東京ゲームショウ 2011レポート
EA、「Battlefield3」シングルプレイモードを初出展
COOPモードもプレイしてみた! EA DICEスタッフへのインタビューも
僕らの戦場が帰ってくる。戦場FPSの人気シリーズ「Battlefield」のナンバリングタイトルとして実に6年ぶりの新作となる「Battlefield 3(BF3)」がプレイステーション3、Xbox 360、WindowsPCの3プラットフォームでいよいよ11月2日に発売予定だ。
本作最大の特徴は、スケールの大きなオンライン対戦を持ち味とするシリーズの原点に立ち返り、歩兵、戦車、戦闘機が入り乱れる巨大な戦場を再現すること。そして、そのフルスペックを実現するためにWindows PC版のみ、グラフィックスやゲームモードを拡張したフラグシップとしていることだ。
セガブースに間借りする形で「BF3」のプレイアブル出展が行なわれていた。また、ゲームの技術と内容の凄さを紹介するステージイベントも。業者日にもかかわらず長蛇の列で、高い人気が伺える |
■ シングルプレーヤーモード初出展。各方面に死角なしの「BF3」
地上戦のイメージ |
マルチプレイモードにはジェット戦闘機も登場 |
COOPモード。今回プレイできたのは隠密作戦色が強いミッションだった |
TGS会場では夜戦のステージがプレイアブル公開 |
東京ゲームショウ 2011では、セガブース内およびSCEブース内にて本作のPS3版がプレイアブル出展されている。シングルプレイキャンペーンに含まれる1ミッション「オペレーション・ギロチン」がプレイできるので、「BF3」の触りを確かめてみたい方はぜひプレイしてみて欲しい。
また、今回のイベントに合わせ、EA DICEで本作のプロダクトマネージャーを務めるGustav Enekull氏、およびグローバルコミュニティマネージャーを務めるDaniel Matros氏が来日しており、弊誌ではおふたりに話を聞くことができた。ファンならば気になるあれこれについて聞いたことを本稿でお伝えしていこう。
まずは「BF3」の特徴についてまとめておこう。現代戦をテーマとする本作では、大別するとシングルプレーヤーキャンペーン、COOPモード、オンライン対戦モードの3モードを搭載する。
気になる対戦モードはWindows PC版で最大64人対戦をサポート(コンシューマー機版では24人対戦まで)。またWindows版ではDirectX 11世代機向けに刷新されたライティングモデルが採用され、1世代進んだ映像表現を実現。ハイエンドPCゲームとしての存在感が強くクローズアップされているタイトルだ。
オンラインモードに関しては、6月のE3 2011で「Battlefield: Bad Company」シリーズに由来する「ラッシュ」モードが披露され、8月にドイツで行なわれたGamescomではファン待望の大規模マップにおける「コンクエスト」モード64人対戦と2人COOPモードがプレイアブル出展された。
そして今回TGS会場ではシングルプレーヤーモードが世界初のプレイアブル公開されており、実際にそのゲーム内容を確認することができた。プレイできたのは「オペレーション・ギロチン」という都市内の夜戦をテーマとしたミッションだ。
小隊の一員として戦場に展開し、迫撃砲で壁の向こう側の敵に制圧攻撃を加え、続いて小川の中を進みながら大量の守備兵を排除しつつ進むというミッション構成となっているが、圧倒されるのはそのスケール感。広いマップの中で常に1ダースを超える敵と味方が交戦しており、つねに銃声と砲声がこだましている。そういったスケール感が、大規模な作戦に一員として参加している気分にさせてくれる。
障害物を使ったカバーアクション、ナイフを使ったCQB要素などモダンなFPS要素をふんだんに取り入れつつも、戦場の躍動を感じる「BF」らしさを備えた内容だ。「CoD」シリーズをシングルプレーヤーモードでも上回ることを強く意識しているように感じられた。このあたりはプレイアブルコーナーで皆さんも是非確認してみて欲しい。
また、プレス向けに公開されていた環境で2人COOPもプレイすることができた。こちらはシングルプレーヤーキャンペーンとは別系統のシナリオとなっており、6つのミッションが用意されているという。筆者がプレイしたのは、敵の潜む建物内に潜入して人質を救出するという特殊部隊ライクなミッションだ。
敵に悟られずに行動し、接敵すればCQBで制圧する、という序盤戦から、派手な銃撃戦が、派手な銃撃戦が展開する後半の脱出戦という流れで、2人のプレーヤー間で幅広い連携が楽しめるようになっていた。
ちなみに相方が倒されると「Man Down!」状態となり、健在な方が近寄ってボタンを押せば救助できる仕組みがある。前半部ではひとりでランボープレイをしてもなんとか進めるのだが、後半になるとひとりではとても対処しきれない状況となってくるので、2人で助けあいながら戦うというゲーム性がクローズアップされてくるわけだ。
このように本作では、目玉である対戦モード以外の部分もよく作りこまれており、初めて「BF3」をプレイするプレーヤーや、対戦にあまり関心のないプレーヤーでも十分に楽しめる、死角のないFPSタイトルとなることを目指しているようだ。EAがFPSジャンルにおけるトップの座を取り戻そうとする、そんな執念すら感じる。
【BF3 64人対戦 トレイラームービー】 |
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【BF3 シングルプレイ トレイラームービー】 |
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■ 来日した上級スタッフにPC版のアレコレを聞く
インタビューに答えてくれたEA DICEの上級スタッフたち |
主にゲームのマーケティング面を担当するGustav Enekull氏。E3 2011の会場での「BF3」出展に凄まじい行列ができたのが強烈な思い出になっているという |
コミュニティマネージャーを務めるDaniel Matros氏。MODコミュニティなどついてユーザーの立場にたって話してくれた |
そして今回取材に答えてくれたプロダクトマネージャーを務めるGustav Enekull氏とグローバルコミュニティマネージャーを務めるDaniel Matros氏は、いずれもマーケティングと開発部署の中間にあり、両者を助ける業務を担当してきた人物だ。本作の開発を間近で見つつサポートしてきた立場から、「BF3」をこう総括する。
Gustav Enekull氏:DICEスタジオでは2005年にリリースされた「BF2」の真の意味での続編を作りたいと長年考えていました。長年のファンが喜んでくれるようなものを。また同時に技術面ではすべての面で新しい試みをしたいと考えていて、それがFrostbite 2の開発につながっています。それをベースに、既存水準を破壊する、真のブロックバスタータイトルに仕上げることを目指してきたんです。
その上でGustav氏が強調するのが、「BF2」の面白さをもたらしていたゲーム要素を取り戻し、さらに進化させたかったという意図だ。PC版における64人対戦、戦闘機、匍匐アクション、フルスケールの戦場。そしてマルチプレイゲームへのクオリティ追求だ。特に64人対戦要素は非常にハイスペック環境を要求する結果となったが、しかしコンシューマー版においても従来以上の内容を提供したいという気持ちが強かったという。
Daniel Matros氏:確かに、パワフルなPCとゲーム機の性能は大きく違います。その中でも、Frostbite 2エンジンは本当に何でも実現できるように設計されました。広大な戦場、ジェット機など……。そのすべてのゲームプレイ要素を犠牲にすることなくコンシューマー版でも実現することが非常に重要なことでした。これは技術的に非常に難しいチャレンジでした。しかし、どうしても最大プレーヤー数だけはスケールする必要があったんです。ちなみに、Frostbite2は現行機種でも動きますが中身は次世代のエンジンです。もし、マイクロソフトやソニーから次世代据え置き機が出たら、そこで完璧に動くでしょうね。
「BF2」のファンが多いPC版において広く心配されていることのひとつが、「ゲームサーバーは十分に用意されるのか?」ということだろう。特に日本では、PC版の「BFBC2」の初期は慢性的なサーバー不足が起こり、海外サーバーでプレイせざるを得なかった人も多い。「BF3」ではきちんと準備されていくのだろうか?
Gustav Enekull氏:EAとDICEでは、各地のユーザーが快適にプレイできるように高品質のゲームサーバーを世界中で用意するつもりです。もちろん、必要であればユーザーが独自にサーバーを立てることもできます。例えば、プロフェッショナルなゲーマーがチーム内で用いるクランサーバーみたいな形ですね。
Daniel Matros氏:日本でもすでに「BFBC2」のサーバーを提供してきたという経緯があります。そのサーバーを「BF3」にターンするかどうかはわかりませんが、少なくともこれまでと同じく、皆さんが快適に遊べるような環境を提供していきたいと考えています。
もう1点、「BF」シリーズのファンが期待することとしてMODを使った遊びがある。「BF3」でMODはサポートされるのだろうか?
Daniel Matros氏:「BF」シリーズのMODシーンは非常に大きいですね。「BF1942」、「BF2」のときは我々からツールを提供してきたのですが、今回、MODコミュニティには残念なお知らせをしなければなりません。Frostbite 2は全く新しく複雑なエンジンで、マップを作るにも大変な専門的な作業が必要です。技術的にもまだMOD可能な準備がされていませんので、現段階でMODツールなどをリリースするつもりはありません。将来的その可能性があるかも現時点ではわかりません。今回はまず、メジャーなファンベースを満足させることに集中したいと考えています。
というわけで残念ながらMODは無しということになるが、EA DICEでは積極的に拡張DLCをリリースすることで、いくらかでもその部分を補おうとしている。まずDLC第1弾としてローンチ時にリリースされるのが「Back to Karkand」パック。これは前作「BF2」に登場した傑作マップ「Strike at Karkand」を中心に、「BF2」のマップ数種、乗り物、武器、などを再現する拡張パックだ。これは本作の予約特典として初回版購入者全員にDLコードが付与されるので、ほぼ全ユーザー標準装備になりそうだ。
また、88式軽機関銃やDAO-12ショットガンが追加される「Physical Warfare Pack」もリリース時に提供予定だ。こちらはOrigin、Amazonなどいくつかの店舗限定の予約特典となっているため、購入するお店によって本パックが含まれるかどうか注意が必要だ。
現時点で詳細は明かせないものの、その後も継続的な拡張DLCのリリースを予定しているという。「BFBC2」でも多数のDLCがリリースされた経緯があるが、「BF3」ではそれ以上に充実したコンテンツの提供を予定しているとのことだ。
【スクリーンショット】 | ||
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□CESAのホームページ
http://www.cesa.or.jp/
□東京ゲームショウ 2011のホームページ
http://tgs.cesa.or.jp/index.html
□エレクトロニック・アーツのホームページ
http://www.ea.com/jp/
□「Battlefield3」のホームページ
http://www.battlefield.com/jp/battlefield3
(2011年 9月 16日)