インタビュー

「FFXIV: 新生エオルゼア」プロデューサー吉田直樹氏インタビュー(後編)

今後のβテストのスケジュールについて。気になるPS3版スタートは「春」

今後のβテストのスケジュールについて。気になるPS3版スタートは「春」

自分の修正指示でβテストが延期になったと語る吉田氏

――βテストのスケジュールについていくつか確認しておきたいんですが、今のロードマップですとβテストの開始を2月中旬としています。2月の中旬と言うともうすぐですが、本当に始まるのですか?

吉田氏:今のスタート予定は2月25日です。

――この2月25日というスケジュールはちょっと遅れたかなと言う感じですか? それとも予定通り?

吉田氏:ちょっと遅れたという感じです。また僕がたくさんの修正指示を出したのが原因で(苦笑)。

――今度は何ですか? その話がとてもおもしろいのですが(笑)

吉田氏:βに向けてコンテンツの大量実装が始まっているのですが、やっぱりクオリティというか、おもしろさの山の高さがデコボコなのです。「どうしてこれここまでよくできてるのに、こっちでは手を抜くんだよ?」って先週、大暴れをしたところです。

 まずは実装スケジュールを組んでから当然βテスト開始美を決めます。ポリッシング期間も想定して。ですが、実際に上がってきたものをプレイして、想定品質に到達するまでポリッシングする際、スケジュール内で収まるか、足りなくなるかは、その修正ボリューム次第です。αテストでは、ストーリーというか、クエストの導線だったり、レベルアップのタイミングだったり、UIだったりと、僕が思っている最低ラインまであげてリリースしたように、いくらクローズドβの最初のフェーズだとしても、僕が想定するレベルに足りてない場合に関しては、無理矢理βテストを実施してもしょうがないよと。だからあとちょっとだけ延期させていただきました。あとはインフルエンザがきつかったですね。僕じゃないですが、スタッフが何人か罹ったので。やっぱクリティカルな人が掛かるとしんどいですね。5日間出社停止とかなので。

――そこでちょっと作業効率が落ちたと。

吉田氏:その側面はありますよね。やっぱりキーマンがかかっちゃうと、5営業日ってでかいので。

――また、姉妹作「FFXI」の拡張ディスク「アドゥリンの魔境」の発売も3月に間近に迫ってきていますが、1つ心配しているのが、松井(聡彦氏)さんです。松井さんは「FFXIV」のリードバトルプランナーで、「FFXI」ではプロデューサーですよね。松井さんのスケジュールは大丈夫なんですか?

吉田氏:大丈夫です。もう松井の脇をがちがちに固めてますから。松井が直接コーディングしたりする必要はもうないので。それは僕がそもそも「FFXI」のプロデューサーを松井が受けるという話を承服した時点でリスクヘッジしていたので。じゃなかったら、松井をプロデューサーにするのは「FFXIV」的にリスクが高すぎて無理ですよ(笑)。

――「FFXIV」βテストにおいて、松井さんが見るべき仕事はもう一通り終わってる?

吉田氏:何の問題もないです。バトルに関しては、もう僕がチェックしてデバッグもしましたので、バトルバランスはもう確定です。後はその確定したバランスに対してコンテンツの難易度を調整したり、ギミックがこれわかりにくすぎるから1つ飛ばせとか。例えば、今回のファインダーを使う系のダンジョンの難易度はファインダーの生き死に関わるんですよ。

――といいますと?

吉田氏:例えばファインダーで組んだ4人がダンジョンにいったときに、例えば中村さんが初見でしたと。3人は事前にある程度調べていましたと。初見の人が全く何もできず、クリアできないレベルのダンジョンにしてしまうと非常に問題です。僕ら3人から見ると、初心者とマッチングされたくなくなってしまう。パーティーからキックしようかと頭に浮かんでしまう。逆に、初心者である中村さん側は「さっぱりわからない。この詳しそうな3人に、迷惑に思われてるんじゃないか……」と不安になる。

――ありますね。慌ててバックグラウンドでググるみたいな(笑)

吉田氏:だから今回、レベリングで使うダンジョンは、タムタラの墓所をやっていただくとわかるんですが、タムタラの墓所って普通に進んでいってギミックみたら何をしなきゃいけないか誰でもわかるように作ってあります。「壊せばいいのね」、「倒せばいいのね」と、ダンジョン内の目的リストも表示していますし。

 僕は初めて行ったダンジョンで、そのダンジョンのボスに初トライしたとき全滅すること自体は、それでいい難易度と思っているんです。なぜなら、ちゃんとすぐボスバトルにリトライできるようにしてあるからです。その時にボス部屋までの移動距離が長すぎると時間をロスする。で、だんだんイヤになってくる。それが極端な話、ボス部屋の前で復活できれば、次は「ああしてみようぜ」、「こうしてみようぜ」って考える時間にできるじゃないですか。

 たった復活した場所からボス部屋までの距離の話なんですけど、これはとても大事なんですよ。初見でも、「ボスには結局勝てはしなかったけど、EXP稼げたよね」とか、「中ボスは2体撃破できたから、アイテムはそれぞれリワードがとれたね」となれば、次もファインダーを使ってくれます。ですが、60分4人で駆けずり回った挙句、全然リワードが得られなかった。しかもその直前にやった別のパーティーでは凄い良かったのに……となった瞬間に、やっぱりシャウトして集めた方がいいかなとなっちゃったり。中村さんは中村さんで怖くてファインダーにキューをつめないと。となるとファインダーが使われなくなっちゃう。だから、ダンジョンのレベルデザインや、ダンジョンのギミックバランスってファインダーが生きるか死ぬかを握ってるんです。だからめちゃめちゃ調整の必要がある。

――それをβテスト実施前の段階で、そこまで内部でチューニングしてるんですか?

吉田氏:βテスト前だからこそですよ。もちろん、βテストって本来そこを見るためのものです。でも僕はそれじゃダメだって。βテストでプレーヤーの皆さんに聞くっていうのは、僕らが想定していないことを聞くべきであって、僕らが今そこは調整すべきだと思っているなら、そこは調整すべきで調整してから出せよと。その上でプレーヤーの皆さんの反応を見るのがβですからね。

――コンテンツファインダーのためにそこまで注力しているとは思いませんでした。しかし、結局、ファインダーのキューに入れやすいダンジョンと、シャウトで集めるダンジョンにわかれていきますよね?

吉田氏:はい、それは絶対にそうなります。連携の取れたプレーヤースキルが高い人たちだけのパーティーのほうが、高難易度ダンジョン向きなのは間違いないですからね。

――2月25日スタートで、だいたい吉田さんが満足できるような内容に仕上がりそうですか?

吉田氏:ツアー中も海外から触りながら見てはいきます。それ次第ですね。

――スケジュールについてもう1つだけ確認させてください。βテストフェーズ1は2月25日開始であることが判明しましたが、PS3ユーザーにとってはフェーズ3のスタート時期こそが知りたい情報だと思うんです。フェーズ3は大体いつ頃から遊べると期待していいでしょうか?

吉田氏:うーん、春じゃないですか?

――わかりました。これからスタートするβテストに向けて、抱負をお願いします。

吉田氏:本当に死にもの狂いと言うか、寝ない進行というか、1つでも多く、1つでもクオリティ高くテストしていただけるように、全開発チーム全社挙げて取り組んでいます。すでにお知らせしているようにフェーズが1から4まであります。じっくりじっくり皆さんのフィードバック、それから皆さんと対話しながら最高のものに仕上げて、それから改めて正式サービスを迎えたいと思っていますので、みなさんそれぞれ興味を持ったタイミングで構わないので、ぜひβテストの世界に一度来ていただいてプレイをしてみていただければと思っています。

――ありがとうございました。

【βテストスケジュール】
すでに若干遅れ気味のβテストスケジュールだが、正式サービスに向けて、焦らずじっくり進めていって欲しいところだ
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(中村聖司)