「Empire of Sin エンパイア・オブ・シン」レビュー
Empire of Sin エンパイア・オブ・シン
歴史に残る人物もユニットに! ギャングになりきるクライムストラテジー
- ジャンル:
- シミュレーション
- 発売元:
- セガ
- 開発元:
- Paradox Interactive/Romero Games
- プラットフォーム:
- PS4
- Nintendo Switch
- 価格:
- 5,990円(税別)
- 発売日:
- 2020年2月25日
2021年2月19日 12:00
「Empire of Sin エンパイア・オブ・シン」(以下、エンパイア・オブ・シン)は、スウェーデンのParadox InteractiveとアメリカのRomero Gamesにより開発された、1920年代のアメリカ・シカゴのギャングたちを題材としたクライムストラテジーゲームだ。国内展開はセガが行なう。
1920年代のアメリカと言えば、何といっても禁酒法だ。簡単に言えば酒を作ったり、販売する事を禁止するというすごい法律だ。そしてこの法律の施行により、表向きにアルコールの製造や販売ができなくなると、そこで台頭したのがギャングたちだった。当時は多くのギャングたちが禁酒法の裏で酒を密造して販売し、大儲けして悪が栄えた狂騒の時代だったという。
「エンパイア・オブ・シン」はそんな時代を生き抜く14人のギャングのボスたちの中から1人を選択して、シカゴの街で力をつけて勢力を拡大し、最終的にシカゴを支配するのが目的のターン制ストラテジーゲーム(以下、TBS)となる。
TBSというと、国内では「ファイアーエムブレム」シリーズや「スーパーロボット大戦」シリーズなどメジャーなタイトルが多い中、海外でストラテジーゲームと言うとリアルタイムで時間が進行するリアルタイムストラテジーの方が主流で、海外発のTBSタイトルは珍しい印象だ。
海外タイトルに触れる事の多い筆者としては、過去に「XCOM2」と言うSF系TBSも遊んだ事があったが、筆者の大好きな悪党たちが主役のクライム系タイトルとして、TBSの「エンパイア・オブ・シン」が登場するのは非常に嬉しい限りだ。
早速、ギャングのボスになってシカゴの街を影で支配してやるとしよう。
登場するギャングボスは全部で14人! アル・カポネやジェンナ兄弟など実在のギャングたちも参戦!
ゲームを起動すると、1920年代のオールディーズなテイスト溢れるBGMが流れてくる。ゲームの最初は、14人のギャングボスたちの中から1人を選択することから始まる。14人のギャングボスのうち、何人かは実在したギャングだ。暗黒街の帝王、アル・カポネや、その最大のライバルの1人として知られるディーン・オバニオン、アンジェロ・ジェンナなどリアルに当時のシカゴを騒がせたギャングたちだ。筆者は気になっていくつかの名前を調べたが、彼らの経歴を知るだけでテンションが上がった。
アル・カポネはギャングのドンというイメージだが、本作ではユニットの1人として、最前線でマシンガンをぶっ放す。ギャングの中には架空の人物もいて、細かく調べないとわからないが、虚実織り交ぜた個性的なギャングボスたちはどれも魅力的で、誰を選ぶか迷ってしまう。キャラ選びだけで数時間を要した上に、実際にちょっとプレイして他のギャングに変えてみたり、と言った事を数時間かけてしまった。
そうした中で今回筆者が選んだのは、エルヴィラ・デュアーテというメキシコ移民の老婆だ。選んだ理由はビジュアルもさることながら、特殊スキルだ。本作ではギャング14人それぞれに、固有の特殊スキルが用意されているのだが、エルヴィラの特殊スキルは「悪魔の吐息」というもので、精神操作により、一時的に敵がこちらの味方になるというすごいスキルだった。
なお、ここで選ばなかった13人についてもそれぞれ戦闘などで役に立つ専用の特殊スキルを持っている上に、ゲーム内では彼らがライバルとして登場する。
ということでエルヴィラを選んでゲームを開始するといきなり、会話シーンからスタートする。カットシーンかと思いきやこの会話シーンは「交渉画面」で、ゲームの重要な要素なのだ。最初の会話はシカゴにやってきたギャングたちのこれまでの経緯、そしてこれからのシカゴでの目標などが語られる作りで、これが各キャラクターのメインミッションにも繋がっていくことになる。
エルヴィラはメキシコから移住してきた移民であり、メキシコでもギャングとして活動していたが、諸事情あってシカゴにやってきたという話のようだ。そして話を進めるといよいよチュートリアルが開始となる。
チュートリアルでは、ロニー・オニールというギャングボスが所有するもぐり酒場と醸造所の施設をいきなり奪い、さらに拠点であるセーフハウスでロニーとの交渉となるが、それも決裂して、最終的にロニーを倒して拠点を乗っ取るところまでの一連の流れがプレイできるようになっている。
また、もぐり酒場を奪った直後には、施設のアップグレードのやり方を教わり、さらにはならず者たちをギャングメンバーとして仲間にする事ができる。チュートリアルを終えた段階までプレイすると、エルヴィラは何も持たないメキシコ移民から、拠点であるセーフハウスと、小さな醸造所1つ、もぐり酒場1つを経営するこの地域のギャングボスの1人に成り上がれるのだ。
なお、メインの画面ではマップ上を自分のギャングボスを直接操作しながら移動する方法と、マップ上でカーソルを移動して、目的地でボタンを押す事でそこに自動で移動させる方法の2種類が切り替えて利用できる。マップの移動を手動でやる場合、当時の街並みの雰囲気を楽しみながら移動できるので、好みに応じて切り替えるといいだろう。
ターン制ストラテジーのポイントは戦略、遮蔽物を活かして少ない被害で勝利を目指せ
戦闘が開始すると画面が切り替わり、ターン制ストラテジーのバトルモードとなる。ギャングボスを使った戦闘では、行動を共にしている他のギャングメンバーとギャングボスをユニットとして使い、敵を撃退していく。全ての敵を行動不能にすればクリアとなり、報酬が手に入る。
自分のターンで行なえる行動はAPと呼ばれるポイントを消費して移動や攻撃ができる。他にも各ギャングメンバー固有のスキルや、ボスのみ特殊スキルが用意されている。APは全てのキャラクターが2で、行動に応じて消費ポイントが設定されている。例えば通常の移動はAPを1消費するが、より遠くまで移動する場合などはAP2を消費する。
銃火器による攻撃はハンドガンの射撃はAP1消費だが、マシンガンなどによるバースト射撃はAP2を消費するなど、細かく設定されている。
各ユニットの行動は全てターン制で、順番は先制ステータスが高いほど早く動ける。画面上部には動く順番が予め設定され、その順番で一通り各ユニットが行動していき、一通り終わるとターンが終わり、次のターンに進む。
今回筆者の選んだエルヴィラの持つ特殊スキル「悪魔の吐息」はAP2を消費する強力なスキルで、殆どの敵に対して有効に働く強力なスキルだ。これを喰らった敵はかなり高確率でバトルが終了するまで、こちらの味方として行動させられる。1度に登場するユニットが少ないバトルでは、敵を1人こちらに寝返らせるだけでかなり有利に戦闘が進められるので、かなり重宝するスキルだ。ただし、1度使うとクールタイムとして5ターンくらいの時間が必要になるため、連続で使えない。
銃撃戦を行なう上で欠かせないのが地形を利用したカバーだ。カバーは移動時に盾型のアイコンで表示され、アイコン内の塗りつぶしの割合が高いほど、より敵からの射撃が当たりにくい。本作の戦闘の基本はこのカバーがより高いところからカバーの低い相手を倒すことで、こちらの被害を最小に抑えつつ、敵を殲滅することだ。銃による攻撃は命中率が表示され、これをより高くすることで命中率は上がる。
なお、ギャングボス含む仲間になったギャングメンバーたちには武器や防具、消耗品といった各種アイテムを装備させて戦う事ができる。武器についてはハンドガンやショットガン、スナイパーライフルやマシンガンなど、かなり豊富な種類が用意されている。いずれの装備もレアリティが設定されており、レア度が高い武器ほど威力が強力だ。装備可能な武器はギャングメンバーの職業によって異なるため、装備可能な中で最高の物を仲間に預けて使わせたい。
仲間のギャングメンバーやギャングボスのHPが0になると死亡してしまう。中には死亡せず瀕死状態で留まれるスキルが付与されているメンバーもおり、この場合は行動不能となり、その状態で追い打ちを食らうと死亡してしまう。いずれにせよ死亡した仲間は永遠に生き返らせる事はできない。瀕死状態であればアイテムやスキルによるHP回復が可能だ。ちなみにギャングボスが死亡した場合は即座にゲームオーバーとなってしまうため、戦闘時の体力には特に気を遣うのがいいだろう。
こうした武器や道具については、戦闘終了時の報酬として用意されているほか、ラジアルメニューのブラックマーケットから購入が可能だ。同様に防具を装備する事で、ダメージを軽減したり、命中率を下げられるほか、消耗品の薬箱などを手持ちさせることで、体力を回復させるといった事も可能となっている。
戦闘で勝利すると、参加したギャングメンバーたちは全員士気が上がり、それにより強化ボーナスなどが得られて、強化されていく。また、ギャングボスについては悪名が上がっていく。この悪名は経験値の代替のようなもので、これが高いほど、より強力なならず者が仲間になってくれたり、ギャングメンバーに組織内のより重要な役割を与えられるようになるなど、恩恵は大きい。
なお、戦闘はターン制ストラテジーだが、それ以外の街のマップを表示している間などは常にリアルタイムで時間が進む。そのため、街を眺めていたり、マップを移動したりしていると、時間が刻々と経過する。この時間経過で後述の施設アップグレードなどが進行していく。ギャングボスの移動などの操作中であっても時間が経過してしまう点には注意が必要だ。時を止めたい場合は、ラジアルメニューを開いたり、スタートボタンを押しておくことで時間は止まる。
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