インタビュー
「FFXIV: 新生エオルゼア」プロデューサー吉田直樹氏インタビュー(前編)
PS3版の実機デモを見たり、プレイしたりしながら、PS3版の魅力を聞いた
(2013/6/12 06:00)
PS3版の実機デモを見たり、プレイしたりしながら、PS3版の魅力を聞いた
――そのPS3版についてですが、先日公開されたウォークスルートレーラー2を拝見して、かなり仕上がってきている印象を受けました。
吉田氏: じゃあちょっとPS3版を実際に動かしながら説明しましょうか。これはデバッグ用ではなく、通常のPS3を使って動かしています。
(PS3版のキャラクタークリエイションデモスタート)
――グラフィックスオプションは基本的に固定ですか?
吉田氏: 固定です。
――フレームレートはどのくらいまで確保したのですか?
吉田氏: 最高30とずっと言ってきているので、30です。
――フレームレートは固定では無く可変で、やはり人が多いところはフレームが落ちますか?
吉田氏: はい、ある程度で収まりますが、落ちないかと聞かれると多少は(苦笑)。
――PS3版のウォークスルートレーラーを見ていてもっとも感心したのは、遠景の描き込みです。メモリの処理が神がかり的というか本当に頑張ってますね。
吉田氏: ええ、僕も今回のPS3版はハード性能の限界を超えてると思いますよ。
――遠景の一部が剥げることもないですし。これはどのようなテクニックを使って実現しているのですか?
吉田氏: テクスチャ解像度を落としつつも丁寧に対応したことと、ロー、ミドル、ハイの3段階のテクスチャ解像度を超高速でメモリ内で入れ替えをやっているところが大きいです。キャラクタークリエイションでは、背景の昼夜を選択したり、色も選べるようになりました。
――髪型から何からすべての選択肢でバリエーションが増えているのですか?
吉田氏: 増えてはいますね。
――PS3版のグラフィックスはこれでだいたいフィックスなんですか?
吉田氏: ほぼフィックスです。今日のライブで質問が来てたのでお話しますけど、パッチ2.1で床屋を実装するので、パッチ2.1でまた髪型がぐんと増えます。なのでローンチはこのくらいだと思っていただいて、今後も髪型は増えますよという風に認識してもらえれば。髪型は後から変えられるので最初は気軽に決めていただいても大丈夫です。相当性能的には厳しいのですが、PS3版でもディファードライティングを適用して、顔にかかる影や光の調整をギリギリまでやってます。メッシュやフェイスペイントも増えてますし、フェイスポイントは反転もできますね。
――細かいところまでいじれますね。これ出力は720pですか?
吉田氏: 720pです。
――綺麗ですね。720p表示でも、テキストはしっかり読めますし、PC版とアイコンが多少違う以外は違いがないですね。
吉田氏: そうですね。たぶんこれ気楽に見ている分には、PC版なのかPS3版なのかわからないんじゃないかと思いますね。
――そういえば576Pとか480Pにも対応してますが、あれは?
吉田氏: それはSCEさんのレギュレーションですね。
――なるほど、「FFXIV」は実はSD解像度にも対応してるんだなと、スペック表を見て驚きました。
吉田氏: 欧州だとまだSDのテレビがあるので。
――極端な話、アナログテレビでも「FFXIV」ができるわけですよね。
吉田氏: 最低ラインは維持してます。
――逆に4K対応は?
吉田氏: 普及したら考えます。
――PC版はフルHD(1,920×1,080ドット)に最適化していると伺っていますが、ということは4K解像度(3,840×2,160ドット)への最適化はされていないわけですか?
吉田氏: そうですね。ただ、その解像度も出そうと思えば出せます。いずれデモくらいはするかもしれません。
――PS3版はPS Vitaを使ったリモートプレイには対応していますか?
吉田氏: 今のところ対応することは考えていないです。
――PS3版のクライアントはPlayStation Store経由でダウンロードするわけですか?
吉田氏: そうですね。βフェーズ3はそうなります。
――ダウンロードサイズは何GBになりましたか?
吉田氏: 製品とβフェーズ3ではちょっと違いますが、GB単位ですね。5GBは超えると思います。ちょっとそこだけは申し訳ないのですが頑張ってダウンロードしていただくしかないですね。
――PS3版のクライアントダウンロードは分割じゃなくて一括ですか?
吉田氏: 一括です。ランチャーを落としてからダウンロードするので、途中で切れてもレジュームが聞くので大丈夫です。
(PS3版のフィールドデモスタート)
――おーー! PS3版いいですね、全然問題ない!
吉田氏: 問題があったら出さないですよ。当たり前じゃないですか、勘弁してくださいよ(笑)。スプリントしてもフレームレートがほとんど落ちません。結構奇跡的だと思います。ここはほんと開発チームを褒めてあげたいですね。
――昨年の段階ではUIを入れるとパフォーマンスが落ちるのでまだ見せられないという話でしたが。
吉田氏: UIのレスポンスにはかなりこだわりました。グラフィックスも綺麗に見えますが、これでもロー、ミドル、ハイと地味に切り替わってます。
――へー、自然ですね。この辺の切り替えが下手なゲームだと移動するたびに風景がハゲハゲになったりちらつきがあったりするものですが。
吉田氏: フィールドの一部、やはり遠いものや自動で生成している草は消えてしまいます。製品版に向けてその辺りの最後の調整をしています。後はやはりキャラクターやNPCの描画の優先順位に関してはβテストをさせていただいた中で、フィードバックをもらって製品に向かって最終調整をしていきます。
――ローディング時間もPCと同等ですか?
吉田氏: いえ、そこはやはりPC版に比べてしまうと、ハード性能が根本的に違いますし、HDDの物理的と見込み速度もかなり異なるので差は出ます。
――ちょっと遅延が発生しますか?
吉田氏: そうですね。まあそれは「FFXI」でもそうですが、読み込んでキャラクターが出てくるところにはやはり時間がかかるので。
――ということは、たとえばPS3のHDDをSSDに載せ替えると、PS3版がグッと速くなる?
吉田氏: なります(笑)。ただ、そこはSCEさんとしてはサポート対象外となりますし、もちろん僕らも推奨はできないのですけれども、速さにこだわるのであれば、自己責任ではありますが、おそらく変えたほうが圧倒的に速くなりですね。
――そんなに変わりますか?
吉田氏: はい。やはりシークエラーが大きいですよね。HDDはいわゆる物理ディスクなので、要はデータを探そうとしてシークに行って、シークエラーがHDDで発生するともう1回読み直しです。その分どうしても、そもそもの物理シーク速度が遅いと、かけ算で遅れてしまうので。後はやはり今回プレーヤーキャラクターの移動が「FFXI」に比べるとスプリントもあって速いので、NPCを読もうとするけれど、通り過ぎてしまったのでもういらないというシチュエーションが多く発生します。で、次のキャラクターを読もうとするので、I/Oの読み込みがぶつかったときに限界は来ます。かなり処理的にがんばりましたし、製品リリースに向けて、さらに高速化は限界まで行ないますが、HDDの物理スピードがすごく重要ではあります。
――PS3版はパフォーマンスの最適化はもう完成ですか?
吉田氏: そうですね。ただ、今もお話ししたとおり、読み込み回りに関してはまだいけるかなと。あとは茂みの距離延長。水際のクオリティアップくらいでしょうか。
――クロスホットバーに入れるマクロについてですが、マクロのサーバー保存はできるようになりましたか?
吉田氏: 正式サービスまでにはがんばりたいですが、ギリギリパッチになるかもしれません。
――それでは遠からず、PC版とPS3版ではサーバー上の同じマクロデータを使える?
吉田氏: はい。ギリギリまで頑張ります。
――PS3版のパッド操作についてですが、アナログスティックを使いながら、L2ボタンを押しつつ、十字キーを操作するのがとても難しいのですが、これはどう遊んで下さいという感じですか?
吉田氏: オートランをかけながら操作することもできるし、バトル中移動しないシチュエーションだったら難なく使えるので、常時使うのではなくて、いざという時に使うものを十字キーに入れておいて使うという想定をしていますね。
――十字キー側はどちらかというとサブ的使い方ということですか?
吉田氏: そうです。使用頻度の高いものに関してはやはり(右側の)ボタン側に入れていただくほうが断然いいです。あとは、今回フィードバックを受けてトグル操作も入れました。β2まではクロスホットバーは、L2/R2を押しっぱなしじゃないと起動しなかったのですが、フェーズ3からは1回押すとホットバー起動状態で、もう一回押すと解除というトグルモードも用意しました。
――それは便利ですね。「ミックス」というのはなんですか?
吉田氏: ミックスというのは、ボタンを押している時間の長さでON/OFFを切り替えるモードです。トグルにすると、1回押すと後はボタンのみで、もう1回押すとキャンセル。指が疲れるというフィードバックをいただいたので対応させていただきました。
――なるほどー。この辺のコンフィグもさらに細かく進化してますね。
吉田氏: たぶん、オプションの細かさはもう世界一だと思いますよ。
――フェーズ2の段階でオプションは世界最高クラスの細かさでしたものね。フェーズ3ではさらに細かくなったわけですか。
吉田氏: はい。本当に皆川(「FFXIV: 新生エオルゼア」リードUIアーティスト)をはじめUIチームが死力を尽くしてくれているので。このオプション数で始まるMMOを僕は知らないので。しかもゲームパッドとマウス・キーボードが完全両対応の状態でなので、フィードバックを取り入れつつ、最後まで突っ走りたいなと。
――いつも読者の方から、ガンガン突っ込んだ質問でおもしろいです、みたいなご意見をいただくのですが、「新生FFXIV」はもの凄い勢いで様々な仕様が改良されていくので正直なところもうガンガン突っ込むところがないんですよね。商売あがったりな感じです(笑)。
吉田氏: メディアの方は本当にいろんなゲームを見られていると思うので、本当にそういっていただけるのは嬉しいです。
――ちなみにこの「新生FFXIV」のエンジンって名前はないのですか?
吉田氏: ないです。何か名前考えます(笑)。