レビュー

「SEGA Genesis Mini 2」レビュー

「メガドライブミニ2」とはひと味違う、よりハードコアなラインナップが魅力の北米バージョンがAmazonにて追加販売中!

【SEGA Genesis Mini 2】

10月27日発売

価格:14,960円(税込)

Amazon販売商品

 10月27日にセガより発売された「メガドライブミニ2」の北米バージョン、「SEGA Genesis Mini 2」(以下、Genesis Mini 2)が同日に発売となった。国内でも数量限定で販売され最初の予約時は即完売してしまったが、その後何度かの再入荷を経て、現在Amazonにて追加の入荷分が販売されている。国内販売価格は14,960円(税込)だ。なおAmazon以外でのショップでは公式には販売されていない。

「SEGA Genesis Mini 2」。10月27日発売。価格は14,960円(税込)。Amazonでの専売となる。

 基本となる機能などは国内版と同じだが、外観は北米版Genesis(Model 2)に則っていて、60+1本の収録タイトルもその一部が異なっている。また付属するコントローラーのサイズが異なり、ACアダプターが同梱されるなど、周辺機器にも違いがある仕様だ。メガドライブミニ2とはひと味違うこのGenesis Mini 2の国内販売版のレビューを本稿にてお届けしていきたい。

メガドライブミニとは細かく違う外観と、結構違う付属の周辺機器群

 このGenesis Mini 2は、北米で1993年に発売されたSEGA Genesisのセカンドモデルを模している。パッケージはオリジナルのデザインに近づけていて、左側にある赤い帯に大きく「GENESIS」の文字が入っているのが特徴だ。写真を見ていただければわかる通り、日本版はCEROレーティングのマークや保証書などが印刷された専用のスリーブがパッケージに被せてあり、実際に北米で販売されたものよりも付加価値が一つ多いといえる。

パッケージは赤と黒を基調としたもの。オリジナルのGenesis(Model 2)のパッケージに近づけている
写真右はCEROレーティングのマークや日本語版保証書などが印刷された専用のスリーブ。ファンにとってはちょっと嬉しい仕様だ
パッケージ(左)とスリーブ(右)の背面。タイトルリストとパッケージが印刷されている。スリーブは全体がわずかに縮小表示されているようだ
スリーブを外したパッケージサイズはメガドライブミニ2と同じで、実寸で幅165mm、128mm、高さ85mm。内容物がぎっしりと詰められている

 本体はメガドライブミニ2とまったく同じ、幅120.8mm、奥行き116.5mm、高さ32.3mmで、実機を約55%に縮小したものだ。本体ロゴやパワースイッチ及びリセットボタンの色、カートリッジスロットの形状などが細かな違いがある。カートリッジスロットの開閉や、別売りの「メガドラタワーミニ」や「メガドラタワーミニ2」に接続するための拡張端子など、遊びのギミックがあるのもメガドライブミニ2と同様。ただし、Genesisはメガドライブとカートリッジの形状が異なるため、別売りの「メガドライブカートリッジ ミニ」を挿入することはできなくなっている。

内容物はこちら。説明書などの印刷物は付属しない
黒に白ロゴのシックな本体。パワースイッチのON/OFF表記もなく、向かって左に入れるとONになる
裏面はメーカーがSega of Americaとその住所になっていて、本体名もSEGA Genesis表記に。拡張端子カバーももちろん取り外せる
メガドライブミニ2(右)との比較。比べてみるとメガドライブミニ2は意外にカラフルだ
カートリッジの形状に合わせてスロットの形が違う。両者とも開閉ギミックがある
Genesisは主にカートリッジの形で国内外のリージョンを分けていたため、スロットの形状が違うのでメガドライブカートリッジ ミニは入らない
「メガドラタワーミニ」に付属する「ソニック&ナックルズ」は北米カートリッジの形状で挿入はできるが、内部の空間が浅く浮いた状態になってしまう

 仕様として大きく違うのは、コントローラーとACアダプターだ。国内の「ファイティングパッド6B」と同じ6ボタン仕様の「6 Button Arcade Pad」を再現した付属のコントローラーは、操作性はそのままに、前者よりも一回り大きく作ってあるのがポイント。もちろんメガドライブミニ2とシリーズ各種にも対応している。

コントローラー。機能は同じで、右上にメニュー用のMODEボタンもある
右がメガドライブミニ2に付属のコントローラー。一回りほどサイズが違い、STARTボタンの色も異なる

 そしてACアダプターは、メガドライブミニ2には付属しない純正のもので、Genesis Mini 2に必要な5V/2.0Aを出力できるUSBタイプだ。電気用品安全法のPSEマークも入っているので国内でも使用可能で、手のひらにおさまるコンパクトサイズも魅力だ。何より「セガ純正」という絶対的な安心感もあり、これだけ欲しいというユーザーもいるかもしれない。(※メガドライブミニ2もAmazon発売のものにはACアダプターがついていた)

付属のUSB ACアダプター。メガドライブミニ2にも使える便利な純正機器だ

収録タイトル数は60本+1となるが、21本がメガドライブミニ2とは異なるタイトルに

 本題となるGenesis Mini 2の収録タイトルは60本+1。内訳はSEGA Genesisカートリッジタイトルが41本。SEGA CDタイトルが12本、オリジナルタイトルが7本(+1 ※「Space Harrier II」に付随する「Space Harrier」)で、そのうち22本がメガドライブミニ2とは異なるタイトルとなっている。

「SEGA Genesis Mini 2」収録タイトル一覧
カテゴリーNoタイトル日本語設定時のタイトルメガドラミニ2未収録備考
SEGA Genesis1After Burner IIアフターバーナーII日本版プレイ可
2Alien Soldierエイリアンソルジャー日本版プレイ可
3Atomic Runnerチェルノブ日本版プレイ可
4Bonanza Bros.ボナンザ ブラザーズ日本版プレイ可
5ClayFighterクレイファイター英語版のみ
6Crusader of Centy新創世記ラグナセンティ日本版プレイ可
7Desert Strike: Return to the Gulfデザート・ストライク 湾岸作戦日本版プレイ可
8Earthworm Jim 2アースワームジム2英語版のみ
9Elemental Masterエレメンタルマスター日本版プレイ可
10Fatal Fury 2餓狼伝説2 新たなる闘い日本版プレイ可
11Gain Groundゲイングランド日本版プレイ可
12Golden Axe IIゴールデンアックスII日本版プレイ可
13Granadaグラナダ日本版プレイ可
14Hellfireヘルファイアー日本版プレイ可
15Herzog Zweiヘルツォークツヴァイ日本版プレイ可
16Lightening Force: Quest for the DarkstarサンダーフォースIV日本版プレイ可
17Midnight Resistanceミッドナイトレジスタンス日本版プレイ可
18Out Runアウトラン日本版プレイ可
19OutRunnersアウトランナーズ日本版プレイ可
20Phantasy Star IIファンタシースターII 還らざる時の終わりに日本版プレイ可
21Populousポピュラス日米共通
22RAINBOW ISLANDS -EXTRA-レインボーアイランドEXTRA日本版プレイ可
23Ranger Xエクスランザー日本版プレイ可
24Ristarリスター・ザ・シューティングスター日本版プレイ可
25Rolling Thunder 2ローリングサンダー2日本版プレイ可
26Shadow Dancer: The Secret of Shinobiシャドー・ダンサー ザ・シークレット・オブ・シノビ日本版プレイ可
27Shining Force IIシャイニング・フォースII 古えの封印日本版プレイ可
28Shining in the Darknessシャイニング&ザ・ダクネス日本版プレイ可
29Sonic 3D Blastソニック3D ブラスト英語版のみ
30SPLATTERHOUSE 2スプラッターハウス PART2日本版プレイ可
31Streets of Rage 3ベア・ナックルIII日本版の一部シーン(1面中盤)がカット
32Super Hang-Onスーパーハングオン日本版プレイ可
33SUPER STREET FIGHTER II THE NEW CHALLENGERSスーパーストリートファイターII ザ ニューチャレンジャーズ日本版プレイ可
34The Oozeジ ウーズ日本版プレイ可
35The Revenge of Shinobiザ・スーパー忍内容は日本版メガドライブミニ1 と同じ
36Thunder Force IVサンダーフォースIV日本版プレイ可
37ToeJam & Earl in Panic on Funkotronトージャム&アール イン パニックオンファンコトロン英語版のみ
38TruxtonTATSUJIN日本版プレイ可
39Vectorman 2ベクターマン2英語版のみ
40Viewpointビューポイント日米共通
41Virtua Racingバーチャレーシング日本版プレイ可
42Warsongラングリッサー日本版プレイ可
SEGA CD43Ecco the Dolphinエコー・ザ・ドルフィン(CD 版)内容は日本版「エコー・ザ・ドルフィンCD」と同じ
44Ecco: The Tides of Timeエコー・ザ・ドルフィン2(CD 版)
45Final Fight CDファイナルファイトCD日本版プレイ可
46Mansion of Hidden Souls夢見館の物語日本版プレイ可
47Night Strikerナイトストライカー日本版のみ
48Night Trapナイトトラップ日本版プレイ可
49Robo Aleste電忍アレスタ日本版プレイ可
50Sewer Sharkスーワーシャーク英語版のみ
51Shining Force CDシャイニング・フォースCD日本版プレイ可
52Silpheedシルフィード日本版プレイ可
53Sonic The Hedgehog CDソニック・ザ・ヘッジホッグCD日本版プレイ可
54The Ninja Warriorsニンジャウォーリアーズ日本版のみ
Original55Devi & Piiでびとぴー日本版のみ
56Fantasy Zoneファンタジーゾーン日米共通
57Space Harrier II/Space HarrierスペースハリアーII/スペースハリアー日米共通
58Spatter三輪サンちゃん日本版プレイ可
59Star Mobileスターモビール日本版プレイ可
60Super Locomotiveスーパーロコモーティブ日米共通
61VS Puyo Puyo SunふたりでぷよぷよSUN日本版プレイ可

 当時の北米市場をほうふつとさせるラインナップで、アクションゲームの数が多いのがポイント。逆にRPGやシミュレーションが少なく、原作のある版権キャラクタータイトルも収録されておらず、ある意味メガドライブらしい硬派なラインナップと言えるかもしれない。

メニュー画面の仕様はメガドライブミニ2と同じ。言語を日本語に切り替えれば背景やパッケージの表記も変わる
メガドライブミニ2に収録されないタイトルのパッケージの比較が面白い。この国内版「ジ ウーズ」の狂気なパッケージは実はリバーシブル仕様だったのだが、裏面はさすがに見られないようだ
シャットダウン時の画面には、こちらも在りし日のセガ羽田1号館&2号館のイラストが。電源を切るたびに目が潤むのは北米ユーザーも同じだ

 メガドライブミニ2と同じタイトルについては、弊誌のレビューを参考にしていただくとして、ここでは筆者が個人的に気に入っているGenesis Mini 2オンリータイトルについて少しだけ紹介したい。

「リスター・ザ・シューティングスター」(「Ristar」)

 流れ星から生まれた「リスター」が主人公の、メガドライブ後期の傑作アクションゲーム。リスターの主なアクションは「長く伸びる腕で何かを掴んで自分を引き寄せる」ことで、腕で掴んだ敵に対して頭突きをしたり、物体につかまって移動したりと、独自のアイデアが光るタイトルだ。移動するアクションはかなり凝っていて、広大なステージを探索する面白さもある。「ソニック」シリーズの影に隠れてしまっているが、後にセガの名作を手がけるスタッフによって作られたタイトルで、特にササキトモコ氏を中心として作られたサウンドは名曲揃いなので、サウンドテストはぜひ試してみてほしい。ちなみに「PASSWORD」の画面で「MAGURO」と入力すると、サウンドテストに「ONCHI」システムが発動。楽曲の音程がONCHIになるモードで楽しめるようになる。

リスターのドット絵の動きが実に滑らかで愛らしい。ただしゲームはかなり難しい

「シャドー・ダンサー ザ・シークレット・オブ・シノビ」(「Shadow Dancer: The Secret of Shinobi」)

 アーケード版「シャドー・ダンサー」をアレンジ移植したタイトルで、「忍」や「ザ・スーパー忍」の主人公ジョー・ムサシの息子「ハヤテ(疾風)」と、忍犬「ヤマト(大和)」が主人公となった忍者アクションだ。ヤマトを飛びかからせて敵の攻撃を一定時間封じる「忍犬攻撃」が攻略のポイントとなっていて、この攻撃が無効な敵にこれを行ったとき、一定時間ヤマトがチビ犬になるのも可愛かった。ライフ制ではないので難易度はそれなりに高いが、ボーナスステージなど残機が増える機会は多く、ステージがそれほど長くないため、ステートセーブなどがなかった当時は「ザ・スーパー忍」などと比べて短い時間で遊べるのが個人的に好きだった。

ハヤテが下へと落ちていくボーナスステージも斬新。パーフェクトを取るとなんと3upだ

「ToeJam & Earl in Panic on Funkotron」

 メガドライブオリジナルのローグライトアクション「ToeJam & Earl」の続編。ファンキーな世界観やBGMはそのままに、ゲームは横スクロールのジャンプアクションへと大幅に変わった。故郷の星「ファンコトロン」に現れた地球人を捕獲するというゲームで、前作ゲームシステムから内容がガラッと変わってしまったのは少々残念ではあるのだが、見た目や操作感覚など個性的なアクションであることは間違いなく、北米版の「SEGA Genesis Mini」に前作が入っていたということもあり、資料的な価値としての存在感を個人的に推したいところ。なお日本では発売されていないため、メッセージは英語のみとなっている。

前作と比較して画面はかなり派手になった。もったりしたクセ強めのアクションは評価が分かれるかも

「ジ ウーズ」(「The Ooze」)

 メガドライブ最後期の1995年9月に国内発売された、唯一無二のアクションゲーム。主人公のケインは意思を持った緑色のドロドロした液体という前代未聞の設定で、ゲームデザインもその姿に合わせて構築されていて、ステージを流れるように進んでいく様子は必見だ。体の液体がライフ的な意味合いを持ち、敵に吸われたり、排水溝から流れ出たり、炎にあぶられたりするとどんどん小さくなっていき、全てが失われるとミスになるというルールも個性的。有害廃棄物処理場や産廃場がステージだったり、遠距離攻撃をするときに「カーッ!ペッ」と言ったり、凶暴化した実験動物が襲ってきたり、トイレの便器をゴボゴボ音を立てて移動したりと、全編徹底してばっちいのが魅力の一つでもある。国内版の狂気じみたマニュアルが公式サイトでめでたく公開されたのでぜひ見ていただきたいもの。筆者がバイトをしていた頃に世話になった「セガサターンマガジン」(発売当時は既にセガサターンの時代になっていた)のK編集長が日本版のリバーシブルパッケージの裏面にメッセージを寄稿していて、記念に購入しようと思ったのだが、発売当時でさえ見つけることができなかった、本当に幻のソフトでもある。

液体の主人公は熱や排水溝が弱点で、傾斜を登るのも苦手だ。ステージはルートが分岐するなど複雑な構成で、ゲーム自体も難易度が高い

 この他にもSEGA Genesisを代表するアクション「ベクターマン2(Vectorman 2)」や、これまで他機種に移植される機会がなかったメガドライブ版「アウトランナーズ(OutRunners)」、「サンダーフォース」シリーズの縦スクロール&ファンタジー版とも称された「エレメンタルマスター(Elemental Master)」、実写とCGによるムービーを多用したレールシューティング「スワーシャーク(Sewer Shark)」など、コアなGenesis&メガドライブファンに支持されたタイトルも多く、メガドライブミニ2と共に持っていて価値のあるゲーム機なのは間違いない。筆者の場合は「ジ ウーズ」が入ったことだけで購入を決めていて、幸い発売日に入手することができ、実は本家メガドライブミニ2よりも稼働時間が長かったりする。

「Vectorman 2」
「OutRunners」
「Elemental Master」
「Sewer Shark」

 また、本稿の執筆中に、12月23日の10時にGenesis Mini 2の日本語公式サイトと収録タイトルの日本語マニュアルの公開、そして同日20時30分Genesis Mini 2の年末特番「SEGA Genesis Mini 2の真実~LIKE A MEGA DRIVE MINI 2~」が配信されることも明らかとなった。

 メガドライブミニ2は既に完売状態で、市場にわずかに残るのみとなっていて、入手は困難であるが、このGenesis Mini 2はまだ購入のチャンスがある。収録タイトルが異なるので、代替の機種となるかは好み次第だが、一部の追加タイトルに関しては同じ仕様で楽しめるので、メガドライブミニ2を入手できていないという人も、購入検討してみるのもいいかもしれない。