「ゴーストリコン ブレイクポイント」レビュー

ゴーストリコン ブレイクポイント

オープンワールドの探索が楽しすぎる!トレハン要素でやりこみ度マシマシ!

ジャンル:
  • オープンワールドミリタリーシューター
発売元:
  • ユービーアイソフト
開発元:
  • ユービーアイソフト
プラットフォーム:
  • PS4
  • Xbox One
  • Windows PC
価格:
8,400円(税別)~
発売日:
2019年10月4日

 Tom Clancy's”シリーズの最新作「ゴーストリコン ブレイクポイント」が10月4日に発売された。

 “Tom Clancy's”シリーズはユービーアイソフトから発売されている“いま、そこにある危機”を描くミリタリー作品シリーズ(参考記事)で、その中でも「ゴーストリコン」シリーズは軍の特殊部隊の活躍を描くシュータータイトルだ。

 シリーズと言ってしまうと過去作品をプレイしていないと敷居が高くと感じるかもしれないが、これまでのシリーズをプレイしていなくても全く問題はない。一応過去作に登場したキャラクターなどが登場するので知っておけばより深みが増す、という程度だ。ゲームシステムも過去作品とかなり変わっているので今作からプレイしてもすんなりと入り込めるだろう。

 肝心のゲームシステムだが、今作はオープンワールドシューターにRPGの要素を組み合わせたようなゲームになっており、2つのジャンルのいいとこ取りをしたようなちょうど良いバランスの作品になっている。早速本作の魅力について紹介していこう。

【『ゴーストリコン ブレイクポイント』ゲームプレイローンチトレーラー】

オープンワールド部分の探索が楽しすぎる!

 本作の舞台は太平洋に浮かぶ架空の群島「アウロア島」。先進テクノロジー企業「スケルテック社」の本拠地となっている島なのだが、何らかの事情により連絡が途絶えてしまった。調査のためにアメリカ軍の精鋭特殊部隊“ゴースト”が乗り込むのだが何者かの攻撃を受けてヘリが墜落してしまう。主人公である“ノマド”はこの島で生き残り、戦略を立て、この事態を解決させなければならない、それが本作の大きなストーリーだ。

 本作にはその謎を追い求めるメインミッション、そして島のことをより理解するためのサブミッション、他にも勢力ミッションと呼ばれる島の住民からの依頼などを解決していく。この辺りはオープンワールドRPGらしい味付けになっている。

この島で何が起き、今後どうやっていけば良いのかを探るのがメインミッションの基本的な流れだ
島民との会話でサブミッションがスタートする。サブミッションの数も相当なものだ

 クエストやミッションを追っていくのはもちろん、謎多きストーリーが徐々に明らかになっていったり、アウロア島の住民達をサポートをしていくのも面白い。だが筆者は本作の舞台である「アウロア島」の広大なオープンワールドの探索に一番ハマった。

 「アウロア島」では森林地帯から沼地、雪が積もっているエリア、本当から離れた小島など様々な風景をプレーヤーに見せてくれる。グラフィックスのレベルも非常に高くかなり細かな部分まで描写されている。しかも天候や時間もリアルタイムで動いていくので、まるで生活しているような面白さを感じることができる。

 そしてこの広大な島をバイクや乗用車、ヘリコプターに乗り込んで自由に探索できる、これがまた楽しい。もちろん乗り物に乗らずに地上を走って移動することもできるのだが、「アウロア島」はとにかく広く、乗り物に乗らないと目的地への移動にとんでもなく時間がかかる。そのスケールはヘリコプターを使っても端から箸まで移動するとに数分から数十分ははかかるほどだ。とても徒歩で移動しようとは思えないほどの広大な広さになっている。

 マップは広大だが、島の要所要所に点在するポイントにファストトラベルで移動することもできる。そこではビバークができ、クラスを変更したりバフの付与などができるので、本格的な戦闘の前にはぜひ立ち寄りたい。ビバークポイントの近くに乗り物を呼び出すこともできるので、ファストトラベルで近くまで移動し、ビークルで敵の拠点を急襲するといったことも可能だ。

島中の至るところに乗り物が置いてある。バイク、装甲車、トラック、ヘリコプターなどなど様々な乗り物を使って「アウロア島」を探索するのだ

 そしてこの島はただ広いだけではない。この広大なロケーションの中に、数え切れないほど多数のスポットが存在する。

 スケルテック社の研究所や、ドローンが警備している危険なエリアなど最近開発されたエリアから、過去の島民に放棄された建物、冷戦時代の遺物、隠された洞窟などなど新旧問わず様々なスポットがある。これらのスポットには武器や防具と言った装備や、ゲームをより深く理解するための収集アイテム、さらには武器の設計図や装備の隠し場所などなど様々な物が隠されている。この探索がとにかく面白く、「今日はメインストーリーを進めよう」と思っていてもついつい横道にそれてしまったりする。さらに横道にそれた先で「このスポットに武器の設計図がある」という情報を見つけ、さらにその設計図の入手を目指して……といった具合で、とにかく探索が楽しい。

放棄された家屋で新しい装備を見つけた。こういうことがあるから探索はやめられない
場所によってはアイテムではなく情報が見つかることもある。この情報を元に装備やパーツなどを探していくのだ

強い装備を探すトレハンもポイント高

 そしてついつい探索してしまう理由は他にもある。本作では同じ名前の装備でも強さが異なるアイテムがあり、性能だけではなくレアリティの高い装備には特殊な効果がついているものもある。例えば武器であれば射程距離が長かったり、防具であれば移動速度が上がったりといった具合だ。こういった装備が島中の様々なスポットに隠されている。ある程度の強さの武器は放棄された建物でも手に入るが、さらに強い装備を求めると多くの敵兵士や、強力なドローンが守っているエリアなど危険なエリアに挑戦する必要がある。

 危険なエリアに行くためにはキャラクターを成長させ、より強い装備を持っていく必要があるので、手頃な難易度のところで装備やレベルを含めてキャラクターを強化し、強い敵にチャレンジし、さらに強い装備を狙う。普通の人間型の兵士であれば弱い武器でもきっちりとヘッドショットを決めていけば、それほど強い銃でなくても倒せるが、基地などの拠点を守っている兵士たちは数が多い。少人数であれば弱い武器、弱い装備でも十分立ち回れるが大人数を敵に回すときは高性能な防具が欲しい。

 また、敵のドローンも非常に手強い。特に地上を守っているドローンの強さは敵兵士の比ではないし、機銃や爆発物を使った攻撃は激しくゴリゴリと体力を削られるし、回避行動ばかりとっていてもダメージを与えられないという具合で、とにかく強い。そんなドローンに立ち向かうためにはアイテムを探し、強力な装備を入手するのが必要不可欠なのだ。

 こうした強力な敵に立ち向かい、さらに強力でユニークな装備を探しつつキャラクターを強化していく「トレハン要素」も本作の楽しみの1つなのだ。

「アウロア島」は危険な地域もたくさんある。リスクが高いからこそ強力なアイテムが手に入るのだ

クラス選択とスキルの獲得で自分だけのプレイスタイルを

 強力な装備を探してキャラクターを強化するというのはRPG的な要素だが、他にRPGから大きな影響を受けている他にもある。それがクラス制とスキルの習得という要素だ。

 本作には4つのクラスが登場する。「フィールドメディック」、「アサルト」、「パンサー」、「シャープシューター」だ。それぞれが特殊な能力と装備を持っており、例えばフィールドメディックは文字通り衛生兵的な役割で、自己蘇生ができるようになったり、チームメイトの回復をするドローンを持っている。パンサーはステルス行動が得意なクラスでスモークグレネードを使って姿を隠して敵を急襲することができる、といった具合だ。

本作には4つのベースになるクラスがある。それぞれ特徴があるのでプレイスタイルに応じて選択していこう。もちろんゲーム中に変更することもできる

 こうしたベースのクラスに加え、どんなPERKを習得するかで戦い方が変わっていくのが本作の面白いポイントだ。ステルスや隠密行動に特化したり、サバイバル要素に特化してアウロア島の探索をスムーズにすることもできる。PERKと呼ばれるパッシブスキルは最大3スロットまで装備可能で、組み合わせによっては大きなシナジーを発揮する。ちなみにクラスやPERKは付け替え可能なので、ソロプレイ時とCO-OPプレイ時で使い分けることもできる。

アサルト寄りのPERKから、遠距離攻撃に特化したPERKまで幅が広い

 ちなみに筆者はアサルト系のスキル、PERKを取得して敵陣にガンガンと突っ込んでいくスタイルがお気に入りだ。具体的にはHPの自然回復スピードを上げたり、重度の負傷状態(本作では大きなダメージを受けると負傷状態になり、移動が遅くなったりハンドガンしか使えなくなったりする)にならないPERK、そして一定範囲に近づいた敵の位置をレーダーに表示するというPERKを装備している。

 アサルトクラスは他のクラスに比べてHPが多く打たれ強い。さらにアサルトライフルやショットガンに追加ダメージもつくので積極的に前線に出ることができるのだ。とは言え本作はどちらかというとリアル寄りのゲームプレイになっている。集中砲火を受けるとガッツリとダメージを削られてしまうので、建物の影などにカバーしながら戦っていくことも必要だ。

 もう1つお気に入りなのがスナイパーライフルを使って遠くから敵兵士の数を減らしていくというスタイルだ。ドローンを使って偵察、敵の居場所を調べた後はサプレッサーをつけたスナイパーライフルで敵を着実に減らしていく。スナイパーライフルで敵の兵士や防衛設備をすべて処理することができれば完璧だが、さすがにそこまでは難しいので結局突撃することになってしまうことが多いのだが、この戦い方のほうが特殊部隊らしい印象もある。こういったプレイスタイルの幅の広さも本作の魅力の1つである。

アサルトライフルを使って敵地にガンガン突っ込んでいくのも、スナイパーライフルで確実に敵の数を減らしていくのも自由だ!

プレイできれば間違いなく面白いCO-OPプレイ

 今後はぜひ挑戦したいと思ったのが意思疎通ができる仲間たちとのCO-OPプレイだ。

 多くの敵が待ち受ける拠点や、強力なドローンが守っているエリアでも他のプレーヤーと協力して突入すれば先程のクラス分けのように役割分担をしたり、そこまで行かずとも火力はプレーヤーの数だけ増えるのでよりスムーズに進められることは間違いない。多くのビークルや軍用ヘリにはガンナー席がついている。1人が運転して他の誰かがガンナー席につけばソロプレイではできないような大暴れができるだろう。

 そういったプレイに憧れて、筆者もゲーム内でもいわゆる野良のCO-OPマッチングに挑戦してみたのだが、マッチングはざっくりと「探索」、「メインミッション」というくくりになっているので、北のエリアを探索したい筆者と、南の探索に行きたい他プレーヤー……といった感じでなかなかやりたいことが合わず、協力してプレイするのが難しかったというのが正直なところだ。テキストチャットなどはあるのだが、細かい連携はなかなか野良のマッチングでは難しいので、この辺りは今後のチャレンジとしたい。

ガンナー席がついている装甲車。乗り込んで仲間と大暴れしたい!

 今回はメインのPvEモードを中心に紹介したが、PvPモードもあり、シビアで緊張感溢れる対人戦を楽しむことができる。こちらに関してはオープンβテストのレポートでお届けしているのでそちらを参考にして欲しい。

 「ゴーストリコン ブレイクポイント」ではオープンワールドのTPSにRPG要素を盛り込むことでキャラクターの成長を感じることもできるし、より強い装備を探していく面白さ、そして多様なキャラビルドを楽しむことができる作品に仕上がっている。色々と紹介してきたが、筆者が感じた一番の魅力は“探索が面白すぎる”という一言に尽きる。まだまだ探索していないエリアもあるし、倒せていないドローンもいる。もっともっとキャラクターを強化してリベンジしたいし、CO-OPプレイでで大暴れもしてみたい。

 本作の舞台である「アウロア島」は全体がプレーヤーをワクワクさせる大きなテーマパークのようなワールドになっているのだ。メインミッションをまっすぐと進めて本作の謎を解いていくのも面白く1つの遊び方なのだが、筆者としてはスポットがありすぎるこの広大な島の探索と、良いアイテムを探すためのトレハン、そして非常に手強いドローンとの戦闘など本作をしゃぶり尽くしてほしいと思う。そこにはどこまでもやりこめると言っても過言ではないほどの超ボリュームのゲーム体験が待っているはずだ。