「DARK SOULS REMASTERED」レビュー

DARK SOULS REMASTERED パッケージ版

”不死の物語”そのはじまり、ここに再臨。PS4で蘇るロードランを歩く

ジャンル:
  • アクションRPG
発売元:
  • フロム・ソフトウェア
開発元:
  • QLOC
価格:
4,800円(税別)
(REMASTERED パッケージ版)
4,300円(税別)
(REMASTERED ダウンロード版)
49,800円(税別)
(TRILOGY BOX)
発売日:
2018年5月24日

 ――不死となった者は追放され、世界の終わりまでその終わらない輪廻に身を委ねる。そのうち、弱い者はその魂さえも磨り減らして「亡者」となり、呻き、見るものに襲いかかる生ける屍となってしまった。

 ――ならば、強い者は?追放された地でわずかな希望を掴み、その身に宿した力を頼りに絶望に立ち向かった。これは、折れぬ心に確かな希望を抱いてその手をのばした、そう、きみの物語だ。

 前置きが長くなってしまったが、「DARK SOULS REMASTERED」はプレーヤーである、またはプレーヤーとなるあなたたちの”心を試す”アクションRPGだ。あなたは絶望と暗黒、混沌、そして悪意に満ちたこの世界で、その先にあるかもわからない希望を頼って歩き続けることになる。

 そんな長く苦しい道程のなかで、あなたはキラリと心の中で光るなにかを見つけるだろう。それは「敵を倒した」という直接的な快感だったり、「仲間を見つける」安堵や、至高の「武器」や「防具」の発見、誰かも知らない「物語」の追想、あるいはふと顔を上げて気づいた「絶景」かもしれない。このレビューは絶望の淵にあって、それでもこの世界への憧憬を忘れられない不死人が「世界の美しさ」という点から読者の皆様を深い沼の底へ引きずり込もうという腹づもりで書いたものである。

 なお本作は2011年に発売された「DARK SOULS」を現代機向けにリファイン、様々な要素を改善したものだが、そのプレイ感は最近のゲームと比べても遜色ない。ただこの後に続く「DARK SOULS II」、「III」と比べると前後左右の4方向にしか回避できない、歩きながら「エスト瓶」を使用できないなど、まだ荒削りな部分がある。それでも不死の物語3部作の「原点」を知るために、本作は最高の機会だ。実は筆者、本作はPS3版でかなり長いことプレイしたのだが、それでもこのタイトルが愛しくてたまらない。冗談抜きに何百時間でも楽しめる本作の魅力を、可能な限り語りたい。

こんにちは、自分!

 神々によってもたらされた「火の時代」は今や人の世には届かなくなり、人の中には呪われた不死の証「ダークリング」が現われはじめた。不死人となったものは「北の不死院」へと送られる。

 同じく不死人となったプレーヤーも、もれなくその1人だ。絶望に立ち向かう前に、その姿を決めよう。名前や性別にはじまり、体型や顔立ち、生前(といっても不死というだけで生きているが)の「素性」、不死院へ送られる際に誰かからもらった「贈り物」を選択する。

 体型は9種、顔立ちは「平民顔」や「アストラの貴族顔」といった10種のテンプレートから選び、さらに細かくスライダーで調整できる。「素性」は最初期のステータスと装備を決めるもので、「贈り物」は旅路に少々のフレーバーを加えるものから様々な鍵を開ける「万能鍵」のように強力な効果を持ったものもある。

 自分の中でなにか特別なストーリーが浮かんだら、それを投影してキャラクターを組み立てると思い入れの強い分身ができあがる。「結局は最初のステータスだろ?」という感覚もあるかもしれないが、これが大事なのだ。自分がどんなキャラクターになりたいかを考えてもいい。大きな武器を振り回す勇士なら「騎士」や「戦士」、巧みに敵を翻弄する軽業師なら「盗人」や「放浪者」、神秘を極め超自然の力を振るう「魔術師」や「呪術師」、「聖職者」、そしてすべてを捨て裸一貫で運命に抗う「持たざる者」などなど。

おはよう、絶望!

 運命か偶然か、プレーヤーは不死院を脱出できるかもしれないという希望を手にする。不死院はチュートリアルステージのようなもので、ここで思う存分戦い方を学べる。地面に描かれたオレンジ色に輝く線は誰かが遺したメッセージだ。操作方法を教えてくれたり、他の世界のプレーヤーがアドバイスのために書き残したものもある。

尻もHD

 そして現われる、巨大な敵。「不死院のデーモン」と呼ばれるこいつは、プレーヤーと同じく不死院からの脱出を目論んだ哀れな不死をことごとく鏖殺してきた看守のような敵だろう。素手で立ち向かうには巨大に過ぎ、丸腰のプレーヤーにはあまりにも凶悪。運良く攻撃を回避し背後に回り込むと、フルHDの美麗な解像度で蘇った臀部が視界いっぱいに飛び込んでくる。

 そんな凶悪な存在である「不死院のデーモン」だが、同時にこの世界において重要なことを教えてくれる大切な存在だ。

【不死院のデーモンの尻】

死んで、生き返って、戻る

 まず、死ぬこと。その巨大な槌をひとたび振ればただの質量に押し潰される。「人間ってそんなものね」と物理的に教えてくれる一撃は、いっそ快感さえ覚えるほどにあっさりと死線を見せてくれる。死ぬと「YOU DIED」の文字がババンと現われ、少々のロードを挟んでやり直し。直前に使用した「篝火」から生き返る。

 そう、死ぬのもあっさりしていればやり直しもまたあっさりしているのだ。この非常にあっさりした死と再生の繰り返しはまさに不死人の運命を表わしているようで、プレイ中のちょっと気を抜いた事故で死んでしまったとしても少ないショックで済むのがいい。

同じようにデーモンに挑んで死んでいったものたちの血痕。触れることでその死に様を見られる

 ただ、プレーヤーは死亡すると死ぬ数秒前にいた地点に「ソウル」と「人間性」を緑色に光る血痕として落とす。これは直前に死んだものだけが残り、もし取り戻す前に再び死んでしまうと”ロスト”してしまう。これをソウルや人間性を大量に稼いだときにやらかしたときのショックはひとしお。できれば体験したくないものだが、多分誰もがそのうち1度はやってしまうことだと思う。落とした大量のソウル、焦る気持ち、敵から逃げおおせたかと思った矢先の不意討ち、そして死亡。このショックは実際体験すると笑いが漏れる――1周回って面白いから。

 ひとつだけ言っておくと、この不死院のデーモンとの戦いはいわゆる「初心者殺し」。逃走経路があるため、探して逃げるべし。倒せるものなら倒してごらんなさい。素手がおすすめだ。

だいたいなぐればしぬ。しぬまでなぐれ

油断しまくった筆者

 2つ、「油断しない」こと、3つ、「欲張らない」こと。4つ、「隙を伺う」こと、そして最後に「どんな敵でもだいたい死ぬまで殴れば死ぬ」こと。「死ぬまで殴れば死ぬ」とはどういうことか――つまり、どんな強大な敵でも「折れない心」で戦えば倒せるのだ。

 筆者は冒頭に、本作は「心を試す」ゲームだと述べた。筆者はこれを「DARK SOULS」の前作ともいえる「Demon's Souls」で学んだ。それは今作でも変わらない。

 ――ちょっとした昔話をしよう。「Demon's Souls」に登場する最弱の敵、「奴隷兵」に扮装して戦う男がいた。名はフジマロさん。当時はニコニコ動画で動画を投稿しており、現在はYouTubeで「REMASTERED」の配信を行なっている。

 彼は過酷な「縛り」を課していた。ダメージが1桁しか出ない「折れた直剣」を手に、武器を燃やしてわずかばかりダメージを増加させる「松脂」を駆使して戦った。炎が効かない敵は魔法攻撃力を与える「白くべたつくなにか」を使って殴った。もちろん何百回と死んだ。ロストも幾度となく味わった。とんでもなく苦戦する敵もいた。通常なら数十時間でクリアできたはずの旅は、4カ月という長い月日を経て完結した。

 「剣は折れても心は折れない」、動画のタイトルに使われたこの言葉はまさに「Demon's Souls」を象徴する言葉だった。彼は鋼のような心をもってそれを証明した。筆者はとんでもなく感銘を受け、それに倣って「折れ直」縛りを始めた。――始めて2時間で心が折れた。

 それでもこの経験はこの「DARK SOULS」で活きた。不死院のデーモンをためしに素手で殴った。HPが減った。「2」が見えた。殴れば減る!死ぬじゃん、多分!光明が見えた。

 もちろんダメージは「2」もしくは隙を突いて「3」とか「4」くらいしか出ないので、必然的に戦いは長く苦しいものになる。ここで「DARK SOULS」で必要なことを学ぶのだ。敵の攻撃に油断せず、隙を見つけたからといって攻撃しすぎず、「折れない心」をもって慎重かつ執拗に殴り続けること。

 ひとつだけ言っておくと、この不死院のデーモンとの戦いはいわゆる「初心者殺し」。逃走経路があるため、探して逃げるべし。

絶望しないために必要なこと

 さぁ、様々な事件を乗り越えて不死院を抜け出したプレーヤー。「火継ぎの祭祀場」と呼ばれるそこは、大きな木が生え木漏れ日の差す、暗闇とは無縁に感じる場所だ。プレーヤーはここを第1の拠点として、複雑に折り重なった世界を巡ることになる。

 そう、とても広大なのだ。各所に道標のごとく篝火があり中継地点として活用できるが、すべてのフィールドは当面の間「徒歩で」移動することになる。すべてのフィールドはひとつながりのオープンワールドで、難易度の高い場所、低い場所に関わらずすべて最初期から向かえる。

 そこで、だ。初めて不死となったあなたに大切なことを述べておきたい。――汝、かねて死を恐れたまえ。「不死街」へ向かうのだ。粗末な鎧を着たみすぼらしい亡者を見つけ、その先へ上りなさい――といった感じで、せめてこれだけは言っておきたかった。どこもかしこも高い難易度のなか、「不死街」だけは初心者に優しく戦いやすい場所となっている。

”最高”の不死になるために

 篝火では獲得したソウルを消費して、自身のレベルとステータスを上昇させられる。ステータス1つにつきレベル1つだ。HPを上昇させる「体力」や装備可能な武器や防具の重量を増やす「持久力」、魔法の記憶領域を増やす「記憶力」、バッドステータスへの抵抗力や防御力を上げる「耐久力」、武器や魔法の装備に必要な「筋力」、「技量」、「理力」、「信仰」。自分が目指す理想の不死人を目指してステータスを上昇させよう。

 たとえば巨大な武器と重厚な鎧を携えて戦いたいなら、「筋力」と「持久力」。曲刀やレイピアなどの刺剣のような敵をからかうように戦う武器を使いたいなら「技量」、魔法を駆使したいなら「記憶力」と「理力」または「信仰」。攻撃的な魔術なら「理力」、回復を中心に防御を重視した奇跡は「信仰」を必要とする。加えて「技量」も上げておくと、呪術を含めた魔法の発動が多少早まる。

 鎧を着込んだり、重い武器を扱うためには「持久力」が必須だ。装備重量を上昇させ、重い武具を装備しても軽々と動けるようになる。

弱点を晒しドッスンローリングする筆者

 装備重量の計算式は単純だ。装備した武具が装備重量の「4分の1」を割れば軽量、「2分の1」以下なら「中量」、それ以上なら「重量」、装備重量を超えると「最重量」。それぞれ回避行動(ローリング)の軽さや移動の速度に関わる。とくに「重量」になると回避行動が鈍重な”ドッスンローリング”と呼ばれ、頑丈に見えるが隙が多い危険な回避となり、「最重量」となれば走ることもままならない。概して重い装備は頑丈で多少の攻撃にも怯まないが、重量以上となった場合は回避せず防御に徹することもひとつの戦法となる。筆者は軽量を好むため、鎧を着るときは持久力を優先して上げる。速度イズ最強、筆者はそう思っている。

火を育て、生きる糧に

 さて、本作における回復手段は基本的に「エスト瓶」のみ。それも回数が限られており、「火継ぎの祭祀場」以外では基本的に5回が原則だ。これを増やす手段を「注ぎ火」という。

 「注ぎ火」には人間性が必要だ。さらに、人間性を1消費して亡者状態から復活し生者である必要がある。また注ぎ火は初期状態で「エスト瓶」を5個より10個へ増やすのみで、それ以上はある場所で手に入る「注ぎ火の秘儀」が必要。最大で20個まで増やせるようになる。

【エスト瓶の量と火の大きさ】
5個
10個
15個
20個

でっかい、でっかい太陽の下の誓い

 不死の冒険を続けるなかで、様々な事情から同じ運命を辿った不死の旅人に出会う。それは数百年前の英雄であったり、伝承に語られる大賢者もいる。彼らはそれぞれ、語られることこそ少ないが浅からぬ物語を持っている――筆者が思うに、その最たるものがこの「太陽の戦士ソラール」だ。

 フィギュアやスタチューとして立体化され、今夏発売予定の本作Nintendo Switch版にもamiiboとして登場予定のソラール。特徴的なY字のポーズは、彼をはじめとした「太陽の戦士」たちが偉大なる太陽を礼賛する際の、謂わば敬礼のようなものだ。

 大きく温かい太陽に憧れ、自分の太陽を探すために不死となりロードランへ赴いた、熱い心の持ち主。胸当てに描かれた大きな太陽印と羽根の差されたバレルヘルムが特徴で、ほかの不死から見れば少しズレた彼は、プレーヤーに協力を持ちかけてくる。

 ソラールはもちろん、旅先で出会う不死たちは冒険の進行に合わせて自分だけの物語を進めるものもいる。プレーヤーが征く先で運命が交わったとき、それはプレーヤーにとってかけがえのない経験となるはずだ。……それがときに、残酷なものであっても。ロードランは不死の心を試す地だ。こういった物語を語るときに特別なデモが挟まれることはなく、またあっさりと語られてしまうが、それゆえに聞き逃すまいと懸命に記憶に留めようとする。この雨雫が窓を流れ落ちていくような感覚が、本作の重要な体験といえる。

他の世界の戦士とともに

 この世界はねじれ、散り散りになり、歪に絡み合っている。それを一時的に繋ぎ、他の不死たちと協力して敵に立ち向かうことができる。これがマルチプレイだ。

他のプレーヤーを呼んだ場合、それは向こうに人がいる。協力に感謝し、(ジェスチャーで)おじぎをするのだ

 マルチプレイ時、仲間を呼び込む”ホスト”は生者である必要がある。手を差し伸べる仲間(「白霊」と呼ばれる)は生者、亡者に関係ない。その地の主(ボス)を倒すと仲間は人間性を獲得し、その役目を終える。呼び出せる仲間は同じプレーヤーはもちろん、条件と場所さえ合致すればNPCを呼ぶこともできる。

世界に仇なすものと、それを駆逐するもの

侵入してきた闇霊

 世界に協力するものがいれば、それを阻むものもいる。ホストを倒すべく世界に侵入したものは「闇霊」となり、対峙する。このPvPで闇霊がホストを殺害するかホストが闇霊を退ければ、1つの人間性とある程度のソウルを得られる。ホストがボスのエリアに到達した場合、自動的に闇霊は元の世界へ送還される。

ある場所での復讐霊プレイ

 一方で「復讐霊」という存在がいる。これは少々複雑だが、ある存在を害する者を狩る存在だ。たとえば無辜の者を殺害し、その罪を「告罪」された者を誅する「暗月の剣」、偉大なる騎士アルトリウスの墓を侵す者を狩る「森の狩猟者」、あるいは原初の墓王「ニト」を崇拝し世界に災厄をばらまく「墓王の眷属」を駆逐する者――といったように。復讐霊と闇霊は敵同士だが、目的を達成するために共闘してもいい。

 また闇霊も、条件を満たせばNPCによる侵入が発生する。大前提は「そのエリアのボスを倒していない」こと。同時にプレーヤーによる侵入も起きるため、もしNPCのみの侵入を受けたい場合はオフラインでのプレイも(楽しみを大分損なってしまうが)視野に入る。

合言葉によるマッチング

 「REMASTERED」ではPS3版で機器同士を直接繋ぐP2Pであったマルチプレイが改善され、専用のサーバーが置かれ、また最大6人までのマッチングが可能となっている。

 また、知人と打ち合わせてマッチングしやすくなる「合言葉マッチング」を実装。「Bloodborne」で人気だったこの機能を使えば、限られたプレーヤーとの戦いを楽しめる。

世界に散らばる宝物

 この世界には、じつに様々な武器や防具、指輪、アイテムが転がっている。これらをインベントリで選択して□ボタンを押すことで、そのアイテムにまつわる逸話や、武器ならば戦い方を知れる”フレーバーテキスト”を閲覧できる。

 筆者のお気に入りは呪術「発火」と指輪「狼の指輪」。「発火」は呪術という単純なようで強力な炎の力を思い出させてくれるし、「狼の指輪」は”太陽の光の王”グウィンの騎士、「深淵歩き」アルトリウスの勇猛な一面を教えてくれる。この武器はこんな話が、このアイテムにはこんな逸話があって……と思いを馳せることで、それぞれに愛着が沸くのだ。

 そう、筆者はアルトリウスが歩んだ運命が遺したものが大好きだ。彼の武器や防具はもちろん、彼の周囲にあって、彼に寄り添いつづけた者たちの物語はすべてDLC「ARTORIAS OF THE ABYSS」で明かされる。もちろんこのDLCは「REMASTERED」では標準収録。少々難易度が高いコンテンツとなっているが、彼が「深淵歩き」と呼ばれた真相に迫れるのはこのDLCだけ。後の「II」と「III」にも語られる、勇猛で、一途で、美しい騎士の生き様を知ってほしい。

武器の違いは戦法の違い

 同じ武器種でも様々な違いがあり、弱攻撃や強攻撃、左手に持った際の挙動など、それぞれが特徴を持ったモーションを見せるのも本作の魅力。ユニークな武器には専用のモーションが存在したり、メイスやクラブ、斧槍のように重量のある一部の武器は、空振りすると隙を晒すなんて細かいギミックもある。これをコレクションして、細かくモーションを確かめてみるのも楽しい。

見上げてごらん、この世界を

 ――この過酷で残酷で、脅威と悪意に満ちあふれた世界は、それでも美しい。

 「火継ぎの祭祀場」をはじめ、この世界には「絶景」と呼ばれる場所が非常に多く存在する。それは雄大な自然の賜物や、人の手による飽くなき野心の産物や、もしくは豊満な胸部だ。

 筆者は冒険の途中、ふとカメラを上へ向けたときに「絶景」を見つけることが多い。「城下不死街」から「不死教区」へ続く大橋から「不死教区」を眺めたところ、「小ロンド遺跡」の水に濡れた廃墟に一条だけ差す日の光、「灰の湖」の天を衝く大樹など。「REMASTERED」ではテクスチャの高解像度化もされていて、風景や構造物のきめ細やかな表情がくっきりと表現されている。どきりと胸を刺す、「あぁ、いま私はここに生きている」という感覚は「REMASTERED」のためにあったといっても過言ではない。

オプションでHUD表示をオフにすれば、邪魔なものがほとんどないスクリーンショットを撮影できる。一部はゲーム中ムービーからのカット

いつか終わる、不死の旅路

 筆者はこの「DARK SOULS」シリーズが好きで好きで好きで、キャラクターを何度も作り直しては違う武器で縛りプレイをしてみたり、「呪術だけ」、「魔術だけ」、「信仰戦士になる」、「キャラクターのコスプレをする」といったアプローチで手を変え品を変え遊んできた。

戦闘中、なにか考え事をするように立ち止まり頭を押さえるハベルの騎士

 この世界は美しい。いくら理不尽な死に方をしても、数秒後には生き返る。どんな戦い方でも、敵にはどこかに隙がある。理不尽が列をなしてやってくるのに、どこか礼儀正しいのだ。この世界は美しい。

 またそれゆえに、このタイトルの難易度もわかっているつもりだ。何度も言うようにこの「DARK SOULS」は一筋縄ではいかない、張り詰めた緊張感と儚すぎる命のやり取りにまみれた難易度の高いゲームだ。ただしかし、死ぬことの”軽さ”、物語を知ることの”重さ”、世界の”大きさ”が薄氷の上に巨大な要塞を築くがごとく絶妙なバランスを保っている。

 筆者は7年前、まだ「Demon's Souls」の熱が醒めやらぬころ、初っぱなからプレーヤーを引きずり込もうとする深淵に深く深くはまり込んだ。「死にゲー」だとか「超高難易度」とかいう外聞はどうでもいい。「やってみなきゃわからない」なんてチープな言葉では言い表わしてはいけない。脳が手を生やして「これを遊べ!!!!」と囃し立てる。瞳孔が開き、口の中がカラカラに渇く。叫べ、獣のように叫べ。俺はこの「DARK SOULS REMASTERED」が遊びたいんだ。

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