ニュース
PCはDOS版が基本!? バンドンゲームショップレポート
海賊版まみれでコンソールゲームは未成熟。ゲーセンでは「アイカツ!」が孤軍奮闘!
(2015/6/10 00:00)
GAME Watch恒例となっている世界各地のゲームマーケットを取材し、その地のゲームシーンの風景をお伝えするゲームショップレポート。今回はバザール・エンタテインメントの取材(記事その1、その2、インタビュー)で訪れたインドネシアを舞台に、バンドン編とジャカルタ編に分けてお届けしてきたい。
まず最初に紹介するのはバンドンだ。バンドンはバンドン工科大学を筆頭に、理工学系の大学がひしめく学園都市。首都ジャカルタほど大きな街ではないが、それぞれの大学の周囲にショッピングモールが作られており、学生達の大きな需要に応えている。新興市場では、ITならIT、衣類なら衣類で、たいてい一カ所にまとまっているものだが、そうではないところに街としての成熟を感じることができる。
ただ、ジャカルタをはじめ新興市場の代名詞である激しい交通渋滞はここバンドンでも健在で、地下鉄やトラムはおろか、ジャカルタにあるような専用レーンを使ったバスもないため、常に移動に難渋する街だ。今回はAngkot(アンコット)と呼ばれる乗り合いバスや、バイクタクシー、通常のタクシーの3種類の移動手段をTPOによって使い分けてバンドン各地にあるショッピングモールや繁華街を訪れた。
まずはスマホショップから。バンドンでSIM屋が流行る意外な理由とは!?
今回はバンドン会議が開かれたアジア・アフリカ通り近辺を起点に、主要なショッピングモールをひととおり回ってみた。街を歩いてみて最初に感じたのは、IT関連ショップの少なさだ。PC、モバイル、ゲームなど、新興市場にこそ目立つそれらの店舗がほぼ見当たらない。バンドンは衣類の生産拠点としてアウトレットモールは充実しているものの、“理系大学の学園都市”というわりには、それほどITは普及していない印象だった。
ゲームを含めたIT関連の中心地になっているのはBandung Electronic Center。新旧2つのビルが内部で一体化し、PCとモバイルを中心に、ゲームショップ、デバイスショップ、ソフトウェアショップなどが軒を連ねていた。
低層階を占めていたのはモバイル系のショップだ。OPPO、VIVO、XIAOMIEなど中国系ブランドを関したショップが元気で、韓国系だとサムスン、日系だとソニーがかろうじて確認できるというところだろうか。ただ、現地ブランドはほとんど見られず、価格的にもまだこなれていないためか、全体的にあまり活況な市場ではないという印象を受けた。
そうした中で例外的に活況を呈していたのはSIM販売ショップだ。インドネシアではすべてのスマートフォンがSIMフリーの状態で販売される。日本における2年縛りのような面倒な規制はなく、買い切りで自由にSIMを付けかえて利用できる。そのためSIM販売ショップが単体で成立するわけだ。
ちなみにアジアのSIMショップというと、小さなガラスケースにみっしりカードを入れて販売している個人店という印象が強いが、ここではもっと大規模で派手だ。理由はSIMカードのみならず、SIMカードに紐付けされた番号を売っているためだ。店頭には大学受験の当選番号のように、ビッシリ番号が掲げられ、それぞれに値段が付いている。同じ数字が並んだり、縁起の良い数字の並び、覚えやすいものが高くなり、中には日本円で数十万円するようなものもある。
こうなるとスマホ本体や通信料金より、番号の方がよっぽど高くなるが、インドネシアでは良い番号にお金を出すのはごくごく自然なことだという。日本人だと番号に大金を使う感覚はちょっとよくわからないところがあるが、何人かのインドネシア人に理由を尋ねてみたところ、彼らも当たり前のこと過ぎてうまく答えられなかったのがおもしろかった。彼らとしては「オシャレをするのは何故ですか?」、「お化粧をするのは何故ですか?」と聞かれてるような気分になるらしい。
スマートフォンについての日本とインドネシアでの大きな違いは、携帯電話番号は日本では秘匿されるべき大事なプライバシーだと考えられているのに対して、インドネシアでは公開するのが当たり前であり、自分と社会とを繋ぐ大事な窓口として考えられている。こうした部分にも文化の違いが感じられておもしろい。