あなたにとって「LoL」のどこがどうおもしろい?

【第2回】ストリーマーの立場から語る「LoL」スタンミさんインタビュー

「"見下ろし視点"が配信の多様性に繋がる」

9月28日 掲載

 「League of Legends(以下、LoL)」に様々な立場で関わる方々に連続インタビューを行ない、「LoL」の面白さや魅力、「LoL」はどのようなゲームで、どんな環境におかれているかなど、様々な角度から「LoL」のアレコレを追究していく本連載。

 第2回となる今回は、フリーストリーマーとして活躍するスタンミさんに話を聞いた。ゲーム配信が1つのコンテンツとして人気を博している昨今、「LoL」も多くの配信者・視聴者を生み出したゲームの1つで、「LoL」の配信は競技シーンの観戦とは一味違った面白さを有している。

 スタンミさんは、毎回2,000人以上の視聴者を楽しませており、「48時間LoL配信」といった企画を配信内で行なったり、公式番組「GGTV」にも出演するなど話題の人物だ。そんなスタンミさんはランク戦を楽しむガチゲーマーである一方で、配信内ではワイワイゲームを楽しむ明るいストリーマーといった印象を受ける。そんな彼にとって「LoL」のプレイやストリーマー活動の「面白さ」とは何か、話を聞くことができた。

今回インタビューに応じて下さったスタンミさん

「有名になりたくて」ストリーマーに。

――まず「LoL」の配信を始めた経緯を教えてください。

スタンミさん:僕がストリーマーになったのは「有名になりたい!」と思ったからなんです。有名になりたいという想いは昔からあり、芸能活動をしていた時期もありました。配信自体はニコニコ動画でFPSの配信をやっていたりしましたが、「LoL」を始めてからはニコニコを離れてTwitchで配信をしています。

――そもそも、どうして「LoL」をプレイし始めたのですか?

スタンミさん:友人からの誘いです。当時はFPSにも飽きてきていましたし、FPSと配信を両方とも辞めて「LoL」を触っていましたね。「LoL」は難しかったですが、友達とワイワイやるのが楽しくてプレイしていました。そこからゲームがわかってくると物凄く楽しくなってきて、すっかりハマってしまい、Twitchで配信も始めました。その後、「7th heaven(以下、7th)」からストリーマーを募集していたので面接を受け合格し、公式ストリーマーとして活動を開始しましたが、現在では「7th」から脱退しフリーのストリーマーとして活動しています。

――スタンミさんの配信はワイワイ楽しむタイプの配信ですよね。

スタンミさん:そうですね。僕が楽しんでいるところを見て、みんなも楽しんでくれるような配信にできたらいいなと思いながらやっています。日本の配信はただゲーム上手いだけだと伸びないと思っているので、意識とまではいきませんが暴言などは吐かないようにしています。

 NAサーバーのころは、英語で暴言をチャットしていたりもしましたが、今ではもうしません。日本サーバーが来て、日本語で悪口を言われて、暴言が本当に面白くないと思ったし、冷静でいることが勝ちにつながると気付きました。それからはもう、自分をコントロールできるようになってイライラすること自体がなくなりましたね。

「LoL」の面白さを生み出しているのは「見下ろし視点」

「LoL」の視点は上からの見下ろし視点。カメラも自由に動かせる

――「LoL」の配信はスタンミさんのようなスタイルの人が伸びるのでしょうか?

スタンミさん:いえ、これは「LoL」に限らず、全てのゲームで色々な配信のスタイルに需要があると思います。単純にうまいプレーヤーを見たいという人もいれば、ヒールなキャラクターを好む人もいます。ストリーマーのキャラクターの分だけ視聴者がいるといってもいいかもしれません。配信を長く続けると視聴者層も僕に合った人がどんどん収束していくのがわかってきます。なので、僕は視聴者に気を使い過ぎず、自由にやっていますし、多くの配信者がそうしていると思いますよ。

 特に「LoL」は他のゲームの配信と比べて、ストリーマーのキャラクターやプレイスタイルが豊富ですね。似たようなキャラクターの配信者でも、行くレーンや使うチャンピオンの種類で差別化できますし。でも、日本の「LoL」配信は、ただ上手いだけのプレーヤーはあまり伸びない印象があります。ゲームの腕よりも、トークなどが重視されるイメージです。

――むしろ、"下手な"プレーヤーをわざわざ見に来る人もいるということですか?

スタンミさん:そうですね。「LoL」というか、MOBA(マルチプレーヤー・オンライン・バトル・アリーナ)ってFPSとかと違って見下ろし視点じゃないですか。だから下手でも何をしているか、失敗しても何をしようとしたかはわかりやすいのかなぁと思っていて、それが配信の多様性に繋がっているような気がします。

 FPSとかTPSだと下手なプレイを見ているとモヤモヤすることがありますが、見下ろし視点の「LoL」はそれが少ないんじゃないかなぁと。それに加えて「LoL」はゲームの見た目のポップさや、ゲームスピードも相まって、プレイしながらトークをするスタイルにマッチしていますよね。

――「見下ろし視点」はプレイの面白さにもつながるのでしょうか?

スタンミさん:そう思っています。他のプレーヤーがどんな動きをしているかわかりやすいですからね。例えばレーンから帰る時に他のプレーヤーの様子を見られたりする。その人が好プレイをしていたら「凄い!」って思えるし、変なプレイしていたら笑っちゃう。そのプレーヤーが友達だったら尚更ですよね。

 「LoL」のプレイスタイルって、人間性が出ると思うんですよ。安定したプレイをとるか、どんどん敵を倒しに行くか……みたいに。それが試合中でも配信でも見ているとなんとなくわかるのも面白さですよね。

――スタンミさん自身はどのようなプレイスタイルなんですか?

スタンミさん:僕はセンスがないので安定を取って、無理に倒さずにチャンスを待つタイプですね。なので、プッシュの強いメイジ、例えば「アニビア」なんかを使うことが多いです。僕は本気で勝ちたいと思っているので、コケ辛く、逆転がしやすいチャンピオンが好きなんです。なので必然的に逆転勝ちも増えますし、そのときは本当に嬉しいですね。わざわざ不利になるようなプレイはしませんが、逆転勝ちは大好きです。

プッシュ力が高く、集団戦で活躍できるアニビアは安定したチャンピオンのひとり

ランクで上を目指す面白さ

――「本気で勝ちを目指す」ということは、プレイするのはランクマッチが中心なのでしょうか?

スタンミさん:そうですね。ランク戦が好きなんです。どんな勝ち方でも、負け方でも、LP(ランク戦で増減するポイント)で評価されるし、どこまでいけるかを試すのが好きなんです。だからずっとランクばかりやっていて、ノーマルや他のモードはほとんどやりませんね。

 「LoL」は色々なプレイスタイルの人がいます。集団戦が得意な人だったり、レーン戦で勝つのが好きだったり、特定のチャンピオン1体しか使わなかったり、あげていけばキリがないほどプレイスタイルは様々です。でも、本気で勝ちたいと思ってやっている人はランクにしか行きません。同じくらいの腕の人と、お互い本気で戦い、その中で自分のプレイスタイルに沿った努力をして、成長を感じられるのが楽しいんです。

――ランク戦を長く続けていられる理由は、他にもありますか?

スタンミさん:メタ(アイテムやキャラクターの性能による、その時々で主流の戦術)が頻繁に変わるからこそ、長く続けられているんだと思います。「LoL」はパッチの変更で環境がどんどん変っていくので、それに対応していかないといけません。いきなり弱かったチャンピオンが強くなったり、チャンピオンの行くレーンが変わったりするのには賛否両論あると思いますが、僕は好きですね。

 たまに、パッチの変更直後に今まででは考えられなかったビルドや、立ち回りをする人がいて、暫くするとそれがメタになっているということがあります。そういう、パッチノートを見て強い行動を真っ先に取れる人は凄いと思います。そういう人がいるのも面白さの1つですよね。

――スキンやエモートといったゲームのプレイとは違った楽しみ方は好きですか?

スタンミさん:いえ、正直に言ってしまえばあまり興味がないんです。といいつつも、最近でた「プールパーティー ゾーイ」だけは見た目が好きで買ってしまいました(笑)。スキンやストーリーなどもそうですが、ノーマル戦やそのほかのモードみたいに、色々な遊び方が提供されているのが「LoL」のいいところだと思います。実際、僕も初心者時代はワイワイ楽しんでいましたしね。

夏をイメージした「プールパーティー ゾーイ」

eスポーツやコミュニティの盛り上がりに期待

――初心者といえば、公式番組「GGTV」に出演されていますが、腕前や経験の異なるプレーヤーが集まったチームでプレイされて、感じたことなどはありますか?

スタンミさん:経験者の僕は初心者の方を引っ張っていく立場ですが、気負うことなく初心に戻って楽しめている感じです。「レーン戦や集団戦なんてどうでもいい、とにかくみんなでワイワイ、騒ぎながらやるのが楽しいんだ!」って感覚は久しぶりでしたね。

 「GGTV」のワイワイ感を見て、新規プレーヤーが増えたらいいなと思っています。これから始める初心者の方にも、難しいことは考えずに遊んでほしいです。

――eスポーツや「LoL」に関連するオフラインイベントも開催されていますが、そういったコミュニティの盛り上がりをストリーマーとしてどう感じていますか。

スタンミさん:「LoL」は立派な競技ですから、観戦するだけでも面白いですよね。実際、日本のプロリーグ(LJL)の配信も盛り上がっていますし、今後どんどん発展して欲しいです。

 僕は「LoL」をスポーツだと思っているので、観戦するだけでもいいと思っています。野球だって、プレイしていなくても観戦している人が山ほどいますからね。それに、「LoL」は詳しくなればなるほど観戦も面白くなっていくゲームなので、たくさんの人に観戦して欲しいし、プレイしていなくても詳しくなってくれたらいいと思っています。

――「LoL」全体のコミュニティの盛り上がりはどうでしょう?

スタンミさん:コミュニティはどんどん盛り上がっていくと思います。「LoL」は競技としても、エンターテインメントとしても成り立ちやすいゲームです。ゲーム画面が目の前にないのに、友達と「LoL」の話ができる。これって別のゲームだとあんまりないし、あっても「LoL」ほど会話が弾まないんですよね。そういう力が「LoL」にはあると思います。

 こんな風に、ポテンシャルは高いゲームなので「GGTV」のような公式番組やLJLの配信などを通じて、もっと多くの人に「LoL」を知ってほしいですね。そういう意味では、今配信されている「ロル君」のCMはよかったと思います。インパクトがありますし、「LoL」をまだやっていない人の興味を惹けるので。

――話題の多さは、先ほどの視点の話も関係してきますね。

スタンミさん:そうですね。他のプレーヤーが何をしているのか把握できるので、その分話題も多く生まれるんだと思います。それに、「LoL」はさっき言ったように競技シーンやチャンピオンのストーリーみたいなゲームプレイ以外の要素も充実していますから、ゲームプレイ以外にも話題にできる事柄がたくさんあるんですよね。

――実体験などで、「LoL」の盛り上がりを感じたことはありますか?

スタンミさん:最近では、ライアットゲームズさん以外のところが企画を立ててくれることが増えていますね。イベントや企画が増えた結果、僕の周りのストリーマーがどんどんオフラインのイベントに出演するようになってきました。あと、日本では「LoL」の配信者、視聴者両方が増えています。そういったことで、「LoL」の盛り上がりを感じています。

――スタンミさん自身はオフラインイベントに出る予定などはないのでしょうか?

スタンミさん:声はかけてもらっていますが、今のところはネットを中心とした活動を続けるつもりです。やっぱり有名になるにはネットの拡散力の方が強いと思いますし、僕の配信にもまだまだ初見さんが来てくれているので。もちろん、オフラインイベントは機会があればその都度検討していきたいと思っています。僕が楽しんで参加できるゲームやイベントなら、視聴者・参加者の方も一緒に楽しんでくれると思うので。

――最後に、今後の目標等をお願いします。

スタンミさん:僕個人としては、視聴者3,000人を維持する配信者になることですね。配信をベースにして、どんどん有名になりたいと思っています。僕がやっているような個人の配信を見ていない「LoL」プレーヤーはまだたくさんいるはずですから、そういう層を取り込んでいきたいですね。

 あと、今後「LoL」も、もっともっと有名になって、広がりが出てくればいいなと思います。それに少しでも協力できたらいいですね。具体的には、電車に乗ったとき、隣の人がスマホで「LoL」の動画や配信を見ているような世界が来てくれるといいなぁと思っているんです。それくらいのポテンシャルがあるゲームだと思うので。

――そのためにも、「LoL」の面白さが、まだ「LoL」を知らない人にも伝わるといいですね。

スタンミさん:そうですね。どんなゲームよりも1番長くやりたいと思えるゲームだと思っているので、是非プレイして欲しいです。

スタンミさん、ありがとうございました

【お詫びと訂正】掲載当初「7th heaven」の表記に誤りがありました。ここにお詫びして訂正致します。