レビュー

PS5版「Microsoft Flight Simulator 2024」レビュー

「MSFS」がPSハードに初上陸。DualSenseで快適な空の旅を

【PS5版「Microsoft Flight Simulator 2024」】
12月8日 発売予定
価格  スタンダードエディション:9,700円
デラックスエディション:13,000円
プレミアムデラックスエディション:16,300円
アビエイターエディション:26,000円

 マイクロソフトが世界に誇るフライトシミュレーションゲーム「Microsoft Flight Simulator」シリーズ。2024年11月に発売された最新作「Microsoft Flight Simulator 2024」は当初Xbox Series X|S/PC版のみラインナップされていたが、発売から1周年を迎え、今回新たにプレイステーション 5版が加わることになった。

 40年以上の歴史を持つ「Microsoft Flight Simulator」シリーズが、プレイステーションのプラットフォームに登場するのは本作が初めて。本稿では、DualSenseでより快適に空の旅を楽しめるようになったPS5版「Microsoft Flight Simulator 2024」のレビューをお届けしていく。なお、GAME WatchではPC版レビューや開発チームへのインタビューも掲載されているので、こちらも併せてご覧いただきたい。

【『Microsoft Flight Simulator 2024』最新映像】

フライトシムとして遊びやすくなった「MSFS2024」がPS5に上陸

 最初に「Microsoft Flight Simulator 2024(以降、MSFS2024)」について軽く振り返っておこう。本作は4年ぶりのシリーズ最新作で、前作「Microsoft Flight Simulator(2020)」をベースとしながら、より遊びやすいフライトシミュレーションゲームへと進化している。

 まず、クラウド(Microsoft Azure)を活用することでインストールサイズを削減。「MSFS2020」は200GB近くあり本体ストレージを圧迫していたが、「MSFS2024」では大幅にサイズダウンし、PS5版は7.8GBと気軽にダウンロードしやすくなった。一方で快適なゲームプレイには、高速なインターネット回線(100Mbps以上)を必要とするため、この辺りは注意しておきたい。

「MSFS2020(画像はXbox SX版)」はインストールサイズが大きく、ゲーム本編だけで200GB近く消費していた。これにアドオンなどを加えると、容量はさらに増える
「MSFS2024」はほとんどのデータをサーバーに置き、フライト前や飛行中に随時ダウンロードする方式に変更された。これによって、PS5版のインストールサイズは7.8GBと、大幅なサイズダウンを達成している

 また「MSFS2024」では、自由気ままに空を飛ぶ「フリーフライト」や世界中の観光地をフォトモードで撮影する「世界の写真家」に加えて、新モード「キャリア」が登場。様々なライセンスを獲得して、貨物機で各地に荷物を届けたり、ヘリコプターで人命救助を行なうなど、パイロットの仕事をリアルに体験できるフライトシムとなった。

「MSFS2024」で追加されたキャリア。パイロットの仕事をリアルに体験できる新モードだ

 「MSFS2024」は継続的なアップデートが行なわれており、発売当初はサーバーへアクセスしにくかったり、バグも多く見られたが、2025年11月現在では安定したゲームプレイを楽しめる。さらに、2025年9月には「World Update 20:日本」が配信され、東京や大阪、京都、札幌、広島といった都市がよりリアルに表現されるようになった。

2025年9月に配信された「World Update 20:日本」。最新のフォトグラメトリと地形テクスチャを用いることで、日本各地(全23カ所)がよりリアルに表現されるようになった。画像は広島の様子

 現在マイクロソフトは、Xbox Game Studiosが手がけるファーストパーティタイトルのマルチプラットフォーム化を進めており、2025年4月に「Forza Horizon 5」がPS5に移植されたほか、2026年にはPS5/Xbox Series X|S/PC向けに「Halo: Campaign Evolved」の発売が控えている。今回のPS5版「MSFS2024」もこの動きに則ったものだ。

 これによって、Xbox Series X|Sの優位性が一つ失われてしまうが、「MSFS」はコミュニティをとても大事にしているゲームで、PS5版が加わることでコミュニティがより活性化し、今後の新たなアップデートやアドオンの開発に繋がるだろう。

「MSFS」はコミュニティをとても重要視しており、公式フォーラムでは活発な議論が行なわれている。PS5版でよりコミュニティが活性化することだろう

PS5 Proで美麗な空の旅を。クロスプレイ/クロスセーブには非対応

 PS5版「MSFS2024」は、発売時点で実装されている全てのコンテンツとアップデートをプレイ可能。PS5版限定コンテンツなどはなく、ゲーム内容はXbox Series X|S/PC版と相違はない。だが、発売済みのXbox Series X|S/PC版とPS5版はサーバーが異なるため、クロスプレイおよびクロスセーブに対応しておらず、アドオンの共有もできないため、注意が必要だ。

 PC版はミドルハイクラス以上のゲーミングPCを必要とする超重量級ゲームだが、Xbox Series X|S版では最適化が行なわれており、Seires Xは4K30FPS、Series SはフルHD30FPSでゲームをプレイできる。本稿執筆時点で、PS5版の解像度やフレームレートは発表されていないが、現世代のコンソール機で最も性能の高いPS5 Proへの最適化(PS5 Pro Enhanced)も行なわれている。

 今回は筆者所有のPS5 Proで「MSFS2024」をプレイしたが、非常に美麗なグラフィックスで空の旅を楽しめた。先述の通り、本作はクラウドを活用しているため、フライト前にロード時間が発生するのは致し方ないのだが、フライト中に画質やフレームレートが低下するような場面は見られず、緻密に再現された東京の街を楽しんだり、世界各国の観光地を巡ることができた。

出発する空港を選択すると……
クラウドサーバーからマップデータを読み出し……
フライトの準備が完了となる
今回はPS5 Proでプレイしたが、非常に快適な空の旅を楽しめた
日本や世界各国の観光地も美麗なグラフィックスで再現される
瀬戸内海の島々の様子。フォトリアルで非常に美しい

「DualSense」への最適化で没入感アップ。「PSVR2」にも対応予定

 PS5版「MSFS2024」は、PS5純正コントローラー「DualSense」への最適化も見どころの一つ。アダプティブトリガー(L2/R2)で抵抗を生み出すことでラダーの緻密な操作が可能になったほか、ハプティックフィードバックでより豊かな振動を感じ取ることができ、内蔵スピーカーからはATCの音声が流れる。PS5が誇るゲームへの没入感を「MSFS2024」でもしっかりと感じ取ることができた。

 なお、PS5版はより幅広いボタン設定を持つキーボード&マウス操作のほか、プレイステーション公式ライセンスを取得したThrustmasterのフライトスティック「T.Flight Hotas 4」のプラグアンドプレイにも対応している。好みの操作方法で空の旅を楽しんでほしい。

PS5版にあわせて「DualSense」に最適化
アダプティブトリガーでラダー(方向舵)のより緻密な操舵が可能になった
またATC(航空交通管制)の音声がDualSense内蔵スピーカーから流れるなど、没入感のあるフライト体験を楽しめる

 さらに、発売時点では実装されないが、2026年に「PlayStation VR2」へ対応するアップデートを配信予定。これまでの「MSFS2024」のVRモードは、PC版に限定されているだけでなく、要求スペックがかなり高かったため、ハイエンドゲーミングPCでない限り快適に動かすことは難しかった。

 これをPS5とPSVR2で実現できれば、VRモードのハードルはこれまでよりもグッと低くなる。純正の周辺機器として、VRヘッドセットをラインナップしているPS5ならではの機能といえるだろう。

2026年のアップデートで「PSVR2」に対応予定。「MSFS2024」のVRモードのハードルがグッと低くなる

PSゲーマー待望の「MSFS」。アーリーアクセスは12月3日8時から開始

 ここまでPS5版「Microsoft Flight Simulator 2024」のレビューをお届けしてきた。ライバルプラットフォームだからといって一切手を抜くことはなく、PS5やDualSenseにきちんと最適化しているほか、PSVR2への対応まで予定している。遂にPSゲーマーも「MSFS」をプレイできる日がやってきたのだ。

 PS5版「MSFS2024」のデラックスエディション、プレミアムデラックスエディション、アビエイターエディションを予約した方は、日本時間12月3日午前8時よりアーリーアクセスに参加できる。PS5、Xbox Series X|S、PC、各々のプラットフォームでぜひ「MSFS2024」の空の旅を楽しんでほしい。