インタビュー

「FFXIV: 新生エオルゼア」プロデューサー吉田直樹氏インタビュー(前編)

フェーズ2からのフィードバックの内容、その反映思想について

フェーズ2からのフィードバックの内容、その反映思想について

「FFXI」とはポリシーがハッキリ違うと語る吉田氏
「第7回 FFXIV プロデューサーレターLIVE」より。画面右に表示されているのがアーマリーチェスト

――フェーズ1と2が終わって、そこでいろんな意見が出たと思います。来たるべきフェーズ3で反映したフィードバックと、反映しなかったフィードバックについて教えて下さい。

吉田氏: まず、反映したフィードバックについては、マップの透過表示は当然ですけど、その上でPS3のゲームパッドでも、マップ上のアイコン情報が読めるようにしたりとか、例を挙げだしたらキリが無いです。

――こういった機能はPS3版、PC版まったく同じですか?

吉田氏: ほぼ変わらないですね。

――何か違う部分がありますか? 実はPS3版では使えない機能があるとか。

吉田氏: ないですね。PS3版のメインコマンドがPS3専用なくらいですね。あと、フィードバックで新たにアーマリーチェストができました。これまでアーマリーボードって呼んでいたものです。

 これは何かというと、装備専用のボックスです。アイテムが種別ごとに25個ずつ入るので、全部装備はここに突っ込んでくださいと。常に持って歩けるので、この中からお好きなギアセットを付くって、気軽にアーマリーや着替えを楽しんでいただけます。

――バックパックとは別に作ったのですか?

吉田氏: はい。装備専用ボックスですね。25×スロット数なので、尋常じゃない数のアイテムが持って歩けるようになります。

――もうドラえもんのポケット状態ですね(笑)。いくらでも装備品持てると。装備品を手に入れると、いったんインベントリに入って、それからチェストへ移すことになるのですか?

吉田氏: いえ、装備を手に入れた時から全部チェストに入ります。もちろん邪魔だから移したいという場合には移せます。基本装備を手に入れたら全部アーマリーチェストに入ります。アイテムアイコンから□ボタンを押して、装備する、マテリア化、染色するといったコマンドが使えます。

――ここに装備を入れて、ギアセットを登録して、ワンキーで切り替えながら使うような形ですか。

吉田氏: そうです。今装備している状態をセットすると、これがギアセットに登録されます。あとは、登録した装備がちゃんとアーマリーチェストの中に入っていれば、一発で着替えが可能になります。で、ちょっと一部変えたやつに着替えて、また登録ってやればもう1つ登録されるので、スイッチするだけです。ギアセット自体をホットバーに登録できるようにもしましたので、メニューを開く必要すらなく、1ボタンで着替えも可能です。

新しいマップ画面
F.A.T.E.
右側中央に表示されている6:00という表示がF.A.T.E.の残り時間

――新しくなったマップ画面にはどのような情報が表示されるのですか?

吉田氏: 基本、クエストとF.A.T.E.情報が詳細情報として表示できます。それ以外は拠点情報ですが、さすがに行っていないところの拠点情報は僕は出したくない派なのでそれは出ません。あとは、ショップやエーテライトがあるよという情報はアイコンで出ます。プレーヤーが一番知りたいのは、「このクエストマークってどのNPCのクエストなのだろうか?」とか、「F.A.T.E.のレベルはいくつなのか?」とかそっちだと思うのでその情報を優先させています。

――F.A.T.E.にタイムが表示されていますが、これは残り時間ですか?

吉田氏: F.A.T.E.が失敗するまでの残り時間です。これもフィードバックを反映したものですね。「F.A.T.E.が発生してる!」と思ってワーと行ったら終わっちゃっていてクリアできなかったというのだと、ストレスになるので、じゃあマップに残り時間を出すのでそれを参考にして参加するかどうか決めて下さいと。

――F.A.T.E.に向かったらちょうど帰り道のNPCと行き違いになったりとかありましたよね(笑)。

吉田氏: 僕は本当はそういうのも実は、MMOの遊びの楽しみかなと思うのですけど、やはり今の時代を生きているプレーヤーの皆さんは、時間を無駄にすることをすごく嫌がると思うのですよ。やって徒労だったというのを嫌がる。だから、できるだけそうならないようにしてます。時間が表示されることで、「これ始まったばかりだったら行こうかな!」と人が集まりやすいシチュエーションが生まれるとも思うので、3つ同時に起きているときにできるだけレベルが適切で残り時間の多いものに行こうと、誰しもが考えると思いますので、これだったら集まりやすいというメリットがあるのかなと思います。

――逆に、いっぱい意見は来たけど、ここだけはこだわって変えなかったという部分は何かありますか?

吉田氏: 弱点属性がありますね。「モンスターに弱点属性がなくなったのはなぜですか?」っていうものに対しては、そこはポリシー上やりませんとハッキリお答えしています。やはりプレーヤーの方からすると、欲しいと言う感想は理解できるんです。自分の1キャラクターだけ見れば、この敵にはファイアで、この敵にはサンダーってやりたいと思うのですよ。でもコンテンツというかMMORPGという単位で考えたときに、それをやってしまうと、例えばイフリートと戦うときに、当然あいつ見た目が火なので氷が効きやすい。でもそれだと「ファイアの強い黒魔道士は来なくていいよ」という話しになってしまいがちです。

 そうなると、例えばコンテンツファインダーを使ってマッチングしたときに、DPSで募集をかけて黒魔道士が入っていると、「こいつキックしようか?」って話になってしまうと思うのです。だから有利不利をなくすように、あくまでコンテンツによってこのジョブ要らない、とならないようにするために、弱点属性の対応については、フォーラムにもすごい長文ポストをさせていただきました。ただ、そこはやっぱり弱点属性欲しかったなという声はありますが、そこはポリシー上やりませんとご説明させていただきました。

――そこは弱点属性を攻めていく「FFXI」とはもうはっきりポリシーが違うわけですね。

吉田氏: そうですね。そこは僕らは、やはりコンテンツファインダーで気軽にパーティーを組んでもらうということを前提にゲームを作っている以上、そこを崩壊させては意味がないので。

――フェーズ3からはF.A.T.E.でレベルシンクも使えるんですよね?

吉田氏: はい。今このデモのキャラクターがレベル35で、このF.A.T.E.がレベル10想定のF.A.T.E.なので、このF.A.T.E.を選んでレベルシンクすると、ここだけレベルがF.A.T.E.ごとに設定された上限レベルになります。このF.A.T.E.から外れれば、自動的に解除されます。ちなみに、敵の下に輪が出ていたと思いますが、あれがウェポンスキルの当たり判定です。モンスターもウェポンスキルを使ってくるので、あのど真ん中で棒立ちしていると手痛い攻撃を食らいますので、避けて下さい。

――この赤っぽい輪がそうですか?

吉田氏: はい。ここから離れないと、攻撃を食らいます。

――「旧FFXIV」だと何かを集めているっぽいエフェクトが出ていましたが、あの代わりのものですか?

吉田氏: そうですね。ちゃんと範囲を示してあげないと、避けられないと思うので、基本的に全部こんな感じで出ます。直線的にブレスを吐いてくるようなやつだと、こうやって避けると。

――発動する何秒か前に輪が表示されるのですか?

吉田氏: というより、敵をターゲットした状態だと、HPの上にモンスター専用のキャストバーが出るので、これがたまると発動します。だから絵を見て避けるのもいいですし、バーを見てもいいですし、後はHUDレイアウトモードでUIの位置は自由に変えられるので、自分の見やすい位置にセットアップしておいてもいいですね。

――PS3版でHUDのレイアウトが変えられるのは素晴らしいですね。PS3でここまでできるゲームってないですもんね。

吉田氏: ええ。僕はそこはもう誇っていいと開発に言ってます。

――フェーズ3で新たに入るダンジョンについて教えて下さい。今ダンジョンに入れますか?

吉田氏: 無理ですね。4人いないと入れないので。

――なるほど、4人用のインスタンスダンジョンなんですね。ソロでは入場不可ですか?

吉田氏: 正式サービスからしばらくはソロではダメです。ただ、そこはいずれ開放するとは思います。

――新しいダンジョンの対象レベルはいくつぐらいですか?

吉田氏: 今回は15、16、17、23、29、32まで開けます。レベルキャップは35までなので。だから7ダンジョンですね。

――ラノシアとザナラーンにあるダンジョンですか?

吉田氏: それと黒衣森もあります。タムタラとか、トトラクもβ1とβ2のフィードバックを受けた調整が入っています。近々に何をβフェーズ3で対応して、何をフェーズ4で対応するのかという表を全部出すつもりです。

――フェーズ4でもまた何か変わるのですか?

吉田氏: もちろんです。細かく調整したり、ゲームバランスを変えたり。表示優先順位についても、PS3のプレーヤーが大量にある程度長い時間遊んでもらった時に、いやもうちょっとNPC優先して表示して欲しいなどが出てきた場合、そこも調整はしていこうと思ってます。

――フェーズ2までに実装されていたダンジョンはどういった調整が入ったのですか?

吉田氏: 長いといわれた部分に関しては、ばっさりカットした部分もありますし、途中だれるという部分も調整したりしています。あとは敵の強さや想定外のルートだった部分など塞いだものもあります。

――ダンジョンのボリュームについて、1つがだいたい何時間くらいのボリュームで作っているのですか?

吉田氏: ダンジョンはレベリングのために回転させることを想定しているので、だいたい長くても30分から40分で終わるようにはしています。それが予想以上に長かったところが何箇所かあったり、逆に早すぎたものとかもあったので調整しました。

――入場できる数に制限はないのですか?

吉田氏: はい。インスタンスサーバーの限界までいけます。ただ、コンテンツファインダーを使う条件としては、1回「そのダンジョンを見つける」というクエストをクリアしないといけません。まずはファインダーに登録するための冒険をしてもらってから、登録したら後はもう世界中のどこからでも自動的にワープできるようになります。

「第7回 FFXIV プロデューサーレターLIVE」より。画面下中央に表示されているのがコンテンツファインダー

――コンテンツファインダーについてもう少し詳しく教えて下さい。

吉田氏: コンテンツファインダーで行きたいダンジョンやパーティー用コンテンツをチェックして、「参加する」を押すと自動でパーティーをマッチングして、ダンジョンやコンテンツへ気軽に参加できる機能です。

――コンテンツファインダーは基本的に盾、回復、DPSという3つのロールで組まれるのですか?

吉田氏: はい。ロールになっているので、例えばタンクというロールにいる人はタンクにアサインされますし、内部的にはレンジドDPS、いわゆる弓と近接DPS、これはいわゆる竜騎士とかは一応DPSでくくっています。内部的にはもっと細かく見ているので、できるだけモンク2人とかにならないようにマッチングしますが、人が見つからない場合、諦めてロールバランスが取れたら、すぐにマッチングするという風にアルゴリズムを組んでいます。

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(中村聖司)