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PS3/Xbox 360ゲーム ファーストインプレッション「KILLER IS DEAD(キラー イズ デッド)」
明瞭なコントラストで彩られた超スピード爽快バトル!
(2013/6/8 00:00)
角川ゲームスは、プレイステーション 3/Xbox 360用アクション「KILLER IS DEAD(キラー イズ デッド)」を8月1日に発売する。価格は7,980円で、CEROレーティングはZ(18歳以上のみ対象)。今回は、開発途中バージョンを用いレビュー可能とされた範疇でのファーストインプレッションをお届けする。
「KILLER IS DEAD」は、“21世紀の大人たちに贈る愛と処刑(コロシ)のファンタジー”をテーマに掲げた作品。プレーヤーはブライアン処刑事務所に属し、右手の刀(カタナ)と左手の換装武器で闘う処刑人「モンド・ザッパ」として、依頼を受けて凶悪犯罪者達をハイスピードかつダイナミックな剣劇アクションで処刑していく。
ストーリーは、月旅行や人体改造など、20世紀に夢見たことが少しだけ実現した世界。 ある日、モンド・ザッパのもとに「処刑事務所」という小さな隠密国家機関から採用通知が届く。採用通知は“月と血に翻弄されながらも処刑を執行する”モンドの数奇な戦いへの招待状でもあった。処刑事務所の仲間と共に、世界に散らばる凶悪犯罪者を倒していく“処刑人”となったモンド。彼のもとには、才能を取り戻そうとする者、自らの死を願う者など、奇妙な殺しの依頼がつぎつぎと訪れる……。
今回、ゲーム序盤のチャプター1~7とジゴロミッション1をプレイしたが、ストーリー本編では折に触れて「月(Moon)」にまつわる様々な描写が登場する。ゲーム中に登場する敵「ワイヤーズ」は、悪人たちの悪意をエネルギーに変えて月の裏側から地球に降り立つ。ゲームは各チャプターごとの1話完結型だが、先に進むごとにストーリーの“芯”となる部分が垣間見えてくる。須田氏のセンスが色濃く投影された“節回し”と“独特のテンポ感”は、昔からのファンならずともグッとひきつけられるものがある。
刀をメインとしたハイスピードバトル ~斬、防、避、崩、撃!~
本作は、チャプター3までがいわゆる“チュートリアル”を兼ねており、そこまでの戦闘シーンはいわゆる“お試し”感覚。だが、以降のチャプターは「ここからが本番!」といわんばかりにメリハリの利いた敵が随所でモンドに襲い掛かる。
これまでの弊誌記事でも紹介してきたとおり、モンドのメイン武器は右手に持った刀(カタナ)。「カタナ=アーツ」と呼ばれる処刑術を駆使して、モンドは敵や処刑対象をズバズバ斬り伏せていく。「カタナ=アーツ」は剣術、格闘術、射撃をミックスしたもので、右手の血を吸う剣「GEKKOU」と左手の義手「マッセルバック」に仕込まれた銃(サブウェポン)を使い分けていく。
操作系はシンプルで、カタナによる攻撃はワンボタンでオーケー。連続入力するとコンボ攻撃に発展する。敵によっては防御(ガード)でカタナ攻撃を無効化してくるため、そのときは「ガードブレイク」と呼ばれるボタンで攻撃すれば敵のガードを崩し強引に隙を作ることが可能だ。敵の攻撃に対しては、ガードもしくは回避が基本。どちらも同じボタンを使うが、ガードするときはボタン押しっぱなしでガード状態を継続。回避のときはボタンを軽くポンと1回押せばいい。なお、回避は方向キーと同時に入力すると、そちら側に回避しつつ移動してくれる。
なお、ガード、回避ともに相手の攻撃にあわせてタイミングよく入力することで、こちらに有利な体勢を作ることが可能。前者は「ジャストガード」と呼ばれ、攻撃してくる敵が赤く発光するタイミングにあわせてガード入力に成功すると、敵が一瞬ひるむ。後者は 敵の攻撃をひきつけギリギリで避けることで「ドッジバースト」と呼ばれる連続斬撃が叩き込める。ド派手なエフェクトとともに繰り出される連続攻撃は“爽快!”の一言だ。
サブウェポンは、初期状態だと飛び道具「バレットショット」が使える。アウトレンジから攻撃できるが、撃つごとに画面左側にあるブラッドゲージを消費する。面白いのは、敵の頭を狙って一撃でしとめる「ヘッドショット」などに代表される「単に敵を倒す」だけでなく「とある場所を○×すると先に進めるようになる」といった“パズルゲーム風”の使い方が用意されていること。一定条件を満たすとバレットショットだけでなく、すでに公開済みの「チャージキャノン」、「ドリル」などと使い分けることが可能だ。
本作は各エピソードをプレイする際、難易度を「EASY」、「NORMAL」、「HARD」の3段階から選ぶことができる。ゲームに不慣れなうちは、まずEASYを選ぶべきだが、要領がつかめてきたら「NORMAL」やがては「HARD」をぜひお試しいただきたい。というのも、本作は手軽にハイテンポかつ爽快なバトルが楽しめる一方で、回避を駆使した“紙一重の攻防”が非常に熱いからだ。本作には、近年のアクションゲームでは軽視されがちな、プレーヤー同士でハイスコアを競い合う「K.I.D. Leaderborads」が用意されている。スコアは報酬金額で集計され、当然ながら難易度が高いほうが高額報酬が狙える。処刑人ならではのハイリスク・ハイリターンの攻防は、アクションゲーマーを自認する方々にぜひチャレンジしていただきたい。
キャラクター成長要素 ~獲得したムーンストーンを使って新スキルをゲット!~
ゲーム中、ポーズまたはオフィスメニュー内にある「Status & Upgrade」を選択すると、それまでに獲得したアイテム「ムーンクリスタル」を消費して新スキルが獲得できる。スキルにはいくつかの種類があるが、今回ご紹介できるのは反転して一気に間合いを詰め鋭い突きで攻撃する「カタナ・ピアッシング」、回転して周囲の敵を一閃する「スピンスラッシュ」、血を使い体力を回復させる「ヒーリング」の3つ。
「カタナ・ピアッシング」は、やや離れた間合いからでも瞬時に踏み込めるとても便利な技。「スピンスラッシュ」は敵が多い乱戦時に効果大。「ヒーリング」はブラッドゲージを消費して体力を回復できる、文字どおり“習得必須”といってもいい超重要なスキルだ。
スキルによっては、獲得後さらに“能力を強化”することが可能。たとえば「スピンスラッシュ」獲得後は、回転しつつ周囲の敵を攻撃した後、跳躍後に地面に突き立てた刀で衝撃波を発生する「スパイラルフィニッシュ」が購入可能。「ヒーリング」は、1ランク上のレベルを購入して回復量を増やすことで、さらに使い勝手が向上する。
ジゴロモード ~息抜き要素と思いきや、実は本編にも影響大!?~
ジゴロモードは、ストーリー本編とは別に用意されたモードで、世界中の美女“モンドガール”を口説き落とすというもの。美女とふたりきりになったモンドは、とあることをして“ガッツ”を高め、ゲージをMAXにして美女にさまざまなアイテムをプレゼント。効果的なプレゼントの数々でハートマークのゲージをMAXにできれば、文字どおり美女の“心を射止めた”ことになる。
ガッツを溜めるべく、モンドは己を奮い立たせるという意味で美女のセクシーな肢体に注目する必要がある。ただし、視線に気づかれると「なによ、エッチなところばかりジロジロ見て!」と美女の不興を買ってしまうため、視線をそらしている間に素早くガン見し続けなればならない。さとられないよう、あらぬ方向に視線をやって興味をそらし、そのすきを突く。ジゴローモードは、ちょっとしたスニークアクションのようなテイストで展開していく。
ジゴロモードで興味深いのは“同じ美女を相手に連続でプレイできない”ことだ。実際プレイされた際は誰もが「あれ?」と一様に驚かれると思う。筆者も「えっ……こういう仕様なの?」と勘違いして再確認したところ、実はゲーム中にヒント(?)が隠されていた。プレイ中、モンドの携帯電話に時々かかってくる美女からの連絡。これにはちゃんと意味があり、最初の1回以降はモンドの携帯宛に美女の側から「会いたい」という意思表示がないと“会えない(その女性のジゴロモードをプレイできない)”仕組みになっているのだ。「美女に“会いたい”といわしめてこそジゴロ」といった感じで、こうした“こだわり”をさらっと実装してくるあたり「グラスホッパー・マニファクチュア恐るべし!」としかいいようがない。
口説き落とした美女からは、ゲーム攻略で非常に役立つアイテムがもらえる。一見ちょっとした息抜き的なモードに見える「ジゴロモード」だが、実はきちんとした明確なメリットが用意されているのだ。ちなみに、ゲーム内で一定条件を満たすと、スカーレットから美女の身も心も透かして見られるという、男の夢を具現化したかのような超ステキアイテム「キャッツアイ」がもらえる。これさえあればどんな美女もイチコロという代物だが、キャッツアイは美女の機嫌を損ねると壊れてしまうことがある。
キャッツアイが壊れたときの強烈な喪失感は、ちょっと言葉にできないほど。だが……8月1日発売の初回版に付属する“3大特典プレミアムコンテンツパックDLC「美女と夜獣とランジェリー」”があれば、そんな悲劇とは永遠にサヨナラ。ジゴログラス「スーパー・モンドアイ」は、キャッツアイと同等の能力を持ちながら“何があっても壊れない”まさにスーパーなアイテム。美女との邂逅が「特別な報酬がもらえました」だけで終わってはジゴロの名折れ。男子の本懐、目の保養……まぁ色々な表現があるとは思うが、本作をトコトン楽しみたいなら3大特典プレミアムコンテンツパックDLCの入手は必須といえそうだ。
序盤から須田氏らしさ全開 ~続きが楽しみで仕方ない!~
今回は開発途中のROMをお借りしてプレイしたため、序盤のエピソード7で中断せざるをえなかったのだが……ゆえに「この先がやりたくてもできない」生殺し状態がことのほかつらい。須田氏の作品が好きというのもあるが、各エピソードのボリューム感が手頃で、本当に「あっという間に時間が過ぎていく」という感覚。中盤以降の各エピソードは相応にボリュームが増えていく可能性もあるが、現状はとてもいい按配というか、適度な伸びのように感じられる。
各エピソードの内容も(実質4話を体験した範疇ではあるが)処刑人という語感のまま殺伐とするのではなく、きちんと変化がつけられているのがいい。人によっては「いくらなんでも荒唐無稽すぎる」と感じられるだろうが、こうした振幅も須田氏らしさのひとつ。冒頭でも触れたとおり、そもそものテーマが“21世紀の大人たちに贈る愛と処刑(コロシ)のファンタジー”。ある程度の筋道がついていれば、それはもうなんでもアリ。
実は数年前にレビューを担当させていただいた某アクションで「一定以上の予算をつけた品で、これだけ自由に個人のセンスや世界観を投影させた代物には、しばらくお目にかかれんかもしれんなぁ」と思っていたのだが、本作をプレイして「あぁ、しまった。まだ須田氏という巨魁がおったわ」と、その底力を再認識させられた。もはや須田氏の盟友といっても過言ではない角川ゲームス代表取締役社長・安田善巳氏の存在とあわせて、こんな時代に「なんて頼もしい!」というほかない。
まだ断片を味わったに過ぎない「KILLER IS DEAD」だが、筆者はその完成形に相当な期待を寄せている。8月1日の発売日まで、どんな続報が届けられるのか。読者の方々と同様、筆者も楽しみで仕方がない。
(C) GRASSHOPPER MANUFACTURE INC./ Published by KADOKAWA GAMES