Take-Two Asia、シンガポールにて新作TPS「Spec Ops: The Line」を公開
ドバイを舞台に、廃墟と化した高層ビルと砂嵐に立ち向かう新感覚TPS!


11月21日、22日開催

会場:Take-Two Interactive Asia本社



 米Take-Two Interactiveのアジアパシフィック方面を統括するTake-Two Interactive Asia(Take-Two Asia)は11月21日、アジアのゲームメディアを集めて、子会社2K Gamesの新作タイトルとなるミリタリーTPS「Spec Ops: The Line」のプライベートイベントを開催した。同作の発売は2012年春を予定し、価格は未定。

 気になる日本語版についてはすでに発売は確定しており、時期未定ながらも海外とほぼ同時発売を目指して現在ローカライズ作業が進められている。発売プラットフォームはプレイステーション 3、Xbox 360で、価格は未定。本稿では、「Spec Ops: The Line」のゲーム概要と最新トレーラーを紹介し、インプレッションについては別稿にて詳しくお伝えしたい。

シンガポールのNewtonという地区にあるTake-Two Interactive Asiaオフィス
デモを行なってくれた「Spec Ops: The Line」Senior Game DesignerのShawn Frison氏
砂上の楼閣ならぬ“砂中の楼閣”と化したドバイ。といっても実在のドバイではなく、近未来のパラレルワールドを舞台としていて、ドバイを代表するランドマーク“ブルジュ・ハリファ”も「ブルージュ・オーロラ」と呼ばれる

 「Spec Ops: The Line」は、ドイツベルリンのゲームデベロッパーYagerが開発しているTPSスタイルのミリタリーシューティング。Epic GamesのUnreal Engine 3.0を採用し、ハイクオリティなビジュアル表現と個性的なゲーム性で、近年、良作のシューターを手がけてきた2K Gamesの中で、「Bioshock」シリーズや「Borderlands」シリーズに続く第3の柱に育てたい考えだ。今回のプライベートイベントの開催もその期待の大きさの表れと言える。

 実は「Spec Ops: The Line」は、2010年のE3で公開されている。1年半経過して今回アジアパシフィックを皮切りにようやく活動再開ということになるが、それぐらいじっくり育てている新フランチャイズだ。ちなみに「Spec Ops: The Line」の短縮形の表現は、「Spec Ops」ではなく「The Line」となる。「Spec Ops」があまり一般的な表現であるため、「コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア」と同じようにサブタイトル側を呼ぶようにしたいとのことだ。

 このゲームはドイツで開発されているが、ここ数年、ヨーロッパのゲームが非常にホットだ。日本から見ると“欧米”とひとくくりにしてしまいがちだが、当然のことながらヨーロッパのクリエイターは北米とはまた違った感性や価値観を持っており、それが一種の個性となって世界のゲーム市場で一定の存在感を放つようになっている。

 今年を代表するFPSである「バトルフィールド3」の開発元DICEはスウェーデン、「バットマン:アーカムシティ」の開発元Rocksteady Studiosはイギリス、そして「Dead Island」Techlandはポーランドだ。米Epic Gamesの「Gears of War 3」や、米Infinity Wordの「モダンウォーフェア3」といった北米市場を代表するAAAゲームの王道っぷりと比較すると、一癖も二癖もあるゲームが多い。「Spec Ops: The Line」もそんなタイトルのひとつと言えそうだ。

 イベントでは下記に掲載している最新トレーラーの紹介から入り、その後、適宜質疑応答や試遊を挟みながら90分間にも渡る長いデモンストレーションが行なわれた。通常こうしたイベントで新作ゲームのデモが90分も連続して行なわれるのは非常に稀で、それだけ気合いが入っている証左とも言えるが、デモを一通り見終わってようやくその“長さ”の理由がわかった。

 このゲーム、ストーリーがいまだかつてないほど複雑で込み入っており、また、戦場におけるダークな部分を余すところなく描いており、しかもメッセージ性が強いゲームとなっている。戦場に複数の勢力が入り乱れ、登場人物達は様々な思惑を胸に抱きながら、熾烈な戦いに身を投じる。そこで描かれるのは、単純明快なハリウッドスタイルの勧善懲悪アクションではなく、人が人として生きることの業のようなものと、極限状態でのモラルだ。デモを受けながら、「Spec Ops: The Line」はまさにヨーロッパならではの新感覚ミリタリーTPSだと感じた。

 今回のイベントでは、そうした複雑なゲーム性をゲームメディアにしっかり伝えるために、チャプター1から、途中少しずつはしょりながらゲーム後半のチャプター9までを駆け足で紹介してくれた。まずはトレーラーとプロローグ、そして最新スクリーンショットをチェックして欲しい。ゲームの詳しい内容については別稿にてお届けしよう。


【「Spec Ops: The Line」最新トレーラー】

    【「Spec Ops: The Line」ストーリー】
     ――世界の富が集まり、中東の宝石と言われたドバイ。今、その姿は見る影もない。かつて経験したことの無い砂嵐によって、全てが砂漠の海に消え、武装グループの跋扈する戦場へと変貌していた――
     米国陸軍デルタフォースのチームリーダー、主人公マーティン・ウォーカー大尉に中東ドバイへの着任命令が下る。ゲリラが占拠するドバイ旧市街に侵入し、ドバイでの任務中に行方不明になったジョン・コンラッド大佐を救出するのが任務だ。マーティンを待つ苛烈な戦場、そこは善悪に対するモラルを試される過酷な運命が待ちうけているのだった……


【「Spec Ops: The Line」最新スクリーンショット】
約1年半ぶりに公開された最新スクリーンショット。E3 2010で公開されたスクリーンショットはE3レポートから確認することができる

□関連情報
【2011年10月3日】2K Games、エイリアンから世界を救う「XCOM」はなんとFPS!
ミリタリーTPS「SPEC OPS: THE LINE」もお披露目
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20100617_375083.html

(2011年 11月 25日)

[Reported by 中村聖司]