、「ゼノギアス」だった。「裏FFVII」としても知られている、高橋哲哉氏の名作RPG。化学、哲学、キリスト教など、様々な分野の難しい用語が凝縮された、おそらく日本人さえも理解するのに四苦八苦する超難解なRPGだった。

 「ゼノギアス」を購入した初めての夜のことを鮮明に覚えている。「ファイナルファンタジー」の為なら死ねるゲー友のエマちゃんが、僕の家に来ていた。彼は日本語をまったく知らなかったから、新作が出る度に僕の家に来て、僕の“同時通訳サービス”を受けながらゲームを楽しんでいた。

 しかし、1998年の僕の日本語レベルは低かった。漢字の勉強が学校よりも進んでいても、文法のことをすべて知っていたわけではなかった。だから、僕の“同時通訳サービス”は決してプロのサービスではなかった。それでも、「何も理解しないよりもマシだ!」というのをモットーにし、エマちゃんは僕と一緒に日本版のRPGを遊ぶようになった。

 秘密基地(僕の部屋)のテレビは小さかったので、買ったばかりのすごい新作を最大限に楽しむ為にリビングルームにあった大きなテレビを利用することにしていた。トイレにもテレビを設置しようと言い出すぐらい、父はテレビが大好きだった。とはいえ、リビングルームの大きなテレビをほとんど使っておらず、父はキッチンの小さなテレビで番組を観ていた。おかげで、僕とエマちゃんは夜遅くまで大きなテレビの恩恵を受けることができた。

 子供の頃から住んでいた家のリビングルームには本棚やテーブルはもちろん、母が弾いていたピアノも置いてあった。エマちゃんの位置は、必ずピアノの椅子だった。そして、僕は床に敷かれたカーペットに横たわったままゲームをしていた。

 「ゼノギアス」のディスクをプレイステーションに挿入。セリフを解読するのに必要不可欠な秘密兵器、何冊もの漢字辞典や日伊辞書も用意。これで準備万端。スイッチオン!


 「ゼノギアス」の第一印象は素晴らしかった。アニメのイントロも感動的だったし、光田康典氏の曲も鳥肌が立つくらい、壮大なものだった。そして、ボタンの組み合わせを使った格闘ゲームを思わせるような戦闘システムも革新的だった。しかし、何よりもすごかったのはストーリーだ。初めてのプレイでそのすべてを理解することはできなかったが、個性的なキャラクターや世界観の独特な雰囲気に魅了されるばかりだった。

「この漢字は何て読むんだろう」
初めて見る漢字が表示された。

「エマちゃん、ごめんね。ちょっと調べるから」

 横に置いておいた漢字辞典をオープン!難解な漢字を見つけるのに5分もかかってしまった。でも、発見した!なるほど。こういう意味だったのだ。僕の顔は青ざめていく。1人でつぶやく。

「そうだったのか……」

 僕の驚嘆の反応を見たエマちゃんは感激したまま「教えて、教えて!」

 僕の“同時通訳サービス”はいい加減だったが、それでもエマちゃんはすごく喜んでいた。

「すごいね、このゲームのストーリー!怖いね」

 「ゼノギアス」のストーリーはSFとはいえ現実味に溢れていた。僕たちの地球もこうなっているのかも、と疑わせるぐらいだった。

 ピアノが軋んだ。木の板が軋むあの音だ。エマちゃんは椅子から飛び上がる。ホラーゲームほどの“飛び上がり度”だった。

「なんか、雰囲気すごいね」

 僕とエマちゃんは「ゼノギアス」のトリコになっていった。あの日から、毎日、僕の家に来るようになった。夜は「ゼノギアス」だ。セリフの解読時間が長かったせいか、日本人が30分で遊べるパートをクリアするのに、僕たちは3時間も費やしていた。その待ち時間にエマちゃんが文句を言うことは一切なかった。ずっとテレビと僕の辞書を調べる姿を見比べながら、静かにピアノの椅子に座っていた。

 リビングルームのドアがノックされた。僕とエマちゃんは一斉に飛び上がった。一体、誰!?

「何時まで遊ぶ気?もう2時だぞ!」

 父の声だった。自分より遅く寝る人を許さない家の主が“寝る時間だ!”と伝えに来た。

「また明日会おうね!」

 肩を落として少々不満な表情を浮かべながら、エマちゃんはリビングルームを後にした。そして、ドアをくぐる前に僕のほうに振り向き、言った。

「絶対だよ」

 こうして、半年ぐらい「ゼノギアス」づくしの毎日が過ぎていった。あの感動はこれからもずっと、忘れることはないだろう。




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(2011年11月4日)

[Reported by ジョン・カミナリ ]