レビュー

「ロジクールG AURORAコレクション」フルレビュー

ミックス再生機能が嬉しい「G735ワイヤレスゲーミングヘッドセット」

 今回のAURORAコレクションは、冒頭でも書いたように、どれも一芸を備えていて、どれから手を出しても楽しいし、全部だともっと楽しいアイテム群だが、強いて1つオススメを挙げて欲しいと言われたら、僅差でG735ワイヤレスゲーミングヘッドセットを挙げたい。

 ロジクールGのワイヤレスヘッドセットは、同社自身が近年特に力を注いでいることもあり、PRO Xを筆頭に、G933、G733、G535、G435と、姉妹ブランドのASTROまで含めると選択肢がありすぎる最激戦区といってもいい。筆者も、最強格のPRO Xや、小型軽量のG435、あるいはソニーのゲーミングブランドINZONE H9に浮気したりなど、快適なゲーミングヘッドセットライフを送っているが、正直、ここに割って入るのは容易なことではないと思っていた。しかし、このG735は、ガッツリ入ってきて、このまま使い続けたいなと思わせるほどの吸引力を備えている。

【G735パッケージ】

 最大のポイントは、LIGHTSPEED & BluetoothのWワイヤレスのミックス再生に対応しているところだ。ロジクールGのワイヤレスヘッドセットは、当然ゲーミンググレードであるため、2.4GHzの高速通信を使ったLIGHTSPEEDへの対応が大前提だが、多くのモデルはコストを抑えるためにLIGHTSPEED対応のみで、Bluetoothに対応しているモデル自体が少ない。現行だとG435しかない。

【G735デザイン】
ヘッドバンドは、ここゴムバンドで緩衝するモデルが多かったが、シンプルなものに戻っている
左側面。上から電源ボタン、ボリュームダイヤル、マイクオンオフボタン
右側面。Bluetoothボタン、ABボタン
フロント側。ブームマイク接続端子、充電用USB端子、3.5mmジャック
マイクを装着したところ

 このG435は10,000円を切る価格設定で、LIGHTSPEED & Bluetoothの両対応、それでいて重量はわずか165gを実現した画期的なワイヤレスゲーミングヘッドセットだ。このG435の唯一のツッコミどころが、ミックス再生に非対応なところだ。しかし、先述したように両方の規格に対応していることすら珍しい状況でそこまでを求めるのは酷だと思い、レビューでは特に言及しなかったが、読者からはミックス再生を求める声はいくつか目にした。

【無線ミックス再生に対応】

 ミックス再生は、近年、急速に需要が高まり、対応するデバイスが増えている分野だ。1つのヘッドセットで、別々のソースの音を同時に鳴らす機能を指す。技術的には昔から存在しているが、なぜ需要が高まっているかというと、Nintendo Switchの存在と、ボイスチャットの利用者が格段に増えたことが挙げられる。

 わかりやすい例だと「スプラトゥーン3」がある。Nintendo Switchタイトルは、ゲーム内でボイスチャットの機能を備えておらず、ボイスチャットしながらゲームしようと思えば別のソリューションが必要になる。このためNintendo Switchでゲームをしながら、スマートフォンでLINEのようなSNSサービスを介してボイスチャットを行うわけだが、一方をヘッドセットにすると、もう一方はスピーカーから音がなるためで聞こえづらくなる。これを一緒にしたいと考えるゲームファンが増えているわけだ。

 ミックス再生は、G93xシリーズで有線(3.5mmジャック)&LIGHTSPEEDという形で対応しているが、どちらも無線というのはロジクールGでは初となる。このミックス再生は、使ってみると非常に便利で、例に挙げた「スプラトゥーン3」のボイスチャット以外のシーンでも役に立つ。たとえば、PCやPS5にLIGHTSPEED接続し、ヘッドセットでプレイしながら、スマートフォンが鳴ればそのままBluetoothで受けられる。こうするとゲームサウンドも、電話の音声も、全部G735で受けられる。まさにヘッドセットのみで完結するサウンドライフが送れるわけだ。

 G435では、いちいちLIGHTSPEEDを使うのか、Bluetoothを使うのか、手動で切り替える必要があり、さらにこの切り替えにも一手間があって、電話におけるキャッチ通話のようにサクサク切り替えながら使うという具合にはいかず、切り替えながら両方使うという使い方はほぼ不可能だった。G735なら切り替え不要で同時に音声を鳴らせるためストレスフリーで最高だ。

 現状で無線のミックス再生は、INZONE H9など、上位グレードのワイヤレスゲーミングヘッドセットのみが対応しており、あらゆる機能の中でピカイチで便利かつ有用なものといっても過言ではない。G735は、G933が実現した有線(3.5mmジャック)&Bluetoothのミックス再生に加えて、新たにLIGHTSPEEDとのミックス再生にも対応する。2通りのミックス再生に対応するゲーミングヘッドセットは珍しい。ぜひ試してみてその便利さを確かめて欲しい。

 もちろん、G735はミックス再生だけではない。そのほかの部分も解説しておこう。まずヘッドセットとしての純粋な性能は、中の上といったところ。ドライバは40mで、上位グレードのPRO-Gではなく無印。音質はPRO-G 50mのPROに一歩譲り、G733のPRO-G 40mとほぼ同等といった印象。同じ40m無印のG435は、ボリュームや低音に力不足を感じる部分もあったが、G735はボリュームもしっかり、低音もパワフルで、何より解像感が高い。ゲームを楽しむために必要十分な音質を備えている。

【G735ディテール】
ドライバは40mm
イヤーパッドは過去最高に柔らかい
アームは上質感のあるステンレス
ブームマイクはかなりぐにゃりと曲げられる

 デザインは完全新規で、G733、G435、G535が同系統だったのに対し、G735は、そのG73xシリーズとも、G93xシリーズとも、PROシリーズとも異なる、どちらかといえばオーディオ向けのヘッドセットに近い形状をしている。AURORAコレクションの一翼を担う存在として、ゲームからはみ出した領域も狙うような野心を感じさせるデザインだ。ちなみにイヤーカップの外側、ハウジングを包み込むように左右LEDが張り巡らされている。G705やG713/715と同様に光り方は柔らかく、上下でLEDが分かれており、別々のカラーを指定できる。プレイ中に自分では見えないが、配信時や、友人達とオフラインで楽しむ際にこだわりたい部分だ。

【LED】
両方のハウジングを包み込むようにLEDを配置
上下で色指定が可能

 イヤーパッドは、過去最高に柔らかく、ソフトな肌触り。これは奇しくも筆者が使っているINZONE H9のイヤーカップとそっくりで、ということは、ソニーのハイエンドヘッドセット「WH-1000XM5」と同等ということだ。この上質感、触り心地の良さはぜひショップで体験してみて欲しいところだ。頭部を支えるヘッドバンドは、それよりわずかに硬質な安定感のあるレザーで覆われており、ヘッドバンドとイヤーカップを繋ぐアームはステンレス。随所に上質感を感じさせるギアだ。

 ブームマイクは、大きく曲げられる着脱式で、跳ね上げでオンオフができたG733/G535や、マイクを内蔵したG435と比較すると原点回帰的となる。結局、この形がもっとも使いやすく確実性が高いということだろうか。さらに、上位モデルのみに採用されているBlue VO!CE フィルターを搭載しており、クリアで聞き取りやすいボイスでチャットが利用できるのも嬉しいところだ。

 そしてG735イヤーカップとブームマイクにはピンクとグリーンのカラバリを完備。付け替えることで一気にピンク仕様に変えたり、ホワイトと混在させることで自分だけのカラーを追求できる。付け替え用、予備用としても重宝しそうなアクセサリだ。

【G735アクセサリ】
アクセサリを並べて見た
ホワイト。標準で同梱されているため、現状では予備用となる
ピンク
イエロー
着脱はコネクタ式。ハウジング側の四方4つの突起と
イヤーカップ側4つの穴を
ガチャンと入れるだけ
さっそくピンクに付け替えてみた
今度はグリーンに
両セットがあれば混在させることも可能だ

1つでも全部でも楽しいゲーミングギア

 さて、たっぷり紹介してきたAURORAコレクションだが、実にヤバいことに、さらに別売のアクセサリが存在する。G705とG735を携帯するための「キャリングケース」、充電ケーブルをオシャレに運ぶための「ケーブルチャーム」、そしてG713/G715に標準装備の雲形の「パームレスト」(単体発売版)。冒頭でも書いたようにまさに「なんだこれは」としか言いようのない物量で10月27日より攻め寄せてくる。

【キャリングケース】
ハート型のキャリングケース
こちらは裏側
開けたところ
G705とG735を収めたところ
中央にケーブルやレシーバーを収納できる
使用イメージ
【ケーブルチャーム】
白い封筒に入ってるケーブルチャーム
この中央の雲が本体、ケーブルは付属品
ケーブルチャームは着脱可能で、別のケーブルにも使える

 AURORAコレクションは、いずれも秀でた一芸を備えながら、なおかつゲーミングギアを使う楽しさを存分に提供してくれるアイテムになっている。まずは、どれか1つ手を出してみて、そこからカラバリに行ってもいいし、2製品目に手を伸ばし、最終的に全部揃えるというのでもいいだろう。ぜひこのコレクションを通じて、日本のゲーム環境に新たな彩りと、ワクワク感が提供されることを期待したいところだ。

【あなたはどれ?】
ホワイト
ピンク
グリーン
混在