レビュー

「ガンダムブレイカー4」レビュー

最強の“俺ガンプラ”を求めてパーツ周回するハクスラの深み!

【ガンダムブレイカー4】

8月29日 発売予定

価格:8,470円~

CEROレーティング:B(12才以上対象)

プレイ人数:オフライン1名(オンライン1~3名)

 「自分だけの“俺ガンプラ”を作り上げて、思い通りに戦える」それが「ガンダムブレイカー」シリーズの大きな魅力だ。シリーズファンはもちろんのことながら、未経験者でも「豊富なパーツを組み合わせて自分だけのロボットを作れる」と聞けば興味を持つロボゲー好きな人は多いのではないだろうか。「ガンダムブレイカー」はまさにロボゲーファンのためのロボゲーだといえる。

 今回紹介する「ガンダムブレイカー4」は、バンダイナムコエンターテインメントより8月29日に発売予定のプレイステーション 5/プレイステーション 4/Nintendo Switch/Steam対応の創壊共闘アクションゲームだ。

 本作は、“ガンプラ”を題材としたアクションゲームだ。「ガンダムブレイカー」シリーズは、ホビーショップや模型店、あるいは家電量販店で実際に販売されているガンプラが登場し、それらのパーツを自由に組み上げて自分だけのガンプラを生み出すことができるのが醍醐味。2018年にプレイステーション 4で発売された前作「Newガンダムブレイカー」から、およそ6年という期間を経て、ふたたびファンの前に姿を見せることになった。

 今回は、筆者を含む多くのガンダムファンたちが待ち侘びたであろう本作について、ストーリーのネタバレは避けつつ、実際にゲーム本編をプレイした上での所感などをお届けしていく。

【『ガンダムブレイカー4』長編トレーラー【NSW/PS5/PS4/STEAM】】

参戦機体数250機以上! 個性が反映されやすいガンプラ構築の魅力

 シリーズを重ねるごとに参戦機体が増えていく「ガンダムブレイカー」。今作「ガンダムブレイカー4」では、250機以上のガンプラが参戦し、アップデートおよびダウンロードコンテンツによってさらに増えていく。

 ミッションを進めるたびに新たな機体と出会えるので、ガンプラを能動的にカスタマイズする頻度が過去作以上になった。しかもストーリーを進めると、見た目の装飾や攻撃手段の追加に便利なオプションパーツのラインナップまで増える。所有するパーツ数が増えるほど、プレイヤーがアセンブルに篭もる時間も比例して長くなるワケだが、それこそが「ガンダムブレイカー」らしい時間泥棒のような魅力と言える。

ゲームを進めると平均的な「HG」サイズよりも大きい「MG」サイズがショップに並ぶ

 アセンブルの詳細については後述しているが、組み合わせ方の自由度は高い。プレイヤーによって、カスタマイズに個性が出るという点も面白い。たとえば「機動戦士ガンダム」の中でもジオン公国が好きなら、ザクIIやグフ、ドムといったジオンの代表的なモビルスーツのパーツから機体を組み立てる傾向の人がいる。逆に地球連邦軍が好きならば、ガンダムを素体にジムやガンキャノンのパーツを組み込みがちな人がいるというものだ。

 作品と作中の勢力にこだわらない人だとしたら、もっと自由に自分のイマジネーションを形にできる。宇宙世紀作品とそのほかのアナザーガンダム作品の機体をごちゃ混ぜにし、自分の理想とする“俺ガンプラ”を構築できる。

 そもそも今作はそういった作品に縛られない組み合わせを楽しめるゲームなのだが、ガンダムシリーズファンとしては、ついつい作品と勢力、もしくは機体同士の関係性を気にしてアセンブルを組んでしまうからもどかしい。あまりに拗らせていると、機体の色や武装を変えただけで満足してしまうプレイヤーもいるほどだ。しかし、それも楽しみ方の1つなので、今作においては肯定されるべき遊び方だろう。なにしろ、ガンプラづくりは自由なのだから。

筆者の“俺ガンプラ”。過去作でのアセンブルと比べたら、今作はまだ自由に組んだ方だ。それでも使用するパーツは宇宙世紀に縛られている

過去作をプレイしていなくても安心! 繋がりを深く感じさせない世界の在り方

 「ガンダムブレイカー」シリーズでは、1作目から4作目の「Newガンダムブレイカー」に至るまで、物語を毎作異なる世界観で展開していった。つまり前作の登場人物は基本的に登場しないのが通例だったが、今作は「ガンダムブレイカー3」から6年後の時間軸とされており、過去作のキャラクターも登場する。とはいえ、今作から登場したキャラクターたちを中心にシナリオが進むため、別段「過去作をプレイしていないから楽しめない......」といったことはない。

 プレイヤーは「GUNPLA Battle Blaze:Beyond Borders(GBBBB:ジービーフォー)」と呼ばれる、オンラインゲームのようなガンプラバトルシミュレーターのβテストに参加したばかりの駆け出しプレイヤーとしてガンプラバトルに身を投じることとなる。

 ストーリーでは、そこで出会った少年・タオ、プレイヤーと同じく初心者の少女・リンと意気投合する。3人はクランを結成し、未熟な腕前ながらも、さまざまなミッションを通じて成長し、腕を高めあっていくことになる。

 本作と直接的に世界観が繋がっている過去作「ガンダムブレイカー3」では、ストーリーがアドベンチャーパートによって語られていた。キャラクターにはそれぞれ立ち絵があり、印象的な場面ではカットシーンを差し込みながら会話劇によって“現実世界から”ガンプラバトルにのめり込んでいく様子を描いている。

 「ガンダムブレイカー4」はその見せ方を変え、あくまで「GBBBB」内における、プレイヤーアバター同士の交流で物語が進む。素性を知らない者同士がオンラインゲームの中で自キャラクター越しに交流し、ゲームの魅力に傾倒していくといった様子が描かれる。

 現実世界を軸に“商店街復興”の目的を掲げながらガンプラバトルを行なう「ガンダムブレイカー3」と、バーチャル空間でプレイヤー同士が“腕を磨き合う日常”を見せる「ガンダムブレイカー4」。それらの世界観が地続きに繋がっていると言っても、前述した通り今作では現実世界から離れた視点で物語が進んでいく。前作を復習していないと「3と本当に繋がりがあるんだろうか?」と、疑問に感じてしまいそうだが、オープニングで仄めかされる上、序盤から過去作のキャラクターも登場するので、プレイヤーがそこで思い出しさえすれば、繋がりは実感でき、過去作プレイヤーも楽しめる。

 今作におけるアバター越しのドラマは、物語の見せ方だけでいえば使い古された手法かもしれないが、ストーリーを追う楽しさがわかりやすい。また、群像劇ではなく主人公(プレイヤー)視点で物語が進むため、世界観に没入するのも容易な印象を受けた。過去作のプレイヤーからは続編として映り、今作からのプレイヤーはスタンドアロン的に「ガンダムブレイカー」を楽しむことができる。どちらの層もゲームに入り込めるようになっている。

慣れるまで繰り返しのプレイは必須。それでもやれることが増えたアクションバトル

 「ガンダムブレイカー」シリーズは、数あるガンダムゲームの中でもカジュアル志向なアクションゲームだ。それでも装備したパーツが武器、スキルとして攻撃手段に登録されるため、カジュアルながら多彩な武装を使い分けられる。これには当然、操作の慣れが付きまとうのだが、慣れさえすれば既存のロボゲー作品にはない爽快コンボアクションが楽しめる。そして今作からは、さらに細かな武器アクションを実現しているため、操作に慣れていく練達の醍醐味が増した。

 醍醐味が増した主な理由は、右腕・左腕で武器の使い分けが可能になったからだと考えられる。両腕に備えた射撃武器の発射タイミングはもちろんのこと、ビームサーベルとヒートホークといった近接武器をそれぞれ右腕・左腕に持ち、どちらかを攻撃の起点とした多彩なコンボも実現可能になった。ただし、こうした挙動は武器切り替え後、同一の攻撃ボタンで行うスタンダードな設計ではない。

 PS4/PS5版を基準に紹介すると、□ボタンで左腕近接攻撃、L2ボタンで左腕射撃、△ボタンで右腕近接攻撃、R2ボタンで右腕射撃......といった具合である。さらに、これまで×ボタンは「ジャンプ」「ブースト」2つの機能を併用していたはずだが、新たに「緊急降下」が加わり、“1ボタン3役”という詰め込み具合だ。敵への「ロックオン」も仕様が変わった。方向キー下入力で現在ロックしている対象を固定する。これに加えてボタンの同時押し操作のスキルまであるため、繰り返しのプレイは必要不可欠だ。プレイ時間が20時間を超えた今では、複数の武器での攻撃が面白いように繋がって気持ちが良い。

 ここまで複雑化したことが悪いことのようになってしまったが、こうした操作の複雑化は“アクションの多彩さ”とイコールでもある。たとえば、近接攻撃で敵を上空に打ち上げたら、左腕のマシンガンで浮かせを維持し、右腕のバズーカで追撃する。残弾が切れたらすかさずスキルでシメるか、急接近して近接攻撃に繋げてもいい。その際、敵の妨害を察知したら、緊急降下で追撃の中断も選択肢となる。このように戦闘の駆け引きを筆頭にアクションゲームとしての性質がアップデートされたのだと、前向きな視点で捉えることもできる。キーコンフィグも詳細に設定でき、各々で手に馴染む操作を確立できる点も推したいポイントだ。

 アクション性が強化された一方で、大型のボス敵や強敵は結構な手応えとなっている。特にボスは体力が複数のブロックとしてストックされており、体力の低下具合で攻撃手段を増やしてくる。一度破壊した部位は、次のフェーズに移行しないとダメージがほとんど通らなくなるのだ。強敵系のCPUに関してはそもそも一撃が重かったり、取り巻きとの連携によってプレイヤーを囲んだりもしてくる。プレイヤー側の手数が増えたためなのか、敵もなんだかパワーアップしているような感覚である。

 ミッション中は「ブレイクコンボ」と呼ばれるコンボの評価システムが備わり、各ミッションクリア時のランク評価を決定付ける基準のひとつとされている。ゲージが減り切る前に敵を連続で撃破すると、ブレイクコンボのレベルが上がる。また、ミッションの評価についてはクリア時間も考慮される。そのため、クリア時に最高評価を貰いたければ、ブレイクコンボを維持しながら、もう一つの基準であるクリア時間も意識しなくてはならないのだ。

 ミッションの難易度が高くなるほど、耐久値の減った敵は後退気味に戦うほか、こちらの攻撃を的確に防ぐこともある。被弾するときりもみ状態にされ、コンボが途切れてしまいかねない強めの攻撃もだいぶ積極的に仕掛けてきた。過去作では手広く通用した“近接攻撃のゴリ押し”だけでは、もはやブレイクコンボを維持するのが難しい。

 敵を撃破しなければコンボが続かないため、強い敵だけでなく適度に周辺の雑魚を狙うのも手だろう。ちなみに、1ミッションにつき概ね3つのステージ構成となっており、クリアランクは各ステージの合計スコアから算出される。なので、1つのステージにおけるコンボの評価が最高ランク未達でも、他のステージで獲得した評価さえ高ければ、ミッションクリア時に最高評価をもらえる場合があった。

敵との距離が遠くて撃破が間に合わなければ射撃で「ブレイクコンボ」を維持
ミッションランクは「S」が最高評価

 こうした評価システムと、強敵らしい行動パターンの傾向が、過去作より進化したアクションゲームとしての完成度を高めている。そこに操作性の複雑さが絡んでくるというのはだいぶチャレンジングな話で、今作から始めたプレイヤーがどう受け取るのかは興味深いところだ。とはいえ「ガンダムブレイカー」シリーズは、「ハック&スラッシュ」であるがゆえに、周回プレイを前提としたゲームサイクルになっている。ストーリーというメインコンテンツの1つを終わらせる頃には、プレイヤーも今作のアクションと操作系統に馴れているはずだ。

ミッションを数こなせば機体は思い通りに動かせるようになった

パーツを求めて繰り返しプレイするハクスラの醍醐味。欲しいパーツは合成でも入手可能

 思い通りのガンプラを組むため、幾度もミッションにチャレンジして、パーツを収集するハック&スラッシュな遊びはシリーズの醍醐味。ザクIIの頭が欲しければ、ザクIIが登場するミッションを周回し、ザクIIからのドロップを狙っていく。攻略優先でカスタマイズした結果、見た目が犠牲になりどこか哀愁漂うガンプラで周回するのも成長過程のユーモラスとして成立している。

 一方で、実際にはほんの短期間であっても、攻略中でも見た目にこだわりたいプレイヤーが多い気がする。そうした二ーズは、機体のパーツを一式販売するロビー内ショップで満たすことができた。「ガンダムブレイカー」は、カスタマイズの自由度の高さゆえ、序盤から見た目重視な機体を組み上げたくなるものなのだ。無論、筆者もそうである。

 それに今作は一つのオンラインロビーに最大24人ものプレイヤーが入室可能だ。他のプレイヤー機体が敵CPUとして登場する「バウンティハンター」を含め、ゲーム中にどこかの誰かが組んだガンプラを目にする機会が度々訪れる。時には「そんな工夫の仕方があったか!」と、思わず膝を打つようなアセンブルも往々にして目の当たりにするだろう。こうして成長過程のプレイヤーは、ミッションを周回するモチベーションが刺激されていく。

今作からは異なる機体の腕を装着できるようになった
商品ラインナップはミッションをこなすと増えていく

 しかし、パーツ収集を目的としたプレイサイクルはその性質上、ゲームプレイにかなりの時間を割く場合が多い。今回の先行プレイでも目当てのパーツ目的でほんの1時間程度遊ぼうとゲームを起動したら、あっという間に2時間、3時間が溶けてしまった。この点についてはストーリーを進めていけば、お気に入りのパーツのレベルやレアリティを引き上げる「合成機能」が便利だ。ゲーム中、同じパーツでも設定された能力に違いが出るが、合成機能を使うと素材にしたパーツから欲しいスキルを引き継げる。おかげでパーツ厳選の時間を大きく短縮できるワケである。

 なお、この合成機能はそれなりに早い段階から登場する主要機能の一つで、性能と引き換えに見た目を犠牲にするのが嫌なプレイヤーには嬉しい要素と言える。ハクスラではあるが、気に入ったビルドで戦い続けられる優しい仕様となっている。

目当てのパーツを求めてひたすら周回してしまう中毒性
専用素材か不要なパーツを素材にして任意のパーツを強化する「合成機能」

他プレイヤーの“俺ガンプラ”を見るのもいい! マルチ要素

 今作では「ストーリー」以外に「クエスト」「バウンティハンター」「サバイバル」と、3つのゲームモードが登場。それぞれ最大3人でのマルチプレイに対応しているので、フレンドとプレイしたり、オンラインロビーで知り合ったプレイヤーと出撃したりと、皆でワイワイ楽しめそうだ。欲しいパーツを入手するため黙々と1人遊んでもいいだろう。既に触れた通り、今作からは強敵がより強敵らしくなったので、マルチプレイで共闘するありがたみは過去作以上に味わえる。

 中でも「バウンティハンター」は、登録されている他のプレイヤーと戦うだけではなく、ガンプラのパーツ構成をチェックできる。どんなガンプラを組めば良いのかイマイチイメージが湧かないプレイヤーは、ここに登録されている誰かのガンプラを参考にしてパーツ集めに奔走しても良さそうだ。

プレイヤーの機体が登録される「バウンティハンター」
バウンティハンターはショップで使えるGPが獲得可能。倒した相手のパーツがドロップすることもある
マルチプレイで高難易度ステージを遊ぶなら、ラジオチャットでコミュニケーションも行いたい
フレンドの「ストーリー」モードを手伝うこともできる

こだわりの俺ガンプラを作り出すアセンブルの魔力。凝ったジオラマも作れる

 「ガンダムブレイカー」最大の魅力は、パーツを組み替えて自分だけオリジナルガンプラを作るアセンブル要素。頭、胴体、右腕、左腕、両脚、バックパックなど、各項目ごとに任意のパーツを組み合わせられる。各部位のサイズ調整機能もあるので、バランスを考慮して特定のパーツサイズを変更するようなこともできた。SDガンダムもアセンブルの選択肢に入ったので、調整機能は活用しやすいはずである。

 さらに「ビルダーズパーツ」と呼ばれるオプションを駆使すれば、頭にツノを生やしたり、脚にミサイルポッドを装着したりも可能だ。その場合は、オプションスキルでミサイルを撃てるなど、機能的な側面もあったりする。かっこいいものから可愛いもの、思わず笑ってしまうようなアンバランスなものまで、プレイヤーの創意工夫が光るのはアセンブルが持つ魔力だろう。

「調整」機能でZガンダムの左腕を弄ってみた。位置、サイズ、腕の向きが変更できる
「ビルドパーツ」として「打刀(左)」を装備。するとオプションスキルとして刀が使えるように
アセンブルしたらいつでも呼び出せるよう「設計図」に登録しておきたい

 アセンブルにてガンプラを組んだら、今度はカラーリングにもこだわりたくなる。各パーツは部分的に色変えできるほか、統一感あるカラーリング設定をまとめて行なうのも簡単だ。ワンポイントが欲しければデカールも貼れる。さらに「ウェザリング」の設定を調整し、ダメージ加工、汚し、エッジの塗装剥がれといった、どこかリアリティある歴戦のモビルスーツ感を演出してみるのも面白い。

 ほかにも「ジオラマ」という撮影要素が登場していて、こちらも自由度が高い。好きなガンプラに好きなポーズを取らせ、爆破エフェクトの設定だったり、建物を中に浮かせて擬似的な破壊表現を演出したりと、思いつく限りのシチュエーションを表現できる。名シーンの再現に時間を費やすプレイヤーも多そうだ。

 本作はこういった新要素やシリーズの醍醐味をブラッシュアップすることで正統進化を遂げてきたと言える。過去作を遊んだプレイヤーから、シリーズ未プレイのロボット作品が好きなユーザー、ガンプラファンにもおすすめできるポイントが多い。6年ぶりの家庭用シリーズ最新作ということで、思う存分“俺ガンプラ”を作り出す深みにハマってもらいたい。