先行体験
原作の雰囲気を残しつつまるで新作! 「サイレントヒル 2」先行プレイレポート
あらゆる面で生まれ変わったリメイク版を冒頭から5時間超えのゲームプレイで体験
2024年8月19日 16:00
- 【SILENT HILL 2(サイレントヒル 2)】
- 10月8日 発売予定
- 価格:
- 8,580円(スタンダードエディション)
- 9,790円(ダウンロード版デラックスエディション)
コナミデジタルエンタテインメントは10月8日にリリースを予定しているプレイステーション5/PC用サイコロジカルホラー「SILENT HILL 2(サイレントヒル 2)」のメディア向け体験会を開催した。
サイコロジカルホラーと銘打つ「サイレントヒル」シリーズは1999年に誕生し、2001年にオリジナル版の「サイレントヒル 2」がプレイステーション 2向けにリリースされた。今回発売される作品はシリーズの中でも屈指の人気を誇る「サイレントヒル 2」を現代にフルリメイクした作品。20年以上経った今でも根強いファンが多く、本作は世界中から注目を集めている。
今回体験会でプレイしたものはPS5向けの製品版とほぼ同様のものとなっており、ゲームのオープニングから1回目のレッドピラミッドシング戦までプレイすることができた。オリジナル版の再現性、リメイク版で生まれ変わった新しいゲーム性やプレイ感などを原作と比較しつつ紹介していこう。
原作を意識しつつグラフィックスが大幅に進化したリメイク版「サイレントヒル 2」
ストーリーは、3年前に病気で死んだはずの妻「メアリー」から、“思い出の場所であなたを待っている”と綴られた手紙が、主人公「ジェイムス・サンダーランド」の元に届く。
亡き妻との思い出の地であるサイレントヒルにやってきたジェイムスだったが、そこは深い霧に包まれ、異形のクリーチャーが蔓延るゴーストタウンとなっていた。妻との再会を願い、手がかりを求めて狂気の世界へと足を踏み込んでいく――といった内容だ。
「サイレントヒル 2」は主人公・ジェイムスを操り、襲い掛かるクリーチャーと戦い、ときにはクリーチャーを避けながら、霧と謎に満ちたサイレントヒルを探索していくホラーアドベンチャーゲームである。
ゲームの導入はオリジナル版同様、サイレントヒルにやってきたジェイムスのやつれた表情が鏡に映し出されるシーンから始まる。原作の発売からは20年以上経過しているので当然と言えば当然なのだが、グラフィックスは圧倒的に進化しており、実写と見紛うほどの域にまで達している。
映像面はまさに別物レベルの進化を遂げながら、イベントシーンのカメラアングルや構図などはオリジナル版を意識しており再現度が非常に高く、冒頭から今作の開発を手掛けるBloober Teamの原作愛とこだわりを肌で感じた。
20年以上の歳月を経て現代的に生まれ変わった、圧巻のグラフィックスと快適なゲーム性
プレイして初めに大きな違いを感じたのは、基本となるカメラアングルが変わった点だ。オリジナル版では見下ろし型の視点であったが、本作ではキャラクターの肩越し視点を採用している。
見下ろし型では遠くが見渡せず先が見えない恐怖が付きまとったが、プレーヤーの目線に近くなった本作では没入感が高くなり、扉を開ける瞬間の緊張感やクリーチャーが迫ってくる迫力が段違いである。
音響面での演出もパワーアップしており、本作では3D立体音響を取り入れられている。今回ヘッドホンをしてプレイしていたが、音の発生している場所の遠近で聞こえ方が全く違い、まるで自分がゲームの世界に入っているような錯覚すらも覚えた。部屋に入って遠くの方から聞こえるクリーチャーの唸り声が徐々に近づいてくるときの怖さは鳥肌モノである。
肩ごしの視点になったことで没入感が増しただけではなく、これにより探索要素にも新たに手が加えられていた。
新たなアクションに「トラバーサルアクション」が追加。これにより窓柵を飛び越えることや、抜け穴を通り抜けることなどができるようになっている。ほかにも、窓ガラスを破壊することも可能で、道端に捨てられている車の窓を破壊して中から稀にアイテムが入手できることもあり、探索のし甲斐が格段にアップしている。
美麗なグラフィックスや新アクションの追加などのわかり易い部分の進化はもちろん素晴らしいが、プレイをしていて筆者がもっとも感心を受けたのは“ゲームが格段に遊びやすくなっている点”だ。
まずリメイク前の「サイレントヒル 2」は、左右で向きを変えて上入力で前進、後ろ入力で後退といういわゆるラジコン操作であった。思ったようにキャラクターを動かすことが難しいため、この不自由さがホラーゲームの恐怖感を演出するのに一役買っているのは事実だが、移動や攻撃などのレスポンスも悪く、お世辞にも操作性が良いとは言えない作りであった。
本作ではラジコン操作を廃止し、直感的に動かせる一般的なTPSと同様の操作方法が採用されている。ほかにも、原作では変えることができなかったカメラアングルもスティックで自由に動かせるようになっており、ストレスのないプレイが楽しめるようになった。
現代的な遊びやすさ実現するために細かな所の随所にメスが入っており、一例を挙げると、原作ではゲームスタートから最初のイベントが始まる墓地までのそこそこな距離をただ坦々と移動する必要があったが、本作ではややコンパクトにまとめられているように感じた。
探索部分でも、仕掛けを解くためのアイテムとそのアイテムを使う場所がかなり離れているということが原作では結構あったが、本作ではそういった部分も改善されており、ゲーム全体がユーザーフレンドリーな作りになっている。
作業感の強かった戦闘が緊張感のあるゲーム性へと進化
前項で“ゲームが遊びやすくなっている”と述べたが、勘違いしてもらいたくないのは“ゲーム自体がヌルい作りになっている”という意味では決して無い。
本作では戦闘システムも大幅に進化したことで、その分クリーチャーとの攻防がより緊張感のある内容となっていた。
原作では近接武器がかなり強く、ザコクリーチャーは最初の初段をヒットさせさえすればそのまま連続で殴打してるだけで簡単に倒すことができた。一方、今作ではその感覚で一番弱いクリーチャーである「ライングフィギュア」との戦いでは勝ちを確信してひたすらに殴り続けていると、“まさかの殴られながらも怯まず反撃してくる”ようになっており、この変更には正直かなり驚かされた。
ただ殴り続けるだけではクリーチャーを倒すのが難しくなった本作の戦闘では、回避行動である「ドッジ」がかなり重要になっている。敵の攻撃に合わせてドッジを使って攻撃をかわし、相手の攻撃が空振った隙にダメージを与えるといった戦い方がセオリーとなっている。
銃火器による攻撃も「エイムシステム」の実装により部位を狙い撃ちできるようになっている。弱点にハンドガンで撃って怯ませ、そのまま接近攻撃で叩きまくるというような戦略性のある戦い方も可能。クリーチャーとの戦闘は楽ではなくなったが、その分プレーヤーごとの自由なスタイルで戦うことができるのためバトルの楽しさは格段に上がっている。
今回の試遊では新しくなった戦闘でいろいろ試すべく遭遇するクリーチャーを結構相手にしていたが、回復や弾薬の手に入る量には限りがあるので本来ならば戦闘を回避してアイテムを温存することも大事。アイテムが底を尽きる場面もあり、そんなときにクリーチャーが近くに潜んでいることを知らせるラジオのノイズが聞こえてきた瞬間は、恐怖と絶望感を嫌というほど味わうことができた。
今回遊べたのは、最初の大きな探索エリアであるアパートまででゲーム全体から見れば本当の序盤だが、その範囲内でも新しい謎解き要素がかなり追加されていた。
まず最初に立ち寄ることになるバーでは、原作にはないジュークボックスを作動させる謎解きがあり、その後のアパート内も新しい仕掛けや既存のものも場所や内容が変わっていたりと、過去にプレイしたことがあっても頭を悩ませる作りになっている。
新しい謎解きもなかなかに歯応えがあり、限られた試遊時間の中で詰まらずにクリアできるか正直ハラハラさせられた。
アパートから脱出する直前には、「サイレントヒル 2」の顔ともいえるクリーチャー「レッドピラミッドシング」との戦いが待っている。原作では動きが非常に遅く、距離をとってハンドガンで射撃をしているだけで撃退することができたので正直それほどの脅威ではなかった。
しかし、本作では歩行速度が上がっており、大鉈を引きずりながら結構な速さでジェイムスに迫ってくる。戦闘でやること自体は距離をとってハンドガンで射撃と同じだが、ただ走って距離をとって撃つの繰り返しだけでは倒すのは難しくなっていた。
大鉈を振り下ろすレッドピラミッドシングの攻撃力は非常に強力で、一発でも食らえばほぼ即死級の威力。走って逃げているだけでは攻撃をかわすのが困難になっているので、敵の攻撃に合わせてドッジを駆使するという立ち回りが必須であった。
ザコのクリーチャーでは感じなかったが、肩越しカメラになったことで敵から逃げている間は当然背後は見えない。この“見えない背後から強敵が迫る恐怖感”が凄まじく、原作では味わえない怖さを体験することができた。
原作を意識しつつも新たな要素が点在するほぼ新作のような作品に
街やアパート内部のマップは遊びやすく再構成され、ゲーム全体のテンポが非常に良くなっているのを感じた。その分、新しいイベントや謎解きの追加でボリューム感はアップしており、アパートをクリアするまでには5時間以上掛かった。
日本語吹き替えや新クリーチャー、さらには新エンディングまで追加されていて、原作の雰囲気は残しつつもほぼ新作といっても過言ではないリメイクとなっている本作。未プレイの人だけではなく、原作ファンも新鮮にプレイできる内容になっていそうだ。
(C)Konami Digital Entertainment
※ゲーム画面は開発中のものです。