レビュー
「ATARI 2600+ パックマンエディション」レビュー
初めて家庭用ゲーム機に移植された2600版に加え、7800版パックマンも収録
2025年11月27日 12:00
- 【ATARI 2600+ パックマンエディション】
- 11月28日発売
- 価格:25,300円
PLAIONが発売したゲーム機「ATARI 2600+ パックマンエディション」は、「パックマン」ファン、レトロゲームファンにたまらないアイテムだ。
「ATARI 2600+」は1977年に米国で発売されたゲーム機「ATARI 2600」の名を受け継ぐレトロゲーム機である。「ATARI 2600」は発売時には「Atari VCS(Video Computer System)」という通称で呼ばれ、その後「ATARI 2600」と名前を変えた。
ロムカートリッジを交換することで様々なゲームが遊べるというゲーム機が生まれ始めた時代に登場、多彩なゲームが販売された。「ATARI 2600」は1980年代初頭に大ヒットとなるが、この人気に業界が過剰に反応したためか、過度なソフトの粗製濫造になってしまい、結果、ユーザーが急速に離れゲームが全く売れなくなるいわゆる「アタリショック」が起こり、北米ゲーム業界は一時的に衰退してしまった。そういったエピソードも含め、「ATARI 2600」は時代を象徴するマシンなのだ。
「ATARI 2600+」は「ATARI 2600」に加え、後継機の「ATARI 7800」用のゲームが遊べるレトロゲーム機。スロットに当時のゲームカートリッジを挿せばそのまま遊べる上、復刻カートリッジも販売されている。
今回発売された「ATARI 2600+ パックマンエディション」はそのパックマンバージョンだ。パックマンを思わせる黄色のカラーリングや本体に描かれたイラスト、そして家庭用ゲーム機に初めて移植された「ATARI 2600」向けのパックマン「PAC-MAN 2600」に加え、「ATARI 7800」での「PAC-MAN 7800」がプレイできる。本稿では「ATARI 2600+ パックマンエディション」の魅力を紹介したい。
HDMI出力で1982年の「パックマン」が遊べる!
「ATARI 2600+ パックマンエディション」はレトロゲーム機を再現した姿をしているが、現代のTVにスムーズに接続できるHDMI出力で、電源はUSB Type-Cで特別な電源ユニットも必要ない。同梱のコントローラはワイヤレスとなっており、現代の環境で遊びやすくなっている。簡単なセットアップで当時のゲームが手軽に遊べるのだ。ちなみにマニュアルは英語版で、使用するための簡易日本語マニュアルも付属する。
まず本体を見ていこう。鮮やかな黄色のカラーリング、前面パネルにはパックマンとモンスターが描かれている。そして右側にはアタリのマークだ。スイッチは左から電源と、テレビタイプの選択、中央にカートリッジスロット、右側にゲームセレクトと、リセットスイッチがある。
背面はコントローラの差し込み口と、「難易度選択スイッチ」がある。ゲームの難易度を切り替える機能がソフトではなく、ハードウエアのスイッチとして用意されているのだ。このスイッチにより、ゲームモードが切り替えられる。スイッチは1P側、2P側に用意されている。さらに左側に画面比率を16:9か4:3に変えられるスイッチ。右側がUSB Type-Cの電源ポートが設定されている。中央はHDMI出力だ。
同梱されているコントローラはボタンは1つのみ、レバーを操縦桿のように握って操作する「ATARI 2600」そのままのコントローラだ。クッキーとパワーエサ、レバーの先にパックマンが描かれている。コントローラはワイヤレスで、本体に受信機を接続して使う。
当時の雰囲気そのままのカートリッジも魅力。裏面にはディップスイッチがあり、こちらを切り替えることで「PAC-MAN 2600」と「PAC-MAN 7800」を切り替えることができる。「メガドライブミニ」などのようにゲーム機の中にソフトが収録されているのではなく、ゲームをプレイするには本体にカートリッジを差す必要があり、しかもソフト上ではなく、ディップスイッチでプレイするゲームを切り替える、というのは製作者の強いこだわりを感じさせる。
「ATARI 2600+ パックマンエディション」は海外で発売されている「ATARI 2600+」同様、カートリッジを変えれば、「ATARI 2600」、「ATARI 7800」のゲームが遊べる。ATARIのサイトでも様々なゲームカートリッジを復刻販売しているので、この機会に「ATARI」の世界に飛び込むのも面白いだろう。
モンスターとのエキサイティングな追いかけっこが楽しめる「PAC-MAN 7800」
ゲームを起動し、プレイしていこう。「PAC-MAN 7800」はアーケード版そのままのスタンダードなパックマンだ。モンスターをよけながら迷路上のクッキー(英語版ではDot)を食べ、パワーエサ(Power Pallet)を食べると一定時間モンスターが弱体化、このときパックマンがモンスターを食べることで高得点を獲得できる。面ごとに様々なフルーツが出現、これを食べると高得点だ。クッキーをすべて食べればステージクリア、次のステージに挑戦できる。
「PAC-MAN 7800」ではスタート時にプレーヤー数、プレーヤーの残機数、ランダムメイズのON/OFF、スタート時のフルーツ、ゲームスピードを選択することができる。また、スタートしなければデモを見ることができる。起動時に本体のスイッチで16:9か4:3の画面も選択できる。
実際にプレイするとジョイスティックの感触が独特で、筆者がこのタイプのコントローラになれていないこともあって操作しにくく感じた。「ATARI 2600+」のコントローラ「CX40+」が当時の「ATARI 2600」のコントローラの操作感を再現しているとのことで、この独特の操作感に慣れていくのも本商品の楽しみ方だろう。
また改めて「パックマン」をプレイするとモンスター達の性格の違いや、時にはこちらを猛然と追いかけてきたり、いきなり明後日の方向に行ってしまうなどモンスターと駆け引きができるプログラムの面白さがしっかり感じられた。「パックマン」の奥深さを再認識できたのも楽しかった。
初めての家庭用ゲーム機移植、「PAC-MAN 2600」の衝撃
「ATARI 2600+ パックマンエディション」の最大の魅力といえば「PAC-MAN 2600」が遊べることだろう。「ATARI 2600」版の「パックマン」は"初めての家庭用ゲーム機移植"として1982年8月に登場したという。初期の家庭用ゲーム機はアーケードゲームをそのまま再現できず、何らかのアレンジが加えられていたが、「ATARI 2600」版の「パックマン」はオリジナルが持つ魅力を「ATARI 2600」でどう再現するか、非常に苦労したのがゲームをプレイするととてもよくわかる。
オリジナルでは口が上下左右に動くパックマンが、「PAC-MAN 2600」では左右にしか向きを変えない。迷路もかなり構造が違う。クッキーも細長い。何よりモンスターが複数になると点滅しまるで分身しているかのようにチラチラと表示されるのだ。クッキーを食べる音も金属的な音、弱体化したモンスターもわかりにくい。フルーツではなく「VITAMINS」という大きめのドットがボーナスというのも、味わい深い。
「ATARI 2600+ パックマンエディション」には簡易日本語マニュアルが付属するが、英語版のマニュアルでは、本作を制作した背景エピソードも語られている。マシンの描画性能でオリジナルと画面の雰囲気が変わっているため、作品世界そのものを「Mazelande」と別世界にし、クッキーがドットではなく細長いため「VIDEO WAFERS」としている。加えて当時のマニュアルも紹介しており、当時のゲーム製作の背景も味わうことができる。
モンスターはちらつき、パックマンは思うように動かない、音も単調、しかしそれがいいのだ。筆者はレトロゲームといえば友人の家で遊んだ「カセットビジョン」の記憶がある。またPC-6001mk2やX1といった当時のPCでオリジナルゲームの味を再現しようと頑張った作品をプレイし、ワクワクした記憶がある。子供の頃、「PAC-MAN 2600」が家にあったら、夢中になってプレイしただろうな、と感慨にふけってしまった。
1980年代当時の「ゲームへの強烈な憧れ」がよみがえる!
「ATARI 2600+ パックマンエディション」はレトロな雰囲気を満喫できるゲーム機だ。「ATARI 2600」は日本でなじみの薄いハードかもしれないが、1980年代のゲームという新しい文化に触れた当時の衝撃、ゲームという新しい世界への希望などを思い出した。
「PAC-MAN 7800」でのオリジナルの「パックマン」が持つ革新性、そしてその面白さをなんとか限られた性能のハードで表現しようとした「PAC-MAN 2600」の表現の工夫、どちらもとても味わい深い。ハードやコントローラから伝わるパックマンへの強い思いもうれしい。
シンプルな初期ゲーム機そのままの外見。これから進化していくコントローラの姿、「ゲーム機の歴史」を感じさせるハードそのものの魅力も大きい。ぜひ手に取って欲しい。
(C)2025 Atari Interactive, Inc. Atari wordmark and logo are trademarks owned by Atari Interactive, Inc.





















































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