レビュー

イマーシブ・フォート東京「ザ・シャーロック ~ジェームズ・モリアーティの逆襲」ネタバレなしレビュー

リニューアルで濃密さ激増。200人弱の観客が行き交うベーカー街で見た連続殺人の真実

【ザ・シャーロック ~ジェームズ・モリアーティの逆襲】
開催期間:2025年3月1日より
チケット価格:7,800円

 3月から、東京・お台場にあるテーマパーク「イマーシブ・フォート東京」に新規アトラクション「ザ・シャーロック ~ジェームズ・モリアーティの逆襲」が登場した。

 アトラクション名で気づいた方もいると思うが、本作は過去に大人気だったシャーロック・ホームズの世界をテーマとしたシマーシブシアター「ザ・シャーロック」をリニューアルした作品となる。本作では、ストーリーが大幅に追加され1幕制から2幕制となった。

 その上で、ホームズの宿敵がジェームズ・モリアーティ教授との対決を匂わせる示すタイトルとなり、イマーシブシアターファンはもちろんのこと、シャーロック・ホームズファンにも期待大のアトラクションだ。

 今回は、その体験取材として「ザ・シャーロック ~ジェームズ・モリアーティの逆襲」をレポートする。ただし、ミステリーという題材の都合上、ネタバレになるようなことは書けないし書きたくない。

 なので登場人物の名前が書いてないところがあっても、色々と察してほしい。とはいえ、あまり察してしまうとそれはそれでネタバレになりそうなので、適度にミスリードを混ぜることもご容赦いただきたい。

写真のコラージュがホームズのシルエットで切り取られているポスターがメッチャかっこいい

「ザ・シャーロック ~ジェームズ・モリアーティの逆襲」の体験準備をしよう!

 アトラクションの内容に入る前に、まずは「ザ・シャーロック ~ジェームズ・モリアーティの逆襲」の体験準備だ。以前、別記事で紹介したように、「イマーシブ・フォート東京」は全アトラクションがチケット制になり、体験するアトラクションのエリアに入らない限りは、特に何も起きない。そのため施設内に入っても、どこか外の世界の延長感はある。

 だが、ここで気を抜かずに周りをよく見てほしい。施設内には本作を含めて、各アトラクションの名場面を使ったパネルなどが用意されている。そのためどのようなシーンが展開されるのか、予想しながら歩くのが楽しい。

施設内に多数の名シーンパネルがある。裁判所のシーンはどこで出てくるのだろうか
行き先表示にはシャーロックとある

 また、本格的な準備としては、以下の5つがオススメだ。

1.渡されるバンダナで口元を隠す

 まずは絶対にしなければいけないこととして、配られたバンダナで口元を隠すこと。これは、出演者と観客を見わけるためだ。本作では、約3,000平方メートルのエリア内に約40名のキャラクターたちが登場する上、参加者は1回の上演につき最大180人もいる。そうなると、本格的にホームズの世界観に没入できるようなファッションの観客がいたら見分けがつかない。

口元を隠すバンダナ。終わったら貰えるので記念になるね!

2.私語は慎む

 また、基本上演中は私語を慎むべきだと思う。映画館でもそうだが、シーンに集中したいのに観客の話し声が聞こえたら台無しである。なので、体験する際は皆さんにも注意してほしい。

3.QRコードを読み込んで事前情報をチェックしておく

 そして、もうひとつが「QRコード」の読み込みだ。「ザ・シャーロック ~ジェームズ・モリアーティの逆襲」の対象エリアは広範囲だし、メインキャラクター以外にも様々なストーリーが並行して展開される。

 なので事前情報なしで参加した場合、最悪メインストーリーにからむイベントをほとんど見ることができずに終わる可能性も、ゼロではない。そこで事前に「QRコード」を読み込み、どこで何が起きるのかなどの情報を仕入れておくことをオススメする。

 なお、今回は体験取材ということで、スタッフさんにガイドしていただいた(感謝)。

4.トイレは行っておいた方がいいかも(荷物も預けたい)

 あとは、してもしなくてもいいのだが、ひとつはトイレに行っておくこと。体験時間は約120分にもおよび、二幕制なので途中で休憩があるが、それでも1幕の約1時間は長い。途中トイレに行って、イベントを見逃すのはもったいない。合わせて、もし荷物が多ければ、預けた方がいい。結構移動するし、人の多いところを移動するので、必要ない手荷物や上着などはコインロッカーに入れてしまおう。

5.歩きやすい靴で来るべし

 最後は「靴」である。本気で歩くだけでなく、階段の上り下りも多いので、歩きやすい靴でくることをオススメするぞ。

 すべての準備が整ったら、映画館さながらにリニューアルされた噴水付近で上映を待とう!

まるでヨーロッパの大劇場のようなエントランスに感動!

第一幕:ホームズと依頼人が交差するとき、物語は始まる!

 では、いよいよアトラクションの中に入っていきたい。入場すると待っているのは19世紀のイギリス。場所はもちろんベーカー街だ。そこにたたずむのは二人の男……シャーロック・ホームズと助手のワトソン(ワトスンともいう)だ。

 今回は撮影のため、上から見下ろす形になっているが、通常はホームズたちと同じ視線で見ることになるので、ホームズとワトソンのトークを間近で聴けるはず。

エリアに現われたホームズとワトソン。何気ない日常が壊れていく前触れのような演出がニクイ

 そしてホームズたちに着いていくと、ベーカー街221B……つまり、ホームズの事務所に到着する。ホームズの事務所は「まさに!」といった感じで、黒板にかかれた数式や積み上げられた蔵書など、イメージを損なわない演出がされている。

 余談だが、ロンドンのシャーロック・ホームズ博物館には事件解決のカギになったアイテムなどが飾られていたりしたので、もしかするとそういうアイテムが埋もれているかも……などと観察していると、ついに依頼人が登場した。

 依頼内容としては、行方不明になっている婚約者探しである。ホームズはその依頼を断ろうとするが、ワトソンに説得されて引き受けることに。これがどういうストーリーに展開していくのか、超ワクワクだ!

事務所に戻ると一心不乱に作業するホームズ。婚約者捜しの依頼になど目にも入らない
ホームズの代りに依頼人の話を聞くワトソン。彼がいるからこそ、ホームズはホームズでいられることがわかる

 ここからはいろいろな登場人物がいるので、参加者の興味を持つ人に付いていくなどでルートが分岐する。もちろん、最初からこの依頼シーンに遭遇しないルートもあるのだが、大半の人はここからホームズについていくか、依頼人についていくかなどになるだろう。なお「付いていく」といっても、到着前に話が進行しているケースもあるので、事前に先回りしておくことも大切だったりする。

 次に筆者が向かったのは、ベーカー街で発生している連続殺人の事件現場。この現場が凄い。マジで凄い。ホームズの洞察力で行う真剣な検視は、ホームズファンなら絶対見逃せないシーンと言えよう。ただし、猟奇殺人と言える事件現場なので、血が苦手だったりする方は、このルートは厳禁だ。

 続いて向かったのは酒場。そこには連続殺人の犯人として目撃された「黒いケープ」の男の姿があった。そして……と、第一幕の紹介はここまで。このケープの男は何者なのか。ぜひアトラクションを体験いただきたい。

まるで映画のワンシーンを見ているような、リアルな検視描写
スコットランド・ヤードのレストレード警部もいる。彼について回れば「警察視点」でストーリーを追えるだろう
訪れた酒場では給仕などのキャラクターがバックグランドのストーリーを展開
酒場には意味深にも見える客もいる
ついに登場する「黒いケープ」の男。彼は本当に犯人なのか?

第二幕:ついに真実が明かされる

 ネタバレ全開のような見出しをつけてみたが、あくまでも第二幕がそういう内容というだけで、1ミリたりともネタバレしないので、ご安心を!

 第二幕のオープニングは、とある教会の葬式シーンから始まった。事件は解決し、日常を取り戻したかのようなベーカー街だが。まだ事件の真相は闇の中であり、ホームズは事件を追っている。そこへ、ホームズにある男から連絡が入り、貴重な情報がもたらされる。そこで、渡された写真の中でホームズが見たものとは……! 残念ながら、紹介はここまでだ。

 この後も怒濤の展開で「えっ?」「そんな?」なんて思うシーンが連続するのだが、どれもこれもネタバレに繋がりかねないので、お口にチャックである。

 特に第二幕は新規パートなので、そもそも公開できないことが多い。だが、ひとつ言えることは、第二幕も第一幕に負けず劣らずストーリーが散りばめられており、登場人物たちの背景がより詳細に描かれているのが特徴だ。なので、ベースとなっている前作を体験している方でも、絶対に楽しめると思う。あとは、本稿に可能な限りの写真を掲載しているので、それで何かを感じて貰えれば嬉しいです!

教会ではある人物の葬儀が行われている
完全に事件が解決したと思っていないホームズは、さらに調査を続けている
スコットランド・ヤードの警官も操作に余念がない。こういう人たちを追いかけるのも楽しみのひとつだ
クセのありそうな人物たちが登場する
ホームズのところに重大な情報がもたらされる
調査を進めるホームズとワトソンに待ち受ける真実は?

 今回体験したアトラクションは、とにかく自由度の高さがスゴイと感じた。見逃しているイベントがある……どころか、個人的な感覚では、1回の体験では全体の2割も見てはいないんじゃないだろうか。

 だがそれが、本当にリアルな世界のようで素晴らしく感じる。ホームズたち主人公の物語があり、犯人や被害者などゲストたちの物語があり、そして街に生きる人々や、平和を守る警官たちなど、その世界を支えている人たちの物語がある。

 だから、次に参加する機会があったら、QRコードの情報にも頼らず、自分が思うままに行動して、この世界にいたら自分がどうなるのかを試したい。

 実は、基本的にバンダナをしている観客は「そこには存在しない」という設定ではあるのだが、キャストに話を聞かれたり、場合によっては事件に関与したりすることもある……。だから、できるだけ世界観にあった服装をし、この街の住人になりきって楽しんでみたい。そういえば、メモ帳とペンを持って独自に調査している観客もいた。そういう楽しみも面白そうだ。

 ただひとつだけ注意したいのは、絶対に焦って行動しないこと。観客が多いので、場合によっては行く手を阻まれてしまい、目的のエリアに行けないで焦ることもあるだろう。

 だが、移動は階段もよく使うし、照明が暗いので通路の凹凸に気づかないかもしれない。無理に急いで移動しようとすれば怪我をするかもしれないし、最悪ほかの人を巻き込む事故になることだってあり得る。ぞんぶんに楽しみたい気持ちはみんな一緒なので、ある程度割り切って楽しんでほしい。

 そのうえで、このより濃密な体験を味わっていただければ幸いだ。