「G502 LIGHTSPEED」インプレッション
G502 LIGHTSPEED
しっくり馴染むスカートの感触。あの「G502」がLIGHTSPEED&HERO 16Kセンサー搭載で最強になって帰ってきた!
- ジャンル:
- ゲーミングマウス
- 発売元:
- ロジクール
- 開発元:
- ロジクール
- プラットフォーム:
- Windows PC
- Mac
- 価格:
- 18,380円(税別)
- 発売日:
- 2019年5月30日
2019年5月16日 11:00
「G502」といえば、ロジクールGシリーズのファンなら一度は通った道だろうし、そうでなくてもPCゲーマーなら一度は耳にしたことがあるブランドだと思う。
まるでクワガタのような角張ったデザイン、PCゲーマーに安らぎをもたらす親指をすっぽり包み込んでくれるスカート、当時最高峰の12,000dpiの解像度を誇る光学センサー、使い道に困るほど多い11個のプログラマブルスイッチ、遊び心をくすぐるウェイト(重り)による重量調節機能などなど、その特徴は枚挙に暇がない。“ザ・ロジクールG”といっていい1台だ。
このG502のポテンシャルの高さは、早いタイミングでロジクール自身が気づき、他のナンバリングのプロダクトがどんどんリビジョンアップしているのに対し、G502は末尾の“2”を変えないまま、新モデルのリリースを続けている。「G502」初のリリースは2014年だが、2016年にはRGBイルミネーションに対応した「G502 RGB」、2018年にはロジクール独自の光学センサー「HERO」を採用した「G502 HERO」を投入。こうなってくると次の展開は誰でもわかる。「G502」のLIGHTSPEED化(ワイヤレス化)だ。
ちなみにロジクールはGシリーズでゲーミンググレードのマウスを世に送り出して以降、一貫してワイヤレス化にこだわってきたメーカーだ。ロジクールGシリーズは2013年に一度ブランド全体をリニューアルしているが、リニューアル以前のベストセラーモデルといえば「G700」(参考記事)、リニューアル後は「G900」(参考記事)という金字塔がそれぞれ存在する。
とりわけ2016年に登場した「G900」は、それまで不可能と思われていたプロeスポーツの世界にワイヤレスを持ち込んだ画期的な製品で、このプロダクトの登場を機に、eスポーツシーンにワイヤレスの本格導入がスタートした。ロジクールは“有線よりも反応が速い”とされるこの1msのレスポンススピードを誇るワイヤレステクノロジーを「LIGHTSPEED」と呼んでおり、その後にリリースされた様々な製品に導入している。
今回取り上げる「G502 LIGHTSPEED」は、ロジクールGシリーズの総決算といえるゲーミングマウスだ。ちなみにロジクールは毎回そうだが、製品リリース後にしか対応ドライバを公開しないため、現時点ではWindows 10の汎用ドライバで動かしている状態で、「ロジクールGソフトウェア」を使った各種カスタマイズはまだできない。このためレビューではなくインプレッションに留まるが、手触りと写真を中心に「G502 LIGHTSPEED」の魅力をお届けできればと思う。
ベストセラーマウス「G502」もついに4代目。自社センサー&ワイヤレス化を実現
「G502 LIGHTSPEED」は、その名の通り、ベストセラーの「G502」をベースに、同社が誇るワイヤレステクノロジーである「LIGHTSPEED」を盛り込み、G502をワイヤレスで使えるようにしたゲーミングマウスだ。
光学センサーは、これまた同社が誇る光学センサー「HERO 16K」。この「HERO 16K」とは聞き慣れないネーミングだが、「G502 LIGHTSPEED」の前身モデルにあたる「G502 HERO」に搭載された「第2世代HERO」の正式名称ということで、「G502 HERO」と同じ、パフォーマンスと省電力性に優れた光学センサーが搭載されていることになる。
ところで、正直に告白するが、筆者自身は、過去にG502を使っていたものの、現在は使っていない。理由は「G900」の登場以降、「LIGHTSPEED」の虜になり、公私に渡ってワイヤレスゲーミングマウスしか使っていないからだ。会社のPCは「G900」、会社のノートPCは「PRO」、自宅のPCは「G903」+「POWERPLAY」。かつてG502とセットで使っていたRazer製のマウスバンジーは、Gシリーズを繋ぐワイヤレスレシーバーがぶら下がっているような有様で、完全ワイヤレス派といっていい。
そういう筆者が改めて「G502 LIGHTSPEED」を触れたファーストインプレッションは、「やっぱりG502はいい」というものだった。3年に渡って使い続けている「G900」シリーズ、その後継である「PRO」は、筆者がG502から切り替えて使い続けていることからもわかるように、素晴らしいワイヤレスゲーミングマウスだ。
ただ、個人的にどうしても違和感があったのは、左右対称のデザインだ。手の形自体が左右対称ではないのに無理矢理左右対称にすれば、右手に最適化したモデルより使い勝手が下がるのは当然の話だ。しかし、ロジクールはハイエンドモデルにおいて、利き手や手のサイズを問わず使えるユニバーサルデザインの採用を優先させた。
この「ゲーミングマウスでも左右対称デザインにすべき」という考え方は、いつから始まったのかよくわからない。ゲーミングマウスで一時代を築いたRazerのベストセラーモデル「Razer Mamba」(参考記事)あたりで決定的になったのではないかと思われるが、後にロジクールも追随し、見事に左右対称モデルばかりとなった。
しかし、ゲーミングマウスをプロが使うようになって10年余りで意外な事実が明らかになった。左手でマウスを使うeスポーツアスリートは極めて少数に留まるということだ。左手用のゲーミングマウスをリリースしていたRazerも2014年の「Razer DeathAdder 3500 Left」を最後にリリースされなくなっている。左右非対象の象徴的なマウスである「G502」がこの3年間で3回もリニューアルされ、今ロジクールGの新たなフラッグシップとして君臨することになるのは、そうしたトレンドを反映した結果だと思う。
親指の置き場所に困らない手に馴染むデザイン。これこそがゲーミングマウス!
筆者がG502を使うのは、2016年にリリースされた「G502 RGB」以来、約3年振りとなったが、すぐ手に馴染んだ。
まず、筆者が直前まで使っていた「G903」や「PRO」との違いは、少し重いことだ。「G900」シリーズはハイエンドモデルとして、最高性能と最軽量の両立を目指してデザインされており、重量はわずか107g。「HERO」はプロ仕様としてさらに削り込みたったの80gしかない。これに対して「G502 LIGHTSPEED」は114gあり、オプションのウェイトをすべて付けることで最大130gまで増量できる。筆者は軽い方が好きなので、デフォルトで使い続けたが、試しにすべてウェイトを付けた状態で使ってみたら、バッテリーが乾電池時代のワイヤレスマウスのようなズッシリ感がある。
ちなみに初代のG502の重量は124g、「G502 HERO」で121gで、LIGHTSPEEDの導入に伴ってむしろ軽くなっている。有線マウスはケーブル込みでも重量を表示していたが、その算定法だと初代「G502」は168gになる。これに比べると「G502 LIGHTSPEED」はグッと軽くなっているという表現の方が正しいかもしれない。
「G502」を使ってみて改めて感じたのは、繰り返しになるが“マウスがよく手に馴染む”ということだ。「G900」シリーズの左右対称デザインでは、筆者の場合、手が若干大きいためか、自身の親指を持て余す感じが常にあった。普通に握ると親指がマウスパッドにつき、わずかにこすれる感じがあり、これを防ぐために若干つかみ持ちのような持ち方になっていた。ちなみにマウスの持ち方については、過去に「G304」インプレッションでまとめているので、興味のある方はそちらも合わせて参照いただきたい。
「G502」では、左側面のスカートの部分に親指を置くことができ、そのままマウスに手を預けると綺麗なかぶせ持ちの姿勢になる。スカート部分を含めた両側面は、「G502」伝統のラバーグリップが使われており、滑り止めの幾何学模様が施されていることもあって軽く置いてもしっかりグリップする。「これだよこれ」。忘れていた感覚が蘇る。
デザイン、機能は過去の「G502」とまったく同じだ。普通に使う分にはワイヤレス版「G502」そのまま。違うのは背面だ。同社独自のワイヤレス充電システム「POWERPLAY」に対応するためにモジュールをはめ込むスロットが新設され、その影響でウェイトをはめ込むエリアがコンパクトになっている。
背面からスカート部をグッと引っ張ると、背面カバーが外れ、ウェイトをはめ込むスペースが現われる。このスペースにはめ込めるウェイトは2g×4で、残り4g×2はデフォルトで入っている空のモジュールの裏面にはめ込むようになっている。空のモジュールは、「POWERPLAY」モジュールとは同時に使えないため、「POWERPLAY」使用時はウェイトは最大8gまでとなる。
かぶせ持ちでしっくり手に馴染むゲーミングマウスを求めるゲーマーにオススメの1台
冒頭でも紹介したように、現時点では肝心のドライバが用意されていないため、ロジクールGソフトウェアがまだ使えない。このため、DPIを細かく調整し、11のボタンをカスタマイズして、人気タイトルで検証する、ということはできない。
ただ、Windows 10の標準ドライバで使っていてもその感触は極めて良好で、デザインと機能は「G502」シリーズと同一、光学センサーは「PRO」と同一、「POWERPLAY」対応やウェイトによる重量調整といった拡張性を備えており、ロジクールのゲーミングマウスの新定番になるのは間違いないだろうなという確信がある。
気になる価格については、ハイエンドモデル「G903」の19,880円(税別)よりやや低く、「PRO」と同設定の18,380円(税別)で、同じHERO 16Kセンサーを採用する有線モデル「G502 HERO」と比較して7,000円ほど高くなる。
個人的にはケーブルによるつっぱり感、面倒なケーブルの取り回し、見た目の悪さといった要素から解放され、スッキリ快適にプレイできるLIGHTSPEEDはマストなテクノロジーになっているが、ここに7,000円分の価値を見いだせるかどうかがポイントになるだろう。
最後に、「G502って何?」という若いPCゲーマー(ここまで読んでくれた読者の中に果たしてそういう人がいるかどうかはともかくとして)は、まずはショップで手に触れてみることを強くオススメしておきたい。左右対称デザインが続いていた過去のロジクールGシリーズのゲーミングマウスと比較して、G502はどのモデルよりも個性が強いし、かぶせ持ち以外認めんぞ、みたいなある意味頑固オヤジ的なゲーミングマウスでもあるからだ。
おそらくG300シリーズやPROのような左右対称、コンパクトなつかみ/つまみ持ち向けのゲーミングマウスが好きなPCゲーマーには「G502 LIGHTSPEED」は合わないはずだ。デカくてゴツ過ぎる。逆に手に持ってみて「え、なにこれ」としっくり来たらそれはもうレジにレッツゴーだ。使い手をやや選ぶがしっくり来た人に取っては最高のゲーミングマウス。「G502 LIGHTSPEED」はそういうゲーミングマウスだ。