インタビュー

PS3/PS Vita「FINAL FANTASY X/X-2 HD Remaster」プレイ&インタビュー

“思い出補正に負けないように”、「FFX/X-2 HDリマスター」について当時の秘話を交えつつ直撃!

発売日:
2013年
価格:
未定

 2013年にプレイステーション 3/PlayStation Vitaで発売予定の「FINAL FANTASY X/X-2 HD Remaster」(以下「FFX/X-2 HDリマスター」)。PS3版では「FINAL FANTASY X」(以下「FFX」)と「FINAL FANTASY X-2」(以下「FFX-2」)の両タイトルをセットにしたパッケージが、PS Vita版ではそれぞれ「FFX」と「FFX-2」が個別にパッケージで発売される。

 今回は、PS3版の「FFX」を体験することができた。そこで、まずそのプレビュー版をプレイし、その後プロデューサーである北瀬佳範氏(以下、北瀬氏)と、PS2版で「FFX」のイベントディレクターを、「FFX-2」のディレクターを務めた鳥山求氏(以下、鳥山氏)にインタビューを行なわせて頂いた。プレイレポートとインタビューを、併せてお伝えしていこう。

「プレビュー版プレイレポート」 - フルHD16:9に生まれ変わったPS3「FFX」冒頭をプレイ

 今回プレイできたのは「FFX」の冒頭のシーンだ。まずはオープニングムービーからタイトルロゴへの流れを観賞。この作品において、見所はやはりグラフィックスだ。PS2でのオリジナルから、解像度は1080pのフルHDに、画面比率も4:3から16:9になっている。

 それだけでも画面の印象はグッと変わっているのだが、本作では単にアップスケールしているわけではなく、解像度に見合ったグラフィックスになるようテクスチャーレベルから手が加えられている。

 映像を観ていくとティーダは、髪の毛から眼やまつげ、身につけているネックレスや服まで、細部がくっきりと細かく描かれている。テクスチャーレベルどころか、キャラクターモデルを再作成しているぐらい手がかかっているのではと思える。

 同じようにユウナの姿も非常にキレイだ。PS2版ではここまではっきりくっきり、かつ大画面では見られなかったシーンだが、この作品で見た映像は、今や美化されている当時の思い出にも負けない。ただ、このユウナのバストアップシーンに対してスタッフは、「まだこの表情だと冷たい人のような印象を受ける。まだまだ修正していきたい」と語っていた。後述のインタビューにもあるのだが、こだわって修正を重ねていく姿勢が伺えた。

 オープニングムービーの最後は、ザナルカンドを遠くに眺めるティーダとそこに浮かび上がるHDリマスターのタイトルロゴだ。画面比率が16:9なのでこのカットも非常に新鮮で、オリジナル版とはまた違った印象を与えてくれる。オリジナル版をプレイした人ならわかって頂けると思うが、名曲「ザナルカンドにて」に乗せて流れていくこのオープニングムービーは、今見ても秀逸。このタイトルロゴまで見終えると、感慨深い思いがこみ上げてくるはずだ。

 本編をスタートすると、ブリッツボールチームのザナルカンド・エイブスでエースを務める主人公ティーダが、光に満ちたザナルカンドを駆けていた。ムービーではないプレイシーンの印象は、やはりくっきり。キャラクターやフィールドが細部まで描かれているし、オリジナル版の色使いが時代を感じさせるところもあるが、鮮やかだ。

 どこまでも広がっているザナルカンドの遠景や、スタジアム入り口の彫像といったオブジェクトもクオリティが高い。細かなところにまで気を使って手を入れていると感じた。

 この後、ティーダはブリッツボールの試合へ臨んでいく。ここからはプリレンダの、いわゆるムービーシーンになるが、このプリレンダムービーもしっかり16:9でハイクオリティな映像に生まれ変わっている。輝きに満ちた都市ザナルカンドを高い場所から眺めるアーロンの姿が映るが、その都市の光景が非常に美しい。ザナルカンドへ海から巨大なシンが迫っていくシーンも同様に、シンはもちろんとして海の水の表現がキレイに、都市も精細になっている。

 シンによって崩壊するザナルカンド。謎の男アーロンと合流したティーダは、シンのコケラと対峙する。バトルシステムは、行動順が右上に表示されそれを見つつ戦略を立てていく「カウントタイムバトル(CTB)」。このバトルシーンも16:9になったことで、各インターフェイスが四隅に寄っていて、そのぶん画面中央が広く見えるようになっている。文字の大きさなども適度で見やすかった。

 この後、ティーダは異世界スピラにたどり着く。そして、海の遺跡で巨大なモンスターに追われる……というところで、体験プレイの範囲は終了となった。なお、今回のプレビューはE3用ということで英語になっているが、日本版ではPS2のインターナショナル版のシステムや内容をベースにした日本語版で、ボイスも日本語となる。

 プレビュー版のプレイをまとめると、開発途中でありまだまだ調整を行なうという本作だが、現時点でもHDリマスターされたグラフィックスの魅力を存分に味わえた。読み込みもスピーディーで、インターフェイス類もHDサイズで快適にプレイできるよう作られている。単純なアップコンバート版とは到底言えない、手間のかかったものと思えた。

 続いては、本作についてより詳しく伺ったインタビューをご覧頂きたい。

(山村智美)